次の方法で共有


静的行フィルタを定義および変更する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)

テーブルのアーティクルを作成するとき、WHERE 句を定義することで、アーティクルから特定の行をフィルタ選択できます。いったん行フィルタを定義した後で、そのフィルタを変更することもできます。静的行フィルタは、レプリケーションのストアド プロシージャを使用してプログラムから作成したり変更したりできます。フィルタが静的であるため、すべてのサブスクライバは同じデータのサブセットを受け取ることになります。マージ パブリケーションに属しているテーブルのアーティクルから行を動的にフィルタ選択して、各サブスクライバが異なるデータ パーティションを受け取るようにする場合は、「マージ アーティクルに対してパラメーター化した行フィルターを定義および変更する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。マージ レプリケーションでは、既存の行フィルタに基づいて、関連する行をフィルタ選択することもできます。詳細については、「マージ アーティクル間の結合フィルターを定義および変更する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

スナップショット パブリケーションまたはトランザクション パブリケーションの静的行フィルタを定義するには

  1. フィルタを適用するアーティクルを定義します。詳細については、「アーティクルを定義する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

  2. パブリッシャ側のパブリケーション データベースに対して、sp_articlefilter (Transact-SQL) を実行します。@article@publication@filter_name、および、@filter_clause に、それぞれアーティクル名、パブリケーション名、フィルタ名、および、フィルタ句 (WHERE は含めない) を指定します。

  3. 列フィルタも定義する必要がある場合は、「列フィルターを定義および変更する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。それ以外の場合は、sp_articleview (Transact-SQL) を実行します。@publication にパブリケーション名を、@article にフィルタ選択の対象アーティクル名を、@filter_clause に手順 2. で指定したフィルタ句を指定します。これにより、フィルタを適用するアーティクルの同期オブジェクトが作成されます。

スナップショット パブリケーションまたはトランザクション パブリケーションの静的行フィルタを変更するには

  1. パブリッシャ側のパブリケーション データベースに対して、sp_articlefilter (Transact-SQL) を実行します。@article@publication@filter_name、および、@filter_clause に、それぞれアーティクル名、パブリケーション名、新しいフィルタ名、および、新しいフィルタ句 (WHERE は含めない) を指定します。この変更によって既存のサブスクリプションのデータが無効になるため、@force_reinit_subscription の値に 1 を指定します。

  2. パブリッシャ側のパブリケーション データベースに対して、sp_articleview (Transact-SQL) を実行します。@publication にパブリケーション名を、@article にフィルタ選択の対象アーティクル名を、@filter_clause に手順 1. で指定したフィルタ句を指定します。この結果、フィルタ選択の対象アーティクルを定義するビューが再作成されます。

  3. パブリケーションに対してスナップショット エージェント ジョブを再実行し、更新済みスナップショットを生成します。詳細については、「初期スナップショットを作成する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

  4. サブスクリプションを再初期化します。詳細については、「サブスクリプションを再初期化する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

スナップショット パブリケーションまたはトランザクション パブリケーションの静的行フィルタを削除するには

  1. パブリッシャ側のパブリケーション データベースに対して、sp_articlefilter (Transact-SQL) を実行します。@article にアーティクル名を、@publication にパブリケーション名を、@filter_name に NULL を、@filter_clause に NULL を指定します。この変更によって既存のサブスクリプションのデータが無効になるため、@force_reinit_subscription1 を指定します。

  2. パブリケーションに対してスナップショット エージェント ジョブを再実行し、更新済みスナップショットを生成します。詳細については、「初期スナップショットを作成する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

  3. サブスクリプションを再初期化します。詳細については、「サブスクリプションを再初期化する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

マージ パブリケーションの静的行フィルタを定義するには

  1. パブリッシャ側のパブリケーション データベースに対して、sp_addmergearticle (Transact-SQL) を実行します。@subset_filterclause にフィルタ句 (WHERE は含めない) を指定します。詳細については、「アーティクルを定義する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

  2. 列フィルタも定義する必要がある場合は、「列フィルターを定義および変更する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

マージ パブリケーションの静的行フィルタを変更するには

  1. パブリッシャ側のパブリケーション データベースに対して、sp_changemergearticle (Transact-SQL) を実行します。@publication@article@property@value に、それぞれパブリケーション名、フィルタ選択の対象アーティクル名、subset_filterclause、新しいフィルタ選択句 (WHERE は含めない) を指定します。この変更によって既存のサブスクリプションのデータが無効になるため、@force_reinit_subscription の値に 1 を指定します。

  2. パブリケーションに対してスナップショット エージェント ジョブを再実行し、更新済みスナップショットを生成します。詳細については、「初期スナップショットを作成する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

  3. サブスクリプションを再初期化します。詳細については、「サブスクリプションを再初期化する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

使用例

次のトランザクション レプリケーションの例では、アーティクルを行方向でフィルタ選択し、製造停止になった製品をすべて除外します。

DECLARE @publication    AS sysname;
DECLARE @table AS sysname;
DECLARE @filterclause AS nvarchar(500);
DECLARE @filtername AS nvarchar(386);
DECLARE @schemaowner AS sysname;
SET @publication = N'AdvWorksProductTran'; 
SET @table = N'Product';
SET @filterclause = N'[DiscontinuedDate] IS NULL'; 
SET @filtername = N'filter_out_discontinued';
SET @schemaowner = N'Production';

