バックアップと復元の戦略を策定する (FAST Search Server 2010 for SharePoint)

 

適用先: FAST Search Server 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

この記事では、各自の要件に最適なバックアップの種類を選択する方法、および FAST Search Server 2010 for SharePoint のバックアップと復元の戦略を策定する方法について説明します。

重要

新しいバックアップと復元の手順を運用システムに導入する前、およびシステムを運用環境に移行する前に、必ずバックアップと復元の両方の手順をテストして検証してください。

FAST Search Server 2010 for SharePoint の各種のバックアップと復元のオプションの概要については、「バックアップと復元 (FAST Search Server 2010 for SharePoint)」を参照してください。

FAST Search Server 2010 for SharePoint のバックアップを Microsoft SharePoint Server のバックアップと組み合わせる必要があります。SharePoint Server 2010 のバックアップと復元については、「バックアップと復旧 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

このセクションの内容

  • バックアップ データの保管先の計画

  • バックアップと復元の戦略を策定するときの全般的な考慮事項

  • 構成のバックアップと復元に関する考慮事項

  • 完全バックアップと復元に関する考慮事項

  • 復元の戦略を策定するときのダウンタイムに関する考慮事項

  • 保存されたパスワードによるスクリプトの実行

バックアップ データの保管先の計画

バックアップの種類にかかわらず必要になるのがバックアップ ストアです。バックアップ ストアとは、バックアップ データを保管する場所のことです。この場所は、FAST Search Server 2010 for SharePoint ファームから独立した外部データ リソースである必要があります。すべてのサーバーからアクセスできるように、バックアップ ストアは \\contoso\FASTSearchBackup などの UNC パスとして利用できる必要があります。バックアップおよび復元のスクリプトを実行するユーザーには、このパスに対する読み取りと書き込みのアクセス権が必要です。

注意

バックアップ ストアに保管されると、ファイルに設定されていたアクセス制御リスト (ACL) は失われます。権限のないユーザーにインデックス付きのデータを読み取られることがないように、適切な ACL を設定してバックアップ ストアを保護してください。

完全バックアップでは、複数のバックアップ ストアを使用できます。FAST Search Server 2010 for SharePoint のバックアップ スクリプトは、複数のバックアップ ストアに保管されるデータの量が均等になるように、各バックアップ ストアに同一の数のサーバーを割り当てます。

帯域幅と時間を節約するために、新しいバックアップを実行するときにバックアップ ストアを再利用できます。完全バックアップと復元では、Robocopy コマンドを増分モードで実行してデータを転送します。既存のバックアップを上書きする場合、Robocopy では以前のバックアップ以降に変更されたファイルのみが置き換えられます。

重要

同じバックアップ ストアに対して新たなバックアップを実行する前に、バックアップ ストアの安全なコピーを必ず作成してください。新しいバックアップの実行中にバックアップ手順が失敗すると、バックアップ ストアが破損することがあります。

FAST Search Server 2010 for SharePoint 展開に複数のサーバーがある場合に、–backuppath パラメーターで複数のバックアップ ストアを指定すると、すべてのバックアップ ストアの内容が検索され、すべてのサーバーのバックアップがバックアップ ストアに存在するかどうかが確認されます。すべてのサーバーの既存のバックアップがある場合に、スクリプトで –force パラメーターを指定していると、既存のバックアップが更新されます。

バックアップと復元の戦略を策定するときの全般的な考慮事項

バックアップおよび復元のスクリプトを使用して、複数サーバーの展開内の個別のサーバーをバックアップまたは復元することはできません。

Microsoft SharePoint Server に対して FAST Search Server 2010 for SharePoint を認証する証明書は、FAST Search Server 2010 for SharePoint のバックアップおよび復元のスクリプトの対象外です。証明書が変更されている場合に、たとえば再インストールしたシステムで復元を行う場合は、証明書を別途復元する必要があります。詳細については、「証明書を復元する」を参照してください。

管理データベースのバックアップ ファイルは SQL Server でローカルに生成され、FAST Search Server 2010 for SharePoint のバックアップと一緒には保管されません。完全なバックアップ ファイル セットを保持するには、バックアップ スクリプトの実行後に管理データベースのバックアップをバックアップ ストアにコピーする必要があります。

FAST Search Server 2010 for SharePoint のバックアップでは、バックアップした SQL Server と復元した SQL Server のバージョンの違いが識別されます。両方のバージョンを同じにする必要があります。バックアップと復元で SQL のバージョンが異なる場合は、FAST Search Server 2010 for SharePoint 管理データベースを標準形式にエクスポートし、それをインポートします。

注意

バックアップ手順がスペル チューニング処理に干渉することがあります。この問題を回避するには、定期的なバックアップとスペル チューニングの実行が互いに干渉しないようにスケジュールを設定します。既定では、スペル チューナーは午前 2 時 5 分に実行するようにスケジュールされています。

