組織内の Windows 利用統計情報の構成

この記事を使用して、組織内の利用統計情報の構成方法を詳しい情報に基づいて決定できます。 利用統計情報という用語は、使用される人や組織によって意味が異なる場合があります。 この記事では、コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントによってアップロードされるシステム データである、利用統計情報について説明します。 利用統計情報は、Windows デバイスを保護し、Microsoft が Windows とそのサービスの品質向上に役立てるために使用されます。

  

この記事の内容は、System Center Configuration Manager、System Center Endpoint Protection、System Center Data Protection Manager には適用されません。これらのコンポーネントでは、Windows や Windows Server とは異なる利用統計情報サービスが使用されているためです。

 

ここでは、Microsoft が収集する利用統計情報の種類と、ユーザーが利用統計情報を管理する方法について説明します。 また、この記事では、利用統計情報がエンタープライズ展開に関する貴重な情報を提供できることや、Microsoft がこのデータを使用してお客様に影響を及ぼす問題を迅速に識別して解決できることについて、例をいくつか示します。

Microsoft では、お客様の情報のセキュリティとプライバシーが重要であることを理解しており、Windows 10、Windows Server 2016 Technical Preview、System Center 2016 でのお客様のプライバシーとお客様のデータの保護に関して、配慮が行き届いた包括的なアプローチを行ってきました。

概要

以前のバージョンの Windows および Windows Server では、Microsoft は利用統計情報を使用して、更新された新しい Windows Defender のシグネチャの確認、Windows Update のインストールが成功したかどうかの確認、Windows Server の信頼性分析コンポーネント (RAC) からの信頼性情報の収集、Windows の Windows カスタマー エクスペリエンス向上プログラム (CEIP) からの信頼性情報の収集を行っていました。 Windows 10 および Windows Server 2016 Technical Preview では、[設定][プライバシー]、グループ ポリシー、または MDM を使用して、利用統計情報のストリームを管理できます。

Microsoft は、モバイル ファーストおよびクラウド ファーストの世界においてお客様のエクスペリエンスの向上に努めていますが、これはお客様のために始めたことです。 利用統計情報は、Microsoft がデータを使用して製品やサービスを向上させるための重要な方法の 1 つです。 利用統計情報によって、各企業のお客様は、Windows、Windows Server、System Center の将来のバージョンを構築する際に役立つ情報を伝えることができ、Microsoft はお客様のフィードバックに迅速に対応して、新機能や品質の向上をお客様に提供できます。

Microsoft の目標は、集計されたデータを活用して、製品やエコシステムの変化を促進し、お客様のエクスペリエンスを向上させることです。 また、デバイスと共有される利用統計情報から付加価値を提供する企業ともパートナーとして連携しています。 デバイスのセキュリティを維持するために古い修正プログラムを識別したり、最新のマルウェア対策シグネチャをダウンロードしたりすること、アップグレード前にアプリケーションの互換性の問題を識別すること、他のお客様にも影響するドライバーの信頼性の問題に対する情報を得ることなどが挙げられます。

Windows 10 では、IT 担当者の皆様に Windows Insider Program にご参加いただき、組織でより効果的に Windows を運用するためのフィードバックをお寄せいただけますようお願いいたします。

Microsoft での利用統計情報の処理方法

データ収集

Windows 10 と Windows Server 2016 Technical Preview には、コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントが含まれています。このコンポーネントは、Windows イベント トレーシング (ETW) の TraceLogging テクノロジを利用して利用統計情報のイベントとデータを収集および格納します。 オペレーティング システムと、System Center などの一部の Microsoft 管理ソリューションは、同じログ テクノロジを使用します。

  1. オペレーティング システムの機能と一部の管理アプリケーションは、イベントとデータを公開するための機能を備えています。 このような管理アプリケーションの例として、Virtual Machine Manager (VMM)、サーバー マネージャー、記憶域スペースがあります。

