App-V 5.0 レポートについて

適用対象: Application Virtualization 5.0 SP1, Application Virtualization 5.0 SP2, Application Virtualization 5.0 SP3

Microsoft Application Virtualization (App-V) 5.0 に組み込みまれているレポート機能を使用して、App-V 5.0 クライアントを実行しているコンピューターに関する情報や仮想アプリケーション パッケージの使用に関する情報を収集できます。この情報を使用して、一元管理されているデータベースからレポートを生成できます。

App-V 5.0 レポートの概要

次の一覧は、App-V 5.0 のレポートに関するワークフロー全体の概要を示しています。

  1. Microsoft Application Virtualization (App-V) 5.0 レポート サーバーには次のような前提条件があります。

    • インターネット インフォメーション サービス (IIS) Web サーバーの役割

    • Windows 認証の役割 (IIS / Security の下)

    • インストールされ、SQL Server Reporting Services (SSRS) を実行している SQL Server

    SQL Server Reporting Services が実行されていることを確認するには、App-V 5.0 レポートをホストするサーバーで管理者として Web ブラウザーを使用して https://localhost/Reports を表示します。SQL Server Reporting Services のホーム ページが表示されるはずです。

  2. App-V 5.0 レポート サーバーと関連するデータベースをインストールします。レポート サーバーのインストール方法については、「レポート サーバーをスタンドアロン コンピューターにインストールしてデータベースに接続する方法」をご覧ください。App-V 5.0 クライアントを実行中のコンピューターがレポート サーバーにデータを送信するタイミングを構成します。

  3. レポートを表示するのに構成マネージャーなどの電子ソフトウェア配布システムを使用していない場合は、SQL Server Reporting Service でレポートを定義できます。https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=397255 にあるダウンロード センターから、事前定義の レポートをダウンロードします。

    注意

    App-V 5.0 との構成マネージャー統合を使用している場合は、ほとんどのレポートが App-V 5.0 ではなく、構成マネージャーから生成されます。詳細については、「Introduction to Application Management in Configuration Manager」と、「List of Reports Supplied with Microsoft System Center 2012 R2 Configuration Manager」の「仮想化アプリケーション」をご覧ください。

  4. 管理者として Import-Module AppvClient を使用して App-V 5.0 PowerShell モジュールをインポートしたら、App-V 5.0 クライアントを有効にします。このサンプル PowerShell コマンドレットは App-V 5.0 レポートを有効にします。

    Set-AppvClientConfiguration –reportingserverurl <url>:<port> -reportingenabled 1 – ReportingStartTime <0-23> - ReportingRandomDelay <#min>
    

    すぐに App-V 5.0 レポート データを送信するには、App-V 5.0 クライアント上で Send-AppvClientReport を実行します。

    レポート機能を有効にした App-V 5.0 クライアントのインストール方法の詳細については、「クライアント構成設定について」をご覧ください。Windows PowerShell を使用して App-V 5.0 レポートを管理するには、「PowerShell を使用して App-V 5.0 クライアントのレポート機能を有効にする方法」をご覧ください。

  5. レポート サーバーは、App-V 5.0 クライアントからデータを受信すると、そのデータをレポート データベースに送信します。データベースがクライアント データを受信して処理すると、成功応答がレポート サーバーに送信され、その後、通知が App-V 5.0 クライアントに送信されます。

  6. App-V 5.0 クライアントは成功通知を受信すると、領域を節約するために、データ キャッシュを空にします。

    注意

    既定で、キャッシュはサーバーがデータの受信を確認してから消去されます。データ キャッシュを節約するようにクライアントを手動で構成できます。

    App-V 5.0 クライアント デバイスがサーバーから成功通知を受信しなかった場合、データはキャッシュ内に保持され、構成されている次の間隔でデータの再送が試行されます。クライアントはデータの収集とキャッシュへの追加を継続します。

App-V 5.0 レポート サーバーに関するよくある質問

次の表に、App-V 5.0 レポートに関するよくある質問への回答を示します。

質問 詳細情報

レポート情報はどのくらいの頻度でレポート データベースに送信されますか?

頻度は、App-V 5.0 クライアントを実行しているコンピューターのレポート タスクの構成方法によって異なります。レポート データを送信する頻度や間隔を構成する必要があります。App-V 5.0 レポートは既定で有効になっていません。

レポート サーバー データベースにはどのような情報が保存されますか?

次の一覧に、レポート データベースに保存される情報を示します。

  • App-V 5.0 クライアントを実行しているコンピューター上で動作しているオペレーティング システム: ホスト名、バージョン、サービス パック、種類 (クライアントまたはサーバー)、プロセッサー アーキテクチャ。

  • App-V 5.0 クライアント情報: バージョン。

  • 公開されたパッケージ リスト: GUID、バージョン GUID、名前。

  • アプリケーション使用情報: 名前、バージョン、ストリーミング サーバー、ユーザー (ドメイン\エイリアス)、パッケージ バージョン GUID、起動状態と起動時刻、シャットダウン時刻。

レポート サーバーに送信される情報量の平均はどのくらいですか?

