Microsoft Office

Project Server 2007 の概要

Alan Maddison

 

概要:

  • 4 つの主な強化点
  • 複数層アーキテクチャによる拡張性と柔軟性の強化
  • インストールの前提条件
  • インストールと構成

目次

機能
インストールの前提条件
Project Server 2007 のインストール
まとめ

IT 管理者のほとんどは、数あるプロジェクトのうち、少なくともいくつかのプロジェクトの合理化や整理に Microsoft Office Project (Standard または Professional) を使用します。ただし、使い慣れていない、専門知識が不足している、または単に複雑なインストールと構成に改めて取り組む時間がないという理由から、Project Server を実装していない管理者もいます。Office Project Server 2007 では、ユーザー向けの機能だけでなく、管理者向けの機能も大幅に強化されています。

この記事では、Project Server の最も重要ないくつかの新機能について説明します。また、Project Server 2007 のインストールおよび構成手順についても詳しく説明します。説明の中心となるのは、Web ファームの実装です。ここで説明する方法を使用すると、Project Server インフラストラクチャを拡張する際の柔軟性が大幅に向上します。現時点ではスタンドアロン サーバーで十分であっても、1 台のサーバーから成る Web ファームを構築しておけば、インフラストラクチャの複雑さを変化させることなく、将来必要になったときにその Web ファームを簡単に拡張できます。

Office Project Server ファミリにはさまざまな製品が含まれますが、この記事では Project Server のみを取り上げます。また、デスクトップ クライアントについても詳しくは説明しませんが、Project Standard (デスクトップ クライアント) は Project Server には接続できないことに注意してください。接続できるのは Project Professional のみです。

機能

Project Server 2007 の機能強化は、4 つの領域に大別できます。これらは、企業向けの機能、使いやすさ、分析力、および拡張性です。以前のバージョンの Project Server を使用したことがあれば、マイクロソフトがこれらの領域に注力した理由がすぐにわかると思います。

Project Server 2003 は強力なアプリケーションでしたが、その複雑さのためにトラブルシューティングに非常に手間がかかり、かなりの管理オーバーヘッドが発生しました。また、カスタマイズが非常に難しく、SQL Server 2000 Analysis Services と統合できる点を除けば、レポート機能の柔軟性も欠いていました。さいわい、これらの欠点は修正され、Project Server はユーザーも管理者もより簡単かつ生産的に利用できるようになりました。

Project Server 2003 における拡張性の制限は、真の複数層アーキテクチャによって解消されました (図 1 参照)。Web 層は、Project Web Access と Windows SharePoint Services (WSS) 3.0 で構成されます。アプリケーション層は、Project Server プラットフォーム、キュー サービス、レポート サービス、イベント監視システム、および一新された Project Server インターフェイス (PSI) で構成されます。PSI とは、Project Server の機能を管理者や開発者に公開する API です。データ層には、SQL Server 2000 または SQL Server 2005 に格納される Project Server データベースが含まれます。多数のユーザーをサポートするために拡張が必要になった場合、これらの層が役立ちます。

図 1 Project Server 2007 のアーキテクチャ

この新しいアーキテクチャの機能として、スタンドアロン、小規模ファーム、中規模ファーム、大規模ファーム、エクストラネットなど、さまざまな展開トポロジがサポートされます。それぞれのトポロジに対応することによって、Project Server コンポーネントの細分化を進めることができ、Web フロント エンドの負荷分散や SQL サーバーのクラスタリングといったテクノロジを組み込むこともできるようになりました。企業向けのその他の機能強化としては、アクティブ キャッシュ、ネットワーク トラフィックとクライアントの応答性を最適化するクライアント/サーバー テクノロジ、およびキュー サービスがあります。キュー サービスを使用すると、データの整合性とフォールト トレランスを保証しながら、信頼性を高め、ユーザー エクスペリエンスの一貫性を確保できます。

また、Project Server をより学習しやすく、使いやすくするための重要な機能強化もいくつか施されています。管理者にとっての実際のメリットは、Project Server をインストールして構成したら、後は特別な作業を行わなくても、ユーザーの生産性が向上することです。

Project Server が格段に使いやすくなった理由の 1 つは、Microsoft Office との密接な統合にあります。たとえば、タスク管理機能と時間管理機能を提供する Microsoft Office Outlook 用のプラグインや、Office Excel のレポート機能や Office Visio の作図機能と統合できるビジュアル レポートが提供されます。また、SharePoint タスク リストのサポートによって、タスクのスケジュール設定やプロジェクトの作成も容易になり、ユーザーがプロジェクトの拡大に合わせて、発生したプロジェクトをより堅牢なフレームワークにすばやく組み込むことができるようになりました。

