バリエーションを計画する

この記事の内容 :

  • バリエーションについて

  • バリエーションとコンテンツの承認

  • ターゲット バリエーション サイトの計画

  • バリエーションとサイトのナビゲーション

  • バリエーションとコンテンツの展開

  • バリエーションと Web パーツ

  • ユーザー バリエーション サイトの計画

バリエーションについて

多くの企業は、グローバルな事業展開を行っています。ただし、国内市場においてさえ、多言語を話したり、場合によっては地域的な違い、さまざまな異種携帯デバイス、企業ブランド戦略を考慮して特定の情報を扱う必要が生じたりする多様な顧客ベースを、企業は掌握する必要があります。こういったタイプの企業は、文化、市場、地理的地域の違いに応じて調節されたコンテンツを配信する Web サイトを必要とします。サイト バリエーションの開発と維持は、困難かつ時間のかかる作業となる可能性があります。サイト アーキテクトやサイト管理者の作業を簡略化するため、Microsoft Office SharePoint Server 2007 ではバリエーションを使用します。

Office SharePoint Server 2007 のバリエーション機能は、ソース バリエーション サイトから各ターゲット バリエーション サイトにコンテンツをコピーすることによって、さまざまなサイトにおける特定の利用者が同一のコンテンツを利用できるようにします。必要に応じ、コピーされたコンテンツをターゲット バリエーション サイトでカスタマイズすることができます。たとえば、ターゲット バリエーション サイトのコンテンツを、公開前にローカライズできます。

既定では、バリエーション サイトへのリダイレクトは、ユーザーがサイトへのアクセスに使用するブラウザの言語設定に従って行われます。たとえば既定ブラウザ言語がフランス語であるユーザーは、Office SharePoint Server 2007 によって、フランス語のバリエーション サイトにリダイレクトされます。この動作をカスタマイズするには、既定のリダイレクト ページ (VariationRoot.aspx) を別のページと置き換えます。この置き換えた新たなページで、たとえばユーザーの優先言語、ユーザーのデバイスなど、さまざまなサイトにおける基準を指定するロジックを実装することができます。バリエーション サイト リダイレクトのカスタマイズの詳細については、「[方法] バリエーション ルート ジャンプ ロジックをカスタマイズする」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=80449&clcid=0x411) を参照してください。

サイト バリエーションの定義は、バリエーションごとのバリエーション ラベルを作成することによって行います。バリエーション ラベルは、新しいバリエーション サイトの命名と構成に使用する識別子です。新しいコンテンツの大半の入力先サイトであるソースとして、バリエーション ラベルを 1 つ選択します。対応するバリエーション ラベルは、コンテンツのコピー先であるターゲット ラベルです (Office SharePoint Server 2007 では、最大 50 個のラベルを使用できます)。バリエーション ラベルからバリエーション サイトを作成するには、Office SharePoint Server 2007 サイトの管理ページの [バリエーション ラベル] ページの [階層の作成] コマンドを使用します。

1 つのサイト コレクションに定義できるのは、1 セットのバリエーション ラベルだけです。対応するバリエーション サイトは、サイト階層内のどこからでも起動できます。ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトは、必ず、バリエーション ホーム サイトのサブサイトとして作成されます。バリエーション ホーム サイトにアクセスしたユーザーは、該当するバリエーション サイトにリダイレクトされます (オプションの [バリエーション選択] コントロールを使用すれば、表示したいバリエーション サイトをユーザーがメニューから選択できます。マスタ ページへのこのコントロールの追加は、Microsoft Office SharePoint Designer 2007 を使用して行います)。

次の簡単な例では、"A"、"B"、"C" のラベルの 3 つのバリエーション サイトが、この例ではサイト コレクションのトップレベル サイトであるバリエーション ホーム サイトの 1 レベル下にあります。"A" は、ソース バリエーション サイトです。このサイトで作成され公開された (新たなメジャー バージョンとして承認された) ページは、ターゲット バリエーション サイトである "B" と "C" にコピーされます。

サイト バリエーションを計画する

各バリエーション サイトの作成には、バリエーション ホーム サイトの作成に使用したものと同じサイト テンプレートを使用します。バリエーション サイトに組み込みたい Web ページ、画像などのコンテンツがバリエーション ホーム サイトにある場合には、バリエーション サイトを作成してからそのコンテンツをソース バリエーション サイトにコピーする必要があります。公開承認後、このコンテンツはターゲット バリエーション サイトに伝達されます。同様に、バリエーション ホーム サイトにサブサイトがあり、これらのサブサイトを各バリエーション サイトのサブサイトともしたい場合には、各バリエーション サイトの下にこれらのサブサイトを手動で作成する必要があります。ソース バリエーション サイトのサブサイトで公開されたページは、各ターゲット バリエーション サイトにある同等のサブサイトに伝達されます。

