更新プログラムと修正プログラムの概要

  • [アーティクル]

更新日: 2012 年 6 月 13 日

適用対象: Microsoft Dynamics AX 2012 R2、Microsoft Dynamics AX 2012 Feature Pack、Microsoft Dynamics AX 2012

このトピックでは、Microsoft Dynamics AX 2012 で使用可能な更新プログラムの種類と、更新プログラムの展開プロセスについて説明します。また、更新プログラムの命名規則と、更新プログラム パッケージの構造についても説明します。

更新プログラムの種類

このセクションでは、Microsoft Dynamics AX で使用可能な更新プログラムの種類について説明します。

修正プログラム

修正プログラムは、Microsoft Dynamics AX の主な機能またはインストールされた Microsoft Dynamics AX の大多数に影響を与えるバグのうち、選択されたバグを解決するコードです。1 つの修正プログラムは 1 つの問題または累積した一連の問題に対処しています。

Microsoft では、各 Microsoft 製品用にリリースされたすべての修正プログラムについて、対応するサポート技術情報 (KB) の記事を公開しています。これらの製品に Microsoft Dynamics AX も含まれています。これらの KB の記事は、修正プログラムによって変更された、オブジェクト、データベース テーブル、ファイル、またはその他のコードについて説明しています。各修正プログラムは、特定の問題やソフトウェアの正常な動作を復元するシナリオに対処するためにリリースされます。お客様の実装済みの Microsoft Dynamics AX に修正プログラムを適用する必要があるかどうかを判断するには、対応する KB の記事を確認する必要があります。

Microsoft Dynamics AX には、次の標準的な種類の修正プログラムが用意されています。

  • バイナリ修正プログラム - 標準的な Windows インストーラー (MSI) ファイルを使用してインストールされたオブジェクトとコンポーネントに対して、AXUpdate.exe を使用することによって Windows Installer パッチ (MSP) ファイルが適用されます。これらの更新は累積的で、各バイナリ修正プログラムには、以前にリリースされたすべての修正プログラムの変更が含まれています。

  • アプリケーション修正プログラム - アプリケーション修正プログラムは、アプリケーション モデル (.axmodel) ファイルを使用して、いずれかの Microsoft アプリケーション パッチ レイヤー (SYP、GLP、FPP、SLP) に提供されるものです。バイナリ修正プログラムとは異なり、アプリケーション修正プログラムは特定の修正を目的としており、累積的なものではありません。

重要

> <BR>すべてのアプリケーション修正プログラム モデル ファイルは AXUpdate.exe を使用してインストールする必要があります。手動でこれらのアプリケーション モデルをインポートすることは明示的にサポートされておらず、エラーが発生する可能性があります。
  • 前処理修正プログラム - 前処理修正プログラムは、Microsoft Dynamics AX 2012 にアップグレードする前に、Microsoft Dynamics AX 4.0 システムおよび Microsoft Dynamics AX 2009 システムで実行されているデータ アップグレード スクリプト (DatabaseUpgrade など) に適用されます。

累積更新プログラム

累積更新プログラム (CU) は、現在までにリリースされたすべての修正プログラムを含む更新プログラムです。さらに、CU には、修正プログラムの受け入れ基準を満たす問題の修正が含まれています。これらの基準として、回避策の可用性、顧客への影響、問題の再現性、および変更する必要のあるコードの複雑さなどがあります。

サービス パック

サービス パックはすべての修正プログラムと更新プログラムを含む、テスト済みの累積的なセットです。サービス パックには、製品のリリース後に内部で見つかった問題の追加修正や、顧客からの要求による設計変更や機能が含まれる場合があります。