  2. イベントは、公開されているオペレーティング システムのイベント ログ記録およびトレース API を使用して収集されます。

  3. 利用統計情報のレベルは、MDM ポリシー、グループ ポリシーまたはレジストリ設定を使用して構成できます。

  4. コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントは、HTTPS 経由で Microsoft に利用統計情報を送信し、証明書のピン留めを使用します。

利用統計情報のレベルが拡張および完全である場合に収集される情報は、通常、わずかなサンプリング レートで収集され、それらのレベルでデータをレポートするデバイスの 1% 程度である場合もあります。

データ転送

すべての利用統計情報は SSL を使用して暗号化され、デバイスから Microsoft Data Management Service に転送される間は証明書のピン留めが使用されます。 Windows 10 では、データは、イベントの優先順位、バッテリの使用、ネットワーク接続のコストを配慮したスケジュールに基いて、アップロードされます。 Windows Defender Advanced Threat Protection などのリアルタイムのイベントは常に、直ちに送信されます。 従量制課金サーバー接続を利用している場合を除き、通常のイベントは従量制課金ネットワークにアップロードされません。 無料のネットワークでは、通常のイベントは、バッテリーの場合には 4 時間ごとに、AC 電源の場合には 15 分おきにアップロードされます。 診断とクラッシュのデータは、AC 電源で無料のネットワークの場合のみアップロードされます。

エンドポイント

Microsoft Data Management Service は、セキュリティで保護されたクラウド ストレージにデータをルーティングします。 有効な業務上の妥当性を持つ Microsoft 担当者にのみアクセスが許可されます。

コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントは、v10.vortex-win.data.microsoft.com にある Microsoft Data Management Service に接続します。

コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントは、構成情報をダウンロードするために settings-win.data.microsoft.com にも接続します。

Windows エラー報告は watson.telemetry.microsoft.com に接続します。

オンライン クラッシュ ダンプ解析は oca.telemetry.microsoft.com に接続します。

データの使用とアクセス

利用統計情報から収集されたデータは、お客様のエクスペリエンスの向上を主な目的として、さらにセキュリティ、正常性、品質、パフォーマンスの分析のために、Microsoft の担当チームによって使用されます。 利用統計情報へのアクセスは、最小限の特権の原則に従って行われます。 正当な業務上の必要性を持つ Microsoft の担当者にのみ利用統計情報へのアクセスが許可されます。 Microsoft では、お客様から指示があった場合や、プライバシーに関する声明に記載されている限られた目的がある場合を除き、お客様の個人データを第三者と共有することはありません。 ただし、集計された匿名の利用統計情報を含むビジネス レポートを OEM やサード パーティのパートナーと共有します。 データ共有に関する意思決定は、プライバシー、法律、データ管理などの社内チームによって行われます。

保持

Microsoft では情報の最小化が妥当であると考えて実施してます。 必要な情報のみを収集し、サービスの提供や分析に必要である場合に限り情報を保存するように努めています。 Windows とアプリの動作状況に関する情報の多くは、30 日以内に削除されます。 エラー報告データやストアの購入履歴などの情報は、より長い期間保持される場合があります。

利用統計情報のレベル

このセクションでは、Windows 10、Windows Server 2016 Technical Preview、System Center の利用統計情報のさまざまなレベルについて説明します。 これらレベルは、Windows 10 のすべてのデスクトップおよびモバイル エディションで利用できますが、セキュリティ レベルは例外で、Windows 10 Enterprise、Windows 10 Education、Windows 10 Mobile Enterprise、Windows 10 IoT Core (IoT コア) Windows Server 2016 Technical Preview に制限されています。

利用統計情報は 4 つのレベルに分類されます。

  • セキュリティ。 Windows、Windows Server、System Center のセキュリティを維持するために必要な情報です。コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報の設定、悪意のあるソフトウェア削除ツール、Windows Defender に関するデータなどが含まれます。

  • 基本。 品質に関連する情報、アプリの互換性などの基本的なデバイス情報および "セキュリティ" レベルの情報です。

  • 拡張。 Windows、Windows Server、System Center、アプリの使用状況、そのパフォーマンス、高度な信頼性データなどの追加情報、および "基本" レベルと "セキュリティ" レベルのデータです。

