Reporting Services の既定のインストールのアップグレード

既定の Reporting Services が既にインストールされているコンピュータ上でセットアップを実行した場合、既存のインスタンスをインプレース アップグレードするか、新しいインスタンスをインストールするかを選択できます。インプレース アップグレードの要件は次のとおりです。

  • レポート サーバーおよびレポート マネージャのアクセスに使用する仮想ディレクトリは、既定の構成設定である必要があります。仮想ディレクトリは既定の Web サイトの下に作成する必要があります。アプリケーションおよびコンテンツのマッピング、仮想ディレクトリのセキュリティ設定、および権限は、既定値に設定する必要があります。
  • ASP.NET プロセス ID は、machine.config ファイル内で暗号化されていません。プロセス ID を暗号化することは、組織によってはセキュリティのベスト プラクティスとなります。プロセス ID が暗号化されていると、SQL Server セットアップは、Reporting Services インストールをアップグレードできません。
  • カスタム拡張機能は追加されず、レポート サーバーは既定のセキュリティ拡張機能で配置されます。

上述した項目はアップグレードの障害となり、既存のインストール上でアップグレード アドバイザを実行する場合にトリガとなります。この問題と対処方法の詳細については、アップグレード アドバイザの製品マニュアルを参照してください。アップグレードを選択できない場合に、Reporting Services インストールの移行が可能です。移行およびアップグレード アドバイザの使用方法の詳細については、「Reporting Services の移行」および「アップグレード アドバイザを使用したアップグレードの準備」を参照してください。

アップグレード前のチェックリスト

このチェックリストを使用して、Reporting Services インストールのアップグレードを準備します。

  1. レポート サーバー データベースおよび構成ファイルをバックアップします。サンプル ファイルまたはスタイル シートを変更していて、変更済みのものを保管したい場合は、これらのファイルもバックアップしてください。
  2. 対称キーをバックアップします。
  3. Reporting Services Books Online Documentation Refresh をインストールしている場合は、アンインストールします。
  4. レポート サーバーをホストするコンピュータでセットアップを実行します。セットアップでは、既存のインストールを検出し、アップグレードするオプションを準備します。

レポート サーバー データベースのアップグレード

アップグレード時に、セットアップは、ローカルの既定 SQL Server データベース エンジン インスタンス上にインストールされているレポート サーバー データベースに接続し、既存のテーブル構造を新しいスキーマに更新します。レポート サーバー データベースを新しい形式にアップグレードしてしまうと、元に戻すことはできません。元のデータベースがそのまま移行されます。セットアップは RSReportServer.config ファイル内のデータベースの接続情報を使用し、レポート サーバー データベースを見つけて接続します。

インストールをアップグレードしても、レポート サーバー データベースの名前や接続情報は変更されません。レポート サーバーで、レポート サーバー データベースへのアクセスに使用されるアカウント情報も、変更されません。データベースのアップグレードの詳細については、「レポート サーバー データベースのアップグレード」を参照してください。

レポート サーバー コンテンツのアップグレード

レポート サーバーのアップグレードによって、レポートもアップグレードされますが、レポート サーバーに格納されたその他のコンテンツはアップグレードされません。セットアップの最後の長時間かかるプロセスで、パブリッシュされたレポートおよびスナップショットがアップグレードされます。サブスクリプション、スケジュール、共有データ ソースおよびリソースは、アップグレード前のバージョンと同じです。レポートへのインプレース アップグレードの詳細については、「レポートのアップグレード」を参照してください。

新しいアドホック レポート機能を使用するためのロールの割り当てのアップグレード

アップグレード時には、ロールの定義とロールの割り当てが変更されません。つまり、SQL Server 2005 にアップグレードした場合は、新しく導入されたタスクやロールの定義が実装されません。新しいタスクやロールを使用するには、ロールとロールの割り当てを手動で更新する必要があります。

新しいタスクやロールでは、ユーザーがレポート モデルを作成したり、レポート ビルダを使用できるようにするアドホック レポート機能がサポートされます。新しい機能を使用する前に、既存のロールとロールの割り当てをアップグレードする必要があります。詳細については、「レポート ビルダ アクセス用のロールベースのセキュリティの更新」を参照してください。

