ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

Greg Steen

今月のコラムでは、ユーザーが自分のパスワードを管理するのに役立つユーティリティ、古くからあるサーバー構成ユーティリティの最新バージョン、あらゆるサイズのファイルで機能する便利なコピー ユーティリティを紹介します。

このコラムで示した意見は著者の意見であり、マイクロソフトの意見を反映しているとは限りません。すべての価格はこのコラムの執筆時点のものであり、変更される可能性があります。

Password Reset Pro

大規模な組織や従業員の入れ替わりが激しい組織でユーザー アカウント (特にパスワード) を管理することは、非常に困難になる場合があります。しかし、ユーザー自身がパスワードを管理して問題を自己解決できるように設計されたツールがあります。SysOp Tools が提供する Password Reset Pro は、このようなセルフサービス型の Active Directory の ID 管理ツールです。

Password Reset Pro は Web ベースのセルフサービス型アカウント管理パッケージで、ユーザーが自分で基本的なアカウント更新作業を実行できるようにしてヘルプ デスクを支援することを目的としています。Password Reset Pro は、単一サーバー構成の環境にインストールすることも、Web フロント エンド (Web Portal) と社内の Active Directory サービス コンポーネント (Master Service Server) に分割することもできます。このため、Active Directory と通信するコンピューターと Web 要求を処理するコンピューターを分離できます。

Web Portal コンポーネントでは、Master Service Server のポートや IP アドレスに加え、サイトの IIS へのバインド (IP アドレス、SSL の設定、ホスト ヘッダー、ポート、およびアプリケーション プール) を設定できます。また、サイトに独自のタイトル、ヘッダー、フッターを追加して、組織の免責事項やロゴを表示するようにサイトをカスタマイズできます。Master Service Server ユーティリティでは、ライセンス、アクセス、サービス構成、通知、およびレポートに関する情報を設定します。

Master Service Server では、アクセスにかかる時間を短縮するためにドメイン ユーザー アカウントがキャッシュされ、キャッシュの更新頻度も設定できます。Web Portal へのアクセスを拒否するユーザー アカウントの明示的な一覧を設定できますが、既定では、パスワードが無期限のアカウントとシステム アカウントはすべてアクセスが拒否されます。Web Portal の IP アドレス (とサービス ポートや資格情報) をスタートアップ モードで設定します。また、Web Portal へのログオンの最大試行回数や、Web Portal へのログオン用にプロファイルに関連付けるパスワードの複雑さの要件 (長さや禁止する言葉など) も定義できます。Password Reset Pro では、パスワードの要件として表示するテキスト、ヘルプ要求のページに表示するテキスト、および連絡先情報に表示するテキストをカスタマイズすることもできます。

Password Reset Pro では、テキスト形式のログ、通知用の電子メール、監査レポート、および日付単位の概要レポートを使用できます。監査レポートは Reporting Console で確認することが可能で、ここには管理しているドメインごとの詳細なユーザー情報も表示されます。Web Portal では、登録されているユーザー、無効になっているアカウント、イベントの履歴などを確認できます。Reporting Console では、未登録のユーザー、登録要請や使用状況の詳細を送信するユーザーにメールを一括送信することもできます。どのレポートも、Excel にエクスポートして再利用したり分析したりすることができます。

詳しい組み込みのヘルプ ペインでは、Password Reset Pro のすべてのコンポーネントについての説明を参照できます。このペインでは必要な情報が過不足なく提供されます。システムを構成したら、次は Reporting Console を使用してユーザーに登録を要請するメールを送信し、ユーザーを登録します。電子メールを受信したユーザーは、メールに記載された Web Portal へのリンクをクリックして ID の設定を開始します。最初の画面では、サイトとその機能についての説明が表示されます。

Web Portal へのログオンに使用する画像とパスワードを選択して設定作業を完了したら、ユーザーは自分のプロファイルを確認して、パスワードの有効期限、アカウントの状態、最後にポータルにログオンした日時、および最後にパスワードを変更した日時を確認できます。ユーザーは、パスワードの変更、ポータルへのログインに関する詳細設定の変更、ヘルプ要求の送信 (アカウントが無効になった場合に便利な機能です)、またはシステムの終了手続きを行うこともできます。

このようにパスワードを簡単に管理できる Web ポータルを使用すると、ユーザーは単純な管理タスクを自力で行えます。Password Reset Pro は、ユーザーごとに課金されるシステムになっていますが、単一ドメインの無期限のライセンスの場合、100 人のユーザーにつき 598 ドルから購入できます。また、400 人のユーザーで 1 年につき 1,148 ドルという年間ライセンス オプションも利用できます。

Password Reset Pro

図 1 Password Reset Pro

PerfectDisk 11 Server

適切なサーバーの構成を維持することは、サーバーのパフォーマンスを最高の状態に保つためのさまざまな手段の 1 つです。Raxco Software が提供する PerfectDisk 11 Server は、ハード ドライブ、ソリッドステート ドライブ、およびリムーバブル ドライブを最適化するツールです。このツールでは、SmartPlacement アルゴリズムを使用して、システムの使用状況に応じてファイルのブロックを最適な位置に配置します。