  • 完全。 問題を特定して解決するために必要なすべてのデータ、および "セキュリティ"、"基本"、"拡張" レベルのデータです。

次の図に示すように、レベルは累積的です。 これらのレベルは、Windows Server 2016 Technical Preview のすべてのエディションに適用されます。

利用統計情報のレベルの詳細と管理コントロールの種類

"セキュリティ" レベル

"セキュリティ" レベルでは、最新のセキュリティ更新プログラムで、Windows デバイス、Windows Server、ゲストを保護するために必要な利用統計情報のみを収集します。

  

Windows Update を利用して更新プログラムを提供している組織では、"セキュリティ" レベルを使用しないでください。 このレベルでは Windows Update に関する情報は収集されないため、更新エラーに関する重要な情報は送信されません。 Microsoft では、これらのエラーの原因を修正し、更新プログラムの品質を向上させるために、この情報を使用します。

 

このレベルでは、Windows Server Update Services (WSUS) および System Center Configuration Manager の機能に影響はありません。Windows Server の機能や System Center に関する利用統計情報も収集されません。

このレベルで収集されるデータは次のとおりです。

  • コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントの設定。 データが収集されて送信キューに入れられると、コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントは、Microsoft のサーバーから設定ファイルをダウンロードします。 この要求のためにクライアントが収集したデータには、OS 情報、デバイス ID (設定を要求している特定のデバイスを識別するために使用)、デバイス クラス (デバイスがサーバーとデスクトップのいずれであるかなど) が含まれます。

  • 悪意のあるソフトウェアの削除ツール (MSRT)。MSRT 感染レポートには、デバイス情報と IP アドレスなどの情報が含まれています。

      

    MSRT 感染レポートを無効にすることができます。 MSRT が使われていない場合、MSRT 情報は含まれません。 Windows Update がオフになっている場合、MSRT がユーザーに提供されません。 詳しくは、Microsoft のサポート技術情報の記事 891716 をご覧ください。

     

  • Windows Defender/Endpoint Protection。 Windows Defender および System Center Endpoint Protection が機能するには、マルウェア対策のシグネチャ、診断情報、ユーザー アカウント制御の設定、Unified Extensible Firmware Interface (UEFI) の設定、IP アドレスなどの情報が必要です。

      

    このレポートはオフにすることができます。また、ユーザーがサード パーティのマルウェア対策ソフトウェアを使っている場合や、Windows Defender がオフになっている場合には、情報が含まれません。 詳しくは、「Windows Defender」をご覧ください。

    企業が Windows Server Update Services、System Center Configuration Manager、サード パーティのマルウェア対策ソリューションなどの代替ソリューションを使わない限り、Windows Update、Windows Defender、MSRT を有効のままにすることをお勧めします。 Windows Update、Windows Defender、および MSRT は、セキュリティ更新プログラムを含むドライバーと OS の更新などの Windows のコア機能を提供します。

     

利用統計情報が既定の設定で、インターネット接続がないサーバーでは、利用統計情報を "セキュリティ" レベルに設定してください。 これにより、インターネットに接続されていないためにアップロードされないイベントのデータ収集が停止します。

ユーザー ファイルや通信などのユーザー コンテンツは、"セキュリティ" レベルの利用統計情報では収集されません。また、Microsoft では、名前、メール アドレス、アカウント ID など、企業やユーザーを直接識別する情報を収集しないようにするための手順を実施しています。 ただし、まれに MSRT 情報に意図せずに個人情報が含まれている可能性があります。 たとえば、マルウェアによっては、コンピューターのレジストリにユーザー名などの情報を含むエントリを作成することがあり、このような情報が収集される可能性があります。 MSRT のレポート機能はオプションであり、いつでもオフにすることができます。

