ユーティリティ スポットライト: Office カスタマイズ ツールを使用して Office 2010 を構成する

Office 2010 にアップグレードするのは重要なことです。このツールは、カスタマイズしたインストールを利用して、アップグレードのプロセスを簡略化にするのに役立ちます。

Lance Whitney

作業方法は、人によって少しずつ異なるものです。各従業員が使用しているコンピューターの構成を簡単に確認すると、この主張を裏付けることができます。使い慣れたものから新しいものへ移行するのは、少し抵抗があるので、Office 2010 の展開する予定がある場合は、Microsoft Office カスタマイズ ツール (OCT) の使用を検討することをお勧めします。この無償のユーティリティを使用すると、カスタマイズした Office インストールを作成および構成して、ユーザーに展開できます。

OCT は Office 2010 に同梱されていますが、Office Professional Plus、Office Enterprise などの、ボリューム ライセンス版にのみ同梱されているツールです。製品版には付属していません。お手持ちの Office 2010 で OCT を使用できるかどうかは、インストール ディスクまたはソース フォルダーを確認することで簡単に確認できます。Admin という名前のフォルダーがあればボリューム ライセンス版なので、OCT のセットアップを開始できます。

困ったときの OCT

OCT は Office 2007 で初めて導入されました。これは、Office の以前のエディションのカスタマイズ ツールであった、カスタム インストール ウィザードに換わるものでした。OCT では、指定したすべてのオプションと設定を保持する MSP ファイル (Windows インストーラー修正プログラム ファイル) が作成されます。

OCT を実行する前に、Office のネットワーク インストール ポイントを設定する必要があります。通常、ソフトウェアの展開元として使用するネットワーク共有 (たとえば、\\server\share\office2010) に、Office のソース フォルダーを作成します。そして、Office のフォルダーとファイルを、この新しいフォルダーにコピーします。

OCT を実行するには、コマンド プロンプトを開いて、新しいフォルダーに移動して「setup.exe /admin」とコマンドを入力します。Office カスタマイズ ツールが起動したら、新しいセットアップ カスタマイズ ファイルを作成するか、既存のセットアップ カスタマイズ ファイルを開くかを選択できます。新しいセットアップ カスタマイズ ファイルの作成を選択します。これ以降、画面ごとに一連の手順が表示されるので、Office インストールのさまざまなオプションを選択します。

OCT では、構成が、設定、機能、追加内容、および Outlook という 4 つの明確なカテゴリに分類されます。設定には、次のサブカテゴリが用意されています。

  • インストール先と組織名: クライアント PC で Office 2010 をインストールするフォルダーを指定します (既定は Program Files\Microsoft Office です)。また、企業名を使用して、インストールをブランド化できます。この名前は、Office プログラムのバージョン情報とバナー ページに表示されます。
  • 追加のネットワーク ソース: Office 2010 インストールをネットワーク上のバックアップの場所にコピーして、展開元として使用している場所が使用できなくなった場合に、バックアップの場所から展開できます。
  • 使用許諾契約とユーザー インターフェイス: プロダクト キーを入力したり、インストール中にユーザーに表示するテキスト ボックスまたはダイアログ ボックスを選択したりできます。
  • 以前のインストール環境の削除: Office の以前のバージョンをすべて削除したり、特定のアプリケーションのみを削除したりできます。
  • インストール環境の追加とプログラムの実行: Office のインストール時に、他のプログラムのインストールを実行できます。
  • Office セキュリティ設定: マクロ、テンプレート、および Office アドインのセキュリティ レベルを設定できます。
  • セットアップのプロパティの変更: 特定のプロパティとその値をインストールに手動で追加できます。この設定では、Office 2010 セットアップ完了後に PC を再起動するかどうかと、再起動の方法を構成できます。使用可能なプロパティについては、TechNet Web ページの「Office 2010 のセットアップ プロパティ」を参照してください。

機能には、次のサブカテゴリが用意されています。

  • ユーザー設定の変更: 各 Office アプリケーションについて、さまざまなユーザー オプションを指定して、校正ツール、リボン、既定のファイル形式などの機能を制御できます (図 1 参照)。
  • 機能のインストール状況の設定: 各アプリケーションでインストールする機能を決定できます。

Office カスタマイズ ツールを使用すると、カスタマイズした Office インストールを作成できる

図 1 Office カスタマイズ ツールを使用すると、カスタマイズした Office インストールを作成できる

追加内容には、次のサブカテゴリが用意されています。

  • ファイルの追加: Office のインストール時に、クライアント PC に配置するファイルを選択します。
  • ファイルの削除: 削除するファイルを指定します。
  • レジストリ エントリの追加: 追加するレジストリ設定の名前を指定します。
  • レジストリ エントリの削除: 削除するレジストリ設定の名前を指定します。
  • ショートカットの構成: インストールするショートカット、ショートカットの名前、およびショートカットをインストールする場所を指定できます。

Outlook カテゴリには、次のサブカテゴリが用意されています。

  • Outlook プロファイル: 既存の Outlook プロファイルを使用するか、変更するか、新しいプロファイルを作成するかを選択します。
  • アカウントの追加: 新しいプロファイルを作成するオプションを選択した場合、追加するアカウントを指定します。Outlook プロファイルは複数設定できます。
  • 設定のエクスポート: ユーザーの既存の Outlook アカウントを、Outlook プロファイル ファイル (PRF ファイル) にエクスポートできます。ユーザーのプロファイルを保存し、OCT に用意されていない設定をキャプチャして、インストールをさらにカスタマイズする場合に便利な設定です。
  • 送受信グループの指定: ユーザーが [送受信] をクリックしたときに含まれるアカウントやグループを選択します。

各カテゴリの設定をカスタマイズしたら、[ファイル] メニューの [名前を付けて保存] をクリックし、設定を MSP ファイル形式で保存します。このファイルを、ネットワーク インストール ポイントにある Office 2010 フォルダーの Updates サブフォルダーに格納します。

展開前に設定をカスタマイズする必要がある場合は、setup.exe/admin コマンドを使用して OCT を起動して、既存の MSP ファイルを指定します。OCT を使用して複数の Office インストールを作成して、あるインストールから別のインストールに設定をインポートすることもできます。これは、よく似た 2 つのインストールを作成する必要がある場合に便利な機能です。

1 つ目の MSP ファイルを作成したら、OCT を起動し、新しいカスタマイズ ファイルを作成するオプションを選択します。[ファイル] メニューの [インポート] をクリックして、既存の MSP ファイルを選択します。設定をカスタマイズして、新しい MSP ファイルとしてカスタマイズを保存できます。

MSP ファイルを使用するインストールをテストしたら、任意の展開ツールを使用して、カスタマイズした Office 2010 のコピーを展開できます。MSP ファイルを明示的に指定する必要はありません。Office セットアップでは、Update フォルダーにある修正プログラムのファイルを確認し、インストール中に適用します。

OCT の使用に関する詳細情報、および使用可能な設定の詳細な一覧については、マイクロソフトの TechNet Web ページの「Office 2010 の Office カスタマイズ ツール」を参照してください。

Lance Whitney は、ライターであり、IT コンサルタントであり、ソフトウェア トレーナーでもあります。Windows のワークステーションおよびサーバーをカスタマイズすることに数えきれないほどの時間を費やしてきました。元々はジャーナリストでしたが、1990 年代前半に IT 業界への転向を実現しました。

 

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