PerfectDisk の Server エディションは、RAID と SAN の両方と互換性があり、Windows の各種サーバー OS で実行できるというマイクロソフトの認定を受けています。PerfectDisk 11 では、SQL Server や Exchange Server システムを認識して、これらの製品と連携できるので、ディスク アレイを適切な状態で維持できます。Exchange Server のデータ ストアを最適化する必要がある場合は、Raxco Software の Exchange Server 専用製品をお勧めします。

最適化は、カスタム スケジュール、オンデマンド (手動)、またはバックグラウンドの StealthPatrol 機能で実行できます。StealthPatrol 機能を使用すると、コンピューターの使用率が低いときに最適化が実行されるので、ユーザーやアプリケーションへの影響が軽減されます。最適化処理は、ユーザーによるコンピューターの起動時に開始できます。さらに、特定のファイルを最適化したり (サイズが大きく頻繁に変更されるファイルや、定期的にシステムにコピーされたりシステムから削除されたりするバックアップに便利です)、最適化対象から除外するファイルを選択したりできます (レガシ アプリケーションやカスタマイズされたアプリケーションで使用しているデータを移動すると不安定になる場合に便利です)。

PerfectDisk の GUI では、ドライブ マップを表す図や、断片化、パフォーマンス、および使用率を示す統計など、分析したディスクについてのさまざまな情報を確認できます。また、最適化だけでなく、重複するファイルの検出、報告、および削除を実行するツールも用意されています。このようなツールは、ファイル サーバーの空き領域が少ない場合に役立ちます。

Space Reports と呼ばれるレポートを生成すると、ファイルの種類別の使用状況、作成日時と更新日時の割合 (たとえば、サーバーで毎週火曜日に大量にファイルが作成または変更されていることがわかれば、毎週水曜日に最適化できます)、アクセスの統計、更新された最大サイズのファイル、更新日が最も古いファイルや最も新しいファイルなどを確認できます。他にも多数のシステム管理者の役に立つツールや機能が用意されています。

PerfectDisk 11 Server の完全版は 1 ライセンス 99.99 ドル、アップグレード版は 1 ライセンス 50 ドルです。仮想マシンのサーバーを実行している場合は、PefectDisk 11 vSphere Bundle または Hyper-V Bundle をお勧めします。これらのエディションでは、仮想サーバー ホストの統合サポートを利用することが可能で、ゲスト システムの使用状況に基づいて適切な最適化スケジュールを設定できます (ホストのバックグラウンドで最適化を実行したことでゲスト システムがハングするのを防止できます)。どちらの完全版も 499 ドルで入手できます。

PerfectDisk を使用する予定がある場合は、199 ドルの PerfectDisk 11 Enterprise Console を購入することをお勧めします。このエディションには、リモート展開、ネットワークの自動最適化、電子メールによる通知システムなど、すべてのクライアントを一元的に管理する機能が備わっています。

PerfectDisk 11 Server

図 2 PerfectDisk 11 Server

FastCopy

IT プロフェッショナルの皆さんは、非常に大きなサイズのファイルをさまざまな場所に移動することがあると思います。このようにファイルを移動する必要がある場合、ファイルをできる限り短時間でコピーできると便利です。また、回線に過剰な負荷がかからないように調整しながらファイルを移動しなければならないこともあるでしょう。白水啓章氏が 2004 年から公開している FastCopy は、ファイルをすばやく移動またはコピーできる無償のオープンソース ツールです。

この便利な 32 ビット ユーティリティでは、多数の構成オプションを備えたコマンド ライン ツールと簡単な GUI ツールを使用できます。FastCopy では、OS キャッシュが省略され、コピー時に MFC が使用されずに Win32 API と C ランタイムが使用されるので、ファイルをすばやく移動できます。また、オープンソースでもあるので、この処理のしくみに関心がある場合は確認できます。

FastCopy には、すばやくアクセスできるように Windows シェル拡張を組み込む単純なインストーラーが用意されていますが、実行可能ファイルとヘルプ ファイルを USB フラッシュ ドライブにコピーして、そのドライブから実行することもできます。このような使用方法は、持ち歩き型ツール ドライブとして適しています。コピー元とコピー先を指定して、[実行] をクリックするだけで、指定したファイルやディレクトリをコピーできます。コピー方法を調整する場合は、使用するバッファー サイズ、最大速度でコピーするかどうか、コピー結果を検証するかどうか、コピー時間を予測するかどうか、アクセス制御リストのファイルをコピーするかどうか、代替ストリーム (ADS) をコピーするかどうかなどの設定を指定できます。また、さまざまなジョブの設定を保存して再利用することもできます。

FastCopy には完全な機能を備えたコマンド ライン オプションが用意されているので、簡単にスケジュールを設定できます。また、コピー完了後に実行する終了時処理のコマンドも指定できます (システムをシャットダウンしたりサウンドを再生することもできます)。普段お使いのファイル コピー ユーティリティやファイル移動ユーティリティが思いどおりに機能していない場合は、FastCopy をお試しください。特に無償で使用できるところがお勧めです。

FastCopy

図 3 FastCopy

Greg Steen

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

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