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SharePoint Server 2010 での Word Automation Services のパフォーマンスと容量の要件を見積もる

 

適用先: SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-30

この記事では、Word Automation Services の容量計画のガイダンスについて説明します。この記事は、SharePoint Server 2010 を実行しているトポロジでの Word Automation Services に関するハードウェア要件と Microsoft SharePoint Server 2010 ファーム要件を見積もるのに役立ちます。

この記事の内容

  • テスト ファームの諸特性

  • テスト結果

  • 推奨事項

  • トラブルシューティング

テスト ファームの諸特性

このセクションでは、Word Automation Services 2010 のパフォーマンスおよび容量のテスト中に使用されたデータセット、ワークロード、ハードウェア設定、トポロジ、およびテスト定義について説明します。

データセット

テストに使用したデータセットには、以下の種類の Microsoft Word 2007 コンテンツが格納された 384 個の固有の Open XML .docx ファイルが含まれます。

  • 直接の書式設定が適用されたテキスト

  • コンテンツ コントロール

  • イメージ

  • スタイル

  • フィールド

  • OLE オブジェクト

  • ハイパーリンク

  • ブックマーク

  • コメント

  • 引用

これらのファイルのサイズは、20 KB ~ 8.8 MB で、1 ファイルあたりの平均サイズは 225 KB です。この 384 個のファイルの複製を使用して、約 20,000 個のドキュメントのライブラリを作成しました。そのライブラリは、各テスト実行で入力ライブラリとして使用しました。

ワークロード

Word Automation Services のテストは、以下の変数の変化にさまざまなファーム構成がどのように応答するかを評価するのに役立つように設計されました。

  • ファーム内の Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーの数

  • Word Automation Services 対応アプリケーション サーバー 1 つあたりのアクティブな変換プロセスの数

  • Word Automation Services データベース内のアイテム数

この記事で示す容量とパフォーマンスの具体的な数値は、現実の環境における数値とは異なります。ここで示す数値は、ある一定規模の環境を設計する際の出発点を提供することを目的としています。システムの初期設計が完了した後で、構成をテストして、実際の環境のさまざまな要素にシステムが対応できるか確認してください。

テストの定義

このセクションでは、この記事のテスト シナリオを定義し、各シナリオで使用されたテスト プロセスについて説明します。テスト結果、特定のパラメーターなどの詳細情報については、「テスト結果」を参照してください。

表 1 この記事のテスト定義

テスト名 テストの説明

スループット スケール

  1. SharePoint Server にドキュメント ライブラリを作成し、そのライブラリにいくつかの有効な Open XML ファイル (.docx) を格納します。

  2. 手順 1. のライブラリを入力ライブラリとして使用する変換ジョブを作成し、開始します。

  3. 変換ジョブが終了し、すべての変換アイテムが正常に終了するか、失敗した場合、Word Automation Services データベースの結果を使用して、変換中のサービスの全体的なスループットを確認します。

SQL Server データベース ファイル サイズ

  1. SharePoint Server にドキュメント ライブラリを作成し、そのライブラリにいくつかの有効な Open XML ファイルを格納します。

  2. 変換ジョブを開始してから、取り消して、データベースに格納します。変換ジョブを完了する必要はありません。

  3. データベース .ldf および .mdf ファイルのサイズを記録します。

ハードウェア、設定、およびトポロジ

このセクションでは、テストに使用したハードウェア、設定、およびトポロジについて説明します。

ラボのハードウェア

テスト結果の詳細を高いレベルで提供できるように、テストでは 7 つのファーム構成を使用しました。1 ~ 7 個のアプリケーション サーバーおよび Microsoft SQL Server 2008 データベース ソフトウェアを実行する 1 つのデータベース サーバーで構成されるファームを使用しました。すべてのサーバーは 64 ビットでした。

次の表は、テストで使用したハードウェアを示しています。

表 2 Word Automation Services テスト トポロジで使用したラボ ハードウェアの詳細

詳細 フロントエンド Web サーバー – アプリケーション サーバー1 アプリケーション サーバー 2 ~ 7 データベース サーバー

役割

フロントエンド Web サーバー – アプリケーション サーバー(共有)

アプリケーション サーバー (専用)

SQL Server クラスター (1 つのコンピューター)

プロセッサ

2 プロセッサ x 4 コア 2.33 GHz

2 プロセッサ x 4 コア 2.33 GHz

4 プロセッサ x 4 コア 3.2 GHz

RAM

8 GB

8 GB

16 GB

オペレーティング システム

Windows Server 2008 SP2 x64

Windows Server 2008 SP2 x64

Windows Server 2008 SP2 x64

記憶域とジオメトリ (SQL Server ディスク構成を含む)

