Exchange 2007 のクライアント機能
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2007-06-04
Microsoft Exchange Server 2007 には、ユーザーのメッセージングの操作性を向上したり、管理者のメッセージング環境の管理を容易にするようないくつものクライアント固有の機能が含まれています。ここでは、これらの機能の多くを簡単に紹介します。
概要
Exchange 2007 内のメールボックスにアクセスする非 MAPI メッセージング クライアントはすべて、クライアント アクセス サーバーの役割がインストールされている Exchange Server コンピュータに接続することになります。クライアント アクセス サーバーの役割は、エッジ トランスポート サーバーの役割以外のどの Exchange サーバーの役割を実行するコンピュータにもインストールできます。クライアントが Office Outlook Web Access、Outlook Anywhere、Exchange ActiveSync、POP3、IMAP4 のいずれかのクライアントを使用して、メールボックス サーバーの役割のインストールされている Exchange サーバー上のメールボックスにアクセスする場合、そのクライアントはメールボックス サーバーと直接通信するクライアント アクセス サーバーに接続することになります。
.gif "note") 注 : |
|---|
| クライアント アクセス サーバーの役割とメールボックス サーバーの役割は、同一 Exchange Server 2007 コンピュータにインストールできます。この場合、クライアント アクセス サーバーの役割がクライアントの要求を処理し、メールボックス サーバーの役割と通信し、同一コンピュータ上ですべてが処理されます。 |
Exchange ActiveSync
Exchange 2007 では、Exchange ActiveSync にいくつかの新機能が含まれています。以下にその一部を紹介します。
- HTML メッセージのサポート
- フラグのサポート
- 高速メッセージ取得のサポート
- 会議の出席者の情報
- Exchange Search の拡張
- Windows SharePoint Services および Windows のファイル共有ドキュメント アクセス
- グローバル アドレス一覧の検索
- パスワードのリセット
- デバイス パスワードのセキュリティ ポリシー設定の拡張
- 不在時の構成のサポート
- Outlook Web Access を通じたセルフ サービスのデバイス管理サポート
- Exchange 管理コンソールで統合されたデバイス管理
- デバイス ID によるデバイス同期許可のサポート
- 仕事の同期のサポート
- ダイレクト プッシュ
| 注 : |
|---|
| これらの機能の多くは、Windows Mobile クライアント ソフトウェアの最新リリースでのみ使用可能です。 |
| 注 : |
|---|
| Exchange ActiveSync とモバイル デバイスを使用してユニファイド メッセージングにアクセスする場合は、ボイス メール メッセージの添付 .wma ファイルをダウンロードして聞くことができます。 |
Exchange ActiveSync の詳細については、以下のトピックを参照してください。
Outlook Web Access
Outlook Web Access は、Exchange Server 2007 でいくつもの新機能が追加され、機能強化が施されています。以下にその一部を紹介します。
- 新しい統合検索と高度な検索機能。
- メッセージの表示の向上。これには、グループ化機能、並べ替え機能、メッセージ フラグ、テーマ別表示などが含まれます。
- 連絡先およびアドレス帳の情報の参照と検索の向上。
- 予定表の表示の向上。これには、会議予約機能の向上、分類の色分けなどがあります。
- 統合アラーム。
- 常に最新情報を維持するためのメール配信。
- 不在時の高度なスケジューリングと不在時管理の強化。
- モバイル デバイス管理。
- ユーザーの視覚の状態に合わせた操作環境の向上。
.gif "Caution")
注意 :Pocket Internet Explorer を使用して Outlook Web Access Light にアクセスしている場合は、電子メール メッセージに添付されている音声メール メッセージを聴くことができます。ただし、Pocket Internet Explorer は Outlook Web Access Light でサポートされているプラットフォームではないため、この機能はサポートされません。
Outlook Web Access の詳細については、以下のトピックを参照してください。
Outlook Anywhere
Exchange 2007 の Outlook Anywhere 機能は、以前は RPC over HTTP と呼ばれていたもので、Exchange にインターネットを介して接続する Microsoft Outlook 2003 クライアントまたは Outlook 2007 クライアントに Exchange メッセージング環境へのアクセスを提供します。クライアント アクセス サーバーの役割がインストールされているコンピュータ上で Windows Server 2003 に RPC over HTTP プロキシ Windows ネットワーク コンポーネントをインストールし、Outlook Anywhere を有効にしている場合、Outlook Anywhere を使用することにより、ユーザーが Outlook 2003 または Outlook 2007 を使用して自分の Exchange 2003 または Exchange 2007 メールボックスに接続することができます。Outlook Anywhere を有効にすることにより、インターネット ベースのユーザーが、社内ネットワークへの仮想プライベート ネットワーク (VPN) 接続を作成することなく自分の Exchange メールボックスに接続する信頼性が高く効率的な方法が得られます。
Outlook Anywhere の詳細については、以下のトピックを参照してください。
POP3/IMAP4 アクセス
Exchange 2007 では、POP3 (Post Office Protocol version 3) および IMAP4 (インターネット メッセージ アクセス プロトコル Version 4rev1) を使用して、現在もこれらのプロトコルを使用しているクライアントをサポートすることができます。新しくインストールした Exchange の既定では、POP3 サービスと IMAP4 サービスは両方とも無効化されています。さらに、どちらのプロトコルでも、Exchange Server の予定表情報へのアクセスには制限があります。これら 2 つのプロトコルの基本的な機能は、以下のとおりです。
