Chromebook 移行ガイド

このガイドでは、Google Chromebook ベースの学習環境を Windows 10 ベースの学習環境に移行する方法を説明します。Windows デバイスの展開、ユーザーとデバイスの設定の移行、アプリの移行または置換、クラウド ストレージの移行など、必要な計画手順を実行する方法についても説明します。さらに、自動化された展開および移行ツールを使用した最適な移行方法について説明します。

Chromebook の移行の計画

Chromebook デバイスの移行を開始する前に、移行を計画します。多くのプロジェクトと同様に、計画する前にすぐに作業を開始しようとする衝動に駆られます。移行を実行する前に、Chromebook 移行の計画を作成した場合、移行プロセス中にフラストレーションや間違いによるむだな時間を大幅に削減することができます。

このガイドの計画の部分では、決定する必要があるすべての項目と、各項目を決定する方法を示します。計画セクションを終了すると、収集する必要がある情報の一覧が完成し、情報に対して必要な処理も理解することができます。これで、Chromebook の移行を実行する準備ができたことになります。

アプリの移行または置換の計画

アプリの移行や置換は、Chromebook の移行の重要な部分です。このセクションでは、現在使用中の Chromebook (Chrome OS) アプリを、同じまたは同等の Windows アプリに移行または置換する方法を計画します。このセクションを終了すると、アクティブな Chrome OS アプリと、対応する Windows アプリの一覧が完成します。

Chromebook デバイスで現在使用中のアプリを特定する

移行または置換するアプリを分析または決定する前に、Chromebook デバイスで現在使用中のアプリを特定する必要があります。現在使用中のアプリの一覧 (アプリのポートフォリオとも呼ばれます) を作成します。

  

Chromebook アプリの多くは Web アプリです。これらのアプリについては、最初に Microsoft Edge 互換性テストを実行した後、Windows ユーザーに Web アプリの URL を発行する必要があります。詳しくは、「Web アプリのアプリケーション互換性テストの実行」セクションをご覧ください。

 

アプリは次のカテゴリに分類できます。

  • 教育機関によってインストールおよび管理されているアプリ。これらのアプリは通常、Google 管理コンソールの [Apps] セクションで管理されます。これらのアプリの一覧を、アプリのポートフォリオに記録しておきます。

  • 教員や学生がインストールしたアプリ。教員や学生が授業のカリキュラムの一環としてこれらのアプリをインストールしている場合があります。教員や学生からこれらのアプリの一覧を取得します。授業のカリキュラムの一環として正式に使用されているアプリのみを記録します (個人的なエンターテイメントや用途のアプリは含めないでください)。

アプリ ポートフォリオ内の各アプリについて次の情報を記録します。

  • アプリ名

  • アプリの種類 (オフライン アプリ、オンライン アプリ、Web アプリなど)

  • アプリの発行者や開発者

  • 現在使用中のアプリのバージョン

  • アプリの優先度 (教育機関または授業の日常的なプロセスでアプリがどの程度必要であるか。高、中、低でランク付けする)

アプリの移行または置換プロセス全体を通して、優先度の高いアプリに重点を置きます。優先度の高いアプリの対応が決定してから、優先度の低いアプリに対応します。

Google アプリの代替アプリを選ぶ

表 1 に、Chromebook デバイスで一般的な Google アプリに相当する Windows デバイスでの代替アプリの一覧を示します。ユーザーがこれらの Google アプリのいずれかを利用している場合は、Windows デバイスで対応するアプリを使用します。表 1 の情報を使って、Google Apps の Windows デバイスでの代替アプリを選びます。

表 1. Google アプリの代替アプリ

Chromebook で使用している Google アプリ Windows デバイスで使用するアプリ
Google Docs Word 2016 または Word Online
Google Sheets Excel 2016 または Excel Online
Google Slides PowerPoint 2016 または PowerPoint Online
Google Apps Gmail Outlook 2016 または Outlook Web App
Google Hangouts Microsoft Skype for Business
Chrome Microsoft Edge
Google ドライブ Microsoft OneDrive for Business

 

Windows デバイスを展開した後で、Google アプリを置き換えることを決定する場合があります。このような決定について詳しくは、このガイドの「クラウド サービスの移行戦略の選択」をご覧ください。

Windows ストアで同じまたは類似したアプリを見つける

多くの場合、ソフトウェア ベンダーは、アプリの複数のプラットフォーム向けのバージョンを作成します。「Google アプリの代替アプリを選ぶ」セクションに示されていないアプリについて、Windows ストアで同じまたは類似のアプリを検索できます。

一方、オフライン アプリの Windows ストア用に作成されたバージョンがない場合や、アプリが Web アプリではない場合もあります。このような場合は、同様の機能を提供するアプリを探します。たとえば、グラフ電卓のオフライン Android アプリが Chrome OS 用に公開されているが、ソフトウェアの発行元は Windows デバイス用のバージョンを作成していない場合があります。このような場合は、Windows ストアで、類似の機能を提供するグラフ電卓アプリを検索します。Chrome OS で公開されているグラフ電卓のオフライン Android アプリの代わりに、見つかった Windows ストア アプリを使います。

アプリのポートフォリオに、Chromebook アプリの代わりに使う Windows アプリを記録します。

Web アプリのアプリ互換性テストを実行する

Chromebook アプリの多くは Web アプリです。Windows デバイスでは、ネイティブのオフライン Chromebook アプリを実行できないため、オフライン Chromebook アプリについてアプリ互換性テストを実行する必要はありません。ただし、両方のプラットフォームで実行される Web アプリも数多くあります。

このような Web アプリは Microsoft Edge でテストします。Microsoft Edge での各 Web アプリの互換性のレベルを、アプリのポートフォリオに記録します。

ユーザーとデバイスの設定の移行の計画

一部の機関では、Google Chrome 管理コンソールを使って、Chromebook デバイスを使いやすくなるように構成している場合があります。また、ユーザーのデータ アクセスを確保し、デバイス自体をセキュリティで保護するために、Google Chrome 管理コンソールを使って Chromebook デバイスを構成している場合もあります。

ただし、Google 管理コンソールでの一元的な構成に加え、Chromebook ユーザーがデバイスをカスタマイズしている場合もあります。たとえば、Chrome ブラウザーを起動したときに表示される Web コンテンツをユーザーが変更している場合があります。また、後で参照できるように Web サイトをブックマークに登録している場合もあります。ユーザーが授業で使うアプリをインストールしている場合もあります。

ここでは、Chromebook ユーザーおよびデバイス用のユーザーとデバイス構成の設定を確認します。次に、これらの設定に優先順位を付けて、教育機関に不可欠な構成の設定を優先します。

このセクションを終了すると、Windows に移行する必要がある Chromebook ユーザーとデバイスの設定、および各設定の優先順位のレベルの一覧が完成します。このセクションの終了時に、移行の優先順位の高い設定がほとんどまたはまったくない場合もあります。このような場合は、このガイドの「ユーザーとデバイスの設定の移行の実行」セクションを省略できます。

