ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

今月のコラムで紹介するツールは、ファイルやフォルダーから電子メール アドレスを抽出したり、ファイル名を一括で変換したり、オンラインで攻撃を受けるリスクやポート公開の危険性をテストするのに役立ちます。

Greg Steen

Easy Email Extractor

SMTP サービスの最適な状態ではないメール ディレクトリの解析や古い電子メールのアーカイブ ファイルの検索が必要になったことはありませんか。このようなとき、ファイル、フォルダー、大量のテキストなどから電子メール アドレスをすばやく抽出できる方法があると便利です。NoVirusThanks 社の Easy Email Extractor は、このような場面で役立つシンプルな無料ツールです。

Easy Email Extractor は、Windows の 32 ビット版と 64 ビット版のどのバージョンでも使用できます。インターフェイスは、[File] (ファイル)、[Folder] (フォルダー)、[String] (文字列)、[URL]、[Settings] (設定)、および [Filters] (フィルター) というタブで構成されています。[File] (ファイル) タブでは、ファイルから電子メールを抽出します。同様に、[Folder] (フォルダー) タブでは、電子メール アドレスのフォルダーにあるファイルをスキャンします。[String] (文字列) タブを使用すると、クリップボードからテキストを貼り付けることが可能で、ツールによってアドレスが解析されます。[URL] タブでは、URL を貼り付けて、URL に対してテキストと同様の処理を実行できます。[Settings] (設定) タブには、エクスプローラーのコンテキスト メニューの [送る] オプションに Easy Email Extractor を追加するオプションがあります。

すべてのスキャンは [Filters] (フィルター) タブの設定に基づいて行われます。フィルターは、検索に使用する正規表現または単語で、指定したアドレスの種類を検索結果で無視 (除外) するためのものです。これは自分のドメインや既知のスパム ドメインのアドレスを除外する場合に有用です。スキャンの実行後には、電子メール アドレスをファイルにエクスポートしたり、クリップボードにコピーしたりすることができます。このツールには拡張機能は用意されていません。いたってシンプルですが、便利で使いやすく、何よりもうれしいことに無料で使用できます。

Easy Email Extractor

Bulk Rename Utility

大量のログ ファイルやディレクトリの名前を変更するスクリプトを書く必要に迫られたことはありませんか。たとえば、保存目的で、作成日に基づいてファイル名に日付を挿入する必要に迫られたことはありませんか。ファイル名を一括変更するのに役立つツールに、TGRMN Software 社の Bulk Rename Utility があります。このツールも無料です。

Bulk Rename Utility では、複数のディレクトリにある数千個のファイルの名前を簡単な手順で変更できます。名前を変更する対象となるディレクトリやファイルの参照には、エクスプローラー風のインターフェイスを使用します。全体的な印象としては、UI は多少わかりにくいものの、一度把握すれば使い方は簡単です。

名前変更の規則を指定すると、操作を実行した後の新しいファイル名が詳細ウィンドウに表示されます。また、ファイル サイズや種類などの詳細情報、作成日、変更日、最終アクセス日などの属性、ファイル長 (バイト単位) が表示されます。画面下部には、自由に指定できる名前の変更オプションがあります。また、照合と名前変更を一度に実行できる洗練されたプランを作成するために適用できる 13 種類の規則が用意されています。

ファイル名の照合と置換には正規表現を使用できます。ファイル名を特定の長さに切り詰めたり、名前の置換や反転を行ったり、ファイル名に使用されているテキストの置換や削除も行えます。ファイル名の大文字と小文字 (各単語の先頭の文字を大文字にする、ファイル名の先頭の文字のみを大文字にするなど) も変更できるほか、位置や種類に応じて文字を削除することもできます (たとえば、すべての数字を削除したり、先頭の 4 文字を削除したりできます)。