構成ファイルのアップグレード

既存インストールの構成ファイルをアップグレード インストールで使用します。アップグレード時に新しい設定が追加および設定されます。アップグレードが完了した時点で、新しい設定がすべて設定されているわけではありません。Reporting Services 構成ツールを実行すると、追加の設定が加えられます。

SQL Server 2005 Service Pack 1 にアップグレードしている場合、構成ファイルは新しい設定を含むように更新されません。Service Pack 1 のセットアップでは、構成ファイルが変更されません。Service Pack 1 に追加された新たな構成設定は、SAP NetWeaver BI データ処理拡張機能向けの設定のみです。これらの設定を手動で構成する方法については、「Microsoft .NET Data Provider 1.0 for SAP NetWeaver Business Intelligence を使用するための Reporting Services の構成」を参照してください。

Reporting Services コンポーネントの一括アップグレード

Reporting Services はクライアント コンポーネントとサーバー コンポーネントから構成されます。サーバー コンポーネントをアップグレードすると、対応するクライアント コンポーネントもすべてアップグレードする必要があります。レポート デザイナも同様です。SQL Server 2000 バージョンのレポート デザイナを SQL Server 2005 のレポート サーバーで実行することは可能ですが、レポート デザイナでのレポート プレビューと実行時のレポートの表示方法に違いが現れる場合があります。レポート デザイナをいったんアップグレードすると、レポート デザイナで SQL Server 2000 レポート サーバーにレポートをパブリッシュできなくなります。レポートの名前空間が違うため、両方のバージョンのレポート サーバーにパブリッシュすることはできません。

SQL Server コンポーネントの一括アップグレード

レポート サーバーとデータベース エンジンは、別々にアップグレードするか、一緒にアップグレードするかを選択できます。コンポーネントのアップグレード方法を次の一覧にまとめています。

  • データベース エンジンのみをアップグレードする場合、レポート サーバーとレポート サーバー データベースには影響を及ぼしません。アップグレードされたデータベース エンジンは、従来のスキーマで定義された既存のレポート サーバー データベースをホストします。
  • レポート サーバーのみをアップグレードする場合、セットアップによってレポート サーバー データベースのテーブル構造が新しい形式に変更されます。
  • 両方のコンポーネントをアップグレードする場合、最初にデータベース エンジンがアップグレードされ、次にレポート サーバーがアップグレードされます。

Reporting Services インストールでは、セットアップが SQL Server 2000 バージョンのレポート サーバー コンポーネントまたはレポート デザイナを検出した場合のみ、アップグレード プロセスが開始されます。

アップグレード中に削除されるコンポーネント

セットアップは、アップグレード中に、SQL Server 2005 リリースで新しいコンポーネントと置き換えられるコンポーネントを削除します。アップグレードまたは削除されるコンポーネントを次の一覧にまとめています。セットアップでコンポーネントを選択する方法については、「セットアップを使用した Reporting Services のインストール」を参照してください。

  • レポート サーバー、レポート マネージャ、およびレポート サーバー データベースはアップグレードされます。
  • レポート デザイナはアンインストールされ、Business Intelligence Development Studio のインストールと置き換えられます。SQL Server 2005 では、レポート デザイナは Business Intelligence Development Studio の内部で実行されます。Visual Studio 2003 で実行されていた以前のバージョンはアンインストールされ、プログラム ファイルはシステムから削除されます。
  • Reporting Services Books Online は削除されます。新しいリリースでは、製品マニュアルは SQL Server 2005 Books Online に収録されています。
ms143762.note(ja-jp,SQL.90).gif重要 :
Documentation Refresh をインストールした場合は、アップグレード前に必ずアンインストールしてください。この手順は手動で行う必要があります。アップグレード機能によってドキュメント ファイルは削除されますが、プログラム項目は [プログラムの追加と削除] から削除されません。
  • サンプルは削除されます。セットアップによって、新しいバージョンが使用できるようになります。
  • 管理用のコマンド ライン ツールが削除されます。このリリースでは、RSActivate.exe は使用されなくなるのでインストールされません。

参照

概念

Reporting Services のアップグレード

その他の技術情報

Reporting Services の旧バージョンとの互換性

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手