移行する Google 管理コンソールの設定を特定する

Google 管理コンソール (図 1) を使って、ユーザーおよびデバイスの設定を管理します。これらの設定は、Google 管理コンソールに登録されている、機関内のすべての Chromebook デバイスに適用されます。Google 管理コンソールでユーザーとデバイスの設定を確認し、Windows デバイスで適切な設定を決定します。

図 1

図 1. Google 管理コンソール

表 2 に、Google 管理コンソールの Device Management (デバイス管理) ノードの設定の一覧を示します。 設定を確認し、Windows に移行する設定を決定します。

表 2. Google 管理コンソールの Device Management (デバイス管理) ノードの設定

セクション 設定
Network (ネットワーク)

これらの設定では、Chromebook デバイスのネットワーク接続を構成します。次の設定のカテゴリが含まれます。

  • Wi-Fi。利用可能な Wi-Fi 接続を構成します。Windows デバイスでは、同じ Wi-Fi ネットワークに接続するためにこれらの構成設定が必要になります。

  • Ethernet (イーサネット)。セキュリティで保護された有線イーサネット接続 (802.1 x) の認証を構成します。Windows デバイスでは、ネットワークに接続するためにこれらの構成設定が必要になります。

  • VPN。イントラネットに直接接続されていないときにデバイスで使用される VPN ネットワーク接続を指定します。Windows デバイスでは、イントラネットにリモート接続するユーザーについて、同じ VPN ネットワーク接続が必要になります。

  • Certificates (証明書)。ネットワーク認証に使用される証明書が含まれています。Windows デバイスでは、ネットワークに接続するためにこれらの証明書が必要になります。

Mobile (モバイル)

これらの設定では、Chromebook デバイスと組み合わせて使用されるコンパニオン デバイス (スマート フォン、タブレットなど) を構成および管理します。次の設定のカテゴリが含まれます。

  • Device management settings (デバイス管理の設定)。デバイスの同期、パスワードの設定、監査、リモート ワイプの有効化、その他の設定など、モバイル (コンパニオン) デバイスの設定を構成します。デバイスが Microsoft Intune または別のモバイル デバイス管理 (MDM) プロバイダーによって管理されたときに同じ設定を適用できるように、これらの設定を記録します。

  • Device activation (デバイスのアクティブ化)。Google 管理コンソールを使用して、管理のための承認が必要なモバイル (コンパニオン) デバイスの一覧が含まれます。管理対象デバイスの一覧がアクティブな管理対象デバイスを正確に反映するように、この一覧ですべてのデバイスを承認またはブロックします。

  • Managed devices (管理対象デバイス)。Google 管理コンソールによって管理されているモバイル (コンパニオン) デバイスに対して管理タスクを実行します。同じデバイスを Intune や別の MDM プロバイダーで管理できるように、このページのコンパニオン デバイスの一覧を記録します。

  • Set Up Apple Push Certificate (Apple Push Certificate のセットアップ)。基本的に Google 管理コンソールで iOS デバイスを管理できるようにするためのデジタル署名である証明書を構成します。Intune または別の MDM プロバイダーを使用して、iOS デバイスを管理することを計画している場合は、この証明書が必要になります。

  • Set Up Android for Work (Android for Work のセットアップ)。Enterprise Mobility Management (EMM) トークンを提供することによって、Google 管理コンソールを Android デバイスの MDM プロバイダーとして承認します。別の MDM プロバイダーを使用して Android デバイスを管理することを計画している場合は、このトークンが必要になります。

Chrome management (Chrome の管理)

これらの設定では、Chromebook デバイスと組み合わせて使用されるコンパニオン デバイス (スマート フォン、タブレットなど) を構成および管理します。次の設定のカテゴリが含まれます。

  • User settings (ユーザーの設定)。Chrome ブラウザーと Chromebook デバイスのユーザー ベースの設定を構成します。これらの Chromebook ユーザー ベースの設定のほとんどは、Windows の対応する設定にマップすることができます。設定を記録して、グループ ポリシーまたは Intune の設定にマップします。

  • Public session settings (パブリック セッションの設定)。キオスク端末、貸与デバイス、共有コンピューターとして使用される Chrome デバイス、またはユーザーが自分の資格情報でサインインする必要がない、その他の仕事や学校関連の用途に使用される Chrome デバイスのパブリック セッションを構成します。割り当てられたアクセスを使うことで、Windows デバイスを同様に構成できます。割り当てられたアクセスで同様の構成を提供できるように、パブリック セッションで利用できる設定やアプリを記録します。

  • Device settings (デバイスの設定)。Chrome ブラウザーと Chromebook デバイスのデバイス ベースの設定を構成します。これらの Chromebook デバイス ベースの設定のほとんどは、Windows の対応する設定にマップすることができます。設定を記録して、グループ ポリシーまたは Intune の設定にマップします。

  • Devices (デバイス)。Chrome デバイス管理のライセンスを管理します。ここに記録されているライセンス数は、Intune など、新しい管理システムで必要なライセンス数に対応しています。ライセンス数を記録し、その数を使って Windows デバイスを管理するのに必要なライセンス数を決定します。

  • App Management (アプリの管理)。Chrome アプリの構成設定を提供します。Windows デバイス上で実行されると判断したすべてのアプリの設定を記録します。

 

表 3 に、Google 管理コンソールの Security (セキュリティ) ノードの設定の一覧を示します。 設定を確認し、Windows に移行する設定を決定します。

表 3. Google 管理コンソールの Security (セキュリティ) ノードの設定

セクション 設定

Basic settings (基本設定)

これらの設定は、パスワードの管理と、2 要素認証 (2FA) が構成されているかどうかを構成します。最小パスワード長、最大パスワード長、管理者以外のユーザーが自分のパスワードを回復できるかどうかを設定し、2FA を有効にすることができます。

これらの設定を記録し、その設定を使って内部設置型の Active Directory または Azure Active Directory (Azure AD) を構成することで、Chromebook 環境の現在の動作を反映します。

Password monitoring (パスワードの監視)

このセクションは、ユーザーのパスワードの強度を監視するために使用されます。このセクションの設定を移行する必要はありません。

API reference (API リファレンス)

このセクションは、さまざまな Google Apps Administrative API へのアクセスを有効にするために使用されます。このセクションの設定を移行する必要はありません。

Set up single sign-on (SSO) (シングル サインオン (SSO) の設定)

このセクションは、Google Web ベース アプリ (Google Apps Gmail、Google Apps Calendar など) の SSO を構成するために使用されます。このセクションの設定を移行する必要はありませんが、Azure Active Directory の同期を構成して、Google ベースの SSO を置換することが必要になる場合があります。

Advanced settings (詳細設定)