"基本" レベル

"基本" レベルでは、デバイスとその構成を理解するために重要な限られたデータを収集します。 このレベルには、"セキュリティ" レベルのデータも含まれています。 このレベルは、特定のデバイスのハードウェアまたはソフトウェアの構成で発生する可能性がある問題を識別するのに役立ちます。 たとえば、メモリが特定の容量のデバイスや特定のバージョンのドライバーを実行しているデバイスで、より頻繁にクラッシュが発生しているかどうかを確認するのに役立ちます。 コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントは、System Center に関する利用統計情報を収集しませんが、ユーザーが同意している場合、他の Windows 以外のアプリケーションについて利用統計情報を送信できます。

このレベルで収集されるデータは次のとおりです。

  • 基本的なデバイスのデータ。 次のように、エコシステム内の Windows デバイスの種類と、ネイティブおよび仮想化された Windows Server 2016 Technical Preview インスタンスの構成や種類を把握するのに役立ちます。

    • デバイスの属性 (カメラの解像度やディスプレイの種類など)

    • Internet Explorer のバージョン

    • バッテリーの属性 (容量や種類など)

    • ネットワークの属性 (ネットワーク アダプターの数、ネットワーク アダプターの速度、携帯電話会社のネットワーク、IMEI 番号など)

    • プロセッサやメモリの属性 (コアの数、アーキテクチャ、速度、メモリ サイズ、ファームウェアなど)

    • 仮想化の属性 (第 2 レベルのアドレス変換 (SLAT) のサポートやゲスト オペレーティング システムなど)

    • オペレーティング システムの属性 (Windows のエディションや仮想化の状態など)

    • 記憶域の属性 (ドライブの数、種類、サイズなど)

  • コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントの品質統計。 アップロードされたイベントや破棄されたイベントの割合、前回のアップロード時刻など、コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報コンポーネントの動作状況を把握するのに役立ちます。

  • 品質関連情報。 Microsoft が、デバイスとそのオペレーティング システムのパフォーマンスの基本的な事項を理解するのに役立ちます。 たとえば、コネクト スタンバイ デバイスのデバイス特性、クラッシュやハングの数、アプリケーションの状態変化の詳細 (使用されたプロセッサ時間とメモリ、アプリの合計稼働時間など) が含まれます。

  • 互換性データ。 デバイスにインストールされているアプリや仮想マシンを把握し、潜在的な互換性の問題を特定するのに役立ちます。

    • 一般的なアプリのデータと Internet Explorer のアドオンのデータ。 OS のネイティブまたは仮想化インスタンスにインストールされているアプリの一覧と、これらのアプリがアップグレード後に正常に機能するかどうかの情報が含まれます。 このアプリのデータには、アプリ名、発行元、バージョンと、使用がブロックされたファイルに関する基本的な詳細情報が含まれています。

    • アプリの使用状況データ。 アプリの使用状況 (アプリが使用されている時間、アプリにフォーカスが移動した時刻、アプリケーションが起動された時刻など) が含まれています。

    • Internet Explorer のアドオン。 デバイスにインストールされている Internet Explorer のアドオンの一覧と、これらのアプリがアップグレード後に機能するかどうかの情報が含まれます。

    • システム データ。 デバイスがオペレーティング システムの次期バージョンにアップグレードするための最小要件を満たしているかどうかを理解するのに役立ちます。 システム情報には、プロセッサや BIOS に関する情報と共に、メモリの容量も含まれています。

    • アクセサリ デバイス データ。 Windows PC に接続されているプリンターや外部記憶装置などのアクセサリ デバイスの一覧と、オペレーティング システムの新しいバージョンにアップグレードした後にこれらのデバイスが機能するかどうかの情報が含まれます。

    • ドライバー データ。 特定のドライバーの使用状況が含まれます。これは、オペレーティング システムの新しいバージョンにアップグレードした後のアプリやデバイスが機能するかどうかを理解するのに役立ちます。 この情報は、ブロックの問題を特定し、Microsoft とそのパートナーが修正プログラムや機能強化を適用するのに役立ちます。

