Exchange 2007 SP3 から Exchange 2010 RTM ユニファイド メッセージングへのアップグレード

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2016-11-28

ユニファイド メッセージング (UM) は、Microsoft Exchange Server 2007 で導入されました。 既に Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) ユニファイド メッセージングを展開し、すべての新機能を含めて MicrosoftExchange Server 2010 Service Pack 1 (SP1) 以降のユニファイド メッセージングにアップグレードする必要がある組織では、Exchange 管理者が組織の UM 環境を正常にアップグレードするために実行すべき作業があります。

注意

Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) には、ユニファイド メッセージングの機能が含まれています。 Exchange 2007 より前の Microsoft Exchange のバージョンをアップグレードすることはできないため、ユニファイド メッセージングなどのすべてのサーバーの役割を備えた新しい Exchange 2010 Service Pack 1 (SP1) 以降の組織を展開する必要があります。

目次

Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングへのアップグレードの概要

アップグレード シナリオ

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングからのカスタム プロンプトのアップグレード

ユニファイド メッセージングでの自動検出と Exchange Web サービス

Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングへのアップグレードの概要

アップグレードは、既存の Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) ユニファイド メッセージング環境の確認、Exchange 2010 UM SP1 以降のサーバーのインストール、および Exchange 2007 SP3 UM サーバーの削除とアンインストールを実行するプロセスです。 ただしこの処理中、アップグレードした Exchange 2010 SP1 以降の組織には、Exchange 2010 SP1 以降のサーバーと Exchange 2007 SP3 UM サーバーの両方が存在する可能性があります。 このような組織には、メールボックス サーバー、クライアント アクセス サーバー、ハブ トランスポート サーバーについても Exchange 2007 SP3 と Exchange 2010 SP1 以降の両方が存在することになります。 UM サーバーを含むすべての Exchange 2007 SP3 サーバーには、Exchange Server 2007 SP3 をインストールしておく必要があります。 詳細については、「Exchange Server 2007 Service Pack 3 (SP3) のダウンロード」を参照してください。

Exchange 2007 SP3 メールボックスを持つ UM が有効なユーザーは Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) ユニファイド メッセージングに含まれる機能を利用でき、Exchange 2010 SP1 以降のメールボックスを持つ UM が有効なユーザーは Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングに含まれるすべての機能を利用できるようになります。 次の表は、Exchange 2007 SP3 と Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングを、同じ Exchange 組織内に共存させるときに利用可能なアップグレード シナリオと UM 機能の概要です。

Exchange 2007 SP 3 および Exchange 2010 SP1 以降のメールボックスでのユニファイド メッセージング

  Exchange 2007 SP3 UM サーバー Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバー

Exchange 2007 SP3 の UM が有効なメールボックス

UM が有効なユーザーは Exchange 2007 SP3 に含まれる機能を利用できます。

着信呼び出しは、同じダイヤル プランの Exchange 2007 SP3 UM サーバーにリダイレクトされます。

Exchange 2010 SP1 以降の UM が有効なメールボックス

サポートされていません。 少なくとも 1 台の Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーが必要です。

UM が有効なユーザーは Exchange 2010 SP1 以降に含まれる機能を利用できます。

最初に Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーをインストールし、それを既存の Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) 組織に追加する場合は、Exchange 2007 SP3 UM サーバーが含まれている既存の UM ダイヤル プランに Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーを追加する必要があります。 次に、同じ UM ダイヤル プラン内の Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーにすべての着信呼び出しを送信するように、各 IP ゲートウェイまたは IP PBX を構成する必要があります。

Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーによって着信呼び出しが受信され、UM が有効なユーザーのメールボックスが Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーに置かれている場合、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーがその着信呼び出しを処理します。 UM が有効なユーザーのメールボックスが Exchange 2007 SP3 メールボックス サーバーに置かれていると、着信呼び出しは同じ UM ダイヤル プラン内の Exchange 2007 SP3 UM サーバーにルーティングされ、着信呼び出しが処理されます。 同じダイヤル プランに複数の Exchange 2007 SP3 UM サーバーが存在すると、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーは、ラウンド ロビン メカニズムを使用して着信呼び出しを Exchange 2007 SP3 UM サーバーに送信します。