6 ディスク * 590 GB

6 ディスク * 590 GB

6 ディスク * 460 GB

ネットワーク アダプターの数

2

2

2

ネットワーク アダプターの速度

1 ギガビット

1 ギガビット

1 ギガビット

認証

NTLM

NTLM

NTLM

ソフトウェアのバージョン

4762.1000

4762.1000

SQL Server 2008

SQL Server インスタンスの数

該当なし

該当なし

 1

負荷分散の種類

NLB

NLB

該当なし

ULS ログ レベル

テストでは専用フロントエンド Web サーバーは使用しませんでした。テストを実施するために使用したフロントエンド Web サーバーはアプリケーション サーバー 1 も兼ねていました。SharePoint Server フロントエンド Web サーバーは変換を処理するときに使用されないので、この構成は、Word Automation Services 専用のトポロジでは一般的です。フロントエンド Web サーバーの唯一の役割は、カスタム Web パーツなどのカスタム SharePoint Server ソリューションを介して変換ジョブを作成することです。フロントエンド Web サーバーは、SharePoint Server ソリューションが正常に動作できるように応答性を維持する必要がある可能性があります。

Word Automation Services テスト ファームでは、単純な C# アプリケーションをフロントエンド Web サーバー – アプリケーション サーバー 1 で使用して、テスト用の変換ジョブを随時作成しました。フロントエンド Web サーバーの応答性を維持することは、このファームにとって問題ではありませんでした。このため、フロントエンド Web サーバーをアプリケーション サーバーとして使用することは適切でした。

トポロジ

図 1 – Word Automation Services テスト ファーム トポロジ

テスト ファーム トポロジ

テスト結果

以下の表は、SharePoint Server 2010 での Word Automation Services のテスト結果を示しています。テストのグループごとに、特定の変数だけを変えているので、ファームのパフォーマンスに対する漸進的な影響がわかります。

スループット スケール

アクティブな変換プロセスがスループットに及ぼす影響

以下の表の 2 つのテストは、1 つのアプリケーション サーバーでアクティブな変換プロセスの数を徐々に増やしたときに Word Automation Services のスループットが向上する様子を示しています。以下のデータは、Open XML (.docx) と PDF の 2 つの出力形式のものです。Open XML の変換は、他の出力形式と比較するときの基準スループットを示し、PDF の変換は、より典型的な変換スループットの例を示しています。

表 3 アクティブな変換プロセスを追加したときの 8 コアアプリケーション サーバーのスループットの例

アクティブな変換プロセス Open XML PDF

1

2.72

1.13

2

4.65

1.78

3

5.92

1.99

4

7.02

2.00

6

7.73

1.87

8

9.45

1.64

16

7.91

1.41

24

8.06

1.37

32

7.71

1.37

Word Automation Services が 4 個ではなく 6 個のアクティブな変換プロセスを使用しているときに、PDF のスループットが低下しています。これは、PDF (または XPS) に変換するときの Word Automation Services のサーバーごとの制限が原因です。一方で、Open XML のスループットにはこの制限がないため、8 個のアクティブな変換プロセスまでスループットは向上し続けています。ただし、Open XML では、アクティブな変換プロセスの数がサーバーのプロセシング コアの数 (この例では、コアの数は 8 個) を上回ったときにもう 1 つのより一般的な制限が発生しています。

4 個のアクティブな変換プロセスと比べて、6 個のアクティブな変換プロセスを使用しているときに Open XML のスループットは非常に小さい向上を示していますが、これは、Word Automation Services の典型的なバリエーションです。これは、特定の構成で予測とは異なるスループットを示す可能性があることを実証しています。

以下の図はこのデータのグラフです。

アクティブな変換プロセスを追加したときの 8 コア アプリケーション サーバーのスループットの例

8 コアのアプリケーション サーバーのスループットの例

プロセシング コアの数よりもアクティブな変換プロセスの数が多い 16、24、および 32 個のアクティブな変換プロセスでは、アプリケーション サーバーのスループットに悪影響を及ぼしています。また、Word Automation Services が特定のアプリケーション サーバーについてサポートされていないアクティブな変換プロセスの合計数を使用しているときに、変換アイテムは断続的に失敗する可能性が高くなっています。

このテスト結果は、アクティブな変換プロセスの数がスループットに対して以下の重要な影響を及ぼすことを示しています。

  • PDF に変換するときのスループットが最も向上するのは、1 サーバーあたりのアクティブな変換プロセスの数を 1 個から 3 個に増加したときです。PDF のスループットは、プロセシング コアが 4 個以上の任意のサーバーで約 4 個以上のアクティブな変換プロセスを使用するときに低下し始めます。これは、Word Automation Services の制限です。XPS にも同じ制限が当てはまります。

  • Open XML などの他の出力でのスループットは、n 個のアクティブな変換プロセスまで非常によく向上しています。n は、アプリケーション サーバーのプロセシング コアの数です。ただし、アプリケーション サーバーでのアクティブな変換プロセスの合計数の推奨最大値は、n-1 です。これについては、「推奨事項」セクションで詳しく説明します。

アプリケーション サーバー数の増加がスループットに及ぼす影響

以下の表の 2 つのテストは、アプリケーション サーバーの数を徐々に増やしたときに Word Automation Services のスループットが向上する様子を示しています。アクティブな変換プロセスの合計数はファームに対して 8 に設定しました。以下のデータは、Open XML と PDF の 2 つの出力形形式のものです。Open XML の変換スループットは、ほとんどの出力形式の優れた典型を示しているのに対し、PDF の変換スループットは、PDF と XPS 両方の典型としてさらに優れています。

