ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

今月のツールボックス コラムで紹介するツールは、スクリプトとスクリプトの更新状況を追跡したり、リモート デスクトップ接続のセキュリティを確保したり、新しいハードウェアのベンチマーク テストを実施するのに役立ちます。

Greg Steen

TortoiseSVN

IT 管理者であれば、システムの管理や組織内で処理がスムーズに実行されるようにする目的でタスクを自動化するスクリプトを書いていると思います。ですが、このようなスクリプトの記録は、どのように管理していますか。また、このようなスクリプトの変更履歴は、どのように追跡していますか。それから、このようなスクリプトへのアクセスは、どのように管理していますか。この作業は、標準の NTFS ファイル システムと特殊なアクセス制御リスト (ACL) を使用して、バージョンを追跡するフォルダー構造を構成することでも行えますが、このような場合にはソース管理を使用することをお勧めします。

ソース管理には、Microsoft Team Foundation Server をはじめとする、さまざまなツールを使用できます。オープン ソースのバージョン管理システムである Subversion を使用している場合は、無料で使用できるオープン ソースの Windows 対応フロントエンドである TortoiseSVN の使用を検討することをお勧めします。

TortoiseSVN は、Windows Explorer のインターフェイスにバージョン管理機能を統合する Windows シェル拡張です。TortoiseSVN では、右クリックで表示される便利なコンテキスト メニューでコードを管理できます。また、最新バージョンの Windows と互換性がある x86 版と x64 版の両方が提供されています。

Windows コンピューターに Subversion リポジトリを構成して、最新版の TortoiseSVN をインストールすると、リポジトリを作成したり、Subversion システムにフォルダーをインポートしたり、Subversion リポジトリにコミットした最新バージョンのファイルを取得したりすることができます (Subversion リポジトリを構成する方法の詳細、ドキュメント、およびダウンロードについては、Apache.org の Subversion ホーム ページ (英語) を参照してください)。TortoiseSVN では、取得したコードにアイコン オーバーレイが表示されます。変更や競合が発生しているかどうか、最新版が使用することができるかどうかなどの情報が一目でわかります。ローカル フォルダーのパスを右クリックし、[SVN Update] (SVN の更新) をクリックして、最新版に更新できます。また、[SVN Commit] (SVN のコミット) をクリックして、更新をコミットできます。

TortoiseSVN の拡張コンテキスト メニューには、高度なコマンドが用意されています。このようなコマンドを使用すると、分岐、タグ付け、結合、元に戻す、指定のリビジョン番号に更新、ロックの取得/リリース、ファイルやフォルダーの追加、更新プログラムの作成/適用、リポジトリの再配置などの操作を行えます。また、Log Viewer、Repository Browser、Revision Graph など、便利なツールも用意されています。Modification Tool を使用すると、ローカルにあるコピーをリモート リポジトリと比較したり、Blame View を使用して、どのユーザーがスクリプトのどの部分を変更したのかを確認できます。

これらのツールには、必要な情報を取得するのに必要な多数のオプションが用意されています。また、シェル拡張には、外観を調整したり、ツールの統合をサポートする設定が用意されています。コンテキスト メニューを調整して頻繁に使用するツールを表示したり、インターフェイスの言語を変更したり、自動更新を構成したり、インターフェイスのダイアログ オプションをカスタマイズできます。アイコンの外観を調整したり、Blame Tool や Revision Graph の色を設定したり、取得、コミット、または結合を実行したときの状態と操作項目の色を設定できます。また、差分ツールや結合ツールなど、外部ツールをフックするように構成することも可能で、フック スクリプトを使用してバグ追跡ツールを統合することもできます。

TortoiseSVN では、頻繁に使用するリポジトリをキャッシュすることでアクセスの効率化を図り、リモート リポジトリに接続するたびにユーザー名とパスワードを入力する必要がないように資格情報を保存します。保存されている資格情報やドロップダウンの一覧に表示される古いリポジトリは消去できます。

TortoiseSVN では、だいぶ時代遅れのコマンド ライン システムを使用して、Windows デスクトップでバージョン管理をするための総合的で使いやすい GUI ベースのツールを実現しています。また、TortoiseSVN には、アクティブな開発者とユーザーのコミュニティがあり、新機能、バグの修正、Subversion の新機能のサポートが頻繁に追加されています。今現在、管理スクリプトをバージョン管理していない場合は、ぜひ、バージョン管理してください。バージョン管理をする場合は、オープン ソースの Subversion とオープン ソースの TortoiseSVN フロント エンドを組み合わせて使用することを検討してみてください。

