SQL Server での復元と復旧の概要
更新 : 2006 年 7 月 17 日
SQL Server 2005 では、次のレベルでのデータの復元がサポートされています。
- データベース (データベースの全体復元)
データベース全体を復元および復旧します。復元および復旧の操作中は、データベースはオフラインになります。 - データ ファイル (ファイル復元)
データ ファイルまたはファイルのセットを復元および復旧します。ファイル復元中は、ファイルを含むファイル グループが自動的にオフラインになります。オフラインのファイル グループにアクセスするとエラーが発生します。.gif "ms191253.note(ja-jp,SQL.90).gif")
メモ :個々のテーブルはバックアップまたは復元できません。 - データ ページ (ページ復元)
完全復旧モデルまたは一括ログ復旧モデルでは、個々のデータベースを復元できます。ページ復元は、ファイル グループの数に関係なく、どのデータベースでも実行できます。
復元シナリオ
SQL Server の復元シナリオとは、1 つ以上のバックアップからデータを復元した後にデータベースを復旧するプロセスです。サポートされている復元シナリオは、データベースの復旧モデルおよび SQL Server 2005 のエディションによって異なります。
次の表では、さまざまな復旧モデルでサポートされている復元シナリオについて説明しています。
| 復元シナリオ | 単純復旧モデルの場合 | 完全/一括ログ復旧モデルの場合 |
|---|---|---|
データベースの全体復元 |
基本的な復元ストラテジです。データベースの全体復元では、データベースの完全バックアップを復元し復旧するだけになる場合があります。また、データベースの完全バックアップを復元した後で差分バックアップを復元し復旧する場合もあります。 詳細については、「データベースの全体復元の実行 (単純復旧モデル)」を参照してください。 |
基本的な復元ストラテジです。データベースの全体復元を行うには、データベースの完全バックアップと差分バックアップ (存在する場合) を復元し、その後で後続のすべてのログ バックアップを順番に復元する必要があります。差分バックアップの復元は省略できます。データベースの全体復元を完了するには、最新のログ バックアップを復旧して、さらにそれを復元します (RESTORE WITH RECOVERY)。 詳細については、「データベースの全体復元の実行 (完全復旧モデル)」を参照してください。 |
ファイル復元* |
データベース全体を復元することなく、破損した 1 つ以上の読み取り専用ファイルを復元します。ファイル復元は、データベースに読み取り専用のファイル グループが少なくとも 1 つ含まれている場合だけ使用できます。 |
データベース全体を復元することなく、1 つ以上のファイルを復元します。ファイル復元は、データベースがオフラインのときに実行できますが、SQL Server 2005 のエディションによってはオンラインのままでも実行できます。ファイル復元の間、復元対象のファイルを含むファイル グループは常にオフラインです。 |
ページ復元 |
該当なし |
破損した 1 つ以上のページを復元します。ページ復元は、データベースがオフラインのときに実行できますが、SQL Server 2005 のエディションによってはオンラインのままでも実行できます。ページ復元の間、復元対象のページは常にオフラインです。 現在のログ ファイルまで、ログ バックアップのチェーンが途切れていないことが必要です。ページを現在のログ ファイルまでの最新状態にするためには、それまでのログ バックアップをすべて適用する必要があります。 詳細については、「ページ復元の実行」を参照してください。 |
段階的な部分復元* |
データベースをファイル グループ レベルで段階的に復元および復旧します。プライマリ ファイル グループとすべての読み書き可能セカンダリ ファイル グループの復元から行います。 |
データベースをファイル グループ レベルでプライマリ ファイル グループから段階的に復元および復旧します。 |
* オンライン復元は、SQL Server 2005 Enterprise Edition のみでサポートされています。
SQL Server データベース エンジンでは、データの復元方法に関係なく、データベース全体の論理的な一貫性が確保されないと、データベースを復旧できません。たとえば、ファイルを復元する場合、データベースとの一貫性を維持できるように十分なロールフォワードを行うまでは、ファイルを復旧してオンラインにすることはできません。
| メモ : |
|---|
| バックアップと復元は、vardecimal ストレージ形式でも正しく機能します。ただし、各データベース エンジンを SQL Server 2005 Service Pack 2 以降にアップグレードし、関連するすべてのデータベースを vardecimal ストレージ形式に対応させる必要があります。たとえば、vardecimal ストレージ形式のデータベースのバックアップは、vardecimal ストレージ形式に対応していないデータベースに復元できません。また、vardecimal ストレージ形式に対応した Service Pack 2 データベースのバックアップは、以前のバージョンの SQL Server に復元できません。vardecimal ストレージ形式の詳細については、「decimal データの可変長での格納」を参照してください。 |
ファイルまたはページを復元する利点
データベース全体ではなく、ファイルやページを復元して復旧すると、次のような利点があります。
- 復元するデータが少ないので、コピーと復旧にかかる時間が短縮されます。
- SQL Server 2005 Enterprise Edition では、ファイルまたはページを復元する場合、復元操作中にデータベース内の他のデータをオンラインのままにすることができます。
復旧モデルとサポートされる復元操作
データベースで使用できる復元操作は、そのデータベースの復旧モデルによって決まります。次の表では、特定の復元シナリオごとに、各復旧モデルによりサポートされるかどうかと、どの程度までサポートされるかを示します。
| 復元操作 | 完全復旧モデル | 一括ログ復旧モデル | 単純復旧モデル |
|---|---|---|---|
データの復旧 |
完全な復旧 (ログが使用可能な場合)。 |
一部データ損失の可能性。 |
最新の完全バックアップまたは差分バックアップ以降のデータが損失。 |
特定の時点での復元 |
ログ バックアップに含まれる任意の時点。 |
ログ バックアップに一括ログ記録された変更が含まれている場合は不可。 |
サポートされていません。 |
ファイル復元* |
完全にサポートされます。 |
場合によりサポートされます。** |
読み取り専用セカンダリ ファイルの場合のみ使用可能です。 |
ページ復元* |
完全にサポートされます。 |
場合によりサポートされます。** |
サポートされません。 |
段階的な (ファイル グループ レベルの) 部分復元* |
完全にサポートされます。 |
場合によりサポートされます。** |
読み取り専用セカンダリ ファイルの場合のみ使用可能です。 |
* SQL Server 2005 Enterprise Edition でのみ使用可能です。
** 必要な条件については、「単純復旧モデルの復元に関する制限事項」を参照してください。
その他のトピック
| トピック | 説明 |
|---|---|
単純復旧モデルで SQL Server バックアップに利用できる復元シナリオの概要について説明します。 |
|
一括ログ復旧モデルに固有の復元時の考慮事項について説明します。 |
|
復元とメディアの復旧の基本的な概念とそれらのしくみについて説明します。 |
参照
概念
バックアップの概要 (SQL Server)
復旧モデルの概要
トランザクション ログのバックアップ
その他の技術情報
SQL Server データベースの完全バックアップおよび差分バックアップの作成
SQL Server データベースの復元シナリオの実装
SQL Server でのバックアップ メディアの操作
SQL Server データベースの復元シーケンスの処理
ヘルプおよび情報
変更履歴
| リリース | 履歴 |
|---|---|
2006 年 12 月 12 日 |
|
2006 年 7 月 17 日 |
|