App-V Client の読み取り専用キャッシュを構成する方法

適用対象: Application Virtualization 4.6

Microsoft Application Virtualization (App-V) 4.6 では、クライアントは共有の読み取り専用キャッシュの使用をサポートします。共有の読み取り専用キャッシュにより、クライアントは、仮想デスクトップ インフラストラクチャ (VDI) システムでディスク領域を効率的に使用できます。VDI システムでは、データ センター サーバー環境でホストされ記憶域ネットワーク (SAN) 上のネットワーク記憶域を共有するバーチャル マシン (VM) でユーザーがアプリケーションを実行します。次に、"プールされた VM" または "静的 VM" というプライマリ VDI アーキテクチャに App-V Client を実装するのに必要な手順を示します。ここでは、App-V システムとそのコンポーネントの設置計画、展開、操作、さらに VDI サーバーの操作と管理に慣れていることを前提にしています。App-V の詳細については、「Application Virtualization」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=122939) を参照してください。

注意

この手順の詳しい説明は、実装方法の一例を示すことを目的としています。プロセス全体を完了するために、別の方法を使用してもかまいません。

VDI シナリオで App-V Client を展開する

すべてのユーザーに必要とされるすべてのアプリケーションのデータが格納されている共有の読み取り専用キャッシュを使用することにより、VDI シナリオで App-V Client を展開できます。それから、すべての App-V Client が同じキャッシュ ファイルを使用するように、VDI のマスタ VM イメージを構成することができます。App-V 公開プロセスを使用することにより、特定のアプリケーションへのアクセスがユーザーに許可されます。キャッシュは既にすべてのアプリケーションに事前に読み込まれているので、ユーザーがアプリケーションを起動する際にストリーミングは発生しません。ただし、キャッシュに事前にデータを格納するために使用されたパッケージは、リアルタイム ストリーミング プロトコル (RTSP) ストリーミングをサポートし、App-V クライアントにアクセス許可を付与する App-V サーバー上に配置される必要があります。App-V Management Server を使用してアプリケーションを公開する場合、これを使用してこのストリーミング機能を提供することができます。

展開プロセスは、次の 4 つの主要なタスクで構成されます。

  • マスタ共有キャッシュ ファイルを作成してデータを格納する

  • 共有キャッシュ ファイルを VDI サーバー記憶域にコピーする

  • VDI マスタ イメージ上で App-V Client ソフトウェアを構成する

  • 最初の展開の後に共有キャッシュ ファイルの更新展開サイクルを管理する

これらのタスクは、慎重に計画する必要があります。組織が従うための、体系的で再現可能なプロセスを作成して文書化することをお勧めします。これは、マスタ共有キャッシュ ファイルの初期準備と展開、およびアプリケーション更新の継続的な管理のために特に重要です。これらの各作業では、マスタ共有キャッシュを更新する必要があります。これらの主要なタスクを完了するには、次の手順に従います。

注意

複数の異なる方法を使用してアプリケーションを公開することができますが、次の手順は、App-V Management Server を使用して公開する方法を説明します。

プールされた VM の VDI または静的 VM の VDI での初期展開用に読み取り専用キャッシュを構成するには

  1. VDI サーバーの VM で App-V Management Server をセットアップし、ユーザーの認証および公開を行えるように構成します。

  2. この Management Server のコンテンツ フォルダに、すべてのユーザーに必要なすべてのアプリケーション パッケージのデータを格納します。

  3. App-V Client をインストール済みのステージング コンピュータを準備します。コンピュータにアプリケーションの完全なセットが公開されるように、すべてのアプリケーションへのアクセスが許可されているアカウントを使用してステージング コンピュータにログオンします。それから、アプリケーションが完全に読み込まれるように、キャッシュにアプリケーションをストリームします。

    重要

    ステージング コンピュータは、App-V Client が実行される VM によって使用されているのと同じオペレーティング システムの種類とシステム アーキテクチャを使用する必要があります。

  4. ステージング コンピュータをセーフ モードで再起動し、ドライバが開始しないようにします。これは、ドライバが開始するとキャッシュ ファイルがロックされるからです。

    注意

    または、Application Virtualization サービスを停止して無効にしてから、コンピュータを再起動することもできます。ファイルがコピーされた後、再度サービスを有効にして開始することを忘れないでください。