バリエーションとコンテンツの承認

コンテンツの承認とは、承認者権限を持つサイト メンバによってコンテンツの公開を制御する方法です。メジャー バージョンであれば読み取り権限を持つユーザーによる閲覧が可能なので、新しいメジャー バージョンが承認された時点でそのコンテンツは公開されたと見なされます。バリエーション サイトにおけるコンテンツ承認では、ソース バリエーション サイト上とターゲット バリエーション サイト上のページ ライブラリにおけるメジャーとマイナーのバージョン管理が必要となります。Office SharePoint Server 2007 のバージョン管理と承認の詳細については、「バージョン管理、コンテンツの承認、チェックアウトを計画する」を参照してください。

コンテンツの承認については、バリエーション計画時に考慮すべき事柄がいくつかあります。

  • 承認対象のページが送信されると、ソース バリエーション サイトで電子メールが生成され、ターゲット バリエーション サイトの所有者に送信されます。ページが承認されると、ターゲット サイトへのコピーが有効となります。タイマ ジョブによってコンテンツがバリエーション サイトに自動的にコピーされるようにバリエーション機能を構成することも、バリエーション コンテンツを手動で伝達することもできます。

  • ソース バリエーション サイトからターゲット バリエーション サイトにコピーされたページには、必ずマイナー バージョンが割り当てられます。ターゲット サイトにとって初めてのページには、バージョン 0.1 が割り当てられます。ターゲット バリエーション サイトに既に存在しているページの場合、コピーされたページには次に利用可能なマイナー バージョンが割り当てられます。たとえば、あるページのバージョン 2.1 がターゲット サイトに存在しているときにこのページの新規バリエーションがターゲット サイトにコピーされた場合、新たにコピーされたページはバージョン 2.2 となります。

注意

   ターゲット サイト内のコンテンツに対して行われた変更内容は、ソース バリエーション サイトで作成されたコンテンツに置き換えられることがあります。たとえば言語バリエーションにおいて、ソース サイトとターゲット サイトの言語が異なっている場合、以下の事態が発生する可能性があります。まず、編集者がターゲット サイト上のローカライズ済みページに手を加え、1.1 という新しいマイナー バージョンを割り当てます。その後ソース サイト上の作者がそのページに手を加えると、このページはバージョン 1.2 としてターゲット サイトにコピーされ、この結果、バージョン 1.1 における変更内容が置き換えられます。この例の場合、ターゲット サイトの編集者は旧バージョンを取得するか、新バージョンを受け入れるか、新旧バージョンをマージして新たなバージョンを作成しなければならないことになります。

ターゲット バリエーション サイトの計画

ターゲット バリエーション サイトの計画目標は、実装するバリエーション サイトの種類によって異なります。たとえば言語ベースのバリエーション サイトの場合には、ターゲット バリエーション サイトのページの外観をソース バリエーション サイトにあるページの外観と同じにしたいことがあります。一方、デバイス ベースのバリエーションの場合には、ターゲット サイトにあるページの外観をソース サイトにあるページの外観とは同じにせず、表示デバイスに合わせた外観にしたいと考えるはずです。

カスタマイズしたマスタ ページ、レイアウト ページ、またはスタイル シートをバリエーション サイトに使用することができます。たとえばデバイス ベースのサイト バリエーションの場合、画面のサイズが制限されているデバイスで表示されるバリエーションについては、通常、よりシンプルなページ レイアウトを定義することができます。マスタ ページ、レイアウト、スタイル シートが管理されるのはサイト コレクションのトップレベル サイトにおいてのみなので、これらのリソースへの変更はすべて、トップレベル サイトにある以下の場所のいずれかで行う必要があります。

リソース 場所

マスタ ページ

マスタ ページ ギャラリー

レイアウト ページ

マスタ ページ ギャラリー

XSL スタイルとカスケード スタイル シート

スタイル ライブラリ

ページ レイアウトとマスタ ページの計画の詳細については、「Web ページを計画する」を参照してください。

すべてのバリエーション サイトのページ ライブラリに対して同じコンテンツ タイプを使用する必要があります ([ページ] コンテンツ タイプまたは [ページ] コンテンツ タイプをベースとしたコンテンツ タイプ)。その最も簡単な方法は、トップレベル サイトのサイト コンテンツ タイプ ギャラリーに定義されているコンテンツ タイプを使用することです。

1 つ以上のバリエーション サイトのページでカスタム列が必要である場合には、ページ ライブラリで使用しているコンテンツ タイプにそれらの列を追加します。たとえば言語の違いをベースとするバリエーション サイトの場合には、ローカライズされたページであるかどうかを示す列を追加できます。コンテンツ タイプと列の計画作成の詳細については、「コンテンツ タイプを計画する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

公開機能が有効となっているサブサイトがソース バリエーション サイトにある場合、サブサイトのページはターゲット バリエーション サイトに伝達されます。バリエーション機能はソース サイトとターゲット サイトのページ ライブラリの場所を追跡するので、この伝達処理は、ターゲット バリエーション サイトの構造が変更されていても行われます。ただし、ターゲット バリエーション サイトのページ ライブラリの名前変更や削除を行った場合、バリエーション機能は機能しなくなります。