表 4 アプリケーション サーバー数を増加したときのファームのスループットの例

トポロジ Open XML PDF

1x1

9.5

1.64

1x2

17.3

3.25

1x3

23.1

4.81

1x4

32.8

6.52

1x5

39.7

7.87

1x6

45.9

9.50

1x7

52.1

11.48

次の図は、サーバーを 1 つずつ追加したときに PDF と Open XML 両方のスループットがほぼ直線的に向上していることを示しています。

グラフ 2 – アプリケーション サーバー数を増加したときのファームのスループットの例

アプリケーション サーバーの増加に伴うスループット

表 5 1 つのサーバーでのスループットの向上率

トポロジ Open XML PDF

1x1

該当なし

該当なし

1x2

82.11

97.57

1x3

61.05

95.30

1x4

102.11

103.66

1x5

72.63

82.21

1x6

65.26

99.05

1x7

65.26

120.54

表 6 Z-1 スループットに対するスループットの向上率

トポロジ Open XML PDF

1x1

該当なし

該当なし

1x2

82.11

97.57

1x3

33.53

48.24

1x4

41.99

35.40

1x5

21.04

20.73

1x6

15.62

20.69

1x7

13.51

20.86

表 5 は、1 つのアプリケーション サーバーのスループットと比較したスループットの向上率を示しています。たとえば、1x4 トポロジ (4 つのアプリケーション サーバー) は、1x1 トポロジ (1 つのアプリケーション サーバー ) と比べてスループットが 102.11%向上しています。

表 6 は、表で前に記載されているトポロジのスループットと比較したスループットの向上率を示しています。たとえば、1x4 トポロジの場合、アプリケーション サーバーの数は 4 です。したがって、Z = 4 です。Z = 4 の場合、Z-1 = 3 になるので、Z-1 トポロジは 1x3 トポロジとなります。1x4 トポロジでは、1x3 トポロジと比較して、41.99% スループットが向上しています。

この数値は、Word Automation Services の特定の運用展開で、スループットがどのように向上する可能性があるかを示すサンプルにすぎません。この表に見られるいくつかのバリエーションは、他の SharePoint Server ファームでは一般的ではない可能性があります。

アクティブな変換プロセスの合計数は 8 に設定しました。このため、PDF の結果は、Word Automation Services のサーバーごとの制限が原因で発生する PDF のスループットの低下 (表 3 を参照) を避けるためにアクティブな変換プロセスの合計数を設定したアプリケーション サーバーに対して予想される結果よりも低いと考えられます。表 4 の PDF のスループット数値は、アクティブな変換プロセスの合計数を 4 に設定すると大幅に上昇する可能性があります。ただし、表 3 の結果に示すように、Open XML のスループット数値は明らかに低下します。この観察からわかるスループットの重要な特性は、アクティブな変換プロセスの合計数の設定に使用する値を選択するときに考慮する必要があるトレードオフが存在するということです。「推奨事項」セクションに記載している Word Automation Services の推奨設定では、このトレードオフを考慮して 2 組の推奨設定を用意しています。

このデータは、任意の出力形式に対する Word Automation Services のスループットを向上するのに適した方法は、スケール アウトであることを示しています。ここで示しているスループットの直線的な向上は、トポロジの増大に伴って無限に上昇するとは考えられません。あるボトルネックが発生します。たとえば、SQL Server コンピューターは、いずれは容量の限界に達します。

SQL Server データベース ファイル サイズ

データベース サイズ

Word Automation Services デーベースには、次の表に示すようにデータベースの変換アイテムごとに 1.58 ~ 0.15 KB のディスク領域が必要です。

表 7 各変換アイテム数に対する .Mdf ファイル サイズ

追加したアイテム数 .Mdf ファイル サイズ (KB) 1 アイテムあたりの KB

2,304

3,648

1.58

4,608

3,648

0.79

23,040

6,720

0.29

46,080

10,048

0.22

230,400

37,952

0.16

460,800

72,000

0.16

1,152,000

174,400

0.15

2,304,000

345,408

0.15

3,456,000

515,392

0.15

4,608,000

685,376

0.15

11,520,000

1,707,328

0.15

23,040,000

3,429,568

0.15

このデータから、Word Automation Services データベースに追加する変換アイテムごとに最終的に約 0.15 KBずつ .mdf ファイルのサイズが大きくなることがわかります。最初の約 50,000 個の変換アイテムは例外です。ただし、変換アイテムの数がこれくらい少ないときの .mdf ファイルの合計サイズは、明らかに管理しやすい値を示しています。

一般に、Word Automation Services データベースのサイズは、200 万個の変換アイテムよりも大きくならないようにすることをお勧めします。この数値を上回ると、一部の Word Automation Services ソリューションのパフォーマンスは、データベースが大きくなるにつれて低下する可能性があります。

Word Automation Services データベースからのアイテムの削除

データベースから削除したアイテムごとに約 0.2 ~ 0.5 KB のディスク領域が Word Automation Services によって SQL Server .ldf ファイルで使用されます。SQL Server では, .ldf ファイルを使用して Word Automation Services データベースの回復データを維持します。

