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ユーティリティ スポットライト: ブラウザーをカスタマイズする

Internet Explorer 管理者キットを使用すると、Internet Explorer 9 を好きなようにカスタマイズできます。

Lance Whitney

カスタマイズしたバージョンの Internet Explorer 9 を構成および展開する必要がある場合は、マイクロソフトが無償で提供している信頼性の高い Internet Explorer 管理者キット (IEAK) の使用を検討することをお勧めします。最新版である IEAK 9 を使用すると、Internet Explorer 9 の新機能を活用することが可能で、作成したパッケージでは、設定の一貫性が保証されます。

IEAK 9 では、広範囲に展開するための一貫性のあるカスタム パッケージを作成できるだけでなく、インターネット設定 (INS) ファイルを使用して Internet Explorer 9 の設定とアクセス許可を維持したり、更新したりすることもできます。そのため、Internet Explorer を制御および管理するグループ ポリシーを使用していない場合、または使用することを望まない場合に便利です。今月は、IEAK 9 を使用して独自のパッケージを作成する方法について説明します。来月は、INS ファイルを使用して Internet Explorer 9 を管理および更新する方法を紹介する予定です。

IEAK 9 では、パッケージを作成する手順が提示されるため、操作は比較的簡単です。ただし、まず、Microsoft TechNet ライブラリで Internet Explorer 9 ドキュメントおよび IEAK 9 ドキュメントを参照することをお勧めします。前者では、Internet Explorer 9 のすべての新機能を集中的に学ぶことができ、後者では IEAK を使用する際の注意事項などがわかりやすく説明されています。

IEAK 9 を実行する前に、展開先のコンピューターに Internet Explorer 9 をインストールする必要があります。これは、IEAK では、インストールされているブラウザーから一定の設定がインポートされるためです。IEAK 9 は、専用の Web ページからダウンロードできます。使用する言語のバージョンをダウンロードし、ダウンロードした ieak.msi ファイルをインストールしてください。

インストール プロセスでは、初期段階でライセンスの種類を選択する必要があります。社内で利用するパッケージを作成する場合は、3 つ目の [企業のイントラネットを通して内部に配布] を選択します。インストールが完了すると、Windows の [スタート] メニューの [すべてのプログラム] に、[Windows IEAK 9] フォルダーが新しく表示されます。そのフォルダーを展開し、[Internet Explorer カスタマイズ ウィザード 9] をクリックします。Internet Explorer カスタマイズ ウィザードには、状況に応じた詳細なヘルプ情報を提供する [ヘルプ] ボタンがあり、作成するパッケージに最適なオプションを選択するのに役立ちます。

最初に表示される情報の収集に関するセクション (図 1 参照) では、情報を収集します。このページでは、パッケージの作成先フォルダーを指定する必要があります。最新バージョンの Internet Explorer 9 がインストールされているかどうかが確認され、使用している OS プラットフォームと言語を選択します。その後、パッケージを CD-ROM、ファイル、またはその両方に保存するかどうかを決定します。このセクションは、実際のカスタマイズに着手する場所で、パッケージに含める Internet Explorer 9 の機能も選択します。

セットアップに関する基本情報の収集およびカスタマイズを開始する最初のセクション

図 1 セットアップに関する基本情報の収集およびカスタマイズを開始する最初のセクション

2 番目のセットアップ パラメーターの指定に関するセクションでは、まず、自動バージョン同期の処理が行われます。この機能により、最新の Internet Explorer 9 のファイルとコンポーネントが、作成するパッケージに自動的にダウンロードされます。このセクションでは、カスタム コンポーネントを追加したり、Internet Explorer を既定のブラウザーに設定したりすることもできます。

3 番目は、セットアップの操作性のカスタマイズに関するセクションです。ここでは、インストールの種類 (サイレント インストールにするか、ユーザー操作によるインストールにするか) を選択し、Internet Explorer のインストール後にコンピューターを再起動するかどうかを決定します。CD ベースのインストールを選択している場合は、ここで CD 自動実行のパラメーターおよび他のオプションを設定します。

