Reporting Services のシナリオ

SQL Server Reporting Services に関して初心者の方は、このトピックのシナリオの説明で、Reporting Services テクノロジの典型的な使用方法を学べます。

ビジネス レポート

多くの企業では、レポート ソフトウェアを使用して情報をユーザーに配信し、ユーザーはレポートを使用して意思決定、機会の発見、または脅威の分析を行います。Reporting Services には、すぐに使えるツールとサービス一式が揃っており、組織用のレポートの作成、配置、および管理を行えます。プログラムを使用したレポート操作も可能ですが、Reporting Services を "既製品" として使用する場合、プログラミングは一切不要です。作成ツールおよび管理ツールには、レポート デザイナ、SQL Server Management Studio、レポート マネージャ、および Reporting Services 構成ツールが含まれています。ビジネス ユーザーは、レポート マネージャ、SharePoint Web パーツ、または Web ブラウザを使用して、レポートを必要なときに表示したり、電子メールで配信されるレポートをサブスクライブしたりできます。

アドホック レポート

ビジネス データを扱うユーザーには、レポートの作成および変更をアドホック ベースで行う必要がしばしば生じます。Reporting Services には、レポート ビルダというツールが含まれています。このツールを使用すると、レポート サーバーからのレポート テンプレートとレポート モデルの選択、データ フィールドとグラフィック要素をデザイン画面上にドラッグすることによる基本レポートの作成、レポート定義ファイルのサーバーへの保存、およびレポートの変更が可能です。アドホック レポートには、あらかじめ定義されたレポート モデルが必要です。これは、モデル デザイナで作成してから、組織全体で使用できるようにレポート サーバーにパブリッシュします。

埋め込みレポート

開発者は、Reporting Services を使用して、アプリケーションにレポート機能を持たせることができます。アプリケーションによっては、レポート機能を追加することで、アプリケーションが追跡、作成、または監視したデータの表現手段が提供され、機能セットが完成します。アプリケーションで指定したデータ ソース、または公開されているデータ ソースに基づいてレポートを作成するには、レポート デザイナを使用します。アプリケーションに追加するレポート サーバーの組み込み機能へのアクセスを定義したりサポートを追加したりするには、API を使用します。アプリケーション配置の際には、レポート サーバーと、レポートなどのメタデータが入っているレポート サーバー データベースとの両方を含めるようにします。実行時にユーザーがレポートを要求すると、アプリケーション コードによってレポート サーバー Web サービスが起動され、このサービスによってレポート サーバー データベースからレポート定義が取得され、最新のデータでレポートが処理されます。

また、レポート サーバーのすべての機能を必ずしも必要としないアプリケーションの場合は、Microsoft Visual Studio 2005 に含まれている ReportViewer コントロールを使用できます。Reporting Services とは異なり、ReportViewer コントロールはアプリケーションと共に自由に配布できます。詳細については、「Visual Studio の Reporting Services および ReportViewer コントロール」を参照してください。

ポータルの統合

レポートはさまざまなソースからのデータに対応し表現できるため、多くの組織では Reporting Services の対話型レポート機能を使用して、ポータル アプリケーションで表形式またはグラフ形式のデータを配信しています。複数のレポート、グラフ、およびデータ ドリブン画像を 1 つの自由形式レポート レイアウトに埋め込むことによって、ポータル ページでレポートをホストしたり、ダッシュボードスタイルの Web アプリケーションに似たレポートを作成したりできます。表形式またはグラフ形式のデータを業務アプリケーションに組み込む必要がある場合は、代わりにレポートを追加することを検討してください。

インターネット レポート

インターネットに接続された Web サーバーにレポート サーバーを配置すれば、サイト外や支社で働くスタッフがレポートを利用できるようになります。インターネットでのレポート配置には、通常、カスタム セキュリティ拡張機能を作成してフォームベースの認証をサポートする必要があります。Web セキュリティとインターネット配置に関する専門知識に加えて、必要な拡張機能を記述するプログラミング技術も必要です。

カスタム レポート デザインおよびレポート管理ツールの構築

Reporting Services に含まれているツールおよびアプリケーションは、すべてのユーザーが利用できるプログラマティック インターフェイスに基づいています。つまり、Reporting Services に含まれているアプリケーションやツールを、作成するカスタム ツール セットに置き換えることができます。たとえば、Visual Studio 作成環境の代わりにカスタム レポート作成ツールを開発して、レポート デザイナで使用することができます。カスタム Web ポータルまたはレポート管理ツールを構築するには、API を参照して、サポートする必要のあるレポート サーバーの管理機能について調べます。Reporting Services には、サーバーの管理に使用する Windows ベースのツールを開発する際に使用できる WMI (Windows Management Instrumentation) プロバイダが含まれています。

Reporting Services 機能の拡張

Reporting Services は高い拡張性を提供するようにデザインされています。カスタム拡張機能を作成して、サポートするデータ ソース、配信方法、セキュリティ モデル、およびレポート アイテムの種類を追加できます。カスタム拡張機能を作成する場合、作成する拡張機能の種類とサポートする機能によって、難易度が大きく異なります。データ処理拡張機能は、通常、最も簡単に作成できます。これに対して、表示拡張機能でレポート スキーマ全体をサポートする場合は、非常に難しいことがあります。Reporting Services 機能の拡張の詳細については、「Reporting Services の拡張機能」および「レポート定義言語」を参照してください。

参照

概念

Reporting Services の紹介
Reporting Services のコンポーネントの概要
Reporting Services の機能

その他の技術情報

SQL Server Reporting Services のインストール
レポートのデザインと作成
アプリケーションへの Reporting Services の統合
Reporting Services プログラミングの概要

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手