  5. Sftfs.fsd キャッシュ ファイルを、すべての VM がアクセスできる VDI サーバーの SAN (共有フォルダなど) にコピーします。フォルダ アクセスをグループ Everyone には読み取り専用に、キャッシュ ファイルの更新を管理する管理者にはフル コントロールに設定します。キャッシュ ファイルの場所は、レジストリ AppFS\FileName から取得できます。

    重要

    たとえば SAN などのローカルに接続された記憶域のパフォーマンスに匹敵する応答性と信頼性のある場所に、FSD ファイルを配置する必要があります。

  6. 次のレジストリ キー値をクライアント上の AppsFS キーに追加することにより、VDI のマスタ VM イメージに App-V Desktop Client をインストールし、読み取り専用キャッシュを使用するように構成します。AppFS キーは、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\[Wow6432Node\]Microsoft\SoftGrid\4.5\Client\AppFS にあります。

    キー 種類 目的

    FileName

    文字列

    FSD へのパス

    共有キャッシュ ファイルへのパス (例: \\VDIServername\Sharefolder\SFTFS.FSD) を指定します (必須)。

    ReadOnlyFSD

    DWORD

    1

    読み取り専用モードで動作するようにクライアントを構成します。これにより、クライアントはパッケージ キャッシュへの更新を試みないようになります (必須)。

    ErrorLogLocation

    文字列

    エラー ログ (.etl) ファイルへのパス

    エラー ログへのパスを指定するために使用されるエントリ。(推奨。C:\Logs\Sftfs.etl などのローカル パスを使用してください)。

  7. マスタ VM イメージにインストールしたクライアントで、公開サーバー、およびログオン時に公開情報の更新を使用するように構成します。ユーザーが VDI システムにログオンしユーザーの VM がマスタ VM イメージから構築されると、公開情報の更新が開始され、ユーザーのアカウントが権限を持っているすべてのアプリケーションが公開されます。これらのアプリケーションは、共有キャッシュから実行されます。

プールされた VM を使用する場合にクライアントでパッケージがアップグレードされるように構成するには

  1. アプリケーション パッケージのアップグレードとテストを行います。

  2. App-V サーバーにあるパッケージをアップグレードします。次に、アプリケーションの新しいバージョンを公開し、アプリケーションがキャッシュに完全に読み込まれるように、ステージング コンピュータのクライアントにストリーム配信します。

  3. ステージング コンピュータをセーフ モードで再起動し、ドライバが開始しないようにします。

    注意

    または、Services.msc で Application Virtualization サービスを停止して無効にしてから、コンピュータを再起動することもできます。ファイルがコピーされた後、再度サービスを有効にして開始することを忘れないでください。

  4. Sftfs.fsd キャッシュ ファイルを、すべての VM がアクセスできる VDI サーバーの SAN (共有フォルダなど) にコピーします。新しいバージョンを区別しやすいように、別の名前 (SFTFS_V2.FSD など) を付けてもかまいません。

  5. 更新された共有キャッシュ ファイルを使用するように VDI のマスタ VM イメージの App-V Desktop Client を構成するには、AppFS レジストリ キーの FILENAME の値を、更新されたファイルの場所 (例: \\VDIServername\Sharefolder\SFTFS_V2.FSD) を指すように変更します。ユーザーがいったんログオフしてからログオンし直すと、更新されたマスタ イメージを使用して、ユーザー用の新しい VM が作成されます。すべてのユーザー設定がそのまま新しい VM に適用されます。ユーザーは、新しいアプリケーションにアクセスできます。

静的 VM を使用する場合にクライアントでパッケージがアップグレードされるように構成するには

  1. アプリケーション パッケージのアップグレードとテストを行います。

  2. App-V サーバーにあるパッケージをアップグレードします。次に、アプリケーションの新しいバージョンを公開し、アプリケーションがキャッシュに完全に読み込まれるように、ステージング コンピュータのクライアントにストリーム配信します。

  3. ステージング コンピュータをセーフ モードで再起動し、ドライバが開始しないようにします。

    注意

    または、Services.msc で Application Virtualization サービスを停止して無効にしてから、コンピュータを再起動することもできます。ファイルがコピーされた後、再度サービスを有効にして開始することを忘れないでください。

  4. Sftfs.fsd キャッシュ ファイルを、すべての VM がアクセスできる VDI サーバーの SAN (共有フォルダなど) にコピーします。新しいバージョンを区別しやすいように、別の名前 (SFTFS_V2.FSD など) を付けてもかまいません。