4 番目のブラウザーのカスタマイズに関するセクションでは、Internet Explorer 9 のパッケージ用に指定する設定の大部分が含まれています。ここでは、タイトル バーやツール バーをカスタマイズしたり、ホームページ、検索プロバイダー、お気に入りなど、必要なページの URL を設定したりすることができます。カスタム ウェルカム ページを作成して、Internet Explorer 9 を互換表示 (Internet Explorer 7 モード) で実行するかどうかの決定も行うことが可能です。

さらに、インストールされているバージョンの Internet Explorer 9 から設定をインポートして、接続の設定をセットアップしたり、変更したりすることも可能です。INS ファイルをブラウザーの設定の管理に使用する場合は、このセクションで、使用する INS ファイルを指定します。INS ファイルが格納されるサーバーのパスとファイル名を指定するだけで、Internet Explorer 9 では、INS ファイルの場所が認識されます (図 2 参照)。最後に、プロキシの設定を構成して、現在のセキュリティとプライバシーの設定をインポートして変更できます。

INS ファイルを格納する場所を指定するページ 

図 2 INS ファイルを格納する場所を指定するページ

最後のセクションは、追加のカスタマイズに関するセクションです。ここでは、現在使用しているブラウザーのプログラムの設定をインポートし、組織で設定されているあらゆるアクセス許可、制限、およびその他の標準設定を構成できます (図 3 参照)。

アクセス制御およびアクセス許可を設定するページ 

図 3 アクセス制御およびアクセス許可を設定するページ

最後のセクションの設定が完了すると、IEAK 9 によって、指定した設定に基づいたパッケージが作成されます。作成が完了すると、最初のセクションで指定した作成先フォルダーにパッケージが配置され、既定では、c:\builds\<日付> というフォルダー名が付けられます。たとえば、2011 年 8 月 1 日にパッケージを作成した場合、フォルダー名は c:\builds\08012011 となります。

日付のフォルダーを展開すると、FLAT という名前のサブフォルダーが表示されます (パッケージを CD コンテンツではなくファイルとして保存した場合の状態です)。FLAT フォルダー配下のフォルダーを展開していくと、最終的には、作成した 1 つのパッケージに対して 2 つのインストール ファイル (IE9-Setup-Full.exe と IE9-Setup-Full.msi) が作成されていることが確認できます。EXE ファイルと MSI ファイルはどちらも使用できますが、すべての Windows インストーラーのオプションが提供される MSI ファイルをお勧めします。

コマンド プロンプトを起動し、作成された MSI ファイルが格納されているフォルダーに移動して「IE9-Setup-Full.msi /?」というコマンドを実行すると、その MSI ファイルで利用可能なすべてのオプションが表示されます。いくつかのオプションは作成したパッケージで既に適用されていますが、必要に応じてオプションをオーバーライドすることができます。ログ オプションには、特に注目してください (図 4 参照)。これらのオプションを指定すると、ログ ファイルを生成して、あらゆるエラーに関する情報を収集したり、パッケージが正常に動作していることを確認したりすることができます。

イベントを記録したり、エラーに関する情報を収集したりできるログ オプション 

図 4 イベントを記録したり、エラーに関する情報を収集したりできるログ オプション

次に、MSI ファイルの実行元となるテスト コンピューターまたはネットワーク共有に、パッケージのフォルダー全体をコピーします。MSI ファイルのパスと必要なスイッチを記述した簡単なバッチ ファイルを作成することをお勧めします。テスト コンピューターや他のコンピューターでバッチ ファイルを実行して、パッケージの展開を試行できます。パッケージをテストして正常に動作することを確認したら、バッチ ファイル、ログイン スクリプト、または他の展開手段を利用して、作成した Internet Explorer 9 のパッケージをユーザー コミュニティに展開できます。

これが、Internet Explorer 9 の展開パッケージを作成する基本的な手順です。来月は、IEAK の INS ファイルを使用して、ブラウザーを継続的に管理する方法を紹介します。

Lance Whitney

Lance Whitney は、ライターであり、IT コンサルタントであり、ソフトウェア トレーナーでもあります。Windows のワークステーションおよびサーバーをカスタマイズすることに数えきれないほどの時間を費やしてきました。元々はジャーナリストでしたが、1990 年代前半に IT 業界への転向を実現しました。

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