表 8 削除した各変換アイテム数に対する .Ldf ファイル サイズ

削除したアイテム数 .Ldf ファイル サイズ (KB) 1 アイテムあたりの KB

2,304

1,856

0.56

4,608

2,624

0.44

11,520

2,624

0.18

23,040

2,624

0.09

46,080

20,416

0.43

69,120

20,416

0.29

115,200

39,936

0.34

172,800

53,248

0.30

207,360

53,248

0.25

218,880

53,248

0.24

228,096

53,248

0.23

230,400

53,248

0.23

.ldf ファイルのサイズは、SQL Server の自動拡張設定で指定されたとおりの一定の間隔で大きくなります。.ldf ファイルの増大の詳細については、「SQL Server を実行しているコンピュータでトランザクション ログのサイズが予期せず増大する、または、ログがいっぱいになる」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=217307&clcid=0x411) を参照してください。

長期間放置しておくと、SQL Server コンピューターがディスク領域を使い果たすまで .ldf ファイルは増大する可能性があります。.ldf ファイルのサイズを定期的に小さくすることは、すべての運用ファームの日常的な保守業務の一環として考える必要があります。過度に大きい .ldf ファイルに対処する方法の詳細については、「SQL Server データベースのトランザクション ログが突然拡張されないようにする方法」を参照してください。

推奨事項

単一サーバー ファーム

Word Automation Services は、SharePoint Server の単一サーバー インストールで実行できます。このサーバーは、フロントエンド Web サーバー、アプリケーション サーバー、および Word Automation Services データベースとさまざまな SharePoint データベースのデータベース サーバーとして機能します。

ただし、運用環境では、単一サーバー ファームを使用しないことを強くお勧めします。Word Automation Services、SharePoint Server、および SQL Server がリソースを奪い合うので、その結果、Word Automation Services のパフォーマンスに一貫性がなくなる可能性があります。

基本 Word Automation Services ファーム

基本 Word Automation Services ファームは、2 つのサーバーで構成されます。1 つのサーバーはフロントエンド Web サーバーとアプリケーション サーバーとして動作し、もう 1 つのサーバーは SharePoint Server と Word Automation Services 用の SQL Server のインスタンスとして動作します。このような構成は、Word Automation Services 運用ファームの最小トポロジとして考える必要があります。この基本トポロジから拡張する方法については、「拡張トポロジ」を参照してください。

図 2 – 単純な Word Automation Services ファーム トポロジ

単純な Word Automation Services ファーム

拡張トポロジ

基本 Word Automation Services ファームの容量を増やし、パフォーマンスを向上するには、既存のアプリケーション サーバーの容量を増やしてスケール アップするか、トポロジにサーバーを追加してスケール アウトします。このセクションでは、さまざまな構成でこの 2 つの戦略を組み合わせた複数のトポロジの一般的なパフォーマンス特性と推奨設定について説明します。可能なすべてのトポロジを記載しているわけではなく、ここで説明しているトポロジは一部の例です。

スケール アウト トポロジ 1: アプリケーション サーバーの追加

スケール アウト トポロジでは、アプリケーション サーバーをファームに追加して、ファームの容量を増やします。表 4 のテスト結果が示しているように、この戦略は、すべての出力形式に対するファームの容量を増やす場合に効果的です。スケール アウトは、スケール アップした既存のサーバーによって Word Automation Services のスループットを向上できなくなったときの次の段階として適しています。

図 3 – 3 つのアプリケーション サーバーでスケール アウトした Word Automation Services ファーム トポロジ

スケールアウトした Word Automation Services ファーム

スケール アウト トポロジ 2: SQL Server の影響を低減

Word Automation Services は、独自の SQL Server データベースを維持管理します。基本 Word Automation Services ファームでは、Word Automation Services データベースと SharePoint Server に関連付けられているデータベースの両方が SQL Server の同じ物理インスタンスに存在しています。Word Automation Services は、SharePoint Server に関連付けられているデータベース (たとえば、コンテンツ データベースとの入出力) と Word Automation Services データベース (たとえば、変換が正常に完了したときの変換アイテムの状態の更新) 両方に影響を及ぼします。

共有データベース サーバーが Word Automation Services と SharePoint Server 両方のボトルネックにならないようにするために、Word Automation Services データベースをホストする個別の物理データベース サーバーを作成できます。これにより、共有データベース サーバーがファームのボトルネックとなった場合に Word Automation Services のスループットと信頼性を向上できます。

図 4 - 専用 SQL Server を使用した Word Automation Services ファーム トポロジ

専用 SQL を使った Word Automation Services ファーム

小規模ファームでは、特に使用しているサービスが Word Automation Services だけの場合は、通常、単一データベース サーバーはボトルネックになりません。

スケール アップ トポロジ: 専用 Word Automation Services ファーム

次の図に示すように、専用 Word Automation Services ファームは、Word Automation Services のスループットを最大にするのに最適なトポロジです。この種類のトポロジでは、アプリケーション サーバーのリソースを最大限に利用するように Word Automation Services を構成して、ファーム内の各サーバーの容量を増やす必要があります。サービスの制限を伴わずにこれを実現するには、いくつかの重要なサービス設定を正しく構成する必要があります。