このセクションは、ユーザー データへの管理アクセスを構成し、Google Secure Data Connector (Google アプリがローカル ネットワーク上のデータにアクセスできるようにする) を構成するために使用されます。このセクションの設定を移行する必要はありません。

 

移行するローカルで構成された設定を特定する

Google 管理コンソールで構成されている設定に加え、ユーザーが自分の好みに基づいてローカルにデバイスを構成している場合があります (図 2)。表 4 に、ローカルに構成できる Chromebook ユーザーおよびデバイスの設定の一覧を示します。設定を確認し、Windows に移行する設定を決定します。表 4 に示されている設定の一部は、[Show advanced settings] (詳細設定を表示) リンク (図 2 を参照) をクリックした場合にのみ表示されます。

図 2

図 2. Chromebook でローカルに構成された設定

表 4. ローカルに構成された設定

セクション 設定
Internet connections (インターネット接続) これらの設定は、Wi-Fi および VPN 接続など、デバイスのインターネット接続を構成します。現在使用中のネットワーク接続を記録し、同じネットワーク接続の設定を使用するように Windows デバイスを構成します。
Appearances (外観) これらの設定は、デスクトップの外観に影響します。使用されている壁紙の画像ファイルを記録します。この画像ファイルを Windows デバイスに移行し、ユーザーの壁紙として構成して、類似したユーザー エクスペリエンスを維持します。
Search (検索) これらの設定では、コンテンツを検索するために使用される検索エンジンを構成します。Windows デバイス上の検索エンジンとして使用できるように、この設定を記録します。
Advanced sync settings (詳細な同期の設定) これらの設定では、アプリ、拡張機能、履歴、パスワード、設定など、Google クラウドと同期するユーザーの設定を構成します。これらの設定を記録し、Windows デバイスに移行した後、引き続き Google アプリやその他のクラウド サービスを使用する場合に同じ設定で Windows デバイスを構成します。
Date and time (日付と時刻) これらの設定では、タイム ゾーンや、24 時間制を使用するかどうかを構成します。これらの設定を記録し、これらの設定を使用するように Windows デバイスを構成します。
Privacy (プライバシー) これらの設定では、Google Chrome Web ブラウザーのプライバシー設定 (予測入力サービス、フィッシングおよびマルウェア対策、スペル ミスの修正、リソースのプリフェッチなど) を構成します。これらの設定を記録し、これらの設定を使って、Microsoft Edge、Internet Explorer、または任意の Web ブラウザーを構成します。
Bluetooth この設定では、デバイスで Bluetooth を有効にするかどうかを構成します。この設定を記録し、同様に Windows デバイスを構成します。
Passwords and forms (パスワードとフォーム) これらの設定では、Google Chrome Web ブラウザーでの Web フォームの自動入力と Web パスワードの保存を構成します。これらの設定を記録し、これらの設定を使って、Microsoft Edge、Internet Explorer、または任意の Web ブラウザーを構成します。
Smart lock (スマート ロック) これらの設定では、ユーザーの Android フォンが近くにあるときにロックを解除するように Chromebook を構成します。これにより、パスワードを入力する必要がなくなります。このセクションの設定を移行する必要はありません。
Web コンテンツ これらの設定では、Chrome Web ブラウザーでコンテンツを表示する方法 (フォント サイズやページのズームなど) を構成します。これらの設定を記録し、これらの設定を使って、Microsoft Edge、Internet Explorer、または任意の Web ブラウザーを構成します。
Languages (言語) これらの設定では、Chromebook で使う言語を構成します。これらの設定を記録し、同じ言語をサポートするように Windows デバイスを構成します。
Downloads (ダウンロード) これらの設定では、ユーザーにファイルを保存する場所を確認する場合や、Google ドライブ アカウントの接続を切断する場合の、ファイルのダウンロード用の既定のフォルダーを構成します。これらの設定を記録し、類似の設定を使用するように Windows デバイスを構成します。
HTTPS/SSL これらの設定では、デバイスの認証に使用されるクライアント側の証明書を構成します。これらの証明書を使用するアプリやサービスによっては、これらの証明書をエクスポートし、Windows デバイスに移行することが必要になる場合があります。サービスまたはアプリのプロバイダーに問い合せて、既存の証明書を使用できるか、または新しい証明書を発行する必要があるかを確認します。これらの設定を記録し、Windows デバイスに証明書を移行するか、サービスまたはアプリで必要な新しい証明書を登録します。
Google Cloud Print (Google クラウド プリント) これらの設定では、ユーザーが利用できるプリンターを構成します。ユーザーが利用できるプリンターの一覧を記録し、同じプリンターを利用できるように Windows デバイスを構成します。Windows でのわかりやすいプリンター名が Chromebook デバイスの場合と同じであることを確認します。たとえば、Chromebook デバイスでのプリンター名が "Laser Printer in Registrar’s Office" である場合は、Windows でも同じ名前を使います。
On startup (起動時) これらの設定では、Chrome Web ブラウザーの起動時に開く Web ページを構成します。これらの設定を記録し、これらの設定を使って、Microsoft Edge、Internet Explorer、または任意の Web ブラウザーを構成します。
Accessibility (ユーザー補助機能) これらの設定では、Chromebook を使いやすくなるように構成します (大きいマウス カーソルの表示、ハイ コントラスト モードの使用、スクリーン拡大鏡の有効化など)。これらの設定を記録し、類似の設定を使用するように Windows デバイスを構成します。
Powerwash この操作では、すべてのユーザー アカウントを削除し、Chromebook デバイスを出荷時の設定にリセットします。このセクションの設定を移行する必要はありません。
設定のリセット この操作では、すべてのユーザー アカウントは保持されますが、すべての設定を既定値に戻します。このセクションの設定を移行する必要はありません。

 

同様の設定を行っているユーザーの数を確認し、これらの設定を一元管理することを検討します。たとえば、多くのユーザーが、Chrome Web ブラウザーで多くの同じ設定を使っている場合があります。移行後、Windows でこれらの設定を一元管理できます。

また、この計画プロセスの一環として、現在は一元管理されていないが、一元管理する必要がある設定を検討します。現在ローカルに管理されているが、移行後に一元管理する必要がある設定を記録します。

移行する設定の優先順位を付ける

移行するすべての Chromebook ユーザー、アプリ、デバイスの設定を収集したら、各設定の優先順位を付ける必要があります。各設定を評価し、高、中、低のレベルに基づいて、設定に優先順位を割り当てます。

設定が日常的なタスクを実行する教員にとってどの程度重要であるか、および教室でのカリキュラムに与える影響に基づいて、設定の移行の優先順位を割り当てます。優先順位の高い設定の移行に集中し、優先順位の低い設定の移行には労力の配分を少なくします。設定の中には、まったく必要ではなく、設定の一覧から完全に削除できるものもあります。移行する予定の設定の一覧に、設定の優先順位を記録します。