  • ストア。 アプリのダウンロード、インストール、更新の回数など、Windows ストアのパフォーマンスに関する情報を提供します。 Windows ストアの起動回数、ページ ビュー数、一時停止と再開の回数、ライセンスの取得数も含まれます。

"拡張" レベル

"拡張" レベルでは、Windows とアプリの使用方法とパフォーマンスに関するデータが収集されます。 このレベルには、"基本" と "セキュリティ" の両方のレベルのデータも含まれています。 このレベルは、オペレーティング システムとアプリのユーザー エクスペリエンスの向上に役立ちます。 このレベルのデータは、パターンやトレンドとして抽象化することができ、Microsoft が今後の機能強化を決定する際に役立ちます。

これは既定のレベルであり、Windows、Windows Server、System Center の品質の問題を迅速に特定して対処するために必要な最小レベルです。

このレベルで収集されるデータは次のとおりです。

  • オペレーティング システムのイベント。 ネットワーク、Hyper-V、Cortana、ストレージ、ファイル システム、その他のコンポーネントなど、オペレーティング システムのさまざまな領域の情報を取得するのに役立ちます。

  • オペレーティング システム アプリのイベント。 サーバー マネージャー、フォト、メール、Microsoft Edge など、ストアからダウンロードされたか、Windows や Windows Server と共にプリインストールされている Microsoft アプリケーションや管理ツールが原因で発生した一連のイベント。

  • デバイス固有のイベント。 Surface Hub や Microsoft HoloLens など、特定のデバイスに固有のイベントに関するデータが含まれています。 たとえば、Microsoft HoloLens はホログラフィック処理ユニット (HPU) 関連イベントを送信します。

  • Some crash dump types。 ヒープ ダンプと完全ダンプを除く、すべての種類のクラッシュ ダンプです。

コネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報コンポーネントが、より詳細なインストルメンテーションを収集する必要がある Windows 10 の問題を検出した場合は、"拡張" レベルで、特定の問題に関連するイベントに関するデータのみを収集します。

"完全" レベル

"完全" レベルでは、以下に説明する承認プロセスに従って、問題の特定と解決に必要なデータを収集します。 このレベルには、"基本"、"拡張"、"セキュリティ" の各レベルの情報も含まれています。

さらに、このレベルでは、Windows Insider Program への参加をオプトインしたデバイスは、信頼性やアプリの応答性などのイベントを送信します。 これにより、プレリリース版のバイナリや機能のパフォーマンスを Microsoft に示すことができます。 これらのイベントは、Microsoft がフライトとして提供するビルドを決定するのに役立ちます。 Windows Insider Program に参加しているすべてのデバイスは、自動的にこのレベルに設定されます。

デバイスで発生した問題を、Microsoft の内部テストで特定または再現することが困難な場合、追加のデータが必要になります。 このデータには、問題の原因となっている可能性があるユーザーのコンテンツが含まれる場合があります。このようなデータは、利用統計情報のレベルを "完全" に設定し、同じ問題が発生している少数のデバイスから収集されます。

ただし、詳細なデータを収集する前に、プライバシーやその他のテーマについての専門家を含む、Microsoft のプライバシー管理チームが、Microsoft のエンジニアによる診断要求を承認する必要があります。 この要求が承認されると、Microsoft のエンジニアは、次の機能を使って情報を取得できます。

  • 事前承認済みの限定された Microsoft 認定診断ツール (msinfo32.exe、powercfg.exe、dxdiag.exe など) を実行する機能。

  • レジストリ キーを取得する機能。

  • ヒープ ダンプや完全ダンプを含む、すべての種類のクラッシュ ダンプ。

利用統計情報の設定の管理

Microsoft では、重要な機能に影響する可能性があるため、お客様の組織内で利用統計情報を無効にすることはお勧めしませんが、一部のシナリオではこれが必要になる場合があることを認識しています。 そのためには、Windows、Windows Server、System Center で、このセクションで説明する手順に従ってください。

