IT 管理: IT のマーケティング問題

世間では、IT 担当者について現実とは異なる神話のような考えが持たれています。今月の記事では、いくつかのよくある誤解と、それを正す方法を紹介します。

Romi Mahajan

IT には、マーケティングの問題があります。このことをだれかに話すと、通常、次の 2 つのどちらかの反応が返ってきます。1 つ目は、「IT とマーケティングに何の関係があるのか。2 つは別のものじゃないか」という反応です。2 つ目の方がよくある反応で「まさか。IT 関係者は変人で、変人はイメージなんて気にしないさ」 というものです。

どちらも理解できる非常に単純な反応です。IT のマーケティング問題は、見た目とは大きく異なります。IT 担当者を十把一絡に、野心、イメージ、影響力などが重視されない別世界の住人として片付けてはいけません。

神話を解体する

IT 担当者 (およびその集合体である IT 組織) に関するまことしやかな話には、神話としてすぐに捨て去るべきものがあります。そのうち、最も陰湿で根強いものは次のとおりです。

  • IT 担当者は、"オタク" でコミュニケーション能力に欠ける。
  • IT 担当者は、人間よりもコンピューターに関心があって内向的である。
  • IT 担当者は、別の文化で育った人間で、"ビジネス" 側の人間とは違う言葉を話す。
  • IT 担当者は、ユーザーを理解しない。

これらの神話を取り除いて、先入観にとらわれずに神話を考えるための、別の観点を紹介します。この観点は、IT という仕事自体への情熱から得たものではなく、IT 部門と働き、世界最大のソフトウェア企業の IT 担当者の関心を代弁してきた長年の経験によって得たものです。

まず、1 つ目の神話を解体しましょう。一般に、IT 担当者はコミュニケーションが下手だと誤解されています。私の経験では、IT 担当者は、組織の中で最も簡潔かつ明快で率直なコミュニケーションを行います。マーケティング担当者は饒舌であることが多いですが、本心はめったに言いません。IT 担当者は誠実なコミュニケーションをします。単刀直入な話し方を無能さと取り違えないでください。実際は正反対です。

これは 2 つ目の、内向的であるという神話の原因になっています。最近、内向的な人は企業にとって実際は役立つ人材だという意見が一般に認知されるようになっていますが、これについては、しばらく考えないようにしましょう。この意見は、同意するかどうかにかかわらず、この話題から外れています。最近の IT 担当者に関して言えば、内向的な人もいれば、外向的な人もいます。全員に共通しているのは、物事への探究心です。

Twitter 時代においては、マルチタスキングに熱中し、コンピューターやなんらかのワイヤレス デバイスに常時接続して、深い知識を追求するのは内向的だと誤解されます。実際、幅広い知識を習得するには、1 人で静かに考えたり集中したりする時間が必要です。そのため、IT 担当者は、必要なことしか話しません。メイン カルチャーで育った人の多くは、IT 担当者は寡黙であるため、内向的で人間嫌いだと考えます。しかし、それは間違いです。

この考えが、IT とビジネスには隔たりがあるという 3 つ目の神話につながります。2 つの区別を主張するものが数多く書かれていますが、今日の IT とビジネスがテクノロジでつながっている世界では、両者をはっきり区別することはできません。2 つで 1 つになっています。2 つを区別するという時代遅れの考えに捕らわれていては、企業全体にとって損失です。

この神話がなくなると、IT 担当者がユーザーを本当に理解していることがわかります (したがって 4 つ目の神話が否定されます)。実際、企業の中で日常的に最もユーザーと対話しているのは IT 担当者でしょう。確かに、"内向的" かもしれませんが、だから何だと言うのでしょうか。内向的な人も、外交的な人と同様に、抱えている問題に対するサポートと解決を必要とし、求めています。

橋を渡る

この隔たりに橋を架け、世間の考えを変えるにはどうしたらよいでしょうか。その答えは、IT のマーケティング問題を解決することにあります。解決策の 3 つの柱は次のとおりです。

  • IT 担当者は、積極的になって口数を増やす。
  • IT 担当者は、IT があってビジネスが成り立っていることを周知する。
  • IT 管理者は、自分のチームが組織の他のメンバーと交流する時間を作る。

上記はすべてマーケティングの問題です。最初の 2 つは意識に関するもので、解決は皆さんの力にかかっています。

解決策 1: 積極的になって、しっかり発言する。最良の IT は寡黙な IT である、という意見が一般的な見解です。賢明であればわかると思いますが、この意見はある点で間違っています。黙っていると、注意が払われなくなります。これでは、IT の実際の業務に関する微妙な知識が周知されません。IT 担当者は、何をしていて、何ができるかを、公然かつ明確に伝える必要があります。営業担当者はマーケティング担当者と同様に成果を自慢して回ります。IT 担当者にも同様の権利があるので、まねするとよいでしょう。事実は事実で、今日知られているとおり、IT 担当者はビジネスとその業務を可能にしています。

解決策 2: IT があってビジネスが成り立っていることを主張する。今日の中規模以上のビジネスはすべて、基本的に業務に IT を利用しています。IT 部門は、"ご存じですか" と銘打ったキャンペーンを実施し、ビジネスがスムーズに進むのは IT 部門の働きによることを正確に知らせる必要があります。結局のところ、ほとんどの人は、システムの稼動時間や企業システムへの容易なアクセスなどを当然のことだと考えているからです。

次の解決策は、IT 担当者は働きかけるだけの領域です。この変化は管理者の側から起こす必要があります。言うまでもなく、すぐれたマーケティングでは、影響力がすべてです。

解決策 3: 管理者に働きかけて組織で自由に動けるようにする。2006 年にマイクロソフトが行った調査では、IT 担当者は、より多くの時間を積極的な活動 (組織の他のメンバーとの交流や学習など) に費やすことを望んでいますが、IT 担当者の仕事では事後対応が求められ時間が限られていることが明らかになりました。

この状態を当然と考えてはいけません。組織の他の部門の優先事項や要件を理解するために毎日時間を作る必要があります。IT 担当者は企業の幅広い部門のチーム ミーティングに参加する必要があります。ミーティングで学び、共感することで、人間関係が構築され、すばらしいマーケティング効果が生まれます。

これが、複雑な問題に対するわずか 3 つの単純な解決策です。確かに、IT 組織に対する理解を高めるには、他のことも必要ですが、今回紹介した解決策は、スタート地点として最適です。

Romi Mahajan

Romi Mahajan は、KKM グループの代表取締役です。KKM に加わる前は、Ascentium Corporation のマーケティング最高責任者でした。Romi はテクノロジとメディア回路に関する著名な講演者で、さまざまな諮問機関の委員を務め、また、年間 12 個以上の業界イベントで講演を行っています。

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