ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

今月のツールボックス コラムで紹介するユーティリティを使用すると、CSV ファイルをダウンロードしてデータベースにデータを転送したり、大量のファイルをコピーしたり、ファイルを安全に管理したりできます。

Greg Steen

grepWin

最近携わった ETL プロジェクトで、テストのために、一連の CSV ファイルを検索して特定の値を検出し、その値を既知の状態に変更する必要がありました。また、40 個以上の CSV ファイルをダウンロードして、その入力データを使用可能な形式に変換してから、再利用できるようにデータベースに読み込む必要がありました。結局のところ、ETL という頭字語は、Extraction (抽出)、Transformation (変換)、Load (読み込み) の略ですから、当然の作業かもしれませんが。

この作業に役立つ無償のオープン ソース ツールに grepWin というツールがあります。これは、(TortoiseSVN で有名な) Stefan Kueng 氏が提供しているツールです。その名の由来となっている grep と同じように、grepWin では、正規表現を使用してファイル システムを検索できます。また、正規表現に一致した値を別の値に置換することもできます。grep とは異なり、grepWin ではシンプルで使いやすい GUI が採用されているので、検索と置換処理を行うために難解なコマンド ライン オプションを覚える必要はありません。

kのツールを使用sるうのに必要な作業は、一連のファイルで目的の値を検出するのに最適な正規表現 (regex) を判断することだけです。その際に役立つように、grepWin には組み込みの regex テスターがあります。このテスターを使用するには、テキスト ボックスにサンプル テキストを貼り付けて、検索する正規表現と (必要に応じて) 置換文字列を追加します。すると、検索対象の文字列に一致するかどうか、置換対象の文字列を置換できるかどうかをすぐ確認できます。

このツールでは、一般的なテキスト検索とファイル内の文字列の置換もサポートされます。検索パターンと置換パターンが準備できたら、検索するディレクトリを選択し、[Search] (検索) または [Replace] (置換) をクリックして、このツールを実行します。検索処理が進むと、ツール ウィンドウの下部にあるペインに、結果が表示されます。検索結果を右クリックすると、通常のエクスプローラーのコンテキスト メニューに表示されるコマンド以外に、このファイルの 1 つ上のフォルダーを開く、クリップボードにファイルのパスをコピーする、ファイル名をクリップボードにコピーするというコマンドを利用できます。また、ファイルをダブルクリックして、関連付けられている既定のプログラムを使用してファイルを開くこともできます。

grepWin ツールには、検索をカスタマイズするオプションが他にもいくつか用意されています。たとえば、検索で大文字と小文字を区別する、regex の置換で変更されたファイルのバックアップ ファイルを作成する、国際的な文字セットを使用するファイルを UTF-8 形式で処理するなどのオプションがあります。また、頻繁に使用する正規表現を事前設定リストに追加して、再利用することもできます。検索対象を絞るために、検索対象ファイルのサイズや名前のパターンを制限したり、別の regex を使用して特定のディレクトリを検索対象から除外することも可能です。システム項目、非表示アイテム、サブフォルダー、バイナリ ファイルを含めたり、除外したりできます。

検索結果のペインには、指定したパターンに一致したすべてのファイルと一致結果を、ファイルの一覧で表示するか (既定の設定)、実際に検索条件に一致した箇所と行番号で表示するかを切り替えるオプション ボタンがあります。全体的に見て、grepWin は堅牢で使いやすい、grep のような迅速な Windows に対応したツールです。一番のお勧めポイントは、無償で使用できることです (寄付も受け付けています)。今後、複数のファイルの検索や置換を実行しなければならないときには、このツールを試してみてください。

grepWin

図 1 grepWin

TeraCopy

ファイルのコピーは、コンピューター ユーザーにとって最も一般的な操作の 1 つです。現在、バックアップ、.ISO ファイル、および .ZIP ファイルのサイズが大きくなっていますが、ファイルのコピーが完了するまで長時間待機する必要があるのは望ましくありません。ファイルを迅速にコピーするのに役立つツールに、Code Sector が提供している TeraCopy というツールがあります。

TeraCopy では、非同期の動的バッファーが使用され、コピー エラーが発生した場合には組み込みの再試行機能が作動します。発生するエラーの数が多すぎる場合は、そのファイルをスキップします。ただし、残りのアイテムは引き続きコピーされるので、1 つのファイルで問題が発生した場合に、大規模な操作をやり直す必要がありません。

