Exchange 2013 ハイブリッド展開の新機能
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適用先: Exchange Online, Exchange Server 2013
Microsoft Exchange Server 2013 では、Microsoft Office 365 での社内 Exchange 組織と Exchange Online 組織間のハイブリッド展開の構成と管理においていくつかの改善が加えられています。
ハイブリッド構成ウィザードの改善
ハイブリッド構成ウィザードは Exchange Server 2010 の Service Pack 2 (SP2) で導入され、Exchange 管理者はハイブリッド展開構成プロセスを非常に簡単に実行できるようになりました。元のハイブリッド構成ウィザードは、約 50 の手動の手順だったものを少数の簡単な手順に削減し、ハイブリッド構成パラメーターの構成を自動化しました。Exchange 2013 のハイブリッド構成ウィザードでは、元のウィザードの成功に基づいて、いくつかの重要な領域で改善を加えています。
構成ツールの削減 Exchange 2010 SP2 では、ハイブリッド展開の構成は 2 段階のプロセスで、新規のハイブリッド構成ウィザードを使用した後、ハイブリッド構成の管理ウィザードを使用してハイブリッド展開の構成プロセスを完了する必要がありました。Exchange 2013 では、これらのウィザードが組み合わされて単一のハイブリッド構成ウィザードとなり、HybridConfiguration Active Directory オブジェクトが作成されて、ハイブリッド展開のプロパティおよびサービスが構成されます。
効率化されたウィザード プロセス Exchange 2010 SP2 のハイブリッド構成の管理ウィザードでは、クライアント アクセス サーバーの選択とハブ トランスポート サーバーの選択が異なるエリアに分かれていたため、両方のサーバーの役割を単一のサーバーにインストールしている Exchange 組織にとって直観的とは言えませんでした。Exchange 2013 のハイブリッド構成ウィザードでは、管理者がクライアント アクセス サーバーを選択する必要がなくなりました。現在、ウィザードではハイブリッド展開のメール フロー構成のためにメールボックス サーバーまたはエッジ トランスポート サーバーを選択する操作のみが必要です。
セキュリティ保護されたメールの強化 Exchange 社内組織と Exchange Online 組織間のセキュリティ保護されたメールは、コネクタ選択で静的 IP アドレスを使用する必要がなくなったため、構成が大幅に簡単になりました。Office 365 テナント内の Exchange Online Protection (EOP) サービスは、社内組織を接続元とするハイブリッド トランスポート接続のエンドポイントであり、Exchange Online から社内組織へのハイブリッド トランスポート接続のソースです。EOP サービスおよびハイブリッド構成ウィザードは、EOP コネクタで静的 IP アドレスを使用する代わりに、両方の組織がトランスポート層セキュリティ (TLS) に対応して使用する証明書を用います。このプロセスにより、管理者が、EOP コネクタ上で静的 IP アドレスの一覧を管理する必要がなくなります。
メール トランスポートの集中管理の強化 メール トランスポートの集中管理、つまり、その内部で Exchange Online 受信および送信インターネット メッセージが社内 Exchange 組織経由でルーティングされるハイブリッド構成が、更新され受信インターネット メール フローの構成方法に対する制限がなくなりました。以前は、組織がその Mail Exchange (MX) を社内組織ではなく EOP サービスに振り向けている場合には、ハイブリッド展開でメール トランスポートの集中管理はサポートされていませんでした。メール トランスポートの集中管理は、受信インターネット メール フローのすべてのオプションをサポートするようになります。
統合されたエッジ トランスポート サーバーのサポート Exchange 2010 SP2 でのハイブリッド展開におけるエッジ トランスポート サーバーの構成は面倒で、いくつかのハイブリッド展開トランスポート パラメーターでは非常に多くの手動構成が必要です。Exchange 2013 でのハイブリッド展開構成でエッジ トランスポート サーバーの構成を完了するには、まだ少数の手動手順が必要ですが、Exchange 2013 ハイブリッド展開では Exchange 2013 と Exchange 2010 のエッジ トランスポート サーバーを完全にサポートします。現在、ハイブリッド構成ウィザードは 1 つ以上の Exchange 2013 や Exchange 2010 のエッジ トランスポート サーバーの選択をサポートしており、エッジ トランスポート サーバーの構成手順の多くを自動化しています。
詳細については、「ハイブリッド展開でのエッジ トランスポート サーバー」を参照してください。
Exchange Online Protection のサポート強化 ハイブリッド メール フロー構成では、ハイブリッド構成前、構成中、構成後を含む、ハイブリッド展開のすべての段階で、MX レコードの更新と組織のすべての受信インターネット メールの EOP への方向付けがサポートされるようになります。社内組織と Exchange Online 組織の両方での、受信および送信インターネット メールの EOP によるフィルターやハイブリッド メール フロー トラフィックのルーティングがより簡単になります。
構成プロセスの詳細な状態 Exchange 2010 SP2 でハイブリッド構成の管理ウィザードを使用した場合、ウィザードは管理者に対して全体的なハイブリッド構成の進捗状況しか表示せず、現在どの特定の領域が構成中で更新されているかはわかりませんでした。Exchange 2013 のハイブリッド構成ウィザードでは、ウィザードによって構成中の各領域に関する情報が表示されます。
改善されたハイブリッド構成ログExchange 2013 の Update Hybrid Configuration ログは改善され、各ハイブリッド構成手順が明確に区別されたセクションに分けられたため、レビューやトラブルシューティングを簡単に行うことができます。また、ログには、各ハイブリッド構成タスクが実行された場所が、社内 Exchange 組織、または Exchange Online 組織のどちらであるかが明示されます。
OAuth フェデレーション サポートExchange 2013 の累積的な更新プログラム (CU5) の新機能として、ハイブリッド構成ウィザードは Office 365 と Exchange Online での Exchange OAuth 認証の自動構成をサポートするようになりました。Exchange OAuth 認証プロセスは、構成ウィザードによって自動化され、ハイブリッド構成の以前のバージョンで使用されていた、特定の展開のための従来の Exchange フェデレーション信頼の構成プロセスに置き換わるものとなります。Exchange OAuth 認証は、Exchange 2013 のみの組織でハイブリッド展開を構成するために必要です。ただし、Exchange 2013/2010 と Exchange 2013/2007 の混在した組織による Exchange 2013 ベースのハイブリッド展開は、従来のフェデレーション信頼の認証プロセスを使用することでサポートされ、OAuth 構成プロセスはスキップされます。それらの混在する Exchange 組織で OAuth 認証を構成することはオプションで、手動構成のプロセスとなり、Exchange インプレース アーカイブやインプレース電子情報開示の機能も構成する組織でのみ必要となります。
重要
中国で 21Vianet によってホストされる Office 365 テナントと共に Exchange 2013 ベースのハイブリッド展開を構成する組織では、すべてのハイブリッド展開で OAuth 認証が使用されます。詳細については、「21Vianet が運用している Office 365 について」を参照してください。
ハイブリッド構成ウィザードの詳細については、「ハイブリッド構成ウィザード」を参照してください。