重要  

これらの利用統計情報のレベルは、Windows、Windows Server、System Center のコンポーネントおよびコネクテッド ユーザー エクスペリエンスと利用統計情報のコンポーネントを使うアプリにのみ適用されます。 Microsoft Office や他のサード パーティのアプリなど、Windows コンポーネント以外のコンポーネントは、これらの利用統計情報のレベルに含まれないクラウド サービスと通信する場合があります。 アプリ ベンダーの利用統計情報のポリシーおよびオプトインやオプトアウトの方法については、アプリ ベンダーにお問い合わせください。 Microsoft Office の利用統計情報の使用方法について詳しくは、「Office テレメトリの概要」をご覧ください。

 

System Center の利用統計情報の収集は有効にすることも、無効にすることもできます。 既定では有効になっており、このレベルで収集されるデータは、System Center の利用統計情報が有効である場合に既定で収集されるデータを表します。 ただし、System Center の利用統計情報が有効である場合でも、オペレーティング システムの利用統計情報のレベルが、"基本" に設定されている場合、System Center の利用統計情報は無効になります。

管理ポリシーによってサポートされている最も低い利用統計情報の設定レベルは、"セキュリティ" です。 設定 UI でサポートされている最も低い利用統計情報の設定は、"基本" です。 Windows Server 2016 Technical Preview の既定の利用統計情報の設定は、"拡張" です。

オペレーティング システムの利用統計情報レベルの構成

グループ ポリシー、MDM、Windows プロビジョニングなど、既に使用している管理ツールを使って、オペレーティング システムの利用統計情報の設定を構成できます。 レジストリ エディターを使用して設定を手動で変更することもできます。 管理ポリシーによって利用統計情報のレベルを設定する場合、デバイス レベルの設定は上書きされます。

管理ポリシーを構成する場合は、次の表の適切な値を使用します。

レベル 収集されるデータ
0 セキュリティ セキュリティ データのみ。
1 基本 セキュリティ データおよび基本的なシステム データと品質データ。
2 拡張 セキュリティ データ、基本的なシステム データと品質データ、追加情報や高度な信頼性データ。
3 完全 セキュリティ データ、基本的なシステム データと品質データ、追加情報や高度な信頼性データ、完全な診断データ。

 

グループ ポリシーを使用した利用統計情報のレベルの設定

組織の利用統計情報のレベルを設定するには、グループ ポリシー オブジェクトを使用します。

  1. グループ ポリシー管理コンソールから、[コンピューターの構成][管理用テンプレート][Windows コンポーネント][データの収集とプレビュー ビルド] の順に移動します。

  2. [利用統計情報の許可] をダブルクリックします。

  3. [オプション] ボックスで、構成するレベルを選び、[OK] をクリックします。

MDM を使用した利用統計情報のレベルの設定

ポリシー構成サービス プロバイダー (CSP) を使用して、MDM ポリシー System/AllowTelemetry を適用します。

レジストリ エディターを使用した利用統計情報のレベルの設定

レジストリ エディターを使用して、組織内の各デバイスのレジストリのレベルを手動で設定したり、レジストリを編集するスクリプトを記述したりすることができます。 グループ ポリシーや MDM などの管理ポリシーが既に存在する場合、このレジストリ設定は上書きされます。

  1. レジストリ エディターを開き、HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\DataCollection に移動します。

  2. [DataCollection] を右クリックし、[新規] をクリックして、[DWORD (32 ビット) 値] をクリックします。

  3. AllowTelemetry」と入力し、Enter キーを押します。

  4. AllowTelemetry をダブルクリックし、前の表に示されている適切な値を設定して、[OK] をクリックします。

  5. [ファイル][エクスポート] の順にクリックし、.reg ファイルとして保存します (C:\AllowTelemetry.reg など)。 このファイルは、組織内の各デバイスでスクリプトから実行できます。

System Center 2016 の利用統計情報の構成

System Center 2016 Technical Preview では、次の手順に従って System Center の利用統計情報を無効にすることができます。