メールの移行の計画

多くのユーザーが、Google Apps Gmail を使って、メール、カレンダー、連絡先を管理している可能性があります。移行するユーザーと移行を実行する最適な時期の一覧を作成する必要があります。

Office 365 では、Google Apps Gmail から Office 365 への自動移行をサポートしています。詳しくは、「Google Apps メールボックスを Office 365 に移行する」をご覧ください。

移行するユーザーのメールボックスの一覧を特定する

移行するユーザーの一覧の作成に関しては、"すべてのユーザー" という回答が最適であるかのように思われるかもしれません。ただし、移行する時期によっては、移行する必要があるのは一部のユーザーのみである場合もあります。たとえば、学期や学年が変わるときには、学生のメール アカウントを保持しない場合があります。このような場合は、教員と職員のみを移行するだけで済みます。

また、移行を実行するときに、すべてのユーザーのメールボックスがアクティブであることを確認することをお勧めします。多くの環境で、既に教育機関に属していないユーザー (インターンや学生アシスタントなど) 用にプロビジョニングされた多くのメールボックスが残っています。移行するユーザーのメールボックスの一覧から、これらのユーザーを除外できます。

移行する Gmail メールボックスのリストを作成する」の手順 7. で説明されている形式に基づいて、移行するユーザーのメールボックスの一覧を Excel 2016 で作成します。この形式に従っている場合、処理の後半で、Microsoft Excel スプレッドシートを使って実際の移行を行うことができます。

Google Apps Gmail にアクセスするコンパニオン デバイスを特定する

ユーザーは、Chromebook デバイスに加えて、Google Apps Gmail メールボックスにアクセスするコンパニオン デバイス (スマート フォン、タブレット、デスクトップ、ラップトップなど) を使っている場合があります。これらのコンパニオン デバイスを特定し、これらのデバイスで Office 365 メールボックスにアクセスするための適切な構成を特定する必要があります。

各コンパニオン デバイスを特定した後、Office 365 へのアクセスに使われるデバイスの設定を確認します。各コンパニオン デバイスについて 1 つの種類をテストするだけで済みます。たとえば、ユーザーが Android フォンを使って Google Apps Gmail メールボックスにアクセスしている場合、Office 365 にアクセスするようにデバイスを構成し、その設定を記録します。Web サイトやヘルプ デスクのスタッフにこれらの設定を公開することによって、ユーザーは、Office 365 のメールボックスにアクセスする方法を知ることができます。

ほとんどの場合、ユーザーは Office 365 メール アカウントとパスワードを入力するだけで済みます。ただし、コンパニオン デバイスの種類ごとにこれを確認する必要があります。Office 365 を使用するためにコンパニオン デバイスを構成する方法について詳しくは、さまざまなモバイル デバイスでの Office 365 の使用方法の比較に関するページをご覧ください。

移行に最適なタイミングを特定する

通常、移行を実行するのに最適なタイミングは学年または学期の変わり目です。組織内で最も活動が少ない時期を選びます。その期間の中で、移行を実行するのに最適な時間は夜間または週末です。

移行を行う時期について、ユーザーに事前に通知していることを確認します。また、移行の完了後、ユーザーが Office 365 メールにアクセスする方法を理解していることも確認します。最後に、ユーザーが Google Apps Gmail で実行していた一般的なタスクを、Office 365 や Outlook 2016 で実行する方法を理解していることを確認します。

クラウド ストレージの移行の計画

Chromebook デバイスはローカル ストレージに制限があります。したがって、ほとんどのユーザーは、Google ドライブなどのクラウド ストレージにデータを保存します。Chromebook の移行プロセスの一環として、クラウド ストレージを移行する方法を計画する必要があります。

このセクションでは、既存のクラウド サービスの一覧を作成し、ニーズに最適な Microsoft クラウド サービスを選択した後、クラウド ストレージ サービスの移行計画を最適化します。

現在使用中のクラウド ストレージ サービスを特定する

通常、Chromebook のほとんどのユーザーは、クラウド ストレージ サービスとして Google Drive を使用しています。これは、お客様の教育機関で他の Google クラウド サービスを購入しており、Google Drive がそのサービスの一部であるためです。ただし、他のベンダーのクラウド ストレージ サービスを使用しているユーザーもいます。各教員、職員、および学生について、次の情報を含む、クラウド ストレージ サービスの一覧を作成します。

  • クラウド ストレージ サービスの名前

  • クラウド ストレージ サービスのベンダー

  • 関連するライセンス コストや料金

  • ユーザーごとの現在使用しているおおよそのストレージ容量

Windows デバイスに移行後のクラウド ストレージ サービスの要件としてこの情報を使用します。この検出作業を行った後、クラウド ストレージ サービスに、移行を必要とする重要なデータがないことが判明した場合は、「クラウド サービスの移行の計画」セクションに進んでください。

クラウド ストレージ サービスの移行計画を最適化する

現在のクラウド ストレージ サービスの構成を把握したら、Microsoft OneDrive for Business へのクラウド ストレージ サービスの移行計画を最適化する必要があります。最適化によって、要件で必要とされるクラウド ストレージ サービスのリソースのみを使用できます。

クラウド ストレージ サービスの移行計画を最適化するには、以下の点を検討してください。

  • 非アクティブなユーザーのストレージを除外します。クラウド ストレージ サービスの移行を実行する前に、現在非アクティブなユーザーに割り当てられているクラウド ストレージを特定します。移行するクラウド ストレージの一覧からこのストレージを削除します。

  • 非アクティブなファイルを除外またはアーカイブします。クラウド ストレージを調べて、非アクティブな (一定期間アクセスされていない) ファイルを特定します。これらのファイルがクラウド ストレージを消費しないように、除外またはアーカイブします。

  • クラウド ストレージ サービスを統合します。複数のクラウド ストレージ サービスが使用されている場合は、クラウド ストレージ サービスの数を減らし、1 つのクラウド ストレージ サービスで標準化します。これにより、管理の複雑さやサポートの時間が削減され、通常、クラウド ストレージのコストが削減されます。

最適化の変更内容をクラウド ストレージ サービスの移行計画に記録します。

クラウド サービスの移行の計画

多くのユーザーは、Chromebook デバイスで Google Apps、Google ドライブ、Google Apps Gmail などのクラウド サービスを使っている可能性があります。これらの個々のクラウド サービスについては、「アプリの移行または置換の計画」、「Google Apps Gmail から Office 365 への移行の計画」、「クラウド ストレージの移行の計画」セクションで計画しました。

ここでは、これらのクラウド サービスの組み合わせの一覧を作成し、これらのクラウド サービスを移行するための適切な戦略を選択します。

現在使用中のクラウド サービスを特定する

お客様の教育機関で現在使用中の個々のクラウド サービスについては、「アプリの移行または置換の計画」、「Google Apps Gmail から Office 365 への移行の計画」、「クラウド ストレージの移行の計画」セクションで既に特定しました。これらのクラウド サービスの統合された一覧を作成し、各サービスについて以下の情報を記録します。

