エッジ トランスポート ルールで SCL 値を使用可能にする方法
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2007-05-21
ここでは、Exchange 管理シェルを使用して、エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータ上で実行するトランスポート ルールの処理で、メッセージの SCL (Spam Confidence Level) 値を使用できるようにする方法について説明します。
注 : |
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Exchange 管理コンソールを使用して、次の手順を実行することはできません。これらの手順を実行するには、Exchange 管理シェルを使用する必要があります。Exchange 管理シェルを使用する方法の詳細については、「Exchange 管理シェルの使用」を参照してください。 |
Microsoft Exchange Server 2007 では、エッジ トランスポート サーバーで実行するトランスポート ルールは、OnEndOfData
の SMTP (簡易メール転送プロトコル) トランスポート イベントでエッジ ルール エージェントによりメッセージに対して適用されます。エッジ トランスポート サーバーで使用できるトランスポート ルールの条件の 1 つは、[Spam Confidence Level が制限値以上の場合] トランスポート ルール条件です。このトランスポート ルールの条件を使用することで、メッセージにスタンプされた SCL 値に基づいてトランスポート ルールのアクションをメッセージに適用できます。コンテンツ フィルタ エージェントは、メッセージ コンテンツの分析結果に基づいてメッセージに SCL 値をスタンプします。これは、メッセージがスパムであるかどうかを判断するために使用されます。コンテンツ フィルタ エージェントは、OnEndOfData
SMTP トランスポート イベントでも実行されます。
注 : |
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コンテンツ フィルタ エージェントは他のイベントでも実行されますが、SCL 値は、OnEndOfData SMTP トランスポート イベントで登録されたコンテンツ フィルタ エージェントのインスタンスによってメッセージにスタンプされます。 |
エッジ ルール エージェントとコンテンツ フィルタ エージェントは、共に OnEndOfData
SMTP トランスポート イベントで実行されるため、各トランスポート エージェントに適用される優先度の値に基づいて、最初に実行されるトランスポート エージェントが決まります。既定では、コンテンツ フィルタ エージェントの前にエッジ ルール エージェントが実行されます。これにより、エッジ ルール エージェントがブロックする可能性があるメッセージを処理するコストを抑えることができます。ただし、コンテンツ フィルタ エージェントの前にエッジ ルール エージェントが実行されるため、SCL 値はメッセージにスタンプされていない状態です。したがって、既定の構成で [Spam Confidence Level が制限値以上の場合] トランスポート ルール条件は使用できません。
次の手順を使用して、OnEndOfData
SMTP トランスポート イベントでエッジ ルール エージェントより前にコンテンツ フィルタ エージェントが実行されるように構成します。これにより、コンテンツ フィルタ エージェントはメッセージに SCL 値をスタンプすることができ、[Spam Confidence Level が制限値以上の場合] トランスポート ルールの条件により読み取ることができるようになります。
トランスポート エージェンとトランスポート エージェントの優先度、トランスポート ルール、およびコンテンツ フィルタの詳細については、以下のトピックを参照してください。
開始する前に
ここでは、組織内で 1 台のエッジ トランスポート サーバーのみが構成されていることを前提としています。または、複数のエッジ トランスポート サーバーを実行している場合、これらのサーバーは並列で実行していることを前提とします。
以下の条件に当てはまる場合は、この手順を実行する必要のない場合があります。
- 組織内に複数のエッジ トランスポート サーバーが存在する。
- これらのサーバーがインターネットと内部ネットワーク間で複数の層で構成されている。
この場合、外部境界ネットワークで実行されているエッジ トランスポート サーバーを構成し、トランスポート ルールを使用して不要なメッセージをブロックできます。その後、コンテンツ フィルタ エージェントはメッセージに SCL 値をスタンプします。これにより、内部境界ネットワークにあるエッジ トランスポート サーバーで実行するトランスポート ルールを構成して、メッセージの SCL 値を確認できます。
この手順を使用して、エッジ ルール エージェントより高い優先度の値でコンテンツ フィルタ エージェントを構成すると、エッジ トランスポート サーバーで受信するすべてのメッセージがコンテンツ フィルタ エージェントにより評価されるため、エッジ トランスポート サーバーで処理コストが増加する場合があります。これは、メッセージが、エッジ ルール エージェントで構成されているトランスポート ルールにより後で拒否される場合も同様です。また、これ以降は、SCL 値が -1
であるメッセージにスタンプするようにエッジ トランスポート サーバーでトランスポート ルールを構成することもできません。この値は、コンテンツ フィルタ エージェントに対してメッセージを評価しないように示します。
エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータで以下の手順を実行するには、そのコンピュータのローカルの Administrators グループのメンバであるアカウントを使用してログオンする必要があります。
Exchange 2007 を管理するために必要なアクセス許可、役割の委任、および権限の詳細については、「アクセス許可に関する考慮事項」を参照してください。
手順
以下の手順では、コンテンツ フィルタ エージェントの優先度の値を 3 に設定します。エッジ ルール エージェントは優先度の値 3 を使用して以前に構成されているため、その優先度の値は 4 に引き上げられます。複数のエッジ トランスポート サーバーを並列で実行しており、各エッジ トランスポート サーバーに同じ構成を指定する場合、各サーバーでこの手順を実行する必要があります。