利用統計情報の制限の追加

利用統計情報を送信する可能性がある設定で無効にできるものがあといくつかあります。

  • Windows Update の利用統計情報を無効にするには、次の 2 つの選択肢があります。 Windows Update を無効にするか、または社内の更新サーバー (Windows Server Update Services (WSUS)System Center Configuration Manager など) によって管理されるようにデバイスを設定します。

  • [設定][更新とセキュリティ][Windows Defender] の順に選択して、Windows Defender の [クラウドベースの保護][サンプルの送信] をオフにします。

  • 悪意のあるソフトウェア削除ツールを組織内で管理します。 詳しくは、Microsoft のサポート技術情報の記事 891716 をご覧ください。

  • [設定][プライバシー] で、言語データの収集を無効にします。 利用統計情報のレベルが "拡張" および "完全" の場合、Microsoft は、オートコンプリート、スペル チェック、候補、入力パターン認識、辞書などの言語モデル機能を向上させるために、言語データの収集の情報を使用します。

      

    Microsoft では、言語データの収集のために、クレジット カード番号、ユーザー名とパスワード、メール アドレスなどの機密情報や、その他の類似した機密情報を意図的に収集することはありません。 このような場合には、ユーザーのデバイスから言語データを送信する前に、機密情報を識別して削除するテクノロジを使用することによって機密情報を保護しています。 機密情報が誤って受信されたと判断した場合は、情報を削除します。

     

Microsoft による利用統計情報の使用例

エコシステムでのアプリとドライバーの品質の向上

利用統計情報は、お客様の展開と構成における重大な信頼性とセキュリティの問題を迅速に識別して修正する際に、重要な役割を果たします。 収集した利用統計情報を調べることによって、特定のストレージの種類 (SCSI など) やメモリ サイズなど、特定の構成における特定のアプリケーションやドライバーに関連するクラッシュやハングを迅速に識別することができます。 System Center の場合は、ジョブの使用状況と状態のデータが、ジョブのワークロードや System Center と管理対象製品の間の通信の効率を向上させるのに役立ちます。 Microsoft では、お客様からこのデータを取得し、エコシステムの改良を促進できるため、System Center、Windows Server アプリケーション、Windows アプリ、ドライバーの品質レベルを上げることができます。 Windows のインストールに関するリアルタイムのデータにより、信頼性の低いドライバーや不安定なアプリケーションのトラブルシューティングに関連するダウンタイムやコストが削減されます。

総所有コストやダウンタイムの削減

利用統計情報によって、お客様がよく使用している機能やサービスを把握することができます。 たとえば、利用統計情報によって、最も広く展開されている Windows Server の役割、最もよく使用されている Windows の機能、および最も使用頻度の低い機能を、ヒート マップで示すことができます。 これにより、無駄のないオペレーティング システムを構築するために、エンジニアリング リソースを投資する分野を、詳しい情報に基づいて決定できます。 System Center の場合、お客様の管理と監視の環境を把握することによって、ホストやゲスト OS など、サポートの互換性マトリックスを充実させることができます。 これにより、お客様は、既存のハードウェアを活用して、ビジネス ニーズを満たしたり、総所有コストを削減したりできるほか、セキュリティ更新プログラムに関連するダウンタイムを短縮することもできます。

お客様のニーズに対応する機能の構築

利用統計情報によって、お客様がビジネス目標を達成するために、どのようにコンポーネントを展開し、どのように機能やサービスを利用しているかを、詳細に把握することができます。 この情報を調べることによって、お客様のエクスペリエンスやワークロードに直接影響する領域に優先的にエンジニアリングの投資を行うことができます。 たとえば、クラスタリングや Web など、Windows Server の役割に関連する、お客様のコンテナー、ストレージ、ネットワーク構成の使用状況が挙げられます。 別の例として、CPU ハイパースレッディングが無効になっている時間やその影響を検出することができます。 Microsoft では、このような情報を使用して、管理および監視ソリューションの機能やインテリジェンスを向上させ、お客様が品質の問題を診断し、Microsoft への問い合わせの回数を減らすことでコストを削減できるように支援します。