図 5 – 専用 Word Automation Services ファーム トポロジの例

専用 Word Automation Services ファーム

Word Automation Services を動作させているソリューションが多数の小さい変換ジョブを作成するために使用されている場合、ファームの専用アプリケーション サーバーとは別のフロントエンド Web サーバーで Word Automation Services ソリューションを実行することでパフォーマンスに利益をもたらすことができます。このような場合、専用フロントエンド Web サーバーは、アプリケーション サーバーに負荷がかかっているときでも、ソリューションの応答性を確保するのに役立ちます。前の図は、変換の処理にも使用できるようにフロントエンド Web サーバーがアプリケーション サーバーの役割も果たしている別のトポロジを示しています。このトポロジは、Word Automation Services を動作させているソリューションが少数の大きなジョブだけをときどき作成する場合に最適である可能性があります。

専用 Word Automation Services ファームは、通常、以下の設定を使用する必要があります。

PDF および XPS 出力形式の場合

  • アクティブな変換プロセスの合計数は、n-1 (n は各サーバーで使用可能なプロセシング コアの数) または 4 のどちらか小さい値に設定します。

    • 例: ファームのアプリケーション サーバーに 2基の クアッド コア CPU が搭載されている場合、4 は、n-1、つまり 7 よりも小さいので、この設定は 4 になります。

      注意

      表 3 に示すように、ドキュメントを PDF などの固定の出力形式に変換するときのサービスのパフォーマンス制限により、PDF と XPS の場合各サーバーのスケール アップの可能性が大幅に制限されます。PDF または XPS に出力するときにアプリケーション サーバーのスループットを最大限に高めるのに最適なアクティブな変換プロセスの合計数の設定は、通常、4 コアです。この設定の値を増やすと、実際に PDF と XPS のスループットは低下します。

  • 変換を開始する間隔 (分) は 1 分に設定します。

  • (変換プロセスごとに) 開始する変換の数は 30 に設定します。

    注意

    この値に設定することで、ファームのアクティブな変換プロセスごとに 1 秒あたり最大 0.5 変換という最大 RPS を実現できます。表 3 と 4 に示すように、これは、PDF と XPS の出力形式に関してファームのスループットを最大限に高めるための目標として適切な RPS です。

.docx ファイル, .doc ファイル、およびその他の出力形式の場合

  • アクティブな変換プロセスの合計数は、n-1 に設定します。n は、各サーバーで使用可能なプロセシング コアの数です。

    • 例: ファームのアプリケーション サーバーに 2 基のクアッド コア CPU が搭載されている場合、この設定は 7 になります。

    • メモ: アクティブな変換プロセスの合計数を n-1 よりも大きい値に設定しないことをお勧めします。大きい値を使用すると、信頼性と応答性に関するいくつかの問題が発生し始める可能性があります。

  • 変換を開始する間隔 (分) は 1 分に設定します。

  • (変換プロセスごとに) 開始する変換の数は 72 に設定します。

    注意

    この値に設定することで、ファームのアクティブな変換プロセスごとに 1 秒あたり最大 1.2 変換という最大 RPS を実現できます。表 4 に示すように、これは、PDF と XPS 以外の出力形式に関してファームのスループットを常に最大限に高めるための目標として最適な RPS です。

調整トポロジ: 共有アプリケーション サーバーを使用した SharePoint 運用ファーム

アクティブな変換プロセスは一度に最大で 1 つのプロセシング コアを使用するので、アクティブな変換プロセスの合計数の設定を各アプリケーション サーバーで使用可能なプロセシング コアの合計数よりも大幅に小さい値に設定することで、Word Automation Services を調整できます。次の図に示すように、このトポロジで調整されたアプリケーション サーバーには、他のタスクまたはサービスに使用できるプロセシング コアが必ず存在します。これは、通常、Word Automation Services に負荷がかかっているときにアプリケーション サーバーが応答しなくなるのを防ぐのに役立ちます。

図 6 – Word Automation Services を実行する共有アプリケーション サーバーを使用した運用ファーム トポロジの例

WAS が抑制された運用ファーム

既定では、アクティブな変換プロセスの合計数の設定を 1 に設定することで、Word Automation Services は調整されます。これは、ほとんどの Word Automation Services 展開にとって控えめすぎる設定であると考えられます。典型的な調整トポロジでは、次の設定を使用する必要があります。

PDF および XPS 出力形式の場合

  • アクティブな変換プロセスの合計数は、(n/2)-1 (n は各サーバーで使用可能なプロセシング コアの数) または 4 のどちらか小さい値に設定します。

    • 例: ファームのアプリケーション サーバーに 2 基のクアッド コア CPU が搭載されている場合、(8/2)-1 は 3 で、3 は 4 よりも小さいので、この設定は 3 になります。

    • 例: ファームのアプリケーション サーバーに 4 基のクアッド コア CPU が搭載されている場合、4 は (16/2)-1、つまり 7 よりも小さいので、この設定は 4 になります。