トランスポート エージェントを構成する方法の詳細については、「トランスポート エージェントを変更する方法」を参照してください。
重要 : |
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以下の手順は、ローカルのエッジ トランスポート サーバーで Microsoft Exchange Transport サービスを停止および開始します。Microsoft Exchange Transport サービスが停止している間は、このエッジ トランスポート サーバーを通過するメールは配信されません。 |
Exchange 管理シェルを使用してコンテンツ フィルタ エージェントの優先度の値を変更するには、次の操作を行います。
次のコマンドを実行します。
Set-TransportAgent "Content Filter Agent" -Priority 3
Microsoft Exchange Transport サービスを停止します。
Net Stop MSExchangeTransport
Microsoft Exchange Transport サービスを開始します。
Net Start MSExchangeTransport
この手順を実行した後、構成したばかりのエッジ トランスポート サーバーを経由してテスト メッセージを送信することで、トランスポート エージェントの優先順位を検証できます。その後、Get-TransportPipeline コマンドレットを使用して、トランスポート エージェントの優先順位を表示できます。Get-TransportPipeline コマンドレットは、1 つのメッセージが送信されるごとに動的に作成されるトランスポート パイプラインの情報を取得するため、エッジ トランスポート サーバー経由でメッセージを送信する必要があります。
トランスポート パイプラインを表示する方法の詳細については、「トランスポート パイプラインのトランスポート エージェントを表示する方法」を参照してください。
Exchange 管理シェルを使用してトランスポート エージェントの優先順位を検証するには、次の操作を行います。
構成したエッジ トランスポート サーバー経由でメッセージを送信します。
次のコマンドを実行します。
Get-TransportPipeline
この手順で作成される出力は次の例のようになります。以下の例では、OnEndOfData
SMTP イベントでエッジ ルール エージェントより前にコンテンツ フィルタ エージェントが一覧表示されています。これは、OnEndOfData
SMTP イベントにおいて、現在はエッジ ルール エージェントより前にコンテンツ フィルタ エージェントがメッセージに適用されていることを示します。
Event : OnConnectEvent
TransportAgents : {Connection Filtering Agent, Protocol Analysis Agent}
Event : OnHeloCommand
TransportAgents : {}
Event : OnEhloCommand
TransportAgents : {}
Event : OnAuthCommand
TransportAgents : {}
Event : OnEndOfAuthentication
TransportAgents : {}
Event : OnMailCommand
TransportAgents : {Connection Filtering Agent, Sender Filter Agent}
Event : OnRcptCommand
TransportAgents : {Connection Filtering Agent, Address Rewriting Inbound Agent,
Recipient Filter Agent}
Event : OnDataCommand
TransportAgents : {}
Event : OnEndOfHeaders
TransportAgents : {Connection Filtering Agent, Address Rewriting Inbound Agent,
Sender Id Agent, Sender Filter Agent, Protocol Analysis Agen
t}
Event : OnEndOfData
TransportAgents : {Content Filter Agent, Edge Rule Agent, Protocol Analysis Age
nt, Attachment Filtering Agent}
Event : OnHelpCommand
TransportAgents : {}
Event : OnNoopCommand
TransportAgents : {}
Event : OnReject
TransportAgents : {Protocol Analysis Agent}
Event : OnRsetCommand
TransportAgents : {Protocol Analysis Agent}
Event : OnDisconnectEvent
TransportAgents : {Protocol Analysis Agent}
Event : OnSubmittedMessage
TransportAgents : {Address Rewriting Outbound Agent}
Event : OnRoutedMessage
TransportAgents : {Address Rewriting Outbound Agent}
詳細情報
ここで説明した機能の詳細については、以下のトピックを参照してください。
- Set-TransportAgent
- Get-TransportPipeline
- トランスポート ルールの概要
- コンテンツ フィルタ
- トランスポート エージェントの概要
- トランスポート エージェントを変更する方法
- トランスポート パイプラインのトランスポート エージェントを表示する方法
- スパム対策およびウイルス対策向けの機能
- スパム対策およびウイルス対策の機能の管理
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。