Office Web Apps について (SharePoint 2010 製品にインストールされている)

Office ドキュメントの表示と編集

Office Web Apps は、ブラウザー内で Office ドキュメントを表現することによって、ユーザーにブラウザーベースの表示と編集のエクスペリエンスを提供します。SharePoint ドキュメント ライブラリに格納されているドキュメントをユーザーがクリック すると、ドキュメントがブラウザー内に直接表示されます。ブラウザー内でのドキュメントの表示形態は Office クライアント アプリケーションにおける表示形態と似ています。編集機能についても Web アプリケーションは Office クライアント アプリケーションと同じものを多く提供しています。

Office Web Apps は、この Office Word ドキュメント、PowerPoint プレゼンテーション、Excel ワークブック、または OneNote ノートブックの表現を提供するために、HTML、JavaScript、画像などのネイティブなブラウザー オブジェクトを使用します。どの Office Web Apps サービスが開始されたか、また Office Web Apps 機能をアクティブ化してあるかどうかによって、それぞれのドキュメントの種類の扱い方は異なります。

Word Web App、PowerPoint Web App、または Excel Web App のドキュメントは、ブラウザー内で編集でき、関連付けられた Office クライアント アプリケーションで開いて編集することもできます。Web アプリケーションで表示中にツール バーの [ホーム] タブにある [ブラウザーで編集] ボタンをクリックすると、ユーザーはブラウザー内で簡単な編集作業を行えます。OneNote Web App のノートブックは、[ブラウザーで編集] ボタンをクリックしなくてもブラウザー内でそのまま編集でき、[OneNote で開く] をクリックすれば、OneNote クライアント アプリケーションで開いて編集することもできます。

Web アプリケーションで表示中にユーザーがツール バーの [Word で開く]、[PowerPoint で開く]、[Excel で開く]、または [OneNote で開く] ボタンをクリックすると、関連付けられた Office クライアント アプリケーションがクライアント コンピューターにインストールされていれば、そのアプリケーションでドキュメントが表示されます。

Silverlight によるユーザー エクスペリエンスの向上

Silverlight は、各種のブラウザーでより豊かな Web エクスペリエンスを提供する無料のプラグインです。Silverlight プラグインをインストールしなくてもクライアント ブラウザーで Office Web Apps を使うことはできます。しかし、Silverlight プラグインがブラウザーにインストールしてあると、以下の効果がもたらされます。

• ブラウザーで Word Web App を使用するとき Silverlight プラグインがインストールしてあると、ページの読み込みが速くなる、拡大表示時のテキストの再現性がよくなる、ClearType に適した設定がサポートされる、検索機能で見つかる検索文字列の位置がより正確になる、などの効果を体験できます。

• ブラウザーで PowerPoint Web App を使用するとき Silverlight プラグインがインストールしてあると、ページの読み込みが速くなる、アニメーションがより滑らかに表示される、プレゼンテーション スライドの大きさがブラウザーのウィンドウ サイズに合わせて調整される、などの効果を体験できます。

Excel Web App と OneNote Web App については、Silverlight をクライアント ブラウザーにインストールしても特別な効果は得られません。

Silverlight の詳細については、https://www.microsoft.com/japan/silverlight/default.aspx 参照してください。

ブラウザー対応ドキュメントの既定の表示方法を構成する

SharePoint 2010 Products は、[ブラウザー対応ドキュメントを表示する既定の方法] の設定に基づいて、SharePoint 内でドキュメントがクリックされたときの表示方法を決定します。既定で、このオプションは、それぞれの関連付けられたクライアント アプリケーションでドキュメントを開く、に設定されています。Office Web Apps をインストールするとき、セットアップは、この設定を、ブラウザー内でドキュメントを開く、に変更します。ただし、Office Web Apps 機能とそのサービスがアクティブ化されていなければ、ユーザーがドキュメントをクリックしたとき、サービスが見つからないというエラー メッセージが返されます。このエラー メッセージと共に表示されるボタンをクリックすると、関連付けられた Office クライアント アプリケーションでドキュメントが表示されます。

SharePoint で既定の表示方法の設定を構成する方法については、「ブラウザー対応ドキュメントを表示する既定の方法を構成する (Office Web Apps)」を参照してください。

Word Web App による Word 文書の表示と編集

Word 文書の表示では、イメージ、HTML、および Java Script を組み合わせて、ユーザーに見える形の文書がレンダリングされます。Silverlight がクライアント ブラウザーにインストールされている場合は、一部のイメージが XAML で表示されます。

