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Exchange メールボックス データベースを移動する際のシステム アテンダント メールボックスの問題

 

Microsoft® Exchange を実行している個々のサーバーが、1 つのシステム アテンダント メールボックスを持っています。このメールボックスは、サーバー上に構成される最初のデータベース内に作成されます。システム アテンダント メールボックスは複数のタスクで必要になります。これらのタスクには、次のようなものがあります。

  • サーバー監視メッセージの処理
  • Microsoft Office® Outlook Web Access ユーザーの予定表の空き時間情報の更新
  • メールボックス マネージャの通知の処理
  • 他のデータベースへのメールボックスの移動

システム アテンダント メールボックスにアクセスできない場合、Exchange を実行しているサーバーは動作を継続し、基本的なメール処理を行います。ただし、多くのシステム機能とタスクが正しく実行されません。

各サーバーのシステム アテンダント メールボックスは独立しており、他のサーバーのシステム アテンダント メールボックスとの互換性はありません。あるサーバーのシステム アテンダント メールボックスを別のサーバーに移動することはできません。Exchange を実行しているあるサーバーから別のサーバーに、システム アテンダント メールボックスが格納されているデータベース ファイルを移動すると、この操作によってシステム アテンダント メールボックスの接続が解除され、そのメールボックスは削除標識付きメールボックスのテーブルに恒久的に追加されます。元のサーバーにデータベースを戻した場合、そのデータベースに元のシステム アテンダント メールボックスをもう一度作成することはできません。代わりに、アプリケーション ログに次のエラーが頻繁に表示されます。

種類 :

エラー

ソース :

MSExchangeIS メールボックス ストア

分類 :

ログオン

イベント ID :

1022

説明 :

データベース "DATABASE_NAME" に対するログオン エラー - Windows 2000 アカウント NT AUTHORITY\SYSTEM、メールボックス /o=Microsoft/ou=First Administrative Group/cn=Configuration/cn=Servers/cn=EXCHANGE_SERVER/cn=Microsoft System Attendant。

エラー:

1292

このエラーは、データベースの削除標識付きメールボックスのテーブル内に示されているメールボックスに対して配信を実行しようとすると生成されるエラー 0x50c, ecMailboxInTransit と同等です。削除標識付きメールボックスのテーブルに登録されているメールボックスは、作成したり Active Directory® ディレクトリ サービス オブジェクトに再接続したりはできません。削除標識付きメールボックスのテーブル内にあるメールボックスの動作の詳細については、「メールボックスの移動処理と削除標識付きメールボックスのテーブル」を参照してください。

システム アテンダント メールボックスの生成に関連するシナリオ

次のシナリオは、データベース内にシステム アテンダント メールボックスを生成できる状況とできない状況を示しています。

シナリオ 1

システム アテンダント メールボックスが格納されている Database1 を、サーバー Exchange1 がホストしています。サーバー Exchange2 のシステム アテンダント メールボックスが格納されている Database2 を、Exchange2 がホストしています。

Exchange1 と Exchange2 の間で Database1 と Database2 のデータベース ファイルを入れ替えます。それぞれの新しい場所にデータベースをマウントすると、数分後に次の 2 つの動作が実行されます。ただし、実行される順番は決まっていません。

  • それぞれの Exchange データベースに対してメールボックス クリーンアップ エージェントが自動的かつ定期的に実行され、各データベース内に以前存在していたシステム アテンダント メールボックスが [Disconnected★切断] に設定されます。この指定は、そのメールボックスが、各データベースを実行している Exchange が動作するサーバーに適合しなくなった場合に行われます。このメールボックスが [Disconnected★切断] に設定されると、メールボックスはデーベースの削除標識付きメールボックスのテーブルに追加されます。ここに追加することにより、そのメールボックスが有効に設定されたり、正しくないサーバーのシステム アテンダントに接続されたりするのを防止できます。
  • システム アテンダント タスクは、メッセージをシステム アテンダント メールボックスに配信する必要がある場合に実行されます。また、このタスクによって、Exchange を実行している現在のサーバー上にあるシステム アテンダント メールボックスと同等の、新しいシステム アテンダント メールボックスが作成されます。

Exchange メールボックスの作成には 2 つの段階があります。最初の段階では、目的のメールボックスを有効にする属性を Active Directory オブジェクトに設定すると、そのオブジェクトにメールボックスの所有権が割り当てられます。2 番目の段階では、そのメールボックスに対して最初のクライアント ログオンまたはメッセージ配信を試みたときに、データベースに領域が割り当てられ、その後メールボックスがデータベース内に作成されます。

メールボックスが既にデータベースの削除標識付きメールボックスのテーブルに登録されている場合は、2 番目の段階が失敗に終わります。ただしこのシナリオでは、現在のサーバーでいずれのデータベースもまだシステム アテンダント メールボックスをホストしていないため、新しいシステム アテンダント メールボックスが正常に作成されます。このデータベースは、以前のサーバーのシステム アテンダント メールボックスのみをホストしており、各システム アテンダント メールボックスはサーバーごとに固有です。