場合によって異なります。次の一覧に、レポート サーバーに送信される 3 つのデータ セットを示します

  1. オペレーティング システムおよび App-V 5.0 クライアント情報。データが送信されるたびに約 150 バイト。

  2. 公開されたパッケージ リスト。30 パッケージごとに約 7 KB。この情報は、パッケージ リストがたまに実施される公開の更新で更新された場合にのみ送信されます。変更がなかった場合は送信されません。

  3. 仮想アプリケーション使用情報 – イベントにつき約 0.25 KB。情報を送信する前に仮想アプリケーションを開いて閉じた場合は、1 つのイベントとしてカウントされます。スケジュールしたタスクを使用して送信する場合、最後の成功アップロード以降のデータのみがサーバーに送信されます。PowerShell コマンドレットを使って手動で送信する場合、データを次回再送信する必要があるかどうかを制御する引数 (DeleteOnSuccess) を任意で使用できます。



    たとえば、レポート情報を毎日送信するようにスケジュールしている場合に 20 のアプリケーションを開いて閉じた場合、通常 1 日のトラフィックは約 0.15 KB + 20 x 0.25 KB、つまり、約 5 KB/ユーザーになります。

レポートをスケジュールすることができますか?

はい。PowerShell コマンドレット (Send-AppvClientReport) を使って手動でレポート送信する以外に、自動的に送信するようにタスクをスケジュールすることができます。レポートをスケジュールする方法は 2 つあります。

  1. PowerShell コマンドレット (Set-AppvClientConfiguration) を使用する。例:

    Set-AppvClientConfiguration -ReportingEnabled 1 - ReportingServerURL http://any.com/appv-reporting



    クライアント構成設定の完全な一覧については、「クライアント構成設定について」の次のエントリをご覧ください。ReportingEnabledReportingServerURLReportingDataCacheLimitReportingDataBlockSizeReportingStartTimeReportingRandomDelayReportingInterval.



  2. グループ ポリシーを使用する。ドメイン コントローラーを使って配布する場合の設定は、前述の設定と同じです。

    注意

    グループ ポリシー設定は、PowerShell を使って構成したローカル設定より優先されます。

App-V 5.0 クライアント レポート

App-V 5.0 レポート機能を使用するには、App-V 5.0 クライアントをインストールして構成する必要があります。クライアントをインストールしたら、Set-AppVClientConfiguration PowerShell コマンドレットまたは ADMX テンプレートを使用してレポートを構成します。使用できるレポート機能コマンドレットについては、次のリンクをご覧ください。先頭に Reporting が付いています。クライアント構成設定の完全な一覧については、「クライアント構成設定について」をご覧ください。次のセクションでは、PowerShell を使用して App-V 5.0 クライアント レポートを構成する例を示します。

PowerShell を使用した App-V クライアント レポートの構成

次の例は、PowerShell のパラメーターを使用して App-V 5.0 クライアントのレポート機能を構成する方法を示しています。

注意

次の構成タスクは、App-V 5.0 ADMX テンプレートのグループ ポリシー設定を使用して構成することもできます。ADMX テンプレートの使用方法の詳細については、「ADMX テンプレートとグループ ポリシーを使用して App-V 5.0 クライアント構成を変更する方法」をご覧ください。

App-V 5.0 クライアントを実行しているコンピューターでレポート機能を有効にしてデータ収集を開始するには:

Set-AppVClientConfiguration –ReportingEnabled 1

特定のレポート サーバーにデータを自動的に送信するようにクライアントを構成するには:

Set-AppVClientConfiguration –ReportingServerURL http://MyReportingServer:MyPort/ -ReportingStartTime 20 -ReportingInterval 1 -ReportingRandomDelay 30

-ReportingInterval 1 -ReportingRandomDelay 30

この例では、レポート データを http://MyReportingServer:MyPort/ という URL のレポート サーバーに自動的に送信するようにクライアントを構成しています。さらに、セッション用に生成されたランダムな遅延に応じて、毎日午後 8 時 00 分から午後 8 時 30 分の間にレポート データが送信されます。

クライアントのデータ キャッシュのサイズを制限するには:

Set-AppvClientConfiguration –ReportingDataCacheLimit 100

App-V 5.0 クライアントを実行しているコンピューターでレポート キャッシュの最大サイズを 100 MB に構成します。データがサーバーに送信される前にキャッシュ制限に達した場合、ログがロールオーバーされ、必要に応じてデータが上書きされます。

クライアントとサーバー間のネットワーク経由で送信されるデータ ブロック サイズを構成するには:

