SharePoint

作業上での Wiki の使用

Mauro Cardarelli

 

概要:

  • Wiki とは
  • SharePoint での Wiki の構築
  • 変更の編集と追跡

Wiki の概念が誕生してから 10 年以上経ちます。Wiki (「早い」という意味のハワイ語) は、ユーザーが Web ページのコンテンツをごく単純な形式で自由に作成したり編集したりできるオンラインの場所で、

使用するのはブラウザのみです。その目的は、仮想コミュニティのメンバが、コンテンツ (他の作成者によるコンテンツも含む) を組み込んだり、変更、削除したりして、ページを完全に自由に編集できる場所を提供することです。構造化された知識交換と一対多の通信を目的として設計されたブログとは違って、Wiki では複数のユーザーが共同で作業を行うことができます。

最近では、Web 2.0 という次世代のオンライン ツールが注目されています。Web 2.0 は、コンテンツ作成の障壁を低くして、ユーザーがオンライン情報を作成したり使用したりできるようにすることが前提です。この現象は、インターネットの世界だけでなく、会社のファイアウォール内でも起きています。これを Enterprise 2.0 と考えてください。Enterprise 2.0 は、従業員全員がコンテンツを簡単に作成できるようにするツールです。ブログや Wiki のようなテクノロジによって、今後の会社の知的資産についての考え方、保管方法、および再利用方法が変わっていくでしょう。

マイクロソフトは、普及している SharePoint テクノロジの 3 つ目のバージョンである Microsoft® Office SharePoint® Server (MOSS) 2007 の導入により、この次世代の機能を促進します。MOSS 2007 では、ブログや Wiki の作成のサポートなど、コラボレーションと通信の機能が拡張されています。この記事では、MOSS 2007 で Wiki の構築を開始する方法について説明します。

はじめに

SharePoint Portal Server 2003 を使用したことがあれば、サイト テンプレートの使い方はよくご存じでしょう。サイト テンプレートは、特定のページ タイプ (チーム会議や社交行事など) のレイアウトに使用できるフレームワークを提供します。サイト テンプレートによって、特定のコンテンツのプレースホルダが事前に設定されます。MOSS 2007 では、テンプレート タイプの新しいコレクションが導入されており、サイト テンプレートの用途が広がります。その 1 つは Wiki 用のテンプレートです。

図 1 に、SharePoint サイトの作成に使用される [新しい SharePoint サイト] ページを示します。テンプレート リストに Wiki サイト用の項目があることに注目してください。このテンプレートを選択すると、最初の Wiki をすばやく簡単に作成できます。図 2 を見てください。これは、新しく作成された Wiki の既定のレンダリングです。Wiki の構造では、この既定のページがユーザーのホーム ページになります。このページのすべてのコンテンツが編集可能です。適切な権限が与えられたユーザー (仮想コミュニティ) は、このページを変更したり新しいページを作成したりできます。

図 1 新しいサイト用の Wiki テンプレートの選択

図 1** 新しいサイト用の Wiki テンプレートの選択 **

図 2 編集可能な状態の新しい SharePoint Wiki

図 2** 編集可能な状態の新しい SharePoint Wiki **(画像を拡大するには、ここをクリックします)

先に進む前に、一歩戻って、Wiki をユーザーに対して導入することについて話しましょう。前に説明したように、Wiki はインターネット上で、場合によってはサードパーティ製のツールを介して使用されてきました。ただし、多くの場合、Wiki の使用は専門性が高く、口コミでゆっくり広まっています。MOSS 2007 では、すべてのイントラネット ユーザーに Wiki 機能を提供することにより、この状況を変えようとしています。これは非常に効果的な (おそろしくもある) 提案です。Wiki の価値を、技術者以外のインターネットに詳しくない同僚にどのように説明しますか? Wiki の目的が、すべてのユーザーが自由に発言できる環境で独創的な意見交換を促すことである、ということを説明する必要があります。Wiki によりコンテンツ コラボレーションが可能になりますが、実際にはそれ以上の効果があります。Wiki の最終的な成果は個々のドキュメントやチャプタではなく、まとまった本のようなものです。そしてこの本は決して完成させる必要はなく、必要なときにいつでも変更できます。

それでは、本題に戻りましょう、Wiki を初めて使用する方は、[この Wiki サイトの使用方法] ハイパーリンクからオンライン ガイドラインにアクセスできます。既定の Wiki テンプレートには、新しいユーザーがすぐに慣れて参加するために十分なドキュメントが用意されています。

Wiki の動作

すべての Wiki ページの右上に、アクション ボタンがあります。[編集] ボタンをクリックすると、コンテンツの編集用のページが表示されます。図 3 に例を示します。編集はすべてブラウザ内で行います。Microsoft Word のような外部ツールを使用する必要はありません。また、編集内容は、保存するとオンラインでリアルタイムに反映されます。さらに、Web デザインや開発のスキルも必要ありません。編集インターフェイスでは、標準のボタンを使用して、太字、色、箇条書き、イメージなどを含む完全なリッチ テキストを作成できます。ユーザーは、既存のページを編集モードで開いて、コンテンツを追加または変更するだけです。これだけです。

図 3 ブラウザ内での Wiki コンテンツの全体的な編集

図 3** ブラウザ内での Wiki コンテンツの全体的な編集 **(画像を拡大するには、ここをクリックします)

コンテンツが常に変わる環境では、変更をどのように管理しますか? すべての作業内容を管理する必要があるとは限りませんが、変更を追跡してバージョン履歴を保持する何らかの手段が必要になるでしょう。MOSS 2007 がその役割を果たします。[履歴] ボタンをクリックしたときに表示される標準ページを図 4 に示します。ページの中央で、テキストに対するすべての編集内容が追跡されていることがわかります。左側では、変更が行われるたびに追跡された変更の履歴を確認できます。コミュニティには、変更を確認、追跡、およびロールバックする十分な権限が与えられます。これは強力な概念です。Wiki を構築したり変更したりすると、MOSS 2007 によってその動作が追跡されます。

図 4 時間経過に伴う Wiki エントリの変更の追跡

図 4** 時間経過に伴う Wiki エントリの変更の追跡 **(画像を拡大するには、ここをクリックします)

このように、Wiki は Web ページではありません。無制限のページの集まりです。Wiki コミュニティのメンバとして、ユーザーが自分で、新しいアイデアや論点を取り入れることができます。テキストを既存のページに追加するのではなく、新しいページに追加できます。MOSS 2007 では、Wiki ページを簡単に追加できます。[新規] をクリックするだけで、新しい Wiki ページが作成されます。コンテンツの追加を開始してください。まだ先があります。

まとめ

MOSS 2007 で Wiki の概念を取り入れていない場合がありますが、その幅広い可用性により、Wiki は注目されるようになっています。Wiki を使用すると、組織の従業員による共同作業の方法を変えることができます。ドキュメントの制限に縛られなくなります。Wiki は形にとらわれない考察や幅広いコラボレーションを促進します。これは Enterprise 2.0 の哲学に関連するさまざまな概念にうまく溶け込みます。Wiki はイネーブラです。つまり、すべてのユーザーが参加して、ただ後に続くだけでなく、新しい方向に進めるようにします。

Mauro Cardarelliボストンに拠点を置く IT コンサルティング サービス会社である Jornata 社の業務執行役員です。彼の任務は、テクノロジの普及、アーキテクチャのデザイン、ソフトウェアの開発などです。彼の連絡先は、mauro.cardarelli@jornata.com (英語) です。

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