UM が有効なユーザーのすべてのメールボックスを Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーに移行した後に、Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) UM サーバーを UM ダイヤル プランから削除できます。

アップグレード シナリオ

Exchange 2007 SP3 ユニファイド メッセージングから Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングへとアップグレードする場合、次の 2 つの基本的なシナリオがあります。

  • 完全なアップグレード   完全なアップグレードでは、すべての Exchange 2007 SP3 UM サーバーを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーに置き換え、既存の Exchange 2007 SP3 の UM が有効なすべてのメールボックスが Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングに移動します。 この処理中、通常は、同じ Exchange 組織内に Exchange 2007 SP3 と Exchange 2010 SP1 以降の両方の UM サーバーが共存することになります。 処理が終了すると、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーは、すべての着信呼び出しに応答し、UM が有効なユーザーが Exchange 2010 SP1 以降の UM ダイヤル プランで構成されている Outlook Voice Access 番号に電話を掛けたとき、ユーザーが自分のメールボックスにアクセスできるようになります。

    重要

    Exchange 2010 SP1 以降の組織にある最後の Exchange 2007 SP3 UM サーバーをアンインストールする場合は、Exchange 2007 SP3 UM サーバーと同じ組織内にある Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーで次のコマンドを実行します。 Set-UMDialPlan -identity MyUMDialPlan -LegacyPromptPublishingPoint $null。このコマンドを実行すると、Exchange 2007 SP3 UM サーバーはダイヤル プランからバインド解除されます。 このコマンドは、最後の Exchange 2007 SP3 サーバーを Exchange 2010 SP1 以降の組織から削除する前に実行する必要があります。

  • **部分的なアップグレード  ** 部分的なアップグレードでは、既存の Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) の UM が有効なメールボックスの一部を Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングに移動します。 部分的なアップグレードとは、Exchange 2007 SP3 組織から Exchange 2010 SP1 以降の組織へのアップグレードを説明するのに使用される用語です。 部分的なアップグレードでは、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーは、Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーに置かれている UM が有効なメールボックスへの呼び出しのみを処理します。 Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングを展開し、Exchange 2007 SP3 UM と共存させる場合、組織に展開されている少なくとも 1 台の Exchange 2007 SP3 UM サーバーを維持し、それを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーと同じダイヤル プランに追加する必要があります。

    Exchange 2007 SP3 ユニファイド メッセージングから Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングへの部分的なアップグレードを実行すると、着信呼び出しの種類、および Microsoft Office Communications Server 2007 と UM との統合の有無によって、完全なアップグレードの後の処理方法とは異なる方法で着信呼び出しが処理されます。以下にその処理方法をいくつか示します。

    • 通話応答   通話応答呼び出しでは、UM サーバーが着信呼び出しに応答した際に、宛先メールボックスの内線番号が SIP INVITE ヘッダー内に提供されます。 提供された情報に基づいて、メールボックスのバージョンが確認され、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーが宛先の UM が有効なメールボックスの場所を直ちに特定します。 受信者のメールボックスが Exchange 2007 SP3 メールボックス サーバーでホストされている場合、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーは着信呼び出しを同じダイヤル プランの Exchange 2007 SP3 UM サーバーにリダイレクトします。

    • サブスクライバー アクセス   次の 2 つのサブスクライバー アクセスのシナリオがあります。

      **シナリオ 1:**発信者が、UM サーバーが認識していない電話番号からダイヤル プランに構成されているサブスクライバー アクセス番号に電話を掛け、さらに着信呼び出しに SIP INVITE ヘッダー内の宛先ユーザーのメールボックス情報がない場合、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーが電話に応答し、発信者に対して電話のキーパッド上のキーを押して内線番号を入力することを要求します。 発信者が内線番号を入力すると、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーはユーザーを特定し、UM が有効なメールボックスを探し、そのメールボックスのバージョンを確認します。 メールボックスが Exchange 2007 SP3 メールボックス サーバーに置かれている場合、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーは SIP REFER 要求を実行し、その呼び出しを Exchange 2007 SP3 UM サーバーに送信します。