また、ファイル名に接頭辞や接尾辞を追加したり、文字列を挿入したりすることも可能です。ファイルの属性については、作成時刻、変更時刻、アクセス時刻などを変更したり、ファイル名自体に日付を追加したりすることができます。名前を変更するときに、ファイルに番号を付けることもできます。開始番号とそこからいくつ増やすかを自由に設定できます。また、ファイル名を変更するときには、ローマ数字を使用したり、16 進数など別の数字に基づいて変更することもできます。

ファイル名にフォルダー名を追加するオプションもあります。また、条件に一致したファイルにのみ拡張子を追加することもできます。最後の 2 つのオプションは、ファイルやアイテムの種類 (フォルダーまたはファイル、ファイル名の長さなど) に基づいた選択内容の照合に役立ちます。条件に一致したファイルは、名前を変更した後に別の場所にコピーまたは移動できます。これらのすべてのオプションは一括で指定することが可能で、所定の順序で適用されるため、期待どおりの結果が得られます。

設定が完了したら、[Rename] (名前変更) ボタンをクリックして、名前の変更処理を実行します。間違えたときは、[Revert] (元に戻す) をクリックして、ファイルを元の状態に戻します。他にも、変更したファイル名を確認したり、思いどおりの操作を実行できるようにするためのオプションが用意されています。すべての変更内容は、ログ ファイルに記録されるため、いつ、何が起こったかを細かく把握できます。

Bulk Rename Utility には 32 ビット版と 64 ビット版があります。また、ダウンロード後にインストールせずに使用できるバージョンもあるため、その他のツールと一緒に持ち運ぶことができます。また、日常的な名前変更作業をスクリプト化したり自動化したりするときに威力を発揮するコマンドライン バージョンもあります。

Bulk Rename Utility

ShieldsUP!

使用しているシステムのインターネットに対するセキュリティ状況を把握することは重要です。Gibson Research 社の ShieldsUP! は、ポートやサービスが世界に向けて開いているかどうかを判別するのに役立つ無料のサービスです。このサービスでは、ブラウザーで ShieldsUP! の Web サイトにアクセスし、実行するテストを指定します。ShieldsUP! サービスには、ファイル共有のテスト、共通ポートのスキャン、全サービス ポートのスキャン、ユーザー データグラム プロトコル (UDP) メッセンジャー サービスのスパム テスト、カスタム ポートのプローブ、ブラウザー ヘッダーのテスト (ブラウザーでサービスを使用しているため) などがあります。

ファイル共有のテストでは、NetBIOS ポート 137 ~ 139 経由でユーザーのコンピューターに接続し、共有が有効になっているかどうかを確認します。共通ポートのスキャンでは FTP、SSH、SMTP、HTTP、IMAP などの外部に対するサービスをスキャンします。この結果、接続が成功したかどうか、外向けサービスに接続を試みたときに応答があったかどうかがわかります。全サービス ポートのスキャンでは、プローブと同様のテストを行いますが、その対象は最初の 1,056 個のポートに限られます。このテストでは、ポートの開閉状況、ポートが非公開であるかどうかを確認できます。

Windows メッセンジャー サービスのスパム テストでは、ユーザー コンピューターの 135 番ポートに 4 つの小さな UDP パケットを送信することで、スパム メッセージを含むダイアログ メッセージをポップアップするという古い脆弱性を調査します。ブラウザー ヘッダーのテストでは、各 HTTP 要求と共にユーザーのコンピューターまたはサーバーのインターネット ブラウザーから送信された全ヘッダー情報を参照できます。この結果から、インターネットを閲覧することで、どれだけの情報を開示しているかがわかります。カスタム ポートのプローブ テストでは、調査するポートの範囲を指定できます。このテストでも各ポートの開閉状態、非公開かどうかを確認できます。

ShieldsUP! には、"Port Authority Database" (ポート管理データベース) も用意されています。この機能により、各ポートを使用するサービスの種類、便利な背景情報や脆弱性情報などを把握することができます。次回、システムのオンライン化を担当するときには、ShieldsUP! サービスを使ってポートの公開状況を検証し、情報漏えいを未然に防ぐのに役立ててください。

ShieldsUP!

Greg Steen

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

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