TortoiseSVN

TortoiseSVN

SecureRDP

今も Windows Server 2003 やひょっとして Windows 2000 Server を実行していたりしますか。まだ、Windows Server 2008 にアップグレードしていない場合は、2X Software 社が提供している SecureRDP の使用を検討することをお勧めします。SecureRDP は、Windows 2000 Server コンピューターと Windows Server 2003 コンピューターの Windows ターミナル サービスによるリモート デスクトップ接続のセキュリティ機能を強化するフリーウェアのアプリケーションです。

セキュリティ機能の強化には、ネットワーク デバイスを効率的に使用することで実現できるものもありますが、SecureRDP を使用すると、より簡単に構成できます。ネットワークでロックダウンを実施している場合に追加のセキュリティを施しても問題はありません。SecureRDP では、リモート管理モードまたはアプリケーション サーバー モードで実行している Windows Server がサポートされます。

SecureRDP では、IP アドレス、コンピューター名、MAC アドレス、ターミナル サービス クライアントのバージョン、アクセス日時などのログオン フィルターを使用してアクセスを制限できます。また、IP アドレスまたはユーザー名ごとの接続数でセッションを制限することもできます。SecureRDP のポリシーによって接続が拒否されたことをエンド ユーザーに通知する独自のポップアップ メッセージを表示したり、セキュリティ フィルターで AND と OR のどちらの論理を使用すべきか選択したり、リモート デスクトップ プロトコル (RDP) アクティビティを記録するログ ファイルを有効にするなど、構成できるオプションは他にもあります。

Windows 2000 Server または Windows Server 2003 コンピューターで実行しているターミナル サービスをきめ細かく制御する必要がある場合は、SecureRDP が役立ちます。

SecureRDP

SecureRDP

ATTO Disk Benchmark

多くの場合、ディスク I/O が、パフォーマンス問題のボトルネックになっています。ですが、パフォーマンスの問題を的確に見極めるには基準が必要です。そのためには、新しいディスク システムやコントローラーの影響を測定したり、現在使用しているディスクの基準値を算出するベンチマーク ツールが必要です。ストレージ接続を専門に扱っている ATTO Technology 社が、このようなツールを提供しています。ATTO Disk Benchmark を使用すると、コントローラー、ハード ディスク、RAID 配列、ソリッドステート ドライブのパフォーマンス統計情報を取得できます。

このツールは、Windows に対応した移植可能な実行可能ファイル形式になっているので、システム管理ツールを格納している USB フラッシュ メモリや CD-ROM に追加して、持ち運ぶことができます。ツールをダブルクリックし、テストする論理ドライブを選択して、[Start] (開始) をクリックすると、既定のオプションを使用してベンチマーク テストが実行されます。

テストの内容を調整するいくつかのオプションが用意されています。ディスクに対してデータの読み取り/書き込みを行うときに使用する転送サイズ (ブロック サイズ) の範囲を調整したり、テスト ドライブに書き込むファイル全体のサイズを指定できます。また、書き込みアクセスを強制して、ドライブの書き込みキャッシュをバイパスし、ディスクに直接書き込むこともできます。[Direct I/O] (直接 I/O) オプションを選択すると、テストに影響するシステムのバッファーやキャッシュは使用されません。

I/O の比較テストやオーバーラップ I/O のテストを実施するオプションもあります。I/O の比較テストでは、テスト対象のディスクで実行するテスト パターンを指定できます。オーバーラップ I/O のテストでは、キューの深さを指定して、一度に実行できる読み取り/書き込みコマンドの最大数を特定します。どちらのテストも実行しない場合は、neither (どちらも実行しない) という適切な名前が付けられたオプションを選択します。テストの実行中には、ATTO Disk Benchmark によって、シンプルな棒グラフ形式で結果がグラフ化されます。

テストに説明を追加したり、グラフのスケールを調整したり、テスト結果を印刷用の形式で表示したり、テストの構成と結果を保存するオプションもあります。ぜひ、管理ツールに追加する適切なテスト ツールの候補として ATTO Disk Benchmark を試してみてください。

ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmark

Greg Steen

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

関連コンテンツ