  • クラウド サービス名

  • クラウド サービス プロバイダー

  • クラウド サービスを使用するユーザーの数

移行するクラウド サービスを選択する

現在使用中のクラウド サービスを特定した後で、最初に自問する必要があるのは、"これらのクラウド サービスから移行する必要があるのはなぜか" ということです。この質問に対する回答を決める大きな要素は費用と機能です。

既存のクラウド サービスから Microsoft クラウド サービスに移行する理由を説明した一覧を次に示します。

  • Office 365 との統合の強化。長期的な戦略が Office 365 アプリ (Word 2016 や Excel 2016 など) への移行である場合、Microsoft クラウド サービスに移行することにより、これらのアプリとの統合が強化されます。既存のクラウド サービスの使用方法は、ユーザーにとって直観的でない場合があります。たとえば、Office 365 アプリは、Google ドライブと比較した場合、OneDrive for Business とより密接に統合されています。

  • Online アプリによるドキュメントの互換性の向上。Microsoft Office Online アプリ (Word Online や Excel Online など) は、Microsoft Office ドキュメントとの最高レベルの互換性を提供します。Office Online アプリでは、SharePoint または OneDrive for Business から直接ドキュメントを開いて編集できます。ユーザーは、インターネットに接続された任意のデバイスから Office Online アプリにアクセスできます。

  • ライセンス コストの削減。Office 365 ライセンスを購入する場合、Office 365 アプリとクラウド ストレージがこれらのライセンスに含まれています。既存のクラウド サービスを維持することもできますが、それらのサービスを維持するための料金が必要になります。

  • ストレージの容量とクロス プラットフォーム機能の向上。Microsoft クラウド サービスは、競争力のあるストレージ容量を提供すると共に、他のクラウド サービス プロバイダーと比べて、Windows 中心の機能をより多く提供します。Microsoft クラウド サービスのユーザー エクスペリエンスは、Windows デバイス向けに最適化されていますが、Microsoft クラウド サービスはコンパニオン デバイス (iOS デバイスや Android デバイス) 向けにも高度に最適化されています。

「現在使用中のクラウド サービスを特定する」セクションで作成した既存のクラウド サービスの一覧を調べて、Microsoft クラウド サービスに移行する必要があるクラウド サービスを特定します。このタスクの終了時に、移行するクラウド サービスがないと判断した場合は、「Windows デバイスの展開の計画」セクションに進んでください。また、このガイドの「クラウド サービスの移行の実行」セクションを省略してください。

クラウド サービスの優先順位を付ける

Chromebook ユーザーが現在使用しているクラウド サービスを集約した一覧を作成した後、各クラウド サービスに優先順位を付けます。各クラウド サービスを評価し、高、中、低のレベルに基づいて、優先順位を割り当てます。

クラウド サービスが日常的なタスクを実行する教員や職員にとってどの程度重要であるか、および教室でのカリキュラムに与える影響に基づいて、優先順位を割り当てます。また、ユーザーが問題を抱えているクラウド サービスの優先順位を高く設定します。たとえば、ユーザーが特定のクラウド サービスの停止に遭遇している場合は、そのクラウド サービスの優先順位を高くします。

最初に優先順位の高いクラウド サービスの移行に集中し、優先順位の低いクラウド サービスの移行には労力の配分を少なくします。一部のクラウド サービスは不要である可能性があり、移行するクラウド サービスの一覧から完全に削除できる場合があります。移行を計画しているクラウド サービスの一覧に、クラウド サービスの移行の優先順位を記録します。

クラウド サービスの移行戦略を選択する

Windows デバイスを展開するときに、教員、職員、学生を新しいクラウド サービスに移行する必要があるでしょうか。そういう場合もあるでしょう。ただし、ほとんどの場合、時間をかけて、小規模な変更を何度も導入する移行戦略を選択する必要があります。

クラウド サービスの移行戦略を作成するときには、次の点を考慮してください。

  • 小規模な変更を導入します。多くのユーザーにとって、Chrome OS から Windows への移行は簡単です。ほとんどのユーザーは、自宅で、または友人や家族が Windows を利用しているからです。ただし、ユーザーはアプリやクラウド サービスについてはそれほど慣れていない可能性があります。最初に、Windows への移行を検討し、時間の経過と共にその他の変更を加えます。

  • 既存のアプリとクラウド サービスを使うことから始めます。Windows デバイスに移行した直後は、既存のアプリとクラウド サービス (Google Apps、Google Apps Gmail、Google ドライブなど) を実行することを検討する必要があります。これにより、ユーザーは慣れた方法で日常的なタスクを実行できます。

  • 問題点を解決します。既存のアプリやクラウド サービスで問題が発生している場合は、すぐにでも移行する必要があります。ほとんどの場合、信頼性が高く、直感的に使用できるものであれば、ユーザーは新しいアプリやクラウド サービスを積極的に習得しようとします。

  • 共通のカリキュラムを持つ教室やユーザーを移行します。教室全体または共通のカリキュラムを共有する複数の教室について Windows デバイスに移行します。1 つ以上の教室を移行する前に、カリキュラムで必要なアプリやクラウド サービスが利用できることを確認する必要があります。

  • 影響を受けるアクティブなユーザーの数が最も少ない時期に移行します。学年末や学期末にクラウド サービスを移行します。これにより、教員、職員、学生への影響を最小限に抑えることができます。また、この期間に移行を行うことによって、ユーザーは次の学期の新しいカリキュラムに対応しているため、短期間で習得できます。また、多くの教育機関では、学期や学年が変わるとデータを保持しないため、学生のアプリやデータを移行する必要がありません。

  • 既存のクラウド サービスと新しいクラウド サービスを併用します。教員や職員については、移行後、1 つのビジネス サイクルの間 (学期末または学年末まで)、既存のクラウド サービスと新しいクラウド サービスを併用する (両方のサービスを利用できるようにする) ことを検討します。これにより、正しく移行されなかったデータを既存のクラウド サービスから簡単に回復できます。少なくとも、ユーザーが移行を検証できるまで、既存のクラウド サービスと新しいクラウド サービスを併用します。もちろん、この戦略の欠点は既存のクラウド サービスのコストです。ただし、ライセンスの更新時期にもよりますが、コストは最小限に抑えられます。

Windows デバイスの展開の計画

デバイスを正常にインストールし、Chromebook デバイスを置換するように構成するには、Windows デバイスの展開を計画する必要があります。デバイスを供給するベンダーが Windows 10 をデバイスにプリロードしている場合でも、その他のタスクを実行する必要があります。

ここでは、Windows デバイスの展開戦略を選択します。Active Directory ドメイン サービス (AD DS) と Azure AD サービスの計画、デバイス、ユーザー、アプリの管理の計画、および必要なネットワーク インフラストラクチャの改善の計画を行います。