  5. 更新された共有キャッシュ ファイルを使用するように VDI のマスタ VM イメージの App-V Desktop Client を構成するには、AppFS レジストリ キーの FILENAME の値を、更新されたファイルの場所 (例: \\VDIServername\Sharefolder\SFTFS_V2.FSD) を指すように変更します。これで、新しいユーザーが新バージョンを使えるようになります。

  6. AppFS キーの FILENAME の値を、更新されたキャッシュの場所 (例: \\VDIServername\Sharefolder\SFTFS_V2.FSD) に変更するスクリプトを作成します。このスクリプトをユーザーのログオフまたはログオン時に実行するように構成し、App-V Client のドライバが開始される前に実行されるようにします。たとえば、グループ ポリシー設定を使用することができます。ユーザーがいったんログオフしてからログオンし直すと、既存の VM が更新され、ユーザーは、キャッシュにある更新されたコピーを使用することになります。ユーザーは、新しいアプリケーションにアクセスできます。

キャッシュをアップグレードするときにシンボリック リンクを使用する方法

新しいパッケージまたは更新されたパッケージを含む新しいキャッシュ ファイルが展開されるたびに AppFS キーの FILENAME 値を変更する代わりに、Windows Vista、Windows 7、および Windows Server 2008 オペレーティング システムでは、シンボリック リンクを使用できます。シンボリック リンクの詳細については、「Symbolic Links (シンボリック リンク)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=157626) を参照してください。これに対して、Windows XP はシンボリック リンクをサポートしていないので、代わりに接合ポイントを使用する必要があります。接合の詳細については、Microsoft サポート技術情報の記事 205524 (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=182553) またはツール Junction v1.05 (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=182554) を参照してください。

キャッシュを参照するシンボリック リンクを構成するには

  1. 初期展開時に、VDI サーバーの ホスト オペレーティング システムでローカル管理者として [コマンド プロンプト] ウィンドウを開きます。

  2. MKLINK コマンドを使用してシンボリック リンクを作成し、Sftfs.fsd ファイルを指すように設定します。

    **     mklink symlinkname \\vdihostserver\sharefolder\sftfs.fsd**

  3. VDI のマスタ VM イメージで、[管理者として実行] オプションを選択してから [コマンド プロンプト] ウィンドウを開き、VM が VDI のホスト オペレーティング システム上のシンボリック リンクにアクセスできるように、リモート リンクのアクセス許可を付与します。既定では、リモート リンクのアクセス許可は無効になっています。

    **     fsutil behavior set SymlinkEvaluation R2R:1**

    注意

    記憶域サーバー上で、適切なリンクするためのアクセス許可を有効にする必要があります。リンクと Sftfs.fsd ファイルの場所に応じて、アクセス許可は、L2L:1 または L2R:1 または R2L:1 or R2R:1 です。

  4. VDI のマスタ VM イメージの App-V Desktop Client を構成するときに、AppFS キーの FILENAME の値を、シンボリック リンクを使用する FSD ファイルの UNC パス (例: \\VDIHostserver\Symlinkname) に設定します。App-V Client がキャッシュに初めてアクセスするときに、シンボリック リンクによってキャッシュ ファイルのハンドルが App-V Client に渡されます。クライアントを実行している間は、このハンドルが継続して使用されます。シンボリック リンクの値は、既存のクライアントが古い共有キャッシュを開いている場合でも、安全に更新することができます。

  5. パッケージをアップグレードするか、キャッシュに新しいパッケージを追加しなければならなくなった場合は、静的 VM またはプールされた VM でのアップグレード手順の 1 ~ 5 に従います。次に、既存のシンボリック リンクを削除してから、共有キャッシュ ファイルの新しいバージョンを指すシンボリック リンクを作成し直します。VM が再起動されると、クライアントは、キャッシュの更新されたコピーへのハンドルを受け取ります。これは、VM が、更新されたシンボリック リンクを含むパスを使用するからです。ユーザーは、新しいアプリケーションと更新されたアプリケーションにアクセスできるようになります。

参照:

タスク

Application Virtualization Management Server をインストールする方法
Application Virtualization Client を手動でインストールする方法

その他のリソース

コマンド ラインを使用してクライアントをインストールする方法

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