ソフトウェア更新プログラムの展開を準備する (SharePoint Foundation 2010)

適用先: SharePoint Foundation 2010

この記事では、ソフトウェア更新プログラムを Microsoft SharePoint Foundation 2010 ファームにインストールする前に完了する必要がある必須タスクと推奨タスクについて説明します。

この記事の内容:

• アカウントの権限とセキュリティの設定を確認する

• 更新方法を決定する

• 環境をバックアップする

• 環境を文書化する

• 関連するアイテムを更新する必要があるかどうかを判断する

• ソフトウェア更新プログラムを取得して、インストール ソースを準備する (オプション)

必要なアカウント権限があること、およびファームに適用されているセキュリティ設定を確認します。詳細については、「初期展開に必要な管理アカウントとサービス アカウント (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

ソフトウェア更新プログラムをファームに展開する基本オプションには一括展開とデータベース接続展開の 2 つがあります。さらに、このオプションを組み合わせて、「アップグレード方法を決定する (SharePoint Foundation 2010)」で説明されている複合的な方法を使用することもできます。

2 つの更新方法には次のような違いがあります。

• 一括更新: 最も簡単な方法です。この方法を使用した場合、必要とされるダウンタイムの長さはファームのサイズと複雑さに直接関係します。一括更新には 2 つの選択肢があります。

  • 下位互換性のない一括方式を使用する - 更新プログラムをすべてのファーム サーバーに同時にインストールし、下位互換を使用せずにコンテンツをアップグレードします。この方法では、ダウンタイムの短縮は利用できません。

  • 下位互換性のある一括方式を使用してダウンタイムを短縮する - 更新プログラムを段階的にインストールし、下位互換性のある遅延アップグレードを使用してダウンタイムを短縮します。

• データベース接続: この方法は一括更新よりも複雑で、時間とハードウェア リソースのコストがかかります。この更新では、2 つのファームを使用して既存のコンテンツの可用性を高めます。

下位互換性のある一括方式またはデータベース接続方式のどちらかを使用する場合は、遅延アップグレードを使用して、コンテンツのアップグレード後にファームおよびサーバーをアップグレードすることができます。

次のフローチャートを使用することをお勧めします。このフローチャートは、どの更新方法を使用するかを判断できるように主な決定事項とその後の操作を示しています。

サーバーの更新方法としてどれを選択したとしても、コンテンツのアップグレードには SharePoint 製品構成ウィザードまたは Windows PowerShell コマンドレットのどちらかを使用できます。

更新プログラムの展開プロセス中に問題が発生した場合に既存の環境を回復できるようにするため、更新プログラムのインストールを開始する前に SharePoint Foundation 2010 環境をバックアップすることをお勧めします。更新プロセス以外でソフトウェア更新プログラムが失敗する要因には、次のようなものがあります。

• メディア障害

• ユーザーによる誤操作 (ファイルを誤って削除するなど)

• ハードウェア障害 (ハード ディスクの破損、サーバーの修理不能な故障など)

• 電源障害

• 自然災害

ファーム全体または一部をバックアップできます。次の一覧は、個別にバックアップできるファーム コンポーネントをまとめたものです。

• 構成設定

• Web アプリケーション

• サービス アプリケーション

• サイト コレクション

• ログ

何をバックアップする必要があるか、およびどの方法を使用してバックアップするかを判断する方法の詳細については、「バックアップと復元を計画する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。バックアップするファーム要素を決定したら、「バックアップ (SharePoint Foundation 2010)」に記載されている記事を参照してください。これらの記事には、ファーム全体または一部をバックアップする詳しい手順とガイダンスが記載されています。

再構築が必要になった場合に備えて、ファーム内のカスタム コンポーネントを含め、ファームは必ず文書化してください。カスタマイズ一覧の作成の詳細については、アップグレード ガイドの「カスタマイズを識別してインストールする」を参照してください。また、ファームに関する一意の情報も文書化しておいてください。たとえば、次のような情報です。

• 大きなサイズのリスト

• 大きなアクセス制御リスト (ACL) が含まれるサイト

• 組織にとって重要なサイト

これらのアイテムのリストがあると、更新プログラムを適用した後、環境をすばやく検証することができます。

ファームを更新するときに、次の関連アイテムを更新する必要があるかどうかを検討してください。

• フィルター パック

• Office Web アプリケーション

• 言語パック

これらのアイテムはすべて SharePoint Foundation 2010 とは別に更新されます。このアイテムの更新プログラムが使用可能かどうかを確認し、SharePoint Foundation 2010 の更新プログラムを適用するときに、そのアイテムの更新プログラムをファームに適用する必要があるかどうかを判断してください。言語パックが更新されるのは、通常、サービス パック (SP1、SP2 など) がリリースされたときだけです。

SharePoint Foundation 2010 のインストール先となるサーバーがインターネットから切り離されている場合は、通常、オフラインの場所からソフトウェア更新プログラムをインストールする必要があります。サーバーが切り離されていなくても、オフラインの主要な場所からソフトウェア更新プログラムをインストールすることで、既知の管理された一連のイメージがインストールされ、ファーム サーバーの一貫性が確保されます。ファーム サーバーへのソフトウェア更新プログラムのインストールを準備するには、次の手順を実行します。

更新プログラムをサーバーに直接ダウンロードおよびインストールする場合は、この手順を実行する必要はありません。

インストール ソースを準備するには

1. インストールするソフトウェア更新プログラムをダウンロードします。

2. 次のコマンドを使用して、ソフトウェア更新プログラムを共有の場所に抽出します。

   <package> **/extract:<**path>

   /extract スイッチにより、ファイルのフォルダー名を指定するように求められます。x64 システムのフォルダー名の例を次に示します。

   sps-kb999999-x64-fullfile-en-us.exe /extract:<\\computername\updateshare\Updates>

3. 共有の場所に抽出したファイルを、更新プログラムのインストールを開始するコンピューター上の Updates フォルダーにコピーします。

   注意

   この更新フォルダーには、 Updates という名前を付ける必要があります。SupdateLocation="path-list" プロパティを使用して別の場所を指定すると、応答が中止されます。

これで、この場所をインストール ポイントとして使用できるようになりました。このソースのイメージを作成して物理メディアに書き込んだり、ISO ファイルとして保存したりすることもできます。

サーバー ファーム展開では、すべての Web サーバーに同じバージョンのソフトウェア更新プログラムが適用されている必要があります。つまり、新しい Web サーバーを既存のサーバー ファームに追加する場合、その新しい Web サーバーには、サーバー ファーム上の別の Web サーバーと同じソフトウェア更新プログラムが適用されている必要があります。同様に、ファームを作成するときは、そのファーム内のすべてのサーバーに同じソフトウェア更新プログラムが必要です。すべての新しいサーバーに同じソフトウェア更新プログラムを確実に適用するために、インストール ソースを作成し、ソフトウェアのリリース バージョンのコピーと、サーバー ファームにインストールされているソフトウェア更新プログラムと一致する更新プログラムをそのインストール ソースに追加することをお勧めします (これは、スリップストリームされたインストール ソースとも呼ばれます)。この更新されたインストール ソースからセットアップを実行すると、新しい Web サーバーには、サーバー ファーム上の別の Web サーバーと同じソフトウェア更新プログラムが適用されます。詳細については、「ソフトウェア更新プログラムを含むインストール ソースを作成する (Office SharePoint Server 2007)」(https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc261890(office.12).aspx) を参照してください。