Windows デバイスの展開戦略を選択する

Windows デバイスの展開に関してどのような決定が必要でしょうか。机の上のデバイスを配置し、電源に接続し、Wi-Fi に接続して、ユーザーがデバイスを操作できるようにするだけでしょうか。これは基本的に正しいのですが、展開の範囲やその他の要因によっては、異なる展開方法を検討する必要があります。

Chromebook デバイスが利用されている各教室について、次のデバイスの展開戦略の組み合わせを選択します。

  • 一度に 1 つの教室に展開します。ほとんどの場合、デバイスをまとめて展開を実行する必要がありますが、教室はデバイスをまとめる方法として適しています。各教室を 1 つの単位として処理し、デバイスを展開した後、一覧から各教室を消去できます。

  • カリキュラムに基づいて展開します。カリキュラムで Windows デバイスへの対応の準備ができたことを確認した後、Windows デバイスを展開します。カリキュラムのインストールとテストを行わずに Windows デバイスを展開すると、教室で学生や教員が効果的にカリキュラムを実行できない可能性が大幅に増大します。また、カリキュラムに基づく展開では、複数の教室で同じカリキュラムを使用している場合、教室から教室へとすばやく作業を進めることができるという利点があります。

  • 並列的に展開します。状況によっては、1 つ以上の教室で Chromebook デバイスと Windows デバイスの両方が必要になる場合があります。カリキュラムの一部が Chromebook でのみ動作し、カリキュラムの他の部分は Windows デバイスで動作する場合は、この戦略を使うことができます。これは、学生と教員がカリキュラムで最適なテクノロジを利用できる一方で、Windows デバイスの展開の遅れを回避できる点で優れた方法です。

  • アプリとクラウド サービスの移行後に展開します。カリキュラムをサポートするために必要なアプリやクラウド サービスなしで Windows デバイスを展開しても、完全なソリューションの一部しか提供されません。Windows デバイスを展開する前に、アプリとクラウド サービスのテストとプロビジョニングを行い、利用できるように準備します。

  • ユーザーとデバイスの設定の移行後に展開します。移行する予定のユーザーとデバイスの設定を特定したことと、それらの設定を新しい Windows デバイスに適用する準備ができていることを確認します。たとえば、Windows デバイスにユーザーとデバイスの設定を適用するために、グループ ポリシー オブジェクト (GPO) を作成することが必要になる場合があります。

    Windows デバイスに Chromebook デバイスの構成がよく反映されている場合、ユーザーの習得が容易になり、親しみが増します。また、デバイスに設定を適用する準備ができたときに、セキュリティで保護された構成で新しい Windows デバイスを展開できます。

選択した Windows デバイスの展開戦略の組み合わせを記録します。

AD DS および Azure AD サービスを計画する

次に行う必要があるのは、AD DS および Azure AD サービスに関する決定です。AD DS を組織内部で実行するか、Azure AD を使ってクラウドで実行するか、または両方を組み合わせて (ハイブリッド) 実行することができます。これらの選択肢のいずれが最適であるかの決定は、ユーザー、アプリ、デバイスを管理する方法と、Office 365 やその他の Azure ベースのクラウド サービスを使用するかどうかと密接に関係しています。

ハイブリッド構成では、組織内の AD DS のユーザーおよびグループ オブジェクトが Azure AD (パスワードを含む) と同期されます。同期は双方向で行われるため、組織内の AD DS および Azure AD の両方で変更を加えることができます。

表 5 は、組織内の AD DS のみ、Azure AD のみ、両方の組み合わせ (ハイブリッド) のいずれを使用できるかを判断するのに役立つ意思決定マトリックスです。表で選択した要件で組織内の AD DS と Azure AD が必要な場合は、ハイブリッドを選択する必要があります。たとえば、Office 365 を利用し、グループ ポリシーを使用して管理する場合は、ハイブリッドを選択します。たとえば、Office 365 を利用し、Intune を使用して管理する場合は、Azure AD のみを選択します。

表 5. 組織内の AD DS、Azure AD、またはハイブリッドの選択

目的の処理 組織内の AD DS Azure AD ハイブリッド
Office 365 を使う
管理に Intune を使う
管理に System Center 2012 R2 Configuration Manager を使う
管理にグループ ポリシーを使う
ドメインに参加しているデバイスを使う
教員と学生にドメインに参加していないデバイスの Bring Your Own Device (BYOD) を許可する

 

デバイス、ユーザー、アプリの管理を計画する

"デバイスを展開する前にデバイス、ユーザー、アプリの管理を計画する理由" について疑問に思うことがあるかもしれません。その答えは、デバイスを展開するのは 1 回だけですが、デバイスの管理は、デバイスのライフ サイクルの残りの部分全体で行う必要があるということです。

また、展開の前に管理を計画することは、展開する際にデバイスをサポートする準備をしておくために不可欠です。最初の教員、施設、学生が新しい Windows デバイスを使い始めるときに、管理プロセスとテクノロジを準備しておく必要があります。

表 6 は、デバイス、ユーザー、アプリ管理の製品およびテクノロジと、各製品やテクノロジでサポートされる機能を一覧にした意思決定マトリックスです。主なデバイス、ユーザー、アプリ管理の製品とテクノロジには、グループ ポリシー、System Center Configuration Manager、Intune、Microsoft Deployment Toolkit (MDT) などがあります。この意思決定マトリックスを使って、計画に適した製品やテクノロジの組み合わせを選択します。

表 6. デバイス、ユーザー、アプリ管理の製品やテクノロジ

目的の機能 Windows プロビジョニング パッケージ グループ ポリシー Configuration Manager Intune MDT Windows Software Update Services
オペレーティング システム イメージを展開する
オペレーティング システムの展開中にアプリを展開する
オペレーティング システムの展開後にアプリを展開する
オペレーティング システムの展開中にソフトウェア更新プログラムを展開する
オペレーティング システムの展開後にソフトウェア更新プログラムを展開する
ドメインに参加しているデバイスをサポートする
ドメインに参加していないデバイスをサポートする
組織内のリソースを使う
クラウドベースのサービスを使う

 

Configuration Manager と Intune を相互に組み合わせて使用し、両方の製品やテクノロジの機能を提供できます。状況によっては、これらの製品やテクノロジの 1 つだけが必要である場合があります。他の状況では、教育機関のデバイス、ユーザー、アプリの管理のニーズを満たすために、2 つ以上が必要な場合もあります。

選択したデバイス、ユーザー、アプリ管理の製品およびテクノロジを記録します。

ネットワーク インフラストラクチャの改善を計画する

AD DS、Azure AD、管理コンポーネントに加えて、Windows デバイスが必要とするネットワーク インフラストラクチャ サービスは他にもあります。ほとんどの場合、Windows デバイスには、既にある Chromebook デバイスと同じネットワーク インフラストラクチャの要件があります。