Microsoft Office Project 用プロジェクト計画タスク リスト インポート テンプレートを使用すると、Excel で簡単なタスク リストを作成し、これを Project Server にインポートして、リソースと割り当てを追加できます。また、定義済みのプロジェクト テンプレートが多数用意されているため、さまざまな種類のプロジェクトのアウトラインをすばやく構成できます。さらに、プロジェクト ガイドも強化されています。初心者のユーザーはこのガイドを使用して Project Server での作業効率を最大限に高めることができ、操作に慣れているユーザーはこの機能を無効にすることができます。リソース計画を単純化する機能としては、リソースの切り替えウィザードと複数レベルの取り消し機能が提供されます。経験豊富なプロジェクト管理者がこれらの機能を使用すると、時間をかけることなく、非常に簡単かつ柔軟にスケジュールを調整したり、その影響を把握したりできます。特に変更箇所の表示機能は、スケジュールを調整する際に便利で、スケジュールの調整を伴う最新の編集操作によって発生したすべての変更箇所が強調表示されます。

Project Server では、プロジェクトの財務管理や財務計画の情報も、より詳細に把握できるようになりました。コスト型リソースという新しい種類のリソースが追加され、これを使用すると、サードパーティ製の会計システムとの統合が可能になります。また、Project Server では新しい定義済みの会計フィールドが多数導入されます。たとえば、予算フィールドを使用すると、金額、労働力、または材料に基づいて予算を指定し、プロジェクトの進行状況に合わせてその変化を追跡できます。新たに考案されたタイム シートは、プロジェクト リソースの正確な時間管理を実現するだけでなく、一般的な台帳システムとの統合も可能にします。また、新しいリソース計画機能を使用すると、リソースの割り当ての概要を確認できるため、プロジェクトの発足当初など、細かい情報がわからない場合や必要でない場合に、この情報を参考に予備計画を立てることができます。

これらの他に、Project Server のカスタマイズと拡張を格段に容易にする機能強化が施されています。一新された API (前述の PSI) を使用すると、ADO.NET 経由で Project Server データに容易にアクセスできるだけでなく、プロジェクト、リソース、タスク、および割り当てをプログラムから操作できるようになります。サードパーティ製のアプリケーションから Project Server 内のイベントに応答することを可能にする、高機能のサーバー側イベント システムとこの API を併用することによって、さらに機能を拡張できます。また、Windows Workflow Foundation (WF) との統合によって、ワークフローを既定でサポートできるようになりました。

インストールの前提条件

この記事では、主に Project Server 2007 を Windows Server 2003 にインストールする方法について説明します。ただし、Windows Server 2008 を使用する環境で、インストール手順と構成手順に明らかな違いが生じる場合は、それについての補足情報も提供します。Windows Server 2008 を使用する場合は、Project Server 2007 SP1 を使用する必要があります。また、推奨要件を満たすハードウェアがサーバーで使用されていることを確認してください。具体的には、最低 2 GB の RAM と、デュアル コアまたは 2 基の CPU (クロック速度 3.0 GHz) が搭載されている必要があります。

ここでは、小規模な Web ファームのインストールと構成について説明します。小規模な Web ファームでは、2 とおりの展開が考えられます。1 つ目は、1 台のコンピュータにすべてのコンポーネント (Web サーバー、アプリケーション サーバー、およびデータベース サーバー) をインストールする方法で、2 つ目は、データベース サーバーを別の物理コンピュータでホストする方法です。どちらの方法も、サポートできるユーザー数は最大 500 ユーザーであるため、小規模な環境に適しています。ただし、どちらの方法でも、企業の成長に合わせて柔軟に Web ファームを拡張できます。一般的なベスト プラクティスとしては、少なくともデータベース サーバーを別個に用意した方がよいでしょう。また、大規模な組織では、層ごとに別個のハードウェアを使用することをお勧めします。

インストールを開始する前に、データベース サーバーを用意する必要があります。SQL Server のインストールについてはこの記事の範囲外であるため、SQL Server 2000 SP4 または SQL Server 2005 SP2 を使用し、名前付きパイプを有効にする必要があるという説明のみにとどめます。また、WSS のインストールに使用するアカウントは、SQL Server に新しいデータベースを作成するために必要なすべての権限を付与されている必要があります。

