SQL Server 2005 Tips and Tips

第 8 回 SQL Server 2005 の更新プログラム提供モデル (ISM)

公開日: 2008 年 6 月 18 日

長崎友嘉

このページの内容は公開・更新された当時のものです。

SQL Server 2005 の "はまりがち" なトピックを、毎月 1 つずつ取り上げて具体的に解説する「SQL Server 2005 Tips and Tips」。第 5 回からは、マイクロソフト社サポート担当への問い合わせが多い環境設定に関するトピックを中心に、わかりやすい解説をお届けしています。

2007 年の SQL Server 2005 Service Pack 2 の公開以降、「General distribution release (GDR)」や「累積的な更新プログラム (Cumulative update、CU)」など、SQL Server 2005 SP2 に対する重要な、または累積的な更新プログラムの公開が複数回行われています。
そこで第 8 回となる今回は、「増分サービス モデル (Incremental Servicing Model、ISM)」などの SQL Server 2005 の更新プログラムに関する情報をご紹介します。

トピック

増分サービス モデル (Incremental Servicing Model、ISM)
SQL Server 2005 SP2 公開の直後に提供された General distribution release (GDR)
SQL Server 2005 SP2 公開以降に提供された累積的な更新プログラム (CU)
参考資料

増分サービス モデル (Incremental Servicing Model、ISM)

SQL Server 2005 の更新プログラムに関する基礎知識として、下記 URL (KB 935897) にまとめられている「増分サービス モデル (Incremental Servicing Model、ISM)」を確認しておく必要があります。

SQL Server チームによって導入された ISM の目的は、累積的な更新プログラムを定期的に、おおまかに予定されたスケジュールで提供することです。
累積的な更新プログラムが定期的に提供されることにより、SQL Server ユーザは更新プログラムの適用を計画的に実施することができるようになります。

ISM では、更新プログラムの提供は以下のように分類されます。
(1) 重大なオンデマンド修正プログラム (Critical on-demand、COD)
(2) オンデマンド修正プログラム (On-demand、OD)
(3) 累積的な更新プログラム (Cumulative update、CU)
(4) General distribution release (GDR)

このうち、COD と OD に関してはユーザからの依頼に基づいて不定期に、個別に提供されるものです。
CU は定期的 (約 2 カ月ごと) に提供される ISM の目的に沿った更新プログラムであり、すべての COD (重大なオンデマンド修正プログラム) を含みます。この更新プログラムは定期的に公開されますが、入手するためには (簡易的なものではありますが) 申請が必要です。
GDR は、重大なセキュリティの問題など、広い範囲に対して早急に適用する必要がある更新プログラムです。GDR は Microsoft Update や Windows Update でも提供される場合があり、入手のための申請は必要ありません。

ここで重要なポイントは、COD、OD、CU、GDR のいずれについてもサポート契約の種類にかかわらず依頼や入手申請を行うことができるということです。特に、CU (累積的な更新プログラム) については定期的な適用のニーズがあると考えられますが、これについても簡単な申請で入手することが可能です。ISM でのスケジュールに従って、約 2 カ月おきに CU の適用を計画してもよいでしょう。

もちろん、正常に動作している (「修正対象となっている特定の問題」の影響を受けていない) 環境に対して、無意味な更新プログラムを適用する必要はありません。
CU は、十分にテストされてから公開される「Service Pack」の扱いではなく、特定の問題を解決するために十分なテストが行われない状態で提供される「Hotfix」の扱いとなりますので、注意が必要です。CU に関する KB でも、「修正対象となっている特定の問題」に該当しない場合は CU を適用せずに次の Service Pack を待つように記述されています。

ISM には含まれていませんが、
(5) Service Pack (SP)
による更新プログラムの提供も当然に存在します。
マイクロソフトへフィードバック情報を伝えることのできる「Microsoft Connect」サイトでは、上記のような CU の位置付けに関する課題 (CU が複数回リリースされているが SP を待つことが推奨されている) に関連して SP3 の提供要望が多数寄せられており、マイクロソフトでは SQL Server 2005 SP3 の提供を SQL Server 2008 の RTM 後に計画しています。

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SQL Server 2005 SP2 公開の直後に提供された General distribution release (GDR)

SQL Server 2005 SP2 の公開直後の数カ月の間、重要な更新プログラムが 4 件、相次いで GDR として提供されました。そのリストを掲載します。

ビルド番号: 3050

ビルド番号: 3054

ビルド番号: 3152

ビルド番号: 3159

SQL Server 2005 SP2 は、ダウンロードしたタイミングによって異なるビルドが存在します。過去にダウンロードできたものを「SP2 Original (ビルド番号: 3042)」と呼び、現在ダウンロードできるものを「SP2 Refresh (ビルド番号: 3042、一部 3043)」と呼称します。 この「SP2 Original」「SP2 Refresh」と 4 つの GDR にはインストール順序に制約があります。詳細は下記 URL をご確認ください。

なお、SQL Server のビルド番号を確認するためには以下の Transact-SQL ステートメントを発行します。

SELECT @@VERSION

画面 1: SELECT @@VERSION

画面 1: SELECT @@VERSION

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たとえば、ビルド番号 3054 に対してビルド番号 3512 にあたる KB933097 (x86 であれば「sqlserver2005-kb933097-x86-enu.exe」) は適用できません。
このようなケースでは更新プログラムのインストーラで画面 2 のようなメッセージが表示されます。

画面 2: ビルド番号 3054 に対してビルド番号 3512 は適用できない

画面 2: ビルド番号 3054 に対してビルド番号 3512 は適用できない

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SQL Server 2005 SP2 公開以降に提供された累積的な更新プログラム (CU)

SQL Server 2005 SP2 の公開以降、CU (累積的な更新プログラム) が定期的に提供されています。そのリストを掲載します。

ビルド番号: 3161

ビルド番号: 3175

ビルド番号: 3186

ビルド番号: 3200

ビルド番号: 3215

ビルド番号: 3228

ビルド番号: 3239

ビルド番号: 3257

2008 年 6 月時点では CU7 が公開されていますが、CU8 に関する KB も既に掲載されています (更新プログラムは未公開です)。
前述したように、CU の入手には申請が必要になりますが特別なサポート契約は必要ありませんのでどなたでも入手可能です。適用するかしないかは別として、一度、入手方法を確認するために申請してみてもよいでしょう。

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参考資料

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