次のネットワーク インフラストラクチャのテクノロジおよびサービスをそれぞれ確認し、改善が必要であるかどうかを判断します。

  • ドメイン ネーム システム (DNS) は、デバイス名と関連付けられた IP アドレス間の変換を行います。Chromebook デバイスの場合、パブリックに接続されている、インターネットの DNS サービスが最も重要です。インターネットにのみアクセスする Windows デバイスの場合、これと同じ要件があります。

    ただし、Windows デバイス間で通信する場合 (ピア ツー ピアまたはクライアント/サーバー) は、ローカルの DNS サービスが必要です。Windows デバイスはその名前と IP アドレスをローカルの DNS サービスに登録し、Windows デバイスが互いを見つけられるようにします。

  • 動的ホスト構成プロトコル (DHCP) は、デバイスの自動 IP 構成を提供します。既存の Chromebook デバイスは、構成に DHCP を使用している可能性があります。Chromebook デバイスをすぐに Windows デバイスに置換する場合は、Windows デバイスを展開する前に、Chromebook デバイス用の DHCP 予約をすべて解放するだけで済みます。

    Chromebook デバイスと Windows デバイスを並列して実行する必要がある場合は、DHCP サービスで両方のデバイスのセットで使用可能な IP アドレスを十分に提供できることを確認する必要があります。

  • Wi-Fi。Chromebook デバイスは、Wi-Fi ネットワークに接続するように設計されています。Windows デバイスも同じです。Chromebook デバイス用の既存の Wi-Fi ネットワークは、同じ数の Windows デバイスに十分対応できる必要があります。

    Windows デバイスの数を大幅に増やす場合、または Chromebook デバイスと Windows デバイスを並列して実行する場合は、Wi-Fi ネットワークがその台数のデバイスをサポートできることを確認する必要があります。

  • インターネットの帯域幅。Chromebook デバイスは Windows デバイスよりも多くのインターネット帯域幅 (最大 700 倍) を使います。つまり、既存のインターネット帯域幅が Chromebook デバイスに対して十分である場合、その帯域幅は Windows デバイスに対して十分以上になります。

    ただし、Windows デバイスの数を大幅に増やす場合、または Chromebook デバイスと Windows デバイスを並列して実行する場合は、インターネット接続がその台数のデバイスをサポートできることを確認する必要があります。

    Chromebook デバイスと Windows デバイスにインターネット帯域幅の消費の比較について詳しくは、次のリソースをご覧ください。

  • 電源。厳密に言うとネットワーク インフラストラクチャではありませんが、教室に十分な電源が確保されていることを確認する必要があります。Chromebook と Windows デバイスの消費電力はほぼ同じです。つまり、既存の電源コンセントで同じ数の Windows デバイスをサポートできることを意味します。

    ただし、Windows デバイスの数を大幅に増やす場合、または Chromebook デバイスと Windows デバイスを並列して実行する場合は、電源コンセント、テーブル タップ、その他の電源管理コンポーネントがその台数のデバイスをサポートできることを確認する必要があります。

このプロセスの終了時に、ネットワーク インフラストラクチャの改善が不要であると判断できる場合があります。 その場合は、このガイドの「ネットワーク インフラストラクチャの改善の実行」を省略できます。

Chromebook の移行の実行

これまでは、主に計画に焦点を当ててきました。信じられないかもしれませんが、作業の大部分は既に完了しています。Chromebook の移行の残りの部分は、作成した計画を実装することだけです。

ここでは、Chromebook デバイスを移行するために必要な手順を実行します。このガイドの「Chromebook の移行の計画」で作成した計画の決定に基づいて、移行を実行します。

このセクションの手順の一部は、特定の順序で実行する必要があります。各セクションには、手順を実行するタイミングについてのガイダンスがあります。その他の手順は、移行前、移行中、または移行後に実行できます。この場合も、各セクションには、順序が重要であるかどうかが示されます。

ネットワーク インフラストラクチャの改善の実行

最初の移行作業は、ネットワーク インフラストラクチャの改善を実行することです。「ネットワーク インフラストラクチャの改善の計画」セクションで、実行する必要があるネットワーク インフラストラクチャの改善 (ある場合) を特定しました。

残りの移行手順はネットワーク インフラストラクチャに依存するため、最初にネットワーク インフラストラクチャの改善を実行することが重要です。表 7 に、Microsoft ネットワーク インフラストラクチャ製品およびテクノロジと、それぞれの展開に関するリソースを示します。

表 7. ネットワーク インフラストラクチャ製品およびテクノロジと、展開に関するリソース

製品またはテクノロジ リソース
DHCP
DNS

 

他のベンダーのネットワーク インフラストラクチャ製品およびテクノロジを使う場合、必要な改善を実行する方法についてはベンダーのドキュメントをご覧ください。改善が不要であると判断した場合は、このセクションを省略できます。

AD DS および Azure AD サービスの展開または改善の実行

ネットワーク インフラストラクチャの改善を完了した直後に、AD DS および Azure AD サービスの展開または改善を実行することが重要です。残りの移行手順の多くは、ID システム (AD DS または Azure AD) が存在しており、予測された必要数に対応できることに依存しています。

「Active Directory サービスの計画」セクションで、実行する必要がある AD DS や Azure AD の展開または改善 (ある場合) を特定しました。表 8 に、AD DS、Azure AD、および両方の展開に関するリソースの一覧を示します。この表に示されているリソースを使って、組織内の AD DS、Azure AD、またはその両方を展開または改善します。

表 8. AD DS、Azure AD、および展開に関するリソース

製品またはテクノロジ リソース
AD DS
Azure AD

 

移行の一環として AD DS または Azure AD に移行しないことに決定した場合、または改善が必要ないことが判明した場合は、このセクションを省略できます。別のベンダーの ID 製品およびテクノロジを使う場合、必要な手順を実行する方法についてはベンダーのドキュメントをご覧ください。

デバイス、ユーザー、アプリの管理システムを準備する

このガイドの「デバイス、ユーザー、アプリの管理を計画する」セクションで、Windows デバイスでデバイス、ユーザー、アプリを管理するために使用する製品とテクノロジを選択しました。Windows 10 デバイスを展開する前に、管理システムを準備する必要があります。これらの管理システムを使って、「ユーザーとデバイスの設定の移行の計画」セクションで移行することを選択したユーザーとデバイスの設定を管理します。ユーザーとデバイスの設定の移行前にこれらのシステムを準備する必要があります。

表 9 に、Microsoft の管理システムと、それぞれの展開に関するリソースの一覧を示します。この表のリソースを使って、これらの管理システムを準備 (展開または改善) します。

表 9. 管理システムと展開に関するリソース

管理システム リソース
Windows プロビジョニング パッケージ
グループ ポリシー
Configuration Manager
Intune
MDT

 