TeraCopy は、エクスプローラーと統合されています。通常のコピー、切り取り、および貼り付けの操作が、TeraCopy の呼び出しに置き換わります。ファイルのコピー中には、このツールのインターフェイスが表示されます。[More] (詳細) をクリックすると、保留中のコピー キューと現在のコピー操作のステータスが表示されます。キューのコンテキスト メニューでは、コピーに失敗したアイテムのコピーを再試行したり、リストから当該アイテムを削除したりできるので、コピー操作の内容を動的に調整できます。この機能は、大量のファイルをコピーする際に役立ちます。

また、TeraCopy を使用して、コピー操作を一時停止および再開することもできます。この機能により、別の操作で帯域幅が必要な場合に、帯域幅をいくらか取り戻すことができます。もう 1 つの優れた機能は、実行した操作内容を示すドロップダウン リスト ボックスです。このボックスを使用して、実行した操作を確認できます。この機能により、特定のファイルをコピーまたは移動したのかわからなくて悩む時間を少し削減できます。

TeraCopy では、Unicode が完全にサポートされ、Windows 7 の x64 バージョンもサポートされています。ホーム ユーザーに対しては無償で提供されていますが、企業が使用する場合は、TeraCopy Pro を購入する必要があります。TeraCopy Pro は、14.95 ユーロ (約 20 米ドル) です。商用バージョンでは、ホーム バージョンにない機能がいくつか提供されます (無償の更新プログラムや優先サポートなど)。コピーや貼り付け操作のパフォーマンスを向上したい場合は、TeraCopy を試してみてください。

TeraCopy

図 2 TeraCopy

Tunnelier SSH クライアント

システムの管理やファイルの転送を安全に行うのに役立つ、SSH2 または SFTP 対応のツールをお探しの方は、Bitvise が提供している Tunnelier を試してみることをお勧めします。SFTP の観点では、Tunnelier を使用すると、自動的な再開、テキスト ファイルの自動認識、および完全なディレクトリの再帰がサポートされることにより、深いフォルダー構造のデータ転送が自動的に実行されます。また、VT-100 または xterm のプロトコルを使用して、ターミナルにアクセスできます。

Tunnelier のリモート コンソール機能は、標準の Windows コンソールで、既定のコンソールと同じフォントと設定を使用して処理されます。そのため、リモート セッションで、なじみのあるカスタマイズ可能なビューが提供されます。ターミナル アクセス、SSH、および SFTP 用の既定のグラフィカルなクライアントに加えて、Tunnelier には、コマンド ライン コンポーネントも用意されています。このコンポーネントは、SFTP や SSH の操作をスクリプト化して、スケジュールするのに役立ちます。

ポート フォワーディングは、このツールのもう 1 つのすばらしい機能です。プロキシ経由の動的なトンネリングがサポートされるので、アプリケーションが目的のポートに接続するように導くことができます。このツールでは、1 回のクリック操作でリモート デスクトップのトンネリングが可能であることを売りにしているので、サーバーで公開されるポートを制限して、セキュリティをさらに高めることができます。また、GSSAPI 対応の SSH サーバーに接続するときにシングル サインオンがサポートされるので、同じドメインや信頼されるドメイン内でのリモート システムへの接続が非常に簡単になります。

パスワードやキーなどの管理について心配する必要はありません (このようなオプションはツールでサポートされます)。また、Tunnelier ではプロファイルがサポートされるので、お気に入りの設定を保存して、異なる環境への接続、トンネル、またはリモート アクセスのたびに、お気に入りの設定を再設定する必要がなくなります。

このツールでは、sexec も使用できます。これにより、リモートのコマンド ライン実行クライアントを実現できます。これは、リモート展開やファイル操作に非常に役立ちます。sexec の出力をリダイレクトし、リモート実行の出力をキャプチャしてログ ファイルに書き込むことで、出力の内容を後で確認できます。USB ドライブから実行できる PortableApps の形式もあります (詳細については、2008 年の TechNet Magazine のコラムで PortableApps の概要を参照してください)。

Tunnelier は、個人使用の場合は無償です。企業が使用する場合は、1 インストールにつき 44.95 ドルかかります。サイト ライセンスは 5,000 ドルです。Tunnelier と併用する SSH サーバーをお探しの場合は、2007 年のコラムで概要を紹介した WinSSHD の使用を検討することをお勧めします。

Tunnerlier SSH クライアント

図 3 Tunnerlier SSH クライアント

 

Greg Steen

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

関連コンテンツ