シナリオ 2

シナリオ 1 に続いて、データベース ファイルを入れ替えて元に戻し、Exchange1 に Database1 用のファイル、Exchange2 に Database2 用のファイルを置きます。データベースをマウントすると、次の 2 つの動作が実行されます。ただし、実行される順番は決まっていません。

  • メールボックス クリーンアップ エージェントが、各データベース内に以前存在していたシステム アテンダント メールボックスを [Disconnected★切断] に設定し、そのメールボックスを削除標識付きメールボックスのテーブルに追加します。これで、各データベースの削除標識付きメールボックスのテーブルに 2 つのシステム アテンダント メールボックスが登録されていることになります。
    削除標識付きメールボックスのテーブルへのシステム アテンダント メールボックスの追加は、恒久的に有効です。これらのデータベースを使用して、それぞれのサーバーのシステム アテンダント メールボックスを再びホストすることはできません。ただし、どちらのデータベースも第 3 の Exchange サーバーに転送すれば、そのサーバーのシステム アテンダント メールボックスをホストすることができます。
  • システム アテンダント タスクは、メッセージをシステム アテンダント メールボックスに配信する必要がある場合に実行されます。システム アテンダント メールボックスが削除標識付きメールボックスのテーブルに登録されているため、サーバーはこのメッセージを配信するためにシステム アテンダント メールボックスに接続したり作成したりできません。したがって、配信に失敗し、サーバーがシステム アテンダント メールボックスを作成しようとするたびに、アプリケーション ログにエラーが記録されます。

シナリオ 3

シナリオ 2 に続き、次の操作を行うことにより、サーバー Exchange1 のシステム アテンダント メールボックスを再び有効にします。

  • 削除標識付きのデータベースを、Exchange1 上の別のストレージ グループまたはデータベースの場所に再配置します。サーバーごとに 1 つのデータベースを指定して、システム アテンダント メールボックスをホストします。これにより、削除標識付きのシステム アテンダント メールボックスがデータベースに含まれていても、そのシステム アテンダント メールボックスをホストするように指定されている場合を除き、任意のストレージ グループまたはデータベースの場所にデータベースをマウントして実行できます。通常、サーバー上に最初に構成されたデータベースが、システム アテンダント メールボックス データベースになります。
  • データベース ファイルが存在しないシステム アテンダント メールボックス データベースをマウントします。この操作によって、削除標識付きメールボックスのテーブルにシステム アテンダント メールボックスが登録されていない、新しいデータベース ファイルが生成されます。システム アテンダント メールボックスへのメッセージ配信が最初に試行されたときに、そのメールボックスが自動的に作成されます。

サーバー間でメールボックス データベースを移動する場合は、次の点について考慮することをお勧めします。

  • メールボックスの移動タスクによって、無効になったシステム アテンダント メールボックスを回復することはできません。メールボックスの移動タスクが機能するには、Exchange が動作している移動元サーバーと移動先サーバーの両方で、有効なシステム アテンダント メールボックスが必要であるためです。
  • 接続が解除されたシステム アテンダント メールボックスをデータベースから削除すると、そのメールボックスを再び作成することはできません。物理的なメールボックスを削除した後でも削除標識付きメールボックスのテーブルの登録は残るため、メールボックスの再作成は阻止されます。
  • システム アテンダント メールボックス データベースを同じサーバー上の別のデータベースまたはストレージ グループの場所に移動すると、そのメールボックスは削除標識付きメールボックスのテーブルには登録されません。ただし、メールボックス クリーンアップ エージェントが実行されると、メールボックスの接続が解除され、そのメールボックスが削除される場合があります。一方、データベースを元の場所に戻すと、メールボックスは自動的に再作成または再接続されます。
  • システム アテンダント メールボックスをホストするデータベースを変更できます。Exchange システム マネージャを使用してシステム アテンダント メールボックス データベース オブジェクトを完全に削除すると、Exchange によってサーバー上にある別のデータベースの 1 つが自動的に指定され、システム アテンダント メールボックスをホストします。そのサーバー上に厚生されているデータベースが 2 つだけである場合を除き、新しいデータベースの割り当てを制御することはできません。
  • 同じ物理データベースの 2 つのコピーを同じストレージ グループ内に同時にマウントすることはできません。Exchange はいずれかのデータベースのマウントに失敗し、エラー -1222, JET_errDatabaseSignInUse を返します。このエラーは、データベースの署名が競合していることを示します。一連の同じトランザクション ログに対して、同じ署名を共有する 2 つのデータベースをマウントできると、トランザクション ログを再生できなくなります。

詳細情報

Exchange メールボックスのデータベースの移動に関する詳細については、「別のサーバーまたはストレージ グループへの Exchange メールボックス データベースの移動」を参照してください。

Exchange メールボックス データベースを移動する場合のトランザクション ログ ファイルの問題の詳細については、「Exchange メールボックス データベースを移動する際のトランザクション ログ ファイルの問題」を参照してください。