      **シナリオ 2:**発信者が、ダイヤル プランに構成されているサブスクライバー アクセス番号に電話を掛け、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーが呼び出し元の番号を Exchange 2007 SP3 メールボックスを持つ UM が有効なユーザーの内線番号として認識すると、その呼び出しは Exchange 2007 SP3 UM サーバーにリダイレクトされます。 Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーがリダイレクト要求を行い、その呼び出しを Exchange 2007 SP3 UM サーバーに送信します。

    • Office Communications Server   Exchange 2010 の RTM バージョンを実行している場合、R2 ではない Communications Server 2007 および累積的な更新プログラム 5 (CU5) 以降が適用されていない Communications Server 2007 では、UM が有効なユーザーのメールボックスのバージョンを特定できません。 したがって、呼び出しが Communications Server 2007 によって受信され、その呼び出しが同じダイヤル プランの別の UM サーバーにリダイレクトされると、Exchange 2007 SP3 UM サーバーまたは Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーのどちらかが呼び出しに応答することになります。 このことが、部分的なアップグレードを実行した際に問題を発生させる原因になります。これは、着信呼び出しが Exchange 2007 SP3 UM サーバーによって受信され、UM が有効なユーザーのメールボックスが Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーに存在すると、着信呼び出しが失敗するためです。 Exchange 2007 SP3 UM サーバーは Exchange 2010 SP1 以降のメールボックスを持つ UM が有効なユーザーへの呼び出しを処理できないため、呼び出しは失敗します。

      着信呼び出しが失敗する理由は、Communications Server 2007 が UM サーバーの呼び出しのリダイレクト先が Exchange 2007 SP3 UM サーバーなのか、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーなのかを UM サーバーに指示できないためです。

      Communications Server 2007 を IP ゲートウェイとして使用しており、UM に対して有効な Exchange 2007 SP3 メールボックスがある場合、新しい SIP URI ダイヤル プランが必要になります。 新しい SIP URI ダイヤル プランには、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーのみを含める必要があります。 新しいダイヤル プランでは、着信呼び出しを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーにのみリダイレクトする必要があります。

      同一の SIP URI ダイヤル プランで、Exchange 2010 SP1 以降のサーバーと Exchange 2007 SP3 サーバーの両方を含む部分的なアップグレードを実行する場合、Communications Server R2 と累積的な更新プログラム 5 (CU5) 以降をインストールするか、Microsoft Lync Server 2010 をインストールする必要があります。CU5 以降を適用済みの Communications Server R2 または Lync Server 2010 と Exchange 2010 SP1 以降を実行している場合は、別の SIP URI ダイヤル プランは必要ありません。 Exchange 2010 SP1 以降と Exchange 2007 SP3 UM サーバーは、同じ SIP URI ダイヤル プラン内で共存できます。 CU5 以降を適用済みの Office Communications Server 2007 R2 と Lync Server 2010 のどちらにも、すべての着信呼び出しを、同じダイヤル プランの Exchange 2007 SP3 ではなく、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーへと転送する組み込みのロジックがあります。

次の表では、Microsoft Exchange の旧バージョンから Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングへの部分的なアップグレードまたは完全なアップグレードを実行する場合に必要となる作業について説明します。

Exchange 2010 ユニファイド メッセージングへのアップグレード

現在展開されている Exchange のバージョン アップグレードの種類 既存の UM ダイヤル プラン 必要な操作

Exchange Server 2003 以前のバージョン

該当なし

該当なし

  • Exchange 2010 SP1 以降の組織に Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーを追加します。

  • 必要な UM ダイヤル プランを作成します。

  • 必要な UM IP ゲートウェイと UM ハント グループを作成します。

  • UM サーバーを適切なダイヤル プランに追加します。

  • Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、カスタム プロンプトの発行場所にカスタム プロンプトをコピーします。

  • Exchange メールボックスを Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーに移動して、メールボックスで UM を有効にします。

Exchange 2007 SP3

Exchange 2010 SP1 以降への完全アップグレード

電話の内線番号、SIP URI、または E.164、あるいはこれらすべて

  • Exchange 2010 SP1 以降の組織に Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーを追加します。

  • Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーを適切なダイヤル プランに追加します。

  • Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、カスタム プロンプトの発行場所にカスタム プロンプトをコピーします。

  • Exchange 2007 SP3 UM サーバーを持つ同じ組織内の Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーから、以下のコマンドを実行します。

    Set-UMDialPlan -identity MyUMDialPlan -LegacyPromptPublishingPoint $null
  • Exchange 2007 SP3 の UM が有効なメールボックスを Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーに移動します。

  • Exchange 2007 SP3 の UM が有効なメールボックスを Exchange 2010 SP1 以降の組織から削除します。

Exchange 2007 SP3

Exchange 2010 SP1 以降への部分的アップグレード

電話の内線番号または E.164 あるいはその両方

  • Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーをダイヤル プランに追加します。

  • Exchange 2007 SP3 UM サーバーをダイヤル プランから削除しないでください。

  • 呼び出しを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーに送信するように IP ゲートウェイまたは IP PBX を構成します。

  • Copy-UMCustomPrompt および Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、音声ガイダンス発行場所にカスタム プロンプトをコピーします。

Exchange 2007 SP3

Exchange 2010 SP1 以降への部分的アップグレード

SIP URI

  • 新しい SIP URI または E.164 ダイヤル プラン、あるいはその両方を作成します。

  • Exchange 2010 SP1 以降のサーバーを SIP URI のダイヤル プランに追加します。

  • Exchange 2007 SP3 の UM が有効なメールボックスを Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーに移動します。

  • 新しい SIP URI ダイヤル プランの新しい UM ハント グループを作成します。

  • Exchange 2007 SP3 の UM が有効なメールボックスを持つユーザーのメールボックスを無効にします。

  • ユーザーのユニファイド メッセージングを新しい SIP URI ダイヤル プランを使用して有効にします。

  • Copy-UMCustomPrompt および Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、音声ガイダンス発行場所にカスタム プロンプトをコピーします。

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングからのカスタム プロンプトのアップグレード

UM ダイヤル プランおよび自動応答で使用されるカスタムの案内応答にはさまざまな種類があります。たとえば、ダイヤル プラン用の案内応答、時間外案内応答とメニュー、勤務時間および勤務時間外の案内応答とメニュー、UM 自動応答のキー マッピングなどがあります。 ユニファイド メッセージングで使用するこれらのすべてのオーディオ ファイルは、カスタム プロンプトとして認識されます。

Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) カスタム プロンプトの概要

Exchange 2007 SP3 では、Copy-UMCustomPrompt コマンドレットは、Active Directory で適切なダイヤル プラン オブジェクトのクエリを行って、音声ガイダンス発行ポイントの場所を特定します。 音声ガイダンス発行ポイントは各ダイヤル プランに 1 つしかなく、ダイヤル プランおよび自動応答カスタム プロンプトに使用されるファイル共有を識別するための Windows ファイル共有 (UNC とも呼ばれます) パスとして格納されます。 音声ガイダンス発行ポイントの場所が特定されると、コマンドレットによってカスタム プロンプトの内容が検証されて、正しい形式であるかどうか、サポートされているオーディオ コーデックが使用されているかどうかが確認されます。 この検証テストに合格すると、コマンドレットによって、プロンプトの内容が音声ガイダンス発行ポイントにコピーされます。

カスタム プロンプトが音声ガイダンス発行ポイントにコピーされ、必要に応じてディレクトリが更新されると、今度はプロンプトがダイヤル プランの各 UM サーバーにコピーされます。 音声ガイダンス発行ポイントとして構成されている UM サーバーの適切なフォルダーにカスタム プロンプトが追加された後、各 UM サーバーで実行されている Microsoft Exchange ファイル配布サービスによって音声ガイダンス発行ポイントが参照されて、音声ガイダンス発行ポイントのファイルが変更されていないかどうか、ファイルが追加されていないかどうかが確認されます。 ファイルが変更されたり追加されたりしていた場合は、その他の UM サーバーによってカスタム プロンプトが音声ガイダンス発行ポイントからプル転送されて、ローカル ドライブの \\<サーバー名>\ExchangeUM フォルダーの適切な場所にコピーされます。 Copy-UMCustomPrompt コマンドレットを使用してカスタム プロンプトが音声ガイダンス発行ポイントにコピーされた後、Set-UMDialPlan または Set-UMAutoAttendant コマンドレットを使用して、カスタムの案内応答ファイルまたはプロンプトを使用するようにダイヤル プランまたは自動応答を構成します。