Microsoft .NET Framework 3.0 SP1 をインストールする必要があります (これは、確実に WF がインストールされるようにするためです)。また、IIS 6.0 もインストールする必要があります。これを行うには、コントロール パネルの [プログラムの追加と削除] で、[Windows コンポーネントの追加と削除] の [アプリケーション サーバー] チェック ボックスをオンにします。さらに、ASP.NET を有効にする必要があります。これを行うには、[アプリケーション サーバー] チェック ボックスをオンにした状態で、[詳細] をクリックします。Project Server は、IIS 内で ASP.NET 2.0.50727 Web 拡張が有効になっていなければ、インストールされません。この状況は、IIS を有効にする前に ASP.NET 2.0 をインストールした場合に発生する可能性があります。この状況が発生した場合、aspnet_regiis –i –enable というコマンドを実行して ASP.NET 2.0 を有効にします。

Windows Server 2008 の場合、上記に相当する操作を行うには、サーバー マネージャを使用して Web サーバー (IIS) の役割とアプリケーション サーバーの役割をインストールします。アプリケーション サーバーの役割をインストールすると、.NET Framework 3.0 がインストールされますが、この役割のコンポーネントとして、必ずアプリケーション サーバー基盤と Web サーバー (IIS) サポートの役割サービスのチェック ボックスをオンにし、これらのサービスもインストールされるようにします。

Project Server 2007 のインストール

Project Server のインストールを開始するには、Setup.exe を実行します。Project Server 2007 は WSS 3.0 を基盤としているため、WSS をインストールしたことがある場合は、Project Server 2007 のインストール プロセスに見覚えがあると感じるでしょう。プロダクト キーを入力し、ライセンス条項に同意したら、基本インストールか詳細インストールを選択します。スタンドアロン システムの構築を計画している場合は、基本インストールを選択します。基本インストールでは、SQL Server 2005 Express Edition を含め、すべてのコンポーネントが 1 台のサーバーにインストールされます。詳細インストールを選択すると、図 2 のような画面が表示されます。[完全] を選択すると、Web フロント エンドとアプリケーション サーバー コンポーネントがインストールされます。

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図 2 すべてのコンポーネントが 1 台のコンピュータにインストールされるスタンドアロン インストール

サーバーを検索サーバーとして構成する場合は、ローカル コンピュータでインデックスの格納領域としてかなりの領域が必要になる可能性があることに注意してください。このため、必要に応じて、[ファイルの場所] タブ (同じく図 2 参照) をクリックして、別のインストール先を選択します。[完全] を選択した後、[今すぐインストール] をクリックします。

インストールが完了すると、既定で [SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードを今すぐ実行する] チェック ボックスがオンになった画面が表示されます。[閉じる] をクリックして、この構成ウィザードを起動します。

ウィザードが起動した後、ようこそ画面で [次へ] をクリックして先に進むと、IIS を含むいくつかのサービスの再起動が必要になる可能性があることを示す確認メッセージが表示されます。[はい] をクリックして、次の画面に進みます。この画面では、新しいサーバー ファームを作成するか、既存のファームに接続するかを指定します。新しいファームを作成するオプションを選択して、データベース サーバー名を入力します。

WSS がデータベースへの接続に使用するドメイン ユーザー アカウントの名前も入力する必要があります (図 3 参照)。また、セットアップ中には、SQL Server の権限を割り当て、SharePoint Services サーバーの全体管理を実行する IIS アプリケーション プールの資格情報も提供します。スタンドアロン サーバーを展開する場合は、このユーザー アカウントにローカル アカウントを使用できます。

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図 3 構成データベースの作成

[次へ] をクリックし、表示された画面で、ポート番号を構成し、サーバーの全体管理 Web アプリケーションで使用される認証方法を選択できます。既定では、ウィザードによって無作為にポート番号が割り当てられます。この番号を変更するには、チェック ボックスをオンにして、任意のポート番号を入力します。既定の認証プロトコルは NTLM で、他にネゴシエート (Kerberos) を選択できます。ネゴシエートを選択した場合、まず Kerberos を使用した認証が試行され、これが失敗した場合は NTLM が使用されます。Kerberos 認証を有効にするための要件を把握していない場合は、NTLM を使用してください。