Set-AppvClientConfiguration –ReportingDataBlockSize 10240

クライアントが送信する最大データ ブロック サイズを 10240 MB に指定します。

収集されるデータの種類

次の表に、App-V 5.0 レポートを使用して収集可能な情報の種類を示します。

クライアントの情報 パッケージ情報 アプリケーションの使用状況

ホスト名

パッケージ名

開始時刻と終了時刻

App-V 5.0 クライアントのバージョン

パッケージのバージョン

実行状態

プロセッサーのアーキテクチャ

パッケージのソース

シャットダウン状態

オペレーティング システムのバージョン

キャッシュされている割合

アプリケーション名

Service Pack のレベル

アプリケーションのバージョン

オペレーティング システムの種類

ユーザー名

接続グループ

クライアントはこのデータを収集して .xml 形式で保存します。データ キャッシュは既定で非表示です。XML ファイルを開くには、管理者権限が必要です。

データをサーバーに送信する

App-V 5.0 クライアントを実行しているコンピューターを、指定したレポート サーバーにデータを自動的に送信するように構成できます。サーバーを指定するには、次の設定で Set-AppvClientConfiguration コマンドレットを使用します。

  • ReportingEnabled

  • ReportingServerURL

  • ReportingStartTime

  • ReportingInterval

  • ReportingRandomDelay

前の設定を構成した後に、スケジュールされたタスクを作成する必要があります。スケジュールされたタスクは、ReportingServerURL 設定で指定されたサーバーに接続して、転送を開始します。スケジュールされた時間外に手動でデータを送信する場合、次の PowerShell コマンドレットを使用します。

Send-AppVClientReport –URL http://MyReportingServer:MyPort/ -DeleteOnSuccess

過去にレポート サーバーを構成したことがある場合は、–URL パラメーターを省略できます。また、データを別の場所に送信する場合は、このデータ収集用に構成されている ReportingServerURL を上書きする別の URL を指定します。

-DeleteOnSuccess パラメーターは、転送が成功した場合にデータ キャッシュがクリアされることを示します。このパラメーターが指定されなかった場合は、キャッシュがクリアされません。

手動のデータ収集

Send-AppVClientReport コマンドレットを使用して、データを手動で収集することもできます。この解決方法は、既存のレポート サーバーがある場合でもない場合でも役立ちます。次の一覧は、レポート サーバーがある場合とない場合のデータ収集に関する情報を示しています。

レポート サーバーがある場合 レポート サーバーがない場合

既存の App-V 5.0 レポート サーバーがある場合、スケジュールされたタスクまたはスクリプトをカスタマイズします。指定した場所に必要な頻度でクライアントからデータを送信するように指定します。

既存の App-V 5.0 レポート サーバーがない場合、–URL パラメーターを使用して、データを指定した共有に送信します。例:

Send-AppVClientReport –URL \\Myshare\MyData\ -DeleteOnSuccess

前の例では、-URL パラメーターで指定された \\MyShare\MyData\ の場所にレポート データが送信されます。データの送信後に、キャッシュがクリアされます。

注意

レポート サーバー以外の場所を指定すると、データが追加処理なしで .xml 形式を使用して送信されます。

レポートを作成する

App-V 5.0 を使用してレポート情報を取得し、レポートを作成するには、次の方法のいずれかを使用する必要があります。

  • Microsoft SQL Server Reporting Services (SSRS) - Microsoft SQL Server Reporting Services は、Microsoft SQL Server で使用できます。App-V 5.0 レポート サーバーをインストールしても、SSRS はインストールされません。関連するレポートを生成するには、SSRS を別途展開する必要があります。

    Microsoft SQL Server Reporting Services のリンクを参照して、その使用方法についてご確認ください。

  • スクリプトを記述する – App-V 5.0 レポート データベースに対して直接スクリプトを作成することでレポートを生成します。例:

    ストアド プロシージャ:

    spProcessClientReport を、深夜、つまり、午前 12 時 00 分に実行するようにスケジュールします。

    Microsoft SQL Server のスケジュールされたストアド プロシージャを実行するには、Microsoft SQL Server Agent が動作している必要があります。Microsoft SQL Server Agent が [自動開始] に設定されていることをご確認ください。詳細については、「SQL Server エージェントの自動起動 (SQL Server Management Studio)」をご覧ください。

    ストアド プロシージャは、App-V 5.0 データベース スクリプトを使用した場合も作成されます。

また、レポート サーバー Web サービスの [同時接続の最大数] を、可用性に影響を与えることなくサーバーが管理できる値に設定する必要があります。レポート Web サービスの推奨される [同時接続の最大数] は、10,000 です。

APP-V への提案がございますか

こちらから提案を追加するか、提案に投票してください。App V の問題については、「APP-V に関する TechNet フォーラム」を利用してください。

関連項目

タスク

レポート サーバーをスタンドアロン コンピューターにインストールしてデータベースに接続する方法

その他の参照情報

App-V 5.0 サーバーの展開

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