Exchange 2010 Service Pack 1 以降のカスタム プロンプト

カスタム プロンプトは、ダイヤル プランおよび自動応答用に Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングでも利用できます。 Exchange 2007 SP3 ユニファイド メッセージングで利用可能であった音声ガイダンス発行ポイントは、Exchange 2010 SP1 以降には存在しません。 Exchange 2010 SP1 以降をインストールすると、システム メールボックス {e0dc1c29-89c3-4034-b678-e6c29d823ed9} が作成され、メッセージの承認や複数のメールボックスの検索といった機能のサポートに使用されます。 システム メールボックスは、Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングがダイヤル プランや自動応答のカスタム プロンプトを格納するためにも使用されます。 システム メールボックスが存在しない場合は、Setup /PrepareAD を使用して作成できます。 システム メールボックスは、Exchange 管理コンソール (EMC) や Exchange のアドレス一覧には表示されません。

Exchange 2010 SP1 以降のシステム メールボックスを使用すると、カスタム プロンプトをデータベース内の他のメールボックスと併せてバックアップおよび復元できます。 これにより必要なリソースの量が削減されます。 カスタム プロンプトをシステム メールボックスに格納することで、Exchange 2007 SP3 ユニファイド メッセージングにおいて、Active Directory と MicrosoftExchange ファイル配布サービスの間で発生する可能性のある不整合の可能性が排除されます。 システム メールボックスに関する詳細については、「メールボックス サーバーの役割の概要」を参照してください。

Exchange 2007 SP3 ユニファイド メッセージングから Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージングへのアップグレードを実行する際には、事前に Exchange 2007 SP3 UM ダイヤル プランおよび自動応答用の既存のカスタム プロンプトを、Copy-UMCustomPrompt cmdlet コマンドレットを使用して、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーのフォルダーにコピーし、次にそのカスタム プロンプト ファイルを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーにインポートする必要があります。 Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、カスタム プロンプトを Exchange 2010 UM にインポートすることもできます。 Exchange 2007 SP3 ユニファイド メッセージングのコマンドレットである Copy-UMCustomPrompt は、Exchange 2010 SP1 以降の UM では、カスタム プロンプトのコピー用としてサポートされていません。 詳細については、「ユニファイド メッセージングのカスタム プロンプトをインポートおよびエクスポートする」を参照してください。

Exchange 2010 SP1 以降の UM ダイヤル プラン用のカスタム プロンプトをインポートするには、次の構文を使用します。

Import-UMPrompt -PromptFileData <Byte[]> -PromptFileName <String> -UMDialPlan <UMDialPlanIdParameter> [-Confirm [<SwitchParameter>]] [-DomainController <Fqdn>] [-WhatIf [<SwitchParameter>]]

Exchange 2010 UM 自動応答用のカスタム プロンプトをインポートするには、次の構文を使用します。

Import-UMPrompt -PromptFileData <Byte[]> -PromptFileName <String> -UMAutoAttendant <UMAutoAttendantIdParameter> [-Confirm [<SwitchParameter>]] [-DomainController <Fqdn>] [-WhatIf [<SwitchParameter>]]

次の表は、Exchange 2010 SP1 以降と Exchange 2007 SP3 UM サーバーでカスタム プロンプトを利用できるようにするために必要な手順を示しています。

カスタム プロンプトを利用するための手順

アップグレードの種類 カスタム プロンプトのアップグレード手順

完全なアップグレード

  • 組織内のすべての Exchange サーバーに Exchange 2007 SP3 をインストールします。

  • Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージング サーバーの役割をインストールし、この UM サーバーを Exchange 2007 SP3 ダイヤル プランに追加します。

  • カスタム プロンプトが新しいものである場合、カスタム プロンプトを作成します。 カスタム プロンプトが Exchange 2007 SP3 で作成された場合、このカスタム プロンプトを、Copy-UMCustomPrompt コマンドレットを使用して Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーのフォルダーに手動でコピーします。

  • Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、UM ダイヤル プランまたは自動応答用のカスタム プロンプトを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーにインポートします。

  • Exchange 2007 SP3 UM サーバーを持つ同じ組織内の Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーから、以下のコマンドを実行します。

    Set-UMDialPlan -identity MyUMDialPlan -LegacyPromptPublishingPoint $null
  • 組織内に Exchange 2007 SP3 の UM が有効なメールボックスが存在しない場合、Exchange 2007 SP3 の UM サーバーを停止します。

部分的なアップグレード

  • 組織内のすべての Exchange サーバーに Exchange 2007 SP3 をインストールします。

  • Exchange 2010 SP1 以降のユニファイド メッセージング サーバーの役割をインストールし、この UM サーバーを Exchange 2007 SP3 ダイヤル プランに追加します。

  • 必要に応じて、新しいカスタム プロンプトを作成します。 カスタム プロンプトが Exchange 2007 SP3 で作成された場合、このカスタム プロンプトを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーのフォルダーに手動でコピーします。

  • Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、UM ダイヤル プランまたは自動応答用のカスタム プロンプトを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーにインポートします。

  • 新しいカスタム プロンプトを更新または作成する場合は、Import-UMPrompt コマンドレットを使用して、カスタム プロンプトを Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーにインポートし、Copy-UMCustomPrompt コマンドレットを使用して、同じカスタム プロンプト ファイルを、Exchange 2007 SP3 の UM サーバーの音声ガイダンス発行ポイントにコピーする必要があります。

    注意

    アップグレード プロセスの実行中、Exchange 2007 SP3 UM サーバーと Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーが同じダイヤル プラン内に存在し、両方の UM サーバーが着信呼び出しに応答する場合があります。 Exchange 2007 SP3 UM サーバーは Exchange 2007 SP3 音声ガイダンス発行ポイントからカスタム プロンプトを読み取ることになり、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーはシステム メールボックスからカスタム プロンプトを読み取ることになります。 同じダイヤル プラン内の Exchange 2007 SP3 UM サーバーと Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーの両方に関連付けられているダイヤル プランまたは自動応答用のカスタム プロンプトを追加または変更する場合、両方の音声ガイダンス発行場所を更新する必要があります。 Exchange 2007 SP3 UM サーバーが着信呼び出しに応答する場合に、Import-UMPrompt コマンドレットで Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーにカスタム プロンプトを追加して、Copy-UMCustomPrompt コマンドレットで Exchange 2007 SP3 UM サーバーにカスタム プロンプトをコピーしないと、Exchange 2007 SP3 UM サーバーが既定の案内応答を再生します。

重要

カスタム プロンプトが Exchange 2007 SP3 ユニファイド メッセージングで作成され、Import-UMPrompt コマンドレットでインポートされていなかった場合、Exchange 2010 SP1 以降の UM サーバーは Exchange 2010 SP1 以降のダイヤル プランまたは自動応答用の着信呼び出しに応答しません。

ユニファイド メッセージングでの自動検出と Exchange Web サービス

自動検出サービスは、サポートしている携帯電話に加え Microsoft Office Outlook 2007 または Outlook 2010 を実行しているクライアント コンピューターを構成します。 自動検出サービスは、Exchange メッセージング環境に接続する Outlook 2007 または Outlook 2010 クライアントに、Exchange の機能へのアクセスを提供します。 自動検出サービスは、Outlook クライアントがオフライン アドレス帳、可用性サービス、ユニファイド メッセージングなどの Exchange の機能に自動的に接続できるように、正しく展開および構成する必要があります。 詳細については、「自動検出サービスについて」を参照してください。