-- Add a horizontally and vertically filtered article for the Product table.
-- Manually set @schema_option to ensure that the Production schema 
-- is generated at the Subscriber (0x8000000).
EXEC sp_addarticle 
    @publication = @publication, 
    @article = @table, 
    @source_object = @table,
    @source_owner = @schemaowner, 
    @schema_option = 0x80030F3,
    @vertical_partition = N'true', 
    @type = N'logbased',
    @filter_clause = @filterclause;

-- (Optional) Manually call the stored procedure to create the 
-- horizontal filtering stored procedure. Since the type is 
-- 'logbased', this stored procedures is executed automatically.
EXEC sp_articlefilter 
    @publication = @publication, 
    @article = @table, 
    @filter_clause = @filterclause, 
    @filter_name = @filtername;

-- Add all columns to the article.
EXEC sp_articlecolumn 
    @publication = @publication, 
    @article = @table;

-- Remove the DaysToManufacture column from the article
EXEC sp_articlecolumn 
    @publication = @publication, 
    @article = @table, 
    @column = N'DaysToManufacture', 
    @operation = N'drop';

-- (Optional) Manually call the stored procedure to create the 
-- vertical filtering view. Since the type is 'logbased', 
-- this stored procedures is executed automatically.
EXEC sp_articleview 
    @publication = @publication, 
    @article = @table,
    @filter_clause = @filterclause;
GO

次のマージ レプリケーションの例では、アーティクルを行方向でフィルタ選択して、指定した営業担当者に属する行だけを取得します。結合フィルタも使用されます。詳細については、「マージ アーティクル間の結合フィルターを定義および変更する方法 (レプリケーション Transact-SQL プログラミング)」を参照してください。

DECLARE @publication AS sysname;
DECLARE @table1 AS sysname;
DECLARE @table2 AS sysname;
DECLARE @table3 AS sysname;
DECLARE @salesschema AS sysname;
DECLARE @hrschema AS sysname;
DECLARE @filterclause AS nvarchar(1000);
SET @publication = N'AdvWorksSalesOrdersMerge'; 
SET @table1 = N'Employee'; 
SET @table2 = N'SalesOrderHeader'; 
SET @table3 = N'SalesOrderDetail'; 
SET @salesschema = N'Sales';
SET @hrschema = N'HumanResources';
SET @filterclause = N'Employee.LoginID = HOST_NAME()';

-- Add a filtered article for the Employee table.
EXEC sp_addmergearticle 
  @publication = @publication, 
  @article = @table1, 
  @source_object = @table1, 
  @type = N'table', 
  @source_owner = @hrschema,
  @schema_option = 0x0004CF1,
  @description = N'article for the Employee table',
  @subset_filterclause = @filterclause;

-- Add an article for the SalesOrderHeader table that is filtered
-- based on Employee and horizontally filtered.
EXEC sp_addmergearticle 
  @publication = @publication, 
  @article = @table2, 
  @source_object = @table2, 
  @type = N'table', 
  @source_owner = @salesschema, 
  @vertical_partition = N'true',
  @schema_option = 0x0034EF1,
  @description = N'article for the SalesOrderDetail table';

-- Add an article for the SalesOrderDetail table that is filtered
-- based on SaledOrderHeader.
EXEC sp_addmergearticle 
  @publication = @publication, 
  @article = @table3, 
  @source_object = @table3, 
  @source_owner = @salesschema,
  @description = 'article for the SalesOrderHeader table', 
  @identityrangemanagementoption = N'auto', 
  @pub_identity_range = 100000, 
  @identity_range = 100, 
  @threshold = 80,
  @schema_option = 0x0004EF1;

-- Add all columns to the SalesOrderHeader article.
EXEC sp_mergearticlecolumn 
  @publication = @publication, 
  @article = @table2, 
  @force_invalidate_snapshot = 1, 
  @force_reinit_subscription = 1;

-- Remove the credit card Approval Code column.
EXEC sp_mergearticlecolumn 
  @publication = @publication, 
  @article = @table2, 
  @column = N'CreditCardApprovalCode', 
  @operation = N'drop', 
  @force_invalidate_snapshot = 1, 
  @force_reinit_subscription = 1;

-- Add a merge join filter between Employee and SalesOrderHeader.
EXEC sp_addmergefilter 
  @publication = @publication, 
  @article = @table2, 
  @filtername = N'SalesOrderHeader_Employee', 
  @join_articlename = @table1, 
  @join_filterclause = N'Employee.BusinessEntityID = SalesOrderHeader.SalesPersonID', 
  @join_unique_key = 1, 
  @filter_type = 1, 
  @force_invalidate_snapshot = 1, 
  @force_reinit_subscription = 1;

-- Add a merge join filter between SalesOrderHeader and SalesOrderDetail.
EXEC sp_addmergefilter 
  @publication = @publication, 
  @article = @table3, 
  @filtername = N'SalesOrderDetail_SalesOrderHeader', 
  @join_articlename = @table2, 
  @join_filterclause = N'SalesOrderHeader.SalesOrderID = SalesOrderDetail.SalesOrderID', 
  @join_unique_key = 1, 
  @filter_type = 1, 
  @force_invalidate_snapshot = 1, 
  @force_reinit_subscription = 1;
GO