[次へ] をクリックすると、概要ページが表示されます。再度 [次へ] をクリックすると、構成プロセスが開始されます。サーバーの全体管理サイトのポート番号を控えていない場合は、準備プロセスが完了した時点で控えておいてください。[完了] をクリックすると、ブラウザ内にサーバーの全体管理 Web サイトが表示されます (図 4 参照)。

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図 4 サーバーの全体管理 Web サイト

このとき、サーバーの全体管理 Web サイトの画面には、実行する必要がある残りのタスクが一覧表示されます。この一覧内の最初の項目は、SharePoint Services のクイック スタート ガイドへのリンクです。このガイドには、以下のような残りの構成作業についての情報が記載されています。

  • 受信および送信電子メール設定の構成
  • Web アプリケーションの作成または拡張
  • サイトとサブサイトの作成
  • ワークフロー設定の構成
  • 診断ログの構成

電子メール設定の構成については、このガイドに記載されている手順に従う必要がありますが、Project Server のその他の設定については、2 番目以降のタスクで構成します。2 番目のタスクは、ファーム サービスを構成する前に、すべてのサーバーをファームに追加する必要があることを示しています。サーバーをファームに追加したり、既に追加されているサーバーを確認するには、[サーバー構成の管理] タブをクリックし、[トポロジおよびサービス] の [ファーム サーバー] をクリックします (図 5 参照)。

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図 5 ファーム サービスを構成する前に、すべてのサーバーをファームに追加する

この小規模なサーバー ファームの例では、Web サービスとアプリケーション サービスを同じサーバーに展開し、データベースを別のサーバーに展開します。一覧には、既に 2 つのサーバーが追加されています。次のタスクでは、Project Server サービスを開始します。これらのサービスを構成するには、[サーバー構成の管理] タブをクリックし、[トポロジおよびサービス] の [サーバーのサービス] をクリックします (図 5 参照)。このオプションを選択すると、図 6 のような画面が表示されます。

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図 6 サーバー上で実行されるサービスの構成

既定では、一部のサービスは開始されません。これらのサービスを開始するには、[開始] を選択する必要があります。この画面に表示されるサービスは、Microsoft 管理コンソール (MMC) の [コンピュータの管理] に表示されるサービスに対応しています。WSS Search サービスを開始する場合は、Search サービスのアカウントとコンテンツ サービスのアカウントに対応した資格情報を提供する必要があることに注意してください。

WSS Search サービスは、Project Server のヘルプを検索するための基本機能を提供します。このサービスには、サーバー ファームの実装の種類にかかわらず、ファームの管理者グループに属していないドメイン アカウントを使用する必要があります。必要な権限は、すべて構成中に割り当てられます。このページで行う最後の構成手順は、インデックス作成スケジュールの指定です。このスケジュールは、Project Server 環境の毎日の運用要件を十分に把握できるまでは、既定のままにすることをお勧めします。大規模な環境では、専用の検索サーバーを用意してもよいでしょう。

Project Server の最後の構成手順では、2 つの Web サイト用の Web アプリケーションを作成します。2 つの Web サイトとは、Project Web Access (PWA) サイトと共有サービス プロバイダ (SSP) ホーム サイトです。また、PWA Web アプリケーション用のサイト コレクションも作成する必要があります。共有サービス ホーム サイトの作成は、サーバーの全体管理 Web サイトに表示される管理タスクの一覧に含まれる最後のタスクの一部として行います (図 4 参照)。

まず、PWA サイト用の新しい Web アプリケーションを作成します。サーバーの全体管理サイトの [アプリケーション構成の管理] をクリックし、[SharePoint Web アプリケーション構成の管理] の [Web アプリケーションの作成または拡張] をクリックします。次のページが読み込まれたら、[新しい Web アプリケーションの作成] をクリックします (図 7 参照)。

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図 7 新しい SharePoint Services Web アプリケーションの作成

まず、IIS Web サイトの説明を入力し、ポート番号を選択します。この例では既定のポートである 80 を使用していますが、環境内の Web サーバーで他のサイトもホストされている場合は、IIS の既定の Web サイトと構成が競合するため、別のポートを指定する必要があります。また、さらに柔軟に IIS を構成する必要がある場合は、ホスト ヘッダーを使用することもできます。

