Windows 7 評価ガイド

場所を問わない情報へのアクセス

業界動向を分析する複数の機関によると、2008 年には、米国を拠点とする企業に導入されるポータブルPC の数がデスクトップPC の数を上回ると予測されています。この傾向は、出張や単なる自宅での残業など目的はさまざまですが、モビリティに対する要求が高まっていることを明確に示しています。一方で、ユーザーが自分のコンピューターを使用して自宅で仕事をしたり、任意の PC を使用して企業のアプリケーションにリモート アクセスできるようにする企業も急速に増加しています。つまり、職場、自宅、その他の場所からアプリケーションやデータへ柔軟にアクセスできるようにすることは、あらゆる企業の IT 戦略において最重要課題となっています。

Windows 7 では、場所やネットワークの種類を問わず、簡単に接続を確立 / 維持できます。 Windows 7 はエンド ユーザーのニーズを満たすだけでなく、より安全で、信頼性が高く、柔軟で、コスト効率の高い方法で、 IT プロフェッショナルのニーズを満たします。

DirectAccess

DirectAccess を利用すると、リモート ユーザーはインターネット接続を確立していればいつでも、企業ネットワークにアクセスできるようになります。 VPN 接続を開始するために追加の手順は必要なく、オフィス外での生産性が向上します。 IT プロフェッショナルに対しては、DirectAccess は、ユーザーの PC をリモートで管理/ 更新するためのより安全で柔軟な企業ネットワーク インフラストラクチャを提供します。 DirectAccess は「常に管理された」インフラストラクチャを提供することで、 IT 管理を簡略化します。ここでは、ネットワーク上とネットワーク外のすべてのコンピューターが、健全で、管理され、更新された状態を維持できます。

IT プロフェッショナルは DirectAccess によって、ユーザーがアクセス可能なネットワーク リソースに対して、きめ細かい制御を維持できます。たとえば、企業アプリケーションへのリモート ユーザー アクセスの管理には、グループ ポリシーの設定を使用できます。また、 DirectAccess では、インターネット トラフィックを内部ネットワーク リソースへのアクセスから切り離すことができるので、ユーザーは企業ネットワーク上に追加の通信トラフィックを生成することなく、パブリックなWeb サイトにアクセスできます。

DirectAccess を利用する場合、IT プロフェッショナルは Windows Server 2008 R2 を展開して IPv6 と IPSec を実装する必要があります。

VPN Reconnect

DirectAccess は強力なメリットを提供しますが、必要なインフラストラクチャをすぐには実装できない企業もあります。その間、 VPN 接続に依存するエンド ユーザーの接続エクスペリエンスは、 VPN Reconnect ( 「エンド ユーザーのための Windows 7 」を参照) によって向上させることができます。これにより、サポート コストと IT プロフェッショナルへのヘルプ デスク コールを減少できます。

RemoteApp とデスクトップ接続

企業は、セキュリティ、コスト削減要求、リモート ユーザー サポートの必要性を考慮しながら、クライアント アプリケーションを自社のデータ センターのサーバーで集中的にホストする方法を求めています。何年もの間、 IT プロフェッショナルは、マイクロソフトのターミナル サービス テクノロジを利用して、これを実現してきました。しかし、以前のバージョンのWindows では、ターミナル サービスによってホストされたアプリケーションのユーザー エクスペリエンスは、クライアント- ホスト型のアプリケーションによるエクスペリエンスとは明らかに異なっていました。これらのアプリケーションによるユーザー エクスペリエンスはスマートではなく、ユーザーはこれらを[ スタート] メニューから起動することもできませんでした。

Windows 7 では、Windows Server 2008 R2 のターミナル サービスに接続したときのユーザー エクスペリエンスが向上しています。オフィスでも外出先でも、ユーザーは任意のWindows 7 PC から、リモート アプリケーションやリモート デスクトップ セッションに簡単に接続できるようになります。接続が確立したら、ローカル アプリケーションの場合と同じように、 [ スタート] メニューからリモート アプリケーションまたはデスクトップにアクセスできます。アプリケーションの起動方法も外観も、ローカルで実行する場合とまったく同じです。 IT プロフェッショナルが用意した新しいアプリケーションは[ スタート] メニューに自動的に表示されるので、ユーザーは常に最新のプログラムにアクセスできます。

強化されたフォルダー リダイレクトとオフライン ファイル

「エンド ユーザーのための Windows 7 」で説明したように、フォルダー リダイレクトとオフライン ファイル機能によって、ユーザーは企業ネットワークに接続していないときに、中央のサーバーに保存されているファイルにアクセスできます。 Windows 7 ではこれらの機能が強化され、初期待機時間が短くなりました。 Windows 7 では、IT プロフェッショナルによるフォルダー リダイレクトとオフライン ファイル機能の管理方法も強化されています。たとえば、グループ ポリシーを使用して、特定の種類のファイル( 音楽ファイルなど) をサーバーと同期させないようにすることもできます。また、ユーザーが中央のサーバーと同じローカル エリア ネットワークに接続されていない場合、オフライン ファイルは " 通常のオフライン" モードで動作するので、ブランチ オフィスやリモート アクセス シナリオにおけるパフォーマンスが向上します。さらに管理者は、オフライン ファイルがサーバーと同期するタイミングを制御したり、固有の同期間隔を設定したり、帯域幅管理のためにその他のタイミングをブロックしたり、ファイルの再同期化が必要となるまでにどれだけ「古い」状態を許容するかを構成することもできます。

改善された移動ユーザー プロファイル

Windows 7 では移動ユーザー プロファイルがより使いやすく信頼できるものになっており、 IT プロフェッショナルは、ユーザーがログオン中であっても、ユーザーのプロファイルをサーバーと自動的に同期できます。 Windows 7 より前のバージョンでは、ユーザーがログオフしたときでないと、同期できませんでした。この改善により、ユーザーは両方のPC にログインした状態で PC 間を移動できるようになり、一貫性のある同じ環境を維持できます。

BranchCache

最新の調査によれば、ブランチ オフィスの数と、ブランチ オフィスの従業員数は増加しています。ところが、ブランチ オフィスのユーザーの生産性は、ネットワーク帯域幅の制約やアプリケーションの応答の待ち時間によって悪影響を受ける可能性があります。この領域でマイクロソフトがIT プロフェッショナルに提供してきた既存のツールには、 Windows XP のバックグラウンド インテリジェント転送サービスや、Windows Server 2008 の分散ファイル システム レプリケーション サービスなどがあります。

Windows 7 では、ブランチ オフィスにおけるユーザーの生産性向上に向けた次のステップとして、 BranchCache が導入されています。BranchCache では、リモート ファイルや Web サーバーのコンテンツがブランチ側にキャッシュされるので、ユーザーはこの情報にすばやくアクセスできるようになります。このキャッシュはブランチ側にあるサーバーで集中的にホストされるか、ユーザーのPC に配布されます。

BranchCache は企業で一般的に使用されているのと同じネットワーク プロトコル (HTTP(S) や SMB) をサポートしているので、これらのネットワーク プロトコルに基づくアプリケーションはすべて、このテクノロジを自動的に利用することになります。たとえば、 Windows Media Player は HTTP プロトコルを使用しているので、社内のトレーニング ビデオはキャッシュされ、ブランチ オフィスのユーザーは効率的に視聴できます。さらにBranchCache はネットワーク セキュリティ プロトコル (SSL や IPSec など) もサポートしているので、承認されたクライアントのみが要求されたデータにアクセスできるようになります。

BranchCache を利用する場合、 IT プロフェッショナルは Windows Server 2008 R2 を展開する必要があります。

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