更新プログラムの展開プロセス

コードやデータベース スキーマに影響を与える更新プログラムについては、まずお客様のデータベースのバックアップを作成してからテスト環境に更新プログラムを展開し、カスタマイズに必要なすべての変更を加えて、コードをコンパイルすることをお勧めします。テスト環境でシステムがコンパイルされたら、Windows PowerShell Import-AXModelStore コマンドレットを使用して、運用環境に変更を展開することをお勧めします。この方法によって、運用システムのダウンタイムを最小限に抑えることができます。詳細については、「Microsoft Dynamics AX 2012 環境へのカスタマイズの展開 (ホワイト ペーパー)」(英語) を参照してください。

更新プログラム パッケージの命名規則

Microsoft Dynamics AX に適用されるパッケージは、次の名前付け規則に従って命名されます: <ProductName>-KB<KBNumber>-v<PackageVersionNumber>-<ServicePackLevel>.exe。

たとえば、パッケージに DynamicsAX2012-KB123456-v2-SP2.exe という名前を付けることができます。パッケージ名に使用される名前のセグメントの説明を次の表に示します。

名前のセグメント

説明

<ProductName>

このセグメントは、サービスの対象となる製品の名前を示します。Microsoft Dynamics AX 2012 に適用されるパッケージの場合、このセグメントは "DynamicsAX2012" となります。

<KBNumber>

このセグメントは、KB123456 などのように、パッケージに対応する KB の記事を示します。

<PackageVersionNumber>

このセグメントは、パッケージの最初のリリースでは使用されません。パッケージがリコールされるか、あるいは再リリースされる場合に、このセグメントは v2、v3、または v4 のようにパッケージのリビジョンを示します。

<ServicePackLevel>

このセグメントは、そのパッケージ サービスが提供するサービス パック レベルを示します。このセグメントが使用されるのは、Service Pack 1 またはそれ以降のバージョンがインストールされた製品に適用する必要のあるパッケージだけです。サービス パックがインストールされていない、元のリリース バージョンの製品に適用されるパッケージの場合、このセグメントは使用されません。

更新プログラム パッケージの構造

このセクションでは、更新プログラム パッケージの構造について説明します。

自己解凍実行可能パッケージを実行すると、フォルダーが展開されます。このフォルダーに含まれるファイルとフォルダーの説明を次の表に示します。

名前

ファイルまたはフォルダーが使用される対象となる更新プログラムの種類

説明

AXImpactAnalysis.exe

アプリケーション更新プログラム

更新プログラムがお客様の環境のカスタマイズに与える影響を分析するために実行できる、更新ウィザードのバージョンです。

AXImpactAnalysis.exe がバイナリ更新プログラム パッケージに含まれていることがありますが、これを実行しても追加の情報を得ることはできません。

AXUpdate.exe

バイナリ更新プログラムとアプリケーション更新プログラム

更新プログラムに必要な MSP とモデル ファイルをインストールするために実行できる更新ウィザードです。

DatabaseUpgrade

累積更新プログラムに同梱される前処理ファイルの更新プログラム

Microsoft Dynamics AX 4.0 または Microsoft Dynamics AX 2009 から Microsoft Dynamics AX 2012 にアップグレードするために使用される、更新された前処理ファイルを含むフォルダーです。

LicenseTerms

バイナリ更新プログラムとアプリケーション更新プログラム

更新プログラムをインストールする前に同意する必要のあるライセンス条件が含まれたフォルダーです。このフォルダーは AXUpdate.exe によって使用されます。

Models

アプリケーション更新プログラム

更新されるモデルを含むフォルダーです。このフォルダーは AXUpdate.exe によって使用されます。

MSI

バイナリ更新プログラム

更新される Microsoft Dynamics AX のコンポーネント用サブフォルダーを含むフォルダーです。各サブフォルダーには 1 つまたは複数の MSP ファイルが含まれます。このフォルダーは AXUpdate.exe によって使用されます。

Support

バイナリ更新プログラムとアプリケーション更新プログラム

AXUpdate.exe によって呼び出されるサポート ファイルとサブフォルダーを含むフォルダーです。ファイルとサブフォルダーには、AXUpdate.exe の言語固有のファイルが含まれます。このフォルダーは AXUpdate.exe によって使用されます。