新しい管理システムまたは既存のシステムの改善が必要ではないと判断した場合は、このセクションを省略できます。別のベンダーの管理システムを使う場合、必要な手順を実行する方法についてはベンダーのドキュメントをご覧ください。

アプリの移行または置換の実行

「アプリの移行または置換の計画」セクションで、Chromebook デバイスで現在使用中のアプリを特定し、Chromebook アプリを置き換える Windows アプリを選択しました。また、Web アプリの互換性をテストを実行し、Chromebook デバイス上の Web アプリが Microsoft Edge と Internet Explorer で実行されることを確認しました。

この手順では、適切な Windows ユーザーとデバイスにアプリを展開するように、管理システムを構成する必要があります。表 10 に、Microsoft の管理システムと、それぞれのアプリの展開に関するリソースの一覧を示します。この表のリソースを使って、このガイドの「アプリの移行または置換の計画」セクションで選択したアプリを展開するように、これらの管理システムを構成します。

表 10. 管理システムとアプリの展開に関するリソース

管理システム リソース
グループ ポリシー
Configuration Manager
Intune

 

アプリの展開が不要であると判断した場合は、このセクションを省略できます。別のベンダーの管理システムを使う場合、必要な手順を実行する方法についてはベンダーのドキュメントをご覧ください。

ユーザーとデバイスの設定の移行の実行

「ユーザーとデバイスの設定の移行の計画」セクションで、移行する必要があるユーザーとデバイスの設定を特定しました。Google 管理コンソールで構成された設定と、Chromebook デバイスでローカルに構成された設定を選択しました。

次の手順に従って、ユーザーとデバイスの設定の移行を実行します。

  1. 「ユーザーとデバイスの設定の移行の計画」セクションで作成した教育機関全体の設定の一覧から、使用する管理システム (グループ ポリシー、Configuration Manager、Intune など) でできるだけ多くを構成します。

  2. 「ユーザーとデバイスの設定の移行の計画」セクションで作成したデバイス固有の設定の一覧から、より優先順位の高いデバイス固有の設定を構成します。

  3. 「ユーザーとデバイスの設定の移行の計画」セクションで作成したユーザー固有の設定の一覧から、より優先順位の高いユーザー固有の設定を構成します。

  4. 管理システムで、優先順位の高いユーザーとデバイスの設定がすべて構成されていることを確認します。

Chromebook デバイスから Windows デバイスにユーザーやデバイスの設定を移行する必要がない場合は、このセクションを省略できます。

メールの移行の実行

「メールの移行の計画」セクションで、移行するユーザーのメールボックス、Google Apps Gmail にアクセスするコンパニオン デバイス、移行のための最適なタイミングを特定しました。この移行は、Windows デバイスを展開する前または後に実行できます。

Office 365 では、Google Apps Gmail から Office 365 への自動移行をサポートしています。Google Apps Gmail から Office 365 への移行を自動化する方法について詳しくは、「Google Apps メールボックスを Office 365 に移行する」をご覧ください。

また、以下から Office 365 に移行することもできます。

クラウド ストレージの移行の実行

「クラウド ストレージの移行の計画」セクションで、現在使用中のクラウド ストレージ サービスを特定し、使用する Microsoft クラウド ストレージ サービスを選択して、クラウド ストレージ サービスの移行計画を最適化しました。クラウド ストレージの移行は、Windows デバイスを展開する前または後に実行できます。

次の手順に従って、手動でクラウド ストレージの移行を実行します。

  1. デバイスに、Google ドライブ アプリと OneDrive for Business または OneDrive アプリの両方をインストールします。

  2. Google ドライブ アプリでユーザーとしてサインインします。

  3. OneDrive for Business または OneDrive アプリでユーザーとしてサインインします。

  4. Google ドライブのストレージから、OneDrive for Business または OneDrive のストレージにデータをコピーします。

  5. 必要に応じて Google ドライブ アプリをアンインストールします。

また、多くのソフトウェア ベンダーが、Google ドライブから OneDrive for Business、Office 365 SharePoint、OneDrive への移行の自動化に役立つソフトウェアを提供しています。これらの自動移行ツールについて詳しくは、ベンダーにお問い合わせください。

クラウド サービスの移行の実行

「クラウド サービスの移行の計画」セクションで、現在使用中のクラウド サービスの特定、移行する必要があるクラウド サービスの選択、移行するクラウド サービスの優先順位付け、クラウド サービスの移行戦略の選択を行いました。クラウド サービスの移行は、Windows デバイスを展開する前または後に実行できます。

現在使用しているクラウド サービスを、選択した Microsoft クラウド サービスに移行します。たとえば、コラボレーション Web サイトから Office 365 SharePoint に移行できます。既存のクラウド サービスと、選択した Microsoft クラウド サービスに基づいてクラウド サービスの移行を実行します。

また、多くのソフトウェア ベンダーが、他のクラウド サービスからの Microsoft クラウド サービスへの移行の自動化に役立つソフトウェアを提供しています。これらの自動移行ツールについて詳しくは、ベンダーにお問い合わせください。

Windows デバイスの展開の実行

「Windows デバイスの展開戦略を選択する」セクションで、Windows 10 デバイスを展開する方法を選択しました。「Windows デバイスの展開の計画」で計画したその他の移行タスクは、既に実行しました。いよいよ実際のデバイスを展開します。

たとえば、教室ごとに Windows デバイスを展開することを選択した場合は、最初の教室から始めて、すべての Windows デバイスを展開するまで、すべての教室について作業を進めていきます。

状況によっては、既に Windows 10 が展開されているデバイスを受け取り、プロビジョニング パッケージを使うことが必要になる場合があります。また、カスタム Windows 10 イメージがあり、Configuration Manager や MDT を使ってデバイスに展開することが必要な場合もあります。デバイスに Windows 10 イメージを展開する方法については、次のリソースを参照してください。

Windows 10 イメージの展開だけでなく、デバイスの展開の一環として、次のタスクを実行することが必要になる場合があります。

  • 管理システムでデバイスを登録します。

  • Windows Defender が有効になっており、更新プログラムを受信するように構成されていることを確認します。

  • Windows Update が有効になっており、更新プログラムを受信するように構成されていることを確認します。

  • ユーザーがデバイスを起動したときにすぐにアクセスできるようにするアプリ (Word 2016 や Excel 2016 など) を展開します。

これらの手順を完了した後、管理システムで Windows 10 デバイスの日常的なメンテナンス タスクを引き継ぐ必要があります。Windows 10 デバイスの各セットを展開するときに、ユーザーとデバイスの設定が正しく移行されていることを確認します。すべての Windows 10 デバイスを展開するまでは、このプロセスを続行します。

関連トピック

試してみよう: Windows 10 の展開 (教育機関向け) に関するページ

試してみよう: 教室での Windows 10 の使用に関するページ