高度なエンタープライズ VoIP 機能のネットワーク設定

 

トピックの最終更新日: 2010-12-12

Lync Server 2010 には、通話受付管理 (CAC)、緊急サービス (E9-1-1)、およびメディア バイパスの 3 つの高度な エンタープライズ VoIP 機能 があります。 これらの機能では、ネットワーク地域、ネットワーク サイト、および Lync Server トポロジ内の各サブネットとネットワーク サイトとの関連付けについて、特定の構成要件を共有します。 これらの機能の展開の計画の詳細については、以下を参照してください。

これらの各機能の展開の詳細については、「展開」のドキュメントの「高度なエンタープライズ VoIP 機能の展開」を参照してください。

ここでは、これらの 3 つの高度なエンタープライズ VoIP 機能に共通する構成要件の概要について説明します。

ネットワーク地域

ネットワーク地域は、通話受付管理、E9-1-1、およびメディア バイパスの構成でのみ使用されるネットワーク ハブまたはネットワーク バックボーンです。

note注:
ネットワーク地域は、ダイヤルイン会議アクセス番号を 1 つ以上の Lync Server のダイヤル プランに関連付けることが必要な、Lync Server のダイヤルイン会議の地域と同じではありません。 ダイヤルイン会議の地域の詳細については、「計画」のドキュメントの「ダイヤルイン会議の計画」を参照してください。

CAC では、すべてのネットワーク地域に、地域内のメディア トラフィックを管理する (つまり、構成したポリシーに基づいてリアルタイムの音声またはビデオ セッションを確立できるかどうかを判断する)、関連付けられた Lync Server の中央サイトがある必要があります。Lync Server の中央サイトは、地理的場所ではなく、プールまたは一連のプールとして構成されているサーバーの論理グループを表します。 中央サイトの詳細については、「計画」のドキュメントの「関連トポロジ」を参照してください。 「サポート」のドキュメントの「サポートされる Lync Server 2010 のトポロジ」も参照してください。

ネットワーク地域を構成するには、Lync Server コントロール パネルの [ネットワーク構成] セクションの [地域] タブを使用するか、New-CsNetworkRegion または Set-CsNetworkRegion Lync Server 管理シェル コマンドレットを実行できます。 手順については、「展開」のドキュメントの「ネットワーク領域の作成または変更」または Lync Server 管理シェルのドキュメントを参照してください。

同じネットワーク地域定義は、3 つのすべての高度なエンタープライズ VoIP 機能で共有されます。 いずれかの機能にネットワーク地域を既に作成している場合、他の機能に新しいネットワーク地域を作成する必要はありません。 ただし、機能固有の設定を適用するために、既存のネットワーク地域定義を変更することが必要になる場合があります。 たとえば、E9-1-1 (関連付けられた中央サイトは不要) にネットワーク地域を作成しており、通話受付管理を後で展開する場合、中央サイトを指定するには、各ネットワーク地域定義を変更する必要があります。

Lync Server の中央サイトをネットワーク地域に関連付けるには、Lync Server コントロール パネルの [ネットワーク構成] セクションを使用するか、New-CsNetworkRegion または Set-CsNetworkRegion Lync Server 管理シェル コマンドレットを実行して、中央サイトの名前を指定します。手順については、「展開」のドキュメントの「ネットワーク領域の作成または変更」または Lync Server 管理シェルのドキュメントを参照してください。

ネットワーク サイト

ネットワーク サイトは、ブランチ オフィス、支社、本社などの地理的場所を表します。 各ネットワーク サイトは、特定のネットワーク地域に関連付けられている必要があります。

note注:
ネットワーク サイトは、高度なエンタープライズ VoIP 機能でのみ使用されます。 Lync Server トポロジ内に構成するブランチ サイトと同じではありません。 ブランチ サイトの詳細については、「計画」のドキュメントの「関連トポロジ」を参照してください。 「サポート」のドキュメントの「サポートされる Lync Server 2010 のトポロジ」も参照してください。

ネットワーク サイトを構成してネットワーク地域に関連付けるには、Lync Server コントロール パネルの [ネットワーク構成] セクションを使用するか、New-CsNetworkSite または Set-CsNetworkSite Lync Server 管理シェル コマンドレットを実行できます。 手順については、「展開」のドキュメントの「ネットワーク サイトの作成または変更」または Lync Server 管理シェルのドキュメントを参照してください。

IP サブネットの特定

ネットワーク管理者と連携して各ネットワーク サイトに割り当てる IP サブネットを決定する必要があります。ネットワーク管理者が既に IP サブネットをネットワーク地域およびネットワーク サイトに分類している場合、作業は大幅に簡略化されます。

この例では、North America 地域の New York サイトに 172.29.80.0/23、157.57.216.0/25、172.29.91.0/23、172.29.81.0/24 の IP サブネットが割り当てられています。 通常はデトロイトで仕事をしている Bob が、トレーニングのためにニューヨークのオフィスに出張するとします。コンピューターを起動してネットワークに接続すると、New York に割り当てられている 4 つの範囲のいずれか (172.29.80.103 など) の IP アドレスがコンピューターで取得されます。

warning警告:
サーバーのネットワーク構成時に指定された IP サブネットは、メディア バイパスで適切に使用できるようにクライアント コンピューターによって提供される形式と同じである必要があります。Lync 2010 クライアントは、ローカル IP アドレスを受け取り、関連付けられているサブネット マスクで IP アドレスをマスクします。各クライアントに関連付けられているバイパス ID が決まると、レジストラーによって、各ネットワーク サイトに関連付けられている IP サブネットの一覧と、クライアントによって提供されたサブネットが比較され、完全一致するサブネットが検出されます。このため、サーバーのネットワーク構成時に入力されたサブネットが仮想サブネットではなく実際のサブネットであることが重要です(通話受付管理を展開しているがメディア バイパスは展開していない場合、仮想サブネットを構成していても通話受付管理は正常に機能します)。
たとえば、IP アドレスが 172.29.81.57、IP サブネット マスクが 255.255.255.0 のコンピューターにクライアントがサインインすると、Lync 2010 はサブネット 172.29.81.0 に関連付けられているバイパス ID を要求します。クライアントが仮想サブネットに属していても、サブネットが 172.29.0.0/16 として定義される場合、レジストラーは 172.29.81.0 のサブネットのみを検索するため、これを一致とは見なしません。そのため、クライアントによって提供されるサブネットとまったく同じサブネットを管理者が入力することが重要です (これは、ネットワーク構成時のサブネットを使用して動的または DHCP でプロビジョニングされます)。

サブネットとネットワーク サイトの関連付け

エンタープライズ ネットワーク内のすべてのサブネットは、ネットワーク サイトに関連付ける必要があります (つまり、すべてのサブネットを地理的場所に関連付ける必要があります)。 このサブネットの関連付けを使用して、高度なエンタープライズ VoIP 機能では、エンドポイントを地理的に効率的に見つけることができます。 たとえば、エンドポイントを見つけることにより、CAC では、ネットワーク サイトとの間で送受信されるリアルタイムの音声およびビデオのデータ フローを調整できます。

サブネットをネットワーク サイトに関連付けるには、Lync Server コントロール パネルの [ネットワーク構成] セクションを使用するか、New-CsNetworkSite または Set-CsNetworkSite Lync Server 管理シェル コマンドレットを実行できます。 手順については、「展開」のドキュメントの「ネットワーク サイトとサブネットの関連付け」または Lync Server 管理シェルのドキュメントを参照してください。