一部のサイト バリエーション ソリューションでは、ターゲット バリエーション サイト上のコンテンツの編集や変更が不要です。たとえばバリエーション サイトがデバイスに依存する場合、すべてのデバイス上で同一のコンテンツを表示させたいと同時に、デバイス タイプごとに異なるレイアウトとマスタ ページを使用したいことがあります。その場合には、ページ作成コンソールなどの作成機能を無効にすると共に必須チェックアウトも無効にし、それによってターゲット バリエーション サイトを簡略化します。

注意

Office SharePoint Server 2007 作成コンソールを無効にするには、Office SharePoint Designer 2007 を使用します。

バリエーションとサイトのナビゲーション

サイト バリエーションを使用する場合には、サイト ナビゲーションの操作性を慎重に計画してください。Office SharePoint Server 2007 ではサイト ナビゲーション リンクが自動的に生成され、Web ページの外側のフレーム (マスタ ページ部分) に表示されます。現在のサイトのピア サイトへのリンクが表示されるようにサイト ナビゲーションが構成されることが少なくありません。現在のサイトのピア サイトが同一サイトのバリエーションである場合には、ユーザーにはこのようなナビゲーション機能を与えないことをお勧めします。

ナビゲーションの計画の詳細については、「サイトのナビゲーションを計画する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

バリエーションとコンテンツの展開

Office SharePoint Server 2007 のコンテンツ展開機能は、ソース Office SharePoint Server 2007 サイト コレクションから別のサイト コレクションにコピーします。ソース サイト コレクション全体、一部のサイト、または個々のページをコピーすることができます。

バリエーション サイトを展開する際には、すべてのサイトを同時に展開するのが最善のやり方です。サブサイトや個々の Web ページを別々に展開することが可能なので、サイト コレクションにコピーされたさまざまなバリエーション サイトの Web ページの同期が取れなくなる可能性があります。たとえば新しいページがソース バリエーション サイトに追加され、このサイトがターゲット バリエーション サイトより前に展開された場合、ターゲット バリエーション サイト内のページにリダイレクトされた (または [バリエーション選択] コントロールを使用して明示的にページを選択した) ユーザーは、そのページを見ることができない可能性があります。

コンテンツ展開の計画の詳細については、「コンテンツの展開を計画する」を参照してください。

バリエーションと Web パーツ

Web パーツは、Office SharePoint Server 2007 をベースとしたページ構成要素の 1 つです。ほとんどの Web パーツは、テキスト、HTML、画像など、特定の種類のデータを表示するように設計されています。Office SharePoint Server 2007 には 1 つの Web パーツ セットが組み込まれていますが、Web パーツの開発やインポートも行えます。

Web パーツは、バリエーション サイトのページと共に伝達されます。ただし、Web パーツの機能によっては、バリエーション サイトのコンテキストでは機能しない可能性があります。たとえばリスト Web パーツ機能は、リストのグローバル一意識別子 (GUID) を使用してリストの参照を行います。リスト Web パーツ機能はバリエーション サイトの一部としてページが伝達されるときに GUID を更新しないので、Web パーツはソース バリエーション サイト内のリストを参照しようとしますが、これは本来の機能ではないので機能しません。このような Web パーツ本来のものではない動作を予防するためとして、Web パーツをターゲット バリエーション サイトにコピーしないようにバリエーション機能を構成することができます。

バリエーション サイトの一部として Web パーツをコピーする処理を行わせる場合には、必ず、サイト バリエーション コンテキストで使用できるように Web パーツを開発してください。Web パーツの開発の詳細については、「Microsoft Office SharePoint Server 2007 SDK にようこそ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=71218&clcid=0x411) を参照してください。

ユーザー バリエーション サイトの計画

ワークシートでの作業

Microsoft® Office SharePoint® Server 2007 バリエーションを計画する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=80667&clcid=0x411) を使用して、バリエーション サイトの計画決定事項を記録します。

  1. 「デバイス依存バリエーション サイト」などのようなバリエーション サイトの目的を、ワークシートに記録します。

  2. バリエーション ホーム サイトの URL を記録します。

  3. バリエーション ホーム サイトのサブサイトをソース バリエーション サイトにコピーするかどうかを指定し、コピーする場合には、コピー対象のサブサイトの名前を入力します。

  4. バリエーション ホーム サイトのコンテンツをソース バリエーション サイトにコピーするかどうかを指定し、コピーする場合には、コピー対象のコンテンツを指定します。

  5. バリエーション サイトを自動的に伝達するか、手動で伝達するかを指定します。

  6. [バリエーション サイト] の欄の 1 行に 1 バリエーション サイトずつ、バリエーション サイトを入力します。どのバリエーション サイトがソース サイトであるかを指定します。

  7. 各バリエーション サイトについて、カスタマイズしたレイアウト、マスタ ページ、または列を使用する場合にはそれらを指定し、必要に応じてメモを記入します。

ワークシート

Microsoft® Office SharePoint® Server 2007 バリエーションを計画する (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=80667&clcid=0x411)

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