次の項目は、仮想ディレクトリのパスです。通常、このパスを変更する必要はありません。

次のセクションでは、セキュリティを構成します。最初の 2 つの項目では、認証プロトコルと、匿名アクセスを許可するかどうかを指定します。認証プロトコルには既定の NTLM を使用します。また、匿名アクセスは無効にすることをお勧めします。次のセクションでは、Web アプリケーションによって使用されるアプリケーション プールを構成します。資格情報セクションに任意のドメイン アカウントを入力し、その他のオプションは既定値のままにします。最後に、検索サーバーを選択する必要があります。2 台のサーバーで構成されるファームの場合は、ローカル サーバーを選択します。

アプリケーションを作成したら、サイト コレクションを作成する必要があります。これを行うには、[Create a new WSS site collection] (新しい WSS サイト コレクションの作成) を選択し、サイト コレクションの名前、説明、URL 名とパスなど、必要な情報を入力します。このサイトには、どのテンプレートを使用してもかまいませんが、通常はチーム サイト テンプレートから始めることをお勧めします。[トップ レベル サイトが作成されました] ページが読み込まれたら、サイトは正しく作成されています。

次は、共有サービス プロバイダをホストする Web アプリケーションを作成します。サーバーの全体管理サイトの [アプリケーション構成の管理] をクリックし、[SharePoint Web アプリケーション構成の管理] の [Web アプリケーションの作成または拡張] をクリックします。次のページが読み込まれたら、[新しい Web アプリケーションの作成] をクリックします。既存の Web サイトを使用せずに、新しいポート番号を使用するサイトを作成します。ポート番号はランダムに指定されたものでも、任意で選択したものでもかまいません。PWA 用の Web アプリケーション プールを作成したときと同じ手順を実行します。このとき、アプリケーション プールの資格情報を再利用することもできます。プロセスが完了すると、[作成済みアプリケーション] ページが表示されます。

次に、共有サービス プロバイダを作成します (図 8 参照)。共有サービス プロバイダは、Project Server のアプリケーション サービスで活用される WSS 3.0 インフラストラクチャの重要なコンポーネントです。また、このプロバイダを作成することによって、ファーム内のサーバー間で共通のプロバイダを使用できるようになります。

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図 8 共有サービス プロバイダの作成

共有サービス プロバイダを作成するには、[アプリケーション構成の管理] タブをクリックし、[Office SharePoint Shared Services] (Office SharePoint 共有サービス) の [このファームの共有サービスの作成または構成] をクリックします。次のページで、[新しい SSP] をクリックし、その構成オプションを選択します。このとき、この共有サービス用に作成した Web アプリケーションを必ず選択してください。

唯一の必須データは、この SSP サービスに使用する資格情報です。それ以外のオプションは既定値のまま使用できますが、念のためそれぞれの値を確認してください。この例では、前の手順で作成した 2 つの Web アプリケーションが指定されている必要があります。サービスが作成されると、[成功] ページが表示されます。

最後に、Project Server インスタンスを作成します。[成功] ページの [OK] をクリックすると、[このファームの共有サービスの管理] ページが表示されます。作成された共有サービスの名前をクリックすると、[共有サービス管理] ページが表示されます。[Project Web Access サイト] リンクをクリックし、ページが読み込まれたら、[Project Web Access サイトの作成] をクリックします (図 9 参照)。

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図 9 Project Web Access サイトの作成

次のページが読み込まれたら、使用する Web アプリケーション、PWA 用に使用するパス、管理に使用するアカウントの名前など、構成情報を確認します。共有サービス Web アプリケーションではなく、前の手順で拡張した Web アプリケーションを選択します。

また、データベース サーバーの名前を入力する必要があります。[OK] をクリックすると、データベースと Web サイトの作成プロセスが開始されます。図 9 の画面に再び戻りますが、今度は Web サイトが表示されます。この Web サイトの状態は、作成プロセスの進行状況に従って変化します。プロセスが完了すると、サイトの状態は "準備済み" になり、Project Server の実装が完了します (図 10 参照)。

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図 10 Project Server 2007 のインスタンス

まとめ

Project Server 2007 は、これまでの Project Server の長い歴史の中で最も重要なリリースであることは間違いありません。マイクロソフトは、Project Server 2007 をこれまでのバージョンから大幅に強化するため、多大な時間と労力を費やしました。これまで Project Server を使用したことがない場合は、この機会にぜひ試してみてください。

Alan Maddison は、Brocade 傘下の Strategic Business Systems でマイクロソフト テクノロジを専門とするシニア コンサルタントを務めています。