Exchange 2007 SP3 と Exchange 2010 SP1 以降のサーバーを共存させている環境では、受信者のメールボックスが Exchange 2010 SP1 以降のメールボックス サーバーでホストされている場合、自動検出要求を Exchange 2007 SP3 クライアント アクセス サーバーではなく Exchange 2010 SP1 以降のクライアント アクセス サーバーに送信する必要があります。 Exchange 2007 SP3 クライアント アクセス サーバーに Exchange 2007 SP3 がインストールされていない場合、Exchange 2007 SP3 クライアント アクセス サーバーは正しくリダイレクトしません。 Exchange 2007 SP3 クライアント アクセス サーバーは、自動検出応答の生成の試行時に Exchange 2010 SP1 以降の UM 仮想ディレクトリの存在を認識せず、使用されるユニファイド メッセージング URL の誤った値を作成します。 Exchange 2007 SP3 クライアント アクセス サーバーが Exchange 2010 SP1 以降の UM が有効なユーザーの要求を正しい UM URL に確実にリダイレクトするには、Exchange 2007 SP3 をインストールする必要があります。

Outlook および Microsoft Office Outlook Web App は、自動検出を介して示されるいくつかの URL プロパティを使用して、[電話での再生] などの UM 機能を有効にします。 これらの URL プロパティが使用されると、URL の値が返されますが、それらの値は、Outlook のバージョンとユーザーのメールボックスのバージョンによって異なります。 次の表では、Outlook のバージョン、ユーザーの Exchange メールボックスのバージョン、および使用される URL を示します。

Outlook と Exchange のメールボックスのバージョン

  Exchange 2007 SP3 メールボックスのユーザー Exchange 2010 SP1 以降のメールボックスのユーザー

Outlook 2007

  • Https://<サーバー名>/UnifiedMessaging/service.asmx は、Outlook に返される UM 仮想ディレクトリの値です。

  • Set-UMVirtualDirectory コマンドレットを使用して、UM 仮想ディレクトリが正しく構成されていることを確認する必要があります。

  • Https://<サーバー名>/EWS/UM2007Legacy.asmx は、Outlook に返される UM 仮想ディレクトリの値です。

  • Set-WebServicesVirtualDirectory コマンドレットを使用して、EWS 仮想ディレクトリが正しく構成されていることを確認する必要があります。 この仮想ディレクトリが正しく構成されていないと、ボイス メール オプションと [電話で再生] 機能が正しく動作しません。

Outlook 2010

  • https://<サーバー名>/UnifiedMessaging/service.asmx は、Outlook に返される UM 仮想ディレクトリの値です。

  • Set-UMVirtualDirectory コマンドレットを使用して、UM 仮想ディレクトリが正しく構成されていることを確認する必要があります。

  • Exchange Web サービス (EWS) の URL: https://<サーバー名>/EWS/Exchange.asmx は、Outlook に返される EWS 仮想ディレクトリの値です。Set-WebServicesVirtualDirectory コマンドレットを使用して EWS 仮想ディレクトリが正しく構成されていることを確認する必要があります。 この仮想ディレクトリが正しく構成されていないと、ボイス メール オプションと [電話で再生] 機能が正しく動作しません。

  • Exchange コントロール パネル (ECP) URL: https://<サーバー名>/ecp/ecp-vdir は、Outlook に返される ECP 仮想ディレクトリの値です。 Set-WebServicesVirtualDirectory コマンドレットを使用して、ECP 仮想ディレクトリが正しく構成されていることを確認する必要があります。 この仮想ディレクトリが正しく構成されていないと、[ボイス メール] オプションが動作しません。

  • ECP ユニファイド メッセージング URL <EcpUrl-um>: ?p=customize/voicemail.aspx&amp;exsvurl=1。これは、ハードコードされた文字列で、ECP のボイス メール オプション ページを検索する /EcpUrl プロパティと共に使用されます。 これが正しく構成されていないと、UM が有効なユーザーはボイス メール オプション ページを参照できません。

Exchange 2010 Service Pack

組織の UM サーバーに RTM バージョンの Exchange 2010 をアップグレードおよびインストールした後は、Exchange 2010 Service Pack 2 (SP2) をインストールする必要があります。 詳細については、「Exchange 2010 SP2 ユニファイド メッセージングのインストールまたはアップグレード」を参照してください。 Exchange 2010 SP2 にアップグレードする場合は、すべての Exchange 2010 RTM と SP1 UM 言語パックを削除してから、Exchange 2010 SP2 UM 言語パックをインストールする必要があります。 詳細については、以下を参照してください。

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