回復用データベース
適用先 : Exchange Server 2010
回復用データベース (RDB) は特別な種類のメールボックス データベースで、回復操作の一部として、復元されたメールボックス データベースをマウントし、復元されたデータベースからデータを抽出できます。Restore-Mailbox コマンドレットを使用すると、RDB からデータを抽出できます。抽出後、データをフォルダーにエクスポートしたり、既存のメールボックスに結合したりできます。RDB を使用すると、現在のデータへのユーザー アクセスを妨げずに、データベースのバックアップやコピーからデータを回復できます。
Microsoft Exchange Server 2010 は回復用データベースに直接データを復元する機能をサポートしています。回復したデータを回復用データベースとしてマウントすると、管理者は 1 つのメールボックス内に個別のメールボックスまたは個別の項目を復元できます。回復用データベースへの復元は、2 つの方法で実行できます。
- 回復用データベースが既に存在する場合、アプリケーションはデータベースをマウント解除し、データを回復用データベースとログ ファイル上に復元して、データベースを再度マウントできます。
- データベースとログ ファイルは、任意のディスクの場所に復元できます。Exchange は復元されたデータを分析してトランザクション ログを再生することで、データベースを最新の状態にします。その後、回復済みのデータベース ファイルをポイントするように回復用データベースを構成できます。
メールボックス データベースと回復用データベースの相違
RDB はいくつかの点で、標準的なメールボックス データベースとは異なります。
- RDB は、Exchange 管理シェルを使用して作成されます。
- RDB からメールを送信することはできません。RDB へのすべてのクライアント プロトコルのアクセス (SMTP、POP3、および IMAP4 を含む) はブロックされます。この設計のため、RDB を使用して、メールをメッセージング システムに挿入したり、メッセージング システムから削除したりすることはできません。
- Microsoft Office Outlook または Outlook Web App を使用したクライアント MAPI アクセスはブロックされます。RDB では MAPI アクセスがサポートされていますが、回復ツールやアプリケーションのみによってサポートされます。MAPI を使用して RDB のメールボックスにログインする場合は、メールボックス GUID とデータベース GUID の両方を指定する必要があります。
- RDB 内のメールボックスをユーザー アカウントに接続することはできません。ユーザーが RDB 内のメールボックスのデータにアクセスできるようにするには、メールボックスを既存のメールボックスに結合するか、フォルダーにエクスポートする必要があります。
- システムとメールボックスの管理ポリシーは適用されません。この設計により、回復プロセス中、RDB の項目はシステムによって削除されることはありません。
- RDB では、オンライン保守は実行されません。
- RDB では、循環ログを有効にすることはできません。
- RDB は、メールボックス データベースのデータのみの回復に使用されます。RDB を使用してパブリック フォルダー データを回復することはできません。
- 1 つの RDB のみを、いつでもメールボックス サーバーにマウントできます。RDB の使用は、メールボックス サーバーごとの 100 データベース制限にカウントされません。
- RDB のメールボックス データベース コピーを作成することはできません。
- RDB は、復元操作のターゲットとして使用することはできますが、バックアップ操作のターゲットとして使用することはできません。
- RDB としてマウントされた、回復したデータベースはいかなる場合も、元のメールボックスに結び付けられることはありません。
回復用データベースの使用
RDB を使用する前に、特定の要件を満たす必要があります。RDB は、Exchange 2010 メールボックス データベースにのみ使用できます。Exchange の以前のバージョンのメールボックス データベースはサポートされていません。また、データの結合と抽出に使用されるターゲット メールボックスは、RDB にマウントされたデータベースと同じ Active Directory フォレスト内に存在する必要があります。
RDB を使用すると、次のような場合にデータを回復することができます。
- 同じサーバーのダイヤル トーン回復 元のデータベースがバックアップから復元された後、ダイヤル トーン回復操作の一部として、RDB から回復を実行することができます。
- 代替サーバーのダイヤル トーン回復 代替サーバーを使用してダイヤル トーン データベースをホストし、元のデータベースがバックアップから復元された後で、RDB からデータを回復することができます。
- メールボックス回復 削除されたメールボックスの保存期間が経過したときに、個別のメールボックスをバックアップから回復することができます。その後、復元されたメールボックスからデータを抽出して、ターゲット フォルダーにコピーするか、別のメールボックスと結合することができます。
- 特定の項目の回復 メールボックスから削除された項目をバックアップ データから復元することができます。
注 : |
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内容をアクティブなメールボックスに回復する際、フォルダー アクセス制御リスト (ACL) は保持されません。通常、回復プロセスではメールボックス データが回復され、元のデータベースに内容が結合されるので、ACL を回復またはコピーする必要はありません。 |
RDB は、次の条件とシナリオで、メールボックス データベースの回復に使用されます。
- 元のデータベースおよびそのデータベース内のメールボックスに関する論理情報は、Active Directory 内で変更されずにそのまま残ります。
- 1 つのメールボックスまたは 1 つのデータベースを復元する必要があります。回復シナリオには、次のものがあります。
- ダイヤル トーン データベースの使用中に、データベースを回復および修復して、最終的には 2 つのデータベースを結合する。
- そのデータベースの元のサーバー以外のサーバーで、データベースを回復する。必要に応じて、回復したデータを元のサーバーに結合することが可能。
- 削除された項目の保存期間の経過後、ユーザーによってメールボックスから削除された項目を回復する。
パブリック フォルダーの内容を回復する必要がある場合、サーバー全体を復元する必要がある場合、複数のデータベースを復元する必要がある場合、または Active Directory トポロジの変更や再構築が必要な緊急の場合には、RDB を使用しないでください。
RDB を作成する方法の詳細な手順については、「回復用データベースの作成」(英語) を参照してください。RDB を作成する方法の詳細な手順については、「回復用データベースを使用してデータを復元する」(英語) を参照してください。