    注意

    1 つのプロセシング コアを未使用のままにすると、追加のプロセシング コアを一時的に支配する可能性がある Word Automation Services タイマー ジョブが実行されているときでもアプリケーション サーバーは、予測がつきやすい状態を維持できます。これはすべてのトポロジに当てはまります。この設定は、基本的に Word Automation Services を 50% の最大 CPU 使用率に制限します。サービスの最大 CPU 使用率をさらに低くするには、この設定の値を (n/2)-2、(n/2)-3 などに変更します。

  • 変換を開始する間隔 (分) は 1 分に設定します。

  • (変換プロセスごとに) 開始する変換の数は 30 に設定します。

    注意

    この値に設定することで、ファームのアクティブな変換プロセスごとに 1 秒あたり最大 0.5 変換という最大 RPS を実現できます。表 4 に示すように、これは、適切なスループットを確実に実現するための目標として適切な RPS です。

.docx ファイル, .doc ファイル、およびその他の出力形式の場合

  • アクティブな変換プロセスの合計数は、(n/2)-1 に設定します。n は、各サーバーで使用可能なプロセシング コアの数です。

    • 例: ファームのアプリケーション サーバーに 2 基のクアッド コア CPU が搭載されている場合、この設定は 3 になります。

      注意

      1 つのプロセシング コアを未使用のままにすると、追加のプロセシング コアを一時的に支配する可能性がある Word Automation Services タイマー ジョブが実行されているときでもアプリケーション サーバーは、予測がつきやすい状態を維持できます。これはすべてのトポロジに当てはまります。この設定は、基本的に Word Automation Services を 50% の最大 CPU 使用率に制限します。サービスの最大 CPU 使用率をさらに低くするには、この設定の値を (n/2)-2、(n/2)-3 などに変更します。

  • 変換を開始する間隔 (分) は 1 分に設定します。

  • (変換プロセスごとに) 開始する変換の数は 60 に設定します。

    注意

    この値に設定することで、ファームのアクティブな変換プロセスごとに 1 秒あたり最大 1.0 変換という最大 RPS を実現できます。表 4 に示すように、これは、PDF または XPS 以外の出力形式について適度に控えめな RPS の目標値です。

    注意

    この値を 72 ではなく 60 に設定することで、変換を開始する間隔 (分) で設定したとおりに (この場合、1 分)、単位時間あたり短時間 (数秒) の間、アプリケーション サーバーのすべてのプロセシング コアが使用可能になる可能性が高くなります。これは、ファームのニーズによっては役に立つ可能性があります。また、この設定値をさらに小さくすると、すべてのアプリケーション サーバーのプロセシング コアをさらに長く解放できますが、スループットがさらに犠牲になります。

混在トポロジ: Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーと他のアプリケーション サーバーが混在した SharePoint 運用ファーム

Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーと Word Automation Services 非対応アプリケーション サーバーが混在したトポロジは、他の SharePoint サービスのパフォーマンスに影響を与えずに Word Automation Services の高いスループットを実現するのに最適な方法です。混在ファームの利点は次のとおりです。

  • 専用 Word Automation Services サーバーを使用することでスループットが向上します。

  • Word Automation Services 非対応アプリケーション サーバーで実行される他のサービスが Word Automation Services から受ける影響を最小限に抑えることができます。

混在ファームの欠点は次のとおりです。

  • 共有ファームまたは専用ファームを使用する場合と比べて、多くの物理サーバーが必要になる可能性があります。

  • すべての Word Automation Services アプリケーション サーバーで、同じ設定を使用します。

混在ファームには次の 2 つの基本構成があります。

  • 非 Word Automation Services アプリケーション サーバーと共有、調整済み Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーを混在させます。

  • 非 Word Automation Services アプリケーション サーバーと、アプリケーション サーバーのリソースを最大限に利用するように構成した専用の Word Automation Services アプリケーション サーバーを混在させます。

混在トポロジは、次の図に示すトポロジのようになる可能性があります。

図 7 - Word Automation Services 専用のアプリケーション サーバーを使用した運用ファーム トポロジの例

トポロジが混在した運用ファーム

混在ファームの Word Automation Services 対応サーバーは、調整トポロジの共有アプリケーション サーバーまたはスケール アップ トポロジの専用アプリケーション サーバーと同じように構成して、この 2 つのトポロジのどちらかと同じスループットを実現できます。

スループット目標の見積もり

このセクションでは、特定の設定を使用した場合の特定のトポロジのスループット目標を算出するときに使用する情報を提供します。

アプリケーション サーバーごとの 1 分あたりの変換スループット

(アクティブな変換プロセスの合計数 * (変換プロセスごとに) 開始する変換の数) / 変換を開始する間隔 (分)

メモ:

  • 前の数式の結果は、アクティブな変換プロセスごとの 1 秒あたりの変換数に換算した場合、PDF と XPS 以外の出力形式については 1.2 、PDF または XPS 出力形式については 0.5 を超えないようにしてください。この値を超えると、スループットが低下し、変換の失敗数が増加する可能性があります。