ユーザーが SharePoint 内の Word 文書をクリックしたとき、SharePoint の [ブラウザー対応ドキュメントを表示する既定の方法] の設定が、ブラウザーで開く、になっていると、WordViewer.aspx は Office Web Apps のキャッシュをチェックして、そこに利用可能なドキュメント表現が既に存在していないか調べます。

利用可能なドキュメント表現がキャッシュに存在する場合、Word Web App フロントエンド コンポーネントは、文書をブラウザー内において "ビュー" モードで表示します。利用可能なドキュメント表現がキャッシュに存在しない場合、フロントエンド コンポーネントは、Word Viewing Service アプリケーション を呼び出して、文書をレンダリングします。その後、Word Viewing Service アプリケーション はワーカー プロセスを初期化し、それを使用して、一連の PNG イメージや XAML (Silverlight がインストールされている場合) に変換することで、文書をレンダリングします。次に、Word Viewing Service アプリケーション は、レンダリングされた文書を WordViewer.aspx とキャッシュに返します。そして、WordViewer.aspx が文書をブラウザー内にビュー モードで表示します。Word Viewing Service アプリケーション は、複数のワーカー プロセスを初期化して使用することもできます。このとき、それぞれのプロセスは特定のセッション専用となります。

ビュー モードのとき、ユーザーが Microsoft Word Web アプリケーション ツール バーの [ブラウザーで編集] ボタンをクリックすると、WordViewer.aspx は Word Editor (編集モード) に移行します。Word Editor は、再現性の低下なしに文書の操作を行えるブラウザーベースの編集面を作成する Web フロントエンド コンポーネントです。

ビュー モードまたは編集モードのとき、ユーザーが Microsoft Word Web アプリケーション ツール バーの [Word で開く] ボタンをクリックすると、クライアント コンピューターに Word クライアント アプリケーションがインストールされていれば、それで文書が表示されます。

PowerPoint Web App による PowerPoint プレゼンテーションの表示と編集

PowerPoint プレゼンテーションの表示では、イメージ、HTML、および Java Script を組み合わせて、ユーザーに見える形のプレゼンテーションがレンダリングされます。Silverlight がクライアント ブラウザーにインストールされている場合は、一部のイメージが XAML で表示されます。

ユーザーが SharePoint 内の PowerPoint プレゼンテーションをクリックしたとき、SharePoint の [ブラウザー対応ドキュメントを表示する既定の方法] の設定が、ブラウザーで開く、になっていると、フロントエンド コンポーネントは Office Web Apps のキャッシュをチェックして、そこに利用可能なプレゼンテーション表現が既に存在していないか調べます。

利用可能なプレゼンテーション表現がキャッシュに存在する場合、PowerPoint Web App フロントエンド コンポーネントはブラウザー内においてプレゼンテーションをビュー モードで表示します。利用可能なプレゼンテーション表現がキャッシュに存在しない場合、PowerPointFrame.aspx は PowerPoint Service アプリケーション を呼び出して、プレゼンテーションをレンダリングします。その後、PowerPoint Service アプリケーション は、ワーカー プロセスを初期化し、それを使用して、一連の PNG イメージや XAML (Silverlight がインストールされている場合) に変換することで、プレゼンテーションをレンダリングします。次に、PowerPoint Service アプリケーション はレンダリングされたプレゼンテーションを PowerPointFrame.aspx とキャッシュに返します。そして PowerPointFrame.aspx がプレゼンテーションをブラウザー内にビュー モードで表示します。PowerPoint Service アプリケーション は、複数のワーカー プロセスを初期化して使用することもできます。このとき、それぞれのプロセスは特定の編集セッション専用となります。

ビュー モードのとき、ユーザーが Microsoft PowerPoint Web アプリケーション ツール バーの [ブラウザーで編集] ボタンをクリックすると、PowerPointFrame.aspx は PowerPoint Editor (編集モード) に移行します。PowerPoint Editor は、再現性の低下なしにプレゼンテーションの操作を行えるブラウザーベースの編集面を作成する Web フロントエンド コンポーネントです。PowerPointFrame.aspx は、更新内容を PowerPoint Service アプリケーション に送り、そこで編集要求の処理、各編集セッションでの特定のワーカー プロセスの管理、再レンダリングの管理、自動保存などが行われ、更新後のプレゼンテーション表現がそこから PowerPointFrame.aspx に返され、最終的にブラウザー内で表示されます。