- POP3 POP3 は、オフラインのメール処理をサポートするように設計されています。POP3 では、クライアントで特に指定していない限り、電子メール メッセージはサーバーから削除されてローカルの POP クライアント上に保存されます。このため、データの管理とセキュリティの責任はユーザーが負うことになります。
- IMAP4 IMAP4 ではオフラインとオンラインのアクセスが提供されますが、POP3 と同じく、スケジュール、グループの予定表、仕事と連絡先の管理などの高度なコラボレーション機能は利用できません。
POP3 および IMAP4 の詳細については、「POP3 および IMAP4 の管理」を参照してください。
予定表機能
Exchange 2007 には、ユーザーに高度な予定表機能を提供するために設計された一連の新規コンポーネントが用意されています。以下のコンポーネントが含まれます。
- カレンダー アテンダント
- スケジュール アテンダント
- リソース予約アテンダント
- 可用性サービス
これらの予定表機能の詳細については、「Outlook Web Access のクライアント機能」を参照してください。
カレンダー アテンダント
カレンダー アテンダントは、すべてのメールボックスへの会議出席依頼を処理します。以前のバージョンの Exchange では、会議関連の処理のほとんどがクライアント コンピュータ上で行われていました。カレンダー アテンダントは、新しい会議を仮の予定として自動的に予定表に配置し、新しい情報を使用して既存の会議を更新し、実施日を過ぎている会議出席依頼を削除します。クライアントの操作は必要ありません。
スケジュール アシスタント
スケジュール アシスタントは、クライアントが Outlook Web Access または Outlook 2007 を使用している場合の会議予約を簡単にします。色づけされたインターフェイスによって、会議に最適な日付と時刻が自動的に推奨されます。また、ユーザーは自分の就業時間を設定できます。
スケジュールの詳細については、「リソース スケジューリングの管理」を参照してください。
リソース予約アテンダント
Exchange 2007 は、部屋または施設としての会議リソースを識別し、これらの種類の各リソースに特別な属性を含めます。たとえば、部屋リソースには、収容人数の属性が含められます。オーディオ ビジュアル機能などのカスタム属性も定義できます。リソース予約アテンダントは、以下の機能を提供します。
- リソースを予約できるユーザーの制限
- 最大会議期間の強制
- 就業時間中のみの会議のスケジューリング
- ポリシーから外れた要求の承認を委任するための要求の転送
- 辞退された会議の重複情報の提供
リソース スケジュールの詳細については、「リソース スケジューリングの管理」を参照してください。
可用性サービス
可用性サービスを使用すると、Outlook 2007 クライアントおよび Outlook Web Access クライアントから空き時間情報が利用できるようになります。可用性サービスは、空き時間情報を Exchange 2007 上のユーザーのメールボックスから直接提供しますが、以前のバージョンの Exchange Server 上のユーザーのためにパブリック フォルダから空き時間情報を取得するようにも構成できます。スケジュール アシスタントは、以下の処理の実行に可用性サービスを使用します。
- Exchange 2007 メールボックスの最新の空き時間情報の取得
- その他の Exchange 2007 組織からの最新の空き時間情報の取得
- Exchange 2007 より前のバージョンの Exchange を持つサーバー上のメールボックスのパブリック フォルダからの発行された空き時間情報の取得
- 出席者の就業時間の表示
- 会議時間のお勧めの表示
可用性サービスの詳細については、「可用性サービスの管理」を参照してください。
不在時
Exchange 2007 には、不在時機能にいくつかの新機能と機能拡張があります。これらの機能の内容は次のとおりです。
- ユーザーは、将来の不在時時刻をスケジュールできます。このため、不在時状態を設定しなければならないことを覚えておく必要がありません。
- ユーザーは、外部ユーザー向けと自分の組織内のユーザー向けに 1 つずつ、異なる 2 種類の不在時メッセージを作成できます。
- ユーザーは、外部向けの不在時メッセージの送信先を自分の連絡先の一覧に含まれている外部受信者のみにすることができます。
- 不在時メッセージは、テキストではなく HTML で送信されます。
管理者は、外部向け不在時機能をメールボックス レベルで管理できます。外部向け不在時機能は、ユーザーごとおよびドメインごとに構成できます。
自動検出サービス
自動検出サービスは、Outlook およびサポートされている Exchange ActiveSync デバイスに構成情報を自動的に提供する Exchange 2007 新機能です。以前のバージョンの Microsoft Exchange では、ユーザーは、自分のプロファイルを構成するためにいくつもの設定を構成する必要がありました。これらの設定には、サーバー名、メールボックス名、ユーザー アカウント情報などがありました。Exchange 2007 の自動検出サービスを使用すると、ユーザーは自分の電子メール アドレスとパスワードだけ提供すればよくなります。ユーザーの構成情報の入った XML ファイルが、自動検出サービスから返されます。Outlook 2007 クライアントまたはサポートされている Exchange ActiveSync デバイスは、この情報を使用してユーザーのプロファイルを作成します。自動検出サービスは、プロファイル作成の支援に加えて、サーバー設定やユーザーのプロファイルに変更が加えられた後のあらゆる Exchange 接続設定の修復も行います。
表 1 に、自動検出サービスの使用がサポートされているクライアント アプリケーションとプロトコルを示します。
表 1 自動検出サービスをサポートしているクライアント アプリケーションとプロトコル
| クライアント アプリケーション | プロトコル |
|---|---|
Microsoft Office Outlook 2007 |
MAPI と RPC over HTTP |
ActiveSync |
ActiveSync |
自動検出サービスの詳細については、以下のトピックを参照してください。
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。