IT 管理: IT 担当者とコンシューマー

コンシューマーが求めているものと IT 担当者の性質は、思っている以上に適合しています。

Romi Mahajan

IT 担当者の世界とコンシューマーの世界は、決して越えられない溝の反対側にいるくらい、掛け離れているものだと思われがちです。神話と先入観の影響で錯覚を起こし、コンシューマーは、IT 担当者がビジネスから乖離していて、そのためにコンシューマーの優先事項や求めるものからも乖離しているのだと考えています。そのため、コンシューマーは、IT 担当者がコンシューマーを理解していないと考える傾向があります。

結局、ほとんどのコンシューマーは、IT 担当者のように、パソコン上級者ではありません。少なくとも、一般的には、このような議論が展開されます。いずれにしても、IT 担当者は、販売やマーケティングの担当者と同じ形では、企業のコンシューマーと交流しません。永遠に、決して変わることのないように思える、他の専門家やグループを過小評価する人間の性質によって、私たちは、不幸な固定概念の中の世界に閉じ込められています。

マーケティングの専門家として、私は、書いたり、話したり、戦略を練ることについては、技術的な作業を行うより、はるかに高いレベルの才能を持ち合わせていると自負しています。さらに、いつも緊張状態に置かれている専門家であれば、IT 担当者とマーケティング担当者のどちらであっても、非難したり、少なくともからかったりする対象を見つけようとするのは自然なことです。

しかし、15 年以上にわたって、IT 担当者と交流を図り、IT 担当者の文化を学び、企業とその企業のテクノロジを必要としているユーザーを結び付けることを生業とした結果、IT 担当者が、業務を円滑に進めるうえで、どれほど重要なのかを理解するようになりました。この経験から、IT 担当者がコンシューマーをどれだけ深く理解しているのかがわかるようになりました。私は、他でもない IT 担当者と私自身のやり取りから、IT のコンシューマーについて学びました。

では、IT 担当者とコンシューマーのこのような隔たりは、どのようにして生じたのでしょうか。また、この逆転現象はどのようにして起こったのでしょうか。実際、その答えは、IT 担当者に関する基本的な知識から、いとも簡単に導き出せます。IT 担当者は、次のような特性を持った集団です。

  • 最先端: さまざまなシナリオにおいて IT 担当者がテクノロジに関する基本的な判断を下す役割を担っていることを考えれば、IT 担当者は、動的で変化の早いテクノロジ、デバイス、およびシステムの世界に精通し、遅れずに付いて行く必要があります。また、多数の異なるシナリオで、さまざまなテクノロジのテストを行うので、最新テクノロジのあらゆる側面に精通している必要があります。
  • 柔軟: IT 担当者は融通が利かないと言われていますが、実際はまったくその逆です。実際には、元来、IT 担当者は、何でも屋であり問題解決者です。彼らが毎日直面している無限のシナリオを考えると、IT 担当者は相当な柔軟性を持ってすべての物事に取り組まなくてはなりません。この柔軟性により、IT 担当者は、共感的で押し付けがましくない存在になります。また、この特性は、コンシューマーが抱える千差万別な要望や欲望を理解するうえで不可欠です。
  • 協力的: IT 担当者は問題解決のために協力し、当然のこととして、アイデアや技術を共有します。IT 担当者は非常に寛大です。
  • コンシューマーに精通している: コンシューマーの概念を広げて、サービス レベル アグリーメント (SLA) の複雑なシステムによって IT とつながりのある、さまざまな社内の人を含めると、IT 担当者が、日々大勢のコンシューマーとやり取りしていることに気付きました。さらに、個々のコンシューマーは、IT 担当者が対応しなければならない、それぞれ固有の要望を持っています。このようにして、IT 担当者は、コンシューマーとの接触について確固たる倫理観を持っています。
  • 説明責任: 企業において、IT 部門ほど厳格な説明責任が求められる部門は、ほとんどありません。おそらく、近いと言えるのは、法務部門、業務部門、会計部門くらいでしょう。このような体制により、IT 担当者は、コンシューマーへの誓約の説明が、業務を円滑に行ううえで非常に重要な意味を持つことを理解するようになっています。

IT 担当者が、これらの特性を兼ね備えているとして、コンシューマーに話を移してみましょう。コンシューマー (特にテクノロジのコンシューマー) に関しては、次のような基本的な傾向が見られます。

  • コンシューマーはいつも最新のものを好みます。消費財は、ステータスと成功の象徴であるだけでなく、楽しみをもたらすものでもあることを考えると、多くの人は、イノベーション サイクルの最先端を行くことを望む傾向があります。新しいものが発売されたときに店の外にできる行列は、イノベーション サイクルに先乗りすることへの渇望を示している例です。最先端にいることを望む人々を理解するには、企業自体が最先端にいることを信条とする必要があります。
  • コンシューマーの意見、態度、好き嫌いは、絶えず変化しています。製品サイクルが非常に早い世界では、コンシューマーは、購買サイクルのあらゆる時点において、過剰な選択肢を持っています。そのため、コンシューマーの要望は、すぐに変化する可能性があります。コンシューマー市場でビジネスを行う企業には、かなり高い柔軟性が求められます。
  • コンシューマーは共有することを好みます。ソーシャル メディアの急速な発達は、共有という儀式がコンシューマー行動の強力な牽引役であることを証明しています。特に電子機器の世界では、コンシューマーは、多くの場合、詳細情報を他者と共有するという実質的な共有行為のために多くの時間を費やしています。
  • コンシューマーの要求は厳しいです。コンシューマーは、製品やサービスの供給者に、品質と説明責任を求めます。コンシューマーが製品やサービスに失望した場合、フィードバックと能弁さによって、すぐに要求をエスカレートさせる可能性があります。

ご覧のように、コンシューマーの求めるものと IT 担当者の性質は非常によく適合しています。IT 担当者がコンシューマーを理解しているのは、ただの偶然ではなく、彼らの業務に根付いているからです。

次に、IT 担当者はコンシューマーから根本的に乖離しているという概念に気分を害されたときは、その概念を発信した人と話し合う必要があります。IT 部門で採用している基本原則を全社的に受け入れた場合、皆が新しく得た知識からどのような恩恵を受けられるのか、丁寧に説明してください。もちろん、最終的に最も恩恵を受けるのはコンシューマーです。

Romi Mahajan

Romi Mahajan は、KKM グループの代表取締役です。KKM に加わる前は、Ascentium Corporation のマーケティング最高責任者でした。Romi はテクノロジとメディア回路に関する著名な講演者で、さまざまな諮問機関の委員を務め、また、年間 12 個以上の業界イベントで講演を行っています。

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