ビュー モードまたは編集モードのとき、ユーザーが Microsoft PowerPoint Web アプリケーション ツール バーの [PowerPoint で開く] ボタンをクリックすると、PowerPoint クライアント アプリケーションがクライアント コンピューターにインストールされていれば、それでプレゼンテーションが表示されます。

PowerPoint Web App による PowerPoint ブロードキャスト スライド ショー プレゼンテーション

Office Web Apps のインストール時、PowerPoint Service アプリケーション が作成される際に PowerPoint Broadcast Service と既定のブロードキャスト サイトも作成されます。ユーザー (プレゼンター) は SharePoint 内で PowerPoint 2013 を使用してプレゼンテーションを開くとき、[スライド ショー] タブの [ブロードキャスト スライド ショー] をクリックして、ブロードキャスト スライド ショー プレゼンテーションを開始できます。ユーザーが [ブロードキャスト スライド ショー] をクリックすると、プレゼンテーションがブロードキャスト サイトに自動的にアップロードされ、ブロードキャスト サービスがブロードキャスト セッションを開始します。

PowerPoint Service アプリケーション は、ブロードキャスト サイト内のプレゼンテーションを要求します。PowerPoint Service アプリケーション は、その後、ワーカー プロセスに指示して、プレゼンテーションを一連のイメージや XAML (Silverlight がインストールされている場合) に変換したり、出力をローカル ディスクに一時的に保存したりします。次に、PowerPoint Service アプリケーション は、参加者 URL を作成し、その URL をブロードキャスト セッション情報と共に PowerPointFrame.aspx に返します。PowerPointFrame.aspx は、参加者 URL をプレゼンターのブラウザーに返し、そこから URL を電子メールで送信するか、参加者のリンクをポストできます。

プレゼンテーション セッション中、PowerPointFrame.aspx はプレゼンターのプレゼンテーション内の現在位置を調べ、現在のスライドをキャッシュから取り出し、更新後のスライドをブラウザー内でレンダリングします。参加者のブラウザーは PowerPoint.aspx を毎秒 1 回ポーリングして、スライド ショー プレゼンテーションに更新がないか確認します。

Excel Web App による Excel ワークブックの表示と編集

Excel Web App は、DHTML と JavaScript を使用して、Excel ワークブックをレンダリングし、クライアント コンピューターで実行されているブラウザーに ActiveX コントロールをダウンロードしなくても Excel ワークブックの編集を行えるようにします。Excel Web App は Excel Calculation Services を使用して、ワークブックの読み込み、高い再現性での計算、必要に応じての外部データの更新、セッションの維持、などの処理を行います。

ユーザーが SharePoint 内の Excel ワークブックをクリックしたとき、[ブラウザー対応ドキュメントを表示する既定の方法] の設定が、ブラウザーで開く、になっていると、Excel Web App は、Excel Services アプリケーションの Web サービス アプリケーション プロキシを使用して Excel Calculation Services と直接やり取りします。

ビュー モードのとき、ユーザーは Microsoft Excel Web アプリケーション ツール バーの [ブラウザーで編集] ボタンをクリックすると、ブラウザー内でワークブックを編集できます。ブラウザーは更新内容を Excel Calculation Services に送り、そこで編集要求が処理され、更新された結果がブラウザーに返されます。

ビュー モードまたは編集モードのとき、ユーザーが Microsoft Excel Web アプリケーション ツール バーの [Excel で開く] ボタンをクリックすると、Excel クライアント アプリケーションがクライアント コンピューターにインストールされていれば、それでワークブックが表示されます。

OneNote Web App による OneNote ノートブックの表示と編集

OneNote Web Appは、HTML と JavaScript を組み合わせて、ユーザーによる表示や編集が可能なノートブック表現を作成します。

ユーザーが SharePoint 内の OneNote ノートブックをクリックしたとき、[ブラウザー対応ドキュメントを表示する既定の方法] の設定が、ブラウザーで開く、になっていると、OneNote.aspx はノートブックをブラウザーで表示します。ユーザーはブラウザー内のノートブックを編集できます。

ユーザーが Microsoft OneNote Web アプリケーション ツール バーの [OneNote で開く] ボタンをクリックすると、OneNote クライアント アプリケーションがクライアント コンピューターにインストールされていれば、それでノートブックが表示されます。