  • 変換を開始する間隔 (分) を増やし (つまり、Word Automation Services タイマー ジョブの実行頻度を少なくする)、ファームの合計スループットが変わらないようにする場合、(変換プロセスごとに) 開始する変換の数を、変換を開始する間隔 (分) に正比例して増やす必要があります。

    たとえば、SharePoint 管理者が Word Automation Services タイマー ジョブの実行頻度を少なくし、Word Automation Services のスループットはそのまま維持するとします。次の表に示す設定によって、この目標を達成できます。

    元の設定 新しい設定

    変換を開始する間隔 (分)

    1 分

    10 分

    (変換プロセスごとに) 開始する変換の数

    72

    720

    注意

    アクティブな変換プロセスの合計数は、変換を開始する間隔 (分) に比例して変更しないでください。

ファーム全体の 1 分あたりの変換スループット

  • PDF および XPS 出力形式の場合:

    「アプリケーション サーバーごとの 1 分あたりの変換スループット」の数式の結果に、Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーの数を掛けます。最終結果は、表 5 のデータと整合します。

  • その他の出力形式の場合:

    「アプリケーション サーバーごとの 1 分あたりの変換スループット」の数式の結果に、Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーの数を掛けます。次に、その結果に 0.65 を掛けます。最終結果は、表 5 のデータを示します。

トラブルシューティング

ボトルネックまたは問題 原因 解決方法

アクティブな変換プロセスの数を 3 または 4 よりも多くして、それを上回るプロセシング コアを使用できる場合でも、PDF または XPS に変換するときのスループットが向上しません。

Word Automation Services は、1 つのアプリケーション サーバーでファイルを PDF または XPS に変換できる速度が制限されています。つまり、アプリケーション サーバー 1 つにつき、3 または 4 個のアクティブな変換プロセスを超えてスケール アップしても、Word Automation Services のスループットを向上できません。1 アプリケーション サーバーあたりのアクティブな変換プロセスの数を増やすと、実際には、PDF または XPS 形式に変換するときのサービスのパフォーマンスは低下します。

アプリケーション サーバーごとのアクティブな変換プロセスの数を 3 または 4 に設定している場合でも、PDF および XPS への変換で Word Automation Services のスループットを向上する必要があるときには、アプリケーション サーバーを追加することで、スループットをほぼ 100% 向上できます (コンピューターの仕様が同じであると仮定した場合)。

また、アプリケーション サーバーごとのアクティブな変換プロセスの数を 4 よりも大きい値に設定している場合、この値を 4 に変更すると、少しの差でスループットが向上する可能性があります。ただし、他の出力形式の場合、アプリケーション サーバーごとのアクティブな変換プロセスを 4 に設定すると、スループットが大幅に低下する可能性があります。

PDF または XPS への変換が第 1 の要件である場合、専用の Word Automation Services アプリケーション サーバーを使用しないことで費用効果を向上できる可能性があります。共有サーバーを使用して、使用していないプロセシング コアを他のファーム サービスで利用できるようにすることができます。

Word Automation Services の設定を変更した後に、変換アイテムの失敗頻度が上昇し始めます。

Word Automation Services の設定によって、サービスをその実質的な制限を上回る状態に簡単に持って行くことができます。その場合、次のような結果となる可能性があります。

  • 全体的なスループットの低下

  • 変換アイテムの失敗頻度の増加

前に挙げた現象のどちらかを修正または防止するには、次の単純なルールに従います。

アクティブな変換プロセスの合計数を n-1 を上回る数値に設定しない。n は、アプリケーション サーバーのプロセシング コアの数です。

(変換プロセスごとに) 開始する変換の数を、目的の出力形式について「スケール アップ トポロジ: 専用 Word Automation Services ファーム」で推奨している値よりも大きくしない。ただし、変換を開始する間隔 (分) もスループット目標が変わらないように (正比例して) 調整する場合を除く。

Word Automation Services の設定を変更した後に、他のサービスの応答性が低下します。

アクティブな変換プロセスは、アプリケーション サーバーのプロセシング コアを最大限に利用することがあります。「スケール アップ トポロジ: 専用 Word Automation Services ファーム」で推奨したとおりに構成されたアプリケーション サーバーは、Word Automation Services タイマー ジョブはその独自のコアで定期的に実行されるので、変換中に CPU リソースの大部分を利用できます。

Excel Web Services、Microsoft Office Web Apps などの他のサービスに、そのようなアプリケーション サーバーの CPU リソースが必要な場合、他のサービスで認知待機時間につながる許容できない待機時間が発生する可能性があります。

Word Automation Services が他のサービスに及ぼす影響を低減するには、次の手順に従います。

  1. Word Automation Services のアクティブな変換プロセスの合計数を「調整トポロジ: 共有アプリケーション サーバーを使用した SharePoint 運用ファーム」で推奨しているレベルに調整します。

  2. Word Automation Services では使用せず、他のサービスに使用できるアプリケーション サーバーを追加し、「混在トポロジ: Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーと他のアプリケーション サーバーが混在した SharePoint 運用ファーム」で説明しているトポロジに似たトポロジを採用します。