構成のバックアップと復元に関する考慮事項

構成のバックアップは展開に依存しません。バックアップを作成したサーバーと異なるサーバーのセットに構成のバックアップを復元できます。

FAST Search Server 2010 for SharePoint インストーラーで生成されない構成ファイルのみがバックアップされます。構成を別のシステムに移行する場合、復元したシステムの <FASTSearchFolder>\etc\config_data\deployment ディレクトリの内容は変更されず、インストールによるサーバー固有の構成は上書きされません。

会社、住所、個人名などのプロパティを抽出するための対象ユーザー一覧と除外ユーザー一覧、および各種のカスタム プロパティ抽出器の辞書はリソース ストアに保管され、構成のバックアップの対象にはなりません。

完全バックアップと復元に関する考慮事項

完全バックアップは、バックアップを作成したときとまったく同じサーバーのセットにのみ復元できます。バックアップ操作と復元操作の間にファーム トポロジを変更することはできません。サーバーの数も、サーバー名も、インストーラーがサーバーに割り当てる役割も同じでなければなりません。

サーバーごとに、バックアップ スクリプトによってファイル システムのコピーが保管されます。ただし、実行可能なバイナリと DLL は除きます。

完全バックアップでは、大容量の記憶域が必要になることがあります。バックアップ データのボリュームは、すべてのサーバーにあるすべてのインストール フォルダーの合計と等しくなります。必要なディスク容量を減らすために、検索可能なインデックスをバックアップから除外できます。検索可能なインデックスをバックアップから除外した場合は、バックアップした FIXML を使用して、復元後にインデックスを再構築できます。この方法を使用すると、転送されるデータ量が減るので、バックアップに必要な時間と容量を節約できます。ただし、インデクサーによって FIXML ファイルから検索可能なインデックスを再構築する必要があるので、復元したシステムを稼働状態にするまでに時間がかかるという欠点があります。

完全バックアップ中は、データのフィードとインデックス作成が停止されます。クエリの処理は行われますが、バックアップ処理の最中はインデックスで新しいアイテムは利用可能になりません。完全復元時には、FAST Search Server 2010 for SharePoint ファーム全体をシャットダウンする必要があります。

復元の戦略を策定するときのダウンタイムに関する考慮事項

システムの復元が完了するまでにかかるダウンタイムは、展開の複雑さ、システム内のデータの量、および検索可能なインデックスをバックアップに含めるかどうかによって異なります。「SharePoint Server 2010 でのバックアップと復元を計画する」で説明している復旧時間目標 (RTO: Recovery Time Objective) の設定が、FAST Search Server 2010 for SharePoint のバックアップと復元の戦略に影響します。

次の表を使用して、各自のダウンタイムの要件に最適な復元手順を見つけてください。

許容できるダウンタイム バックアップと復元の戦略

ダウンタイムは許容されない

FAST Search Server 2010 for SharePoint の一部または全部を二重化し、ファームの復元中も常にサービスを利用できるようにします。二重化の推奨事項については、「Search redundancy and availability」を参照してください。

1 日から数日のダウンタイムが許容される

完全バックアップまたはサードパーティのバックアップ ソリューションを使用して、構成とデータの両方を既存のファームに復元します。

数日から数週間のダウンタイムが許容される

FAST Search Server 2010 for SharePoint を同じサーバーのセットにインストールし、有効な構成のバックアップから構成を復元し、コンテンツを再フィードします。

保存されたパスワードによるスクリプトの実行

バックアップおよび復元のスクリプトは、リモート リソースへのアクセスに必要な認証を受けるために、資格情報をリモート サーバーに渡します。この認証を行うための資格情報の入力を求めるメッセージがスクリプトから出力されるので、管理者がその場にいて資格情報を入力する必要があります。

スクリプトの実行時に管理者がパスワードを入力せずに済むようにするには、保存されたパスワード ファイルを指定します。このパスワードは、データ保護 API (DPAPI) で保護されている必要があります。

パスワード ファイルを生成するには

  1. Windows PowerShell プロンプトを管理者として開き、次のコマンドを実行します。

    $mypw = Read-Host -AsSecureString
    
  2. パスワードの入力を求めるメッセージが表示されたら、パスワードを入力します。

  3. 次のコマンドを入力します。

    Set-Content passwordfile (ConvertFrom-SecureString $mypw)
    

これで、バックアップおよび復元のスクリプトの実行時に –passwordfile パラメーターを指定できるようになります。

注意

パスワードが格納されるファイルは DPAPI (英語) で暗号化されます。このファイルは厳格な ACL で保護する必要があります。

警告

バックアップおよび復元のスクリプトを実行するユーザーのパスワードが変更された場合は、パスワード ファイルを更新して再生成する必要があります。

See Also

Concepts

バックアップと復元の前提条件 (FAST Search Server 2010 for SharePoint)
構成のバックアップと復元 (FAST Search Server 2010 for SharePoint)
完全バックアップと復元 (FAST Search Server 2010 for SharePoint)
バックアップおよび復元のスクリプトについて (FAST Search Server 2010 for SharePoint)

Other Resources

SharePoint Server 2010 でのバックアップと復元を計画する