ファームがビジー状態、オフライン、または 1 日以上の一部で保守作業が行われていたときに、変換アイテムがエラー コード 3 で失敗することがあります。

Word Automation Services では、通常、Word Automation Services キュー データベースに追加された変換ジョブを、そのジョブが送信されてから 24 時間以内に完全に処理する必要があります。変換ジョブの変換アイテムが 24 時間以内に終了しなかった場合、変換アイテムはエラー コード 3 で失敗する可能性があります。次のようなエラー メッセージが表示されます。

"ファイルを取得する前に付与されたユーザーの権限の期限が切れたため、入力ライブラリからファイルをダウンロードできませんでした。これは、システムの負荷が高くなっていることを示している可能性があります。再度、ジョブを送信してください。このエラーが繰り返し発生する場合は、システム管理者に問い合わせてください。"

このエラーが何度も表示され、ファームがオフライン状態だった時間があまり長くない場合は、ファームが正しく構成されていないか、またはファームの使用量がその容量を大きく上回っていることが原因で、一部の変換ジョブが完了するまでに 24 時間よりも長くかかっている可能性があります。この動作は、ファームの容量を増やす必要があることを示しています。この場合、アクティブな変換プロセスの合計数を (最大 n-1 まで、n は、各アプリケーション サーバーのプロセシング コアの数) 増やすか、増やすことができない場合は、Word Automation Services によって使用できるアプリケーション サーバーをファームに追加する必要があります。後者の場合、アプリケーション サーバーで単に Word Automation Services を使用可能にして、容量が過剰にならないようにする方法と、物理サーバーをファームに追加する方法が考えられます。

ファームの容量を増やす場合、「スケール アップ トポロジ: 専用 Word Automation Services ファーム」または「調整トポロジ: 共有アプリケーション サーバーを使用した SharePoint 運用ファーム」で説明したとおりに、Word Automation Services の設定を正しく構成してください。

サービスを実行するにつれて、Word Automation Services ソリューションの実行時間が徐々に長くなります。

Word Automation Services オブジェクト モデルの次のメソッドの実行時間は、Word Automation Services データベースのアイテム数に応じて増減します。

  • ConversionJob.GetAllActiveJobs

  • ConversionJob.GetAllJobs

一般に、Word Automation Services データベースのサイズは、200 万個の変換アイテムよりも大きくならないようにすることをお勧めします。この問題を解決するには、一部の変換アイテムをデータベースから削除します。

アプリケーション サーバーの数をスケール アウトしても、Word Automation Services のスループット パフォーマンスが向上し続けません。

アプリケーション サーバーをファームに追加してもスループットが向上しない場合、Word Automation Services データベースが配置されている SQL Server のインスタンスが容量の限界に達していることを示している可能性があります。

WAS アクションごとの Word Automation Services SQL Server の影響は、次のとおりです。

 

Word Automation Services アクション 1 回の呼び出しあたりの RT 1 アイテムあたりの追加 RT メモ

ConversionJob.AddFile

11

0

低 SQL Server IOps

ConversionJob.AddFolder

9

2

AddLibrary と比べて SQL Server の RT は増加しますが、この OM 呼び出しは、一般に AddLibrary を実行するよりも高速です。

低 SQL Server IOps

ConversionJob.AddLibrary

4

2

低 SQL Server IOps

ConversionJob.Start

3

0

低 SQL Server IOps

ConversionJob.Refresh

1

0

低 SQL Server IOps

ConversionJob.CancelJob

1

0

低 SQL Server IOps

ConversionJob.GetAllActiveJobs

1

0

SQL Server の IOps は、Word Automation Services DB のジョブ数に応じて増大します。

ConversionJob.GetAllJobs

1

0

SQL Server の IOps は、Word Automation Services DB のジョブ数に応じて増大します。

ConversionJob.GetItems

2

0

低 SQL Server IOps

各 Timerjob の実行

2

1

低 SQL Server IOps

一部の呼び出しでは、関係する変換アイテムの数によって、アクションごとの SQL Server ラウンド トリップとアクションごとの追加の SQL Server ラウンド トリップに一定のオーバーヘッドが発生することがあります。

この情報は、Word Automation Services 展開のカスタム ソリューションを作成しようとしている開発者と Word Automation Services を使用した場合の SQL Server に関する影響を検討する必要があるファーム開発者の両方に役立ちます。

Word Automation Services の SQL Server データベースが Word Automation Services の SQL Server データベースを使用する他のアクティブなデータベースと同じサーバーに配置されている場合、ほとんどのファームでは、個別の物理サーバーを用意してボトルネックとなっている SQL Server を取り除く必要があります。

ファームをスケール アウトした後、タイマー ジョブが次にスケジュールされている実行までに完了しているように見えません。

Word Automation Services のタイマー ジョブの実行時間は、ファーム内の Word Automation Services 対応アプリケーション サーバーの数に対して直線的に増加します。タイマー ジョブは、実行を完了するまでに 1 分よりも多くの時間がかかる可能性があります。

この状況が発生した場合、何も対応する必要はありません。SharePoint Server は、前のタイマー ジョブが実行中の場合は、スケジュールされたタイマー ジョブの実行を開始しません。