機能 (SQL Server Compact)

SQL Server Compact 4.0 は、コンピューターに配置し、かつ ASP.NET Web アプリケーションに埋め込むことができるコンパクトなデータベースです。SQL Server Compact 4.0 は、他のエディションの SQL Server と同じ SQL 構文および ADO.NET プログラミング モデルをサポートします。SQL Server Compact 4.0 は、デスクトップ インストーラー (SSCERuntime_x86-ENU.exe と SSCERuntime_x64-ENU.exe) または Microsoft Visual Studio 2010 SP1 を使用してコンピューターに配置できます。

SQL Server Compact 4.0 の開発サポートは、デスクトップ アプリケーションと Web アプリケーションに対して Visual Studio 2010 SP1 または Microsoft Visual Web Developer 2010 SP1 Express で提供されます。Visual Studio 2010 SP1 または Microsoft Visual Web Developer 2010 SP1 Express を使用して、デスクトップ コンピューター上の SQL Server Compact データベースにアクセスできます。

SQL Server Compact 特有の機能のうち、いくつかを次に説明します。

Visual Studio との統合

SQL Server Compact 4.0 のアプリケーション開発サポートは、Visual Studio 2010 SP1 の Professional、Premium、および Ultimate の各エディションで提供されます。さらに、SQL Server Compact 4.0 ベースの ASP.NET Web アプリケーションは、Visual Web Developer 2010 SP1 Express で開発することもできます。SQL Server Compact 4.0 のデザイン時コンポーネントを Visual Studio 2010 SP1 のアプリケーション開発用 Web からインストールする必要があります。Web からダウンロードできるデザイン時コンポーネントは MicrosoftVisual Studio 2010 SP1 Tools for SQL Server Compact 4.0 です。これらのコンポーネントを Visual Studio 2010 SP1 のインストール後にインストールする必要があります。Microsoft Web Platform Installer 3 を使用すると、SQL Server Compact 4.0 と Visual Studio 2010 SP1 との連動に必要な SQL Server Compact のコンポーネントをすべて 1 回のクリックでインストールできます。SQL Server Compact のアプリケーション開発に使用できるさまざまなデザイナーとプロジェクト システムを次に説明します。

  • サーバー エクスプローラーとクエリ デザイナー

    Visual Studio 2010 SP1 用の SQL Server Compact 4.0 コンポーネントをインストールすると、[データ ソースの変更] ダイアログ ボックスで SQL Server Compact 4.0 データベースに接続する新しいオプションを選択できるようになります。SQL Server Compact 3.5 データベースに接続する既存のオプションに加えて、このオプションが追加されます。SQL Server Compact 4.0 データベースに接続すると、サーバー エクスプローラーを使用してサーバー エクスプローラー内のオブジェクト間を移動したり、クエリ デザイナーを使用してクエリを実行したりできます。詳細については、「Visual Studio でサーバー エクスプローラーを使用してデータベースを参照する方法」を参照してください。

  • Transact-SQL エディター

    SQL Server Compact 4.0 は、他のエディションの SQL Server がサポートする Transact-SQL 構文の豊富なサブセットをサポートします。Visual Studio 2010 の [データ] メニューから Transact-SQL エディターにアクセスし、[サーバーに接続] ダイアログ ボックスで SQL Server Compact 4.0 データベースに接続できます。データベースに接続するには、データベース ファイルのパスを指定するか、または [データベース ファイル] ボックスの一覧の [新規データベース] をクリックします。詳細については、「Visual Studio Transact-SQL エディター」を参照してください。

    注意

    データベース ファイルのパスを指定するとファイルのバージョンが自動的に検出され、バージョンに応じてファイルへの接続に SQL Server Compact 3.5 または SQL Server Compact 4.0 ランタイム エンジンが使用されます。この動作はサーバー エクスプローラー[接続の追加] ダイアログ ボックスと [データ ソースの変更] ダイアログ ボックスから接続する場合とは異なります。これらのダイアログ ボックスではデータ ソースを SQL Server Compact 3.5 または SQL Server Compact 4.0 に明示的に設定する必要があります。[SQL Server Compact データベースの新規作成] ダイアログ ボックスに、SQL Server Compact 3.5 または SQL Server Compact 4.0 のデータベース ファイルを作成するオプションが表示されます。

  • VB および C# の ASP.NET Web アプリケーションまたは Web サイト プロジェクトのデザイナー

    デザイナーを VB および C# ベースの ASP.NET Web アプリケーションまたは Web サイト プロジェクトで使用して、SQL Server Compact データベースからデータセットまたはエンティティを生成することができ、これらを ASP.NET Web ページのコントロールにバインドすることができます。ワークフローは、SQL Server で使用されるワークフローと同じです。コントロールの詳細については、SqlDataSourceEntityDataSource の Web コントロールに関するページを参照してください。[新しい項目の追加] ダイアログ ボックスで、SQL Server Compact 4.0 ローカル データベースの新しい項目のテンプレートを使用して、プロジェクトに新しい空の SQL Server Compact 4.0 データベース ファイルを追加できます。

  • ClickOnce によるマネージ アプリケーションの配置

    ClickOnce はコンピューターにマネージ デスクトップ アプリケーションを配置するために SQL Server Compact でサポートされているソフトウェア インストール技術です。管理者は、配置サーバー上のファイルを更新するだけでアプリケーションを配置または更新できます。クライアントを個別に更新する必要はありません。Microsoft Visual Studio 2010 SP1 では、ClickOnce によって配置されたアプリケーションのパブリッシュや更新が完全にサポートされます。ClickOnce 配置は、Visual Basic、Visual C#、および Visual J# によって作成された Windows デスクトップ プロジェクトでは使用できますが、Visual C++ では使用できません。64 ビット版の ClickOnce 配置の詳細については、「64 ビット データベース アプリケーションの管理」を参照してください。

  • Visual Studio 2010 SP1 における WebMatrix プロジェクトのサポート

    WebMatrix プロジェクトは、WebMatrix エディターの [Visual Studio] オプションをクリックすると、Visual Studio 2010 SP1 または Visual Web Developer 2010 SP1 Express で開くことができます。さらに、Visual Studio 2010 SP1 のデザイン時サポートに必要な SQL Server Compact の必須コンポーネントがコンピューターにインストールされていない場合、メッセージが表示されて Web Platform Installer が起動され、Web Platform Installer によって必須コンポーネントがコンピューターにインストールされます。

WebMatrix との統合

Microsoft WebMatrix は無料の Web 開発スタックであり、Web サーバーとデータベース フレームワークおよびプログラミング フレームワークを統合した ASP.NET Web サイトの統合開発環境です。Microsoft WebMatrix の既定のデータベースは SQL Server Compact 4.0 です。さらに、WebMatrix には ASP.NET Web サイトの開発、テスト、およびサードパーティの Web サイト ホスティング プロバイダーへの配置に必要な ASP.NET、IIS Express、エディターなどのすべてのテクノロジが用意されています。大規模なデータベースや大量の Web トラフィックに対応する必要性が高まれば、SQL Server Compact のデータとスキーマを他のエディションの SQL Server に移行することもできます。詳細については、「SQL Server Compact からのデータの移行」を参照してください。

ASP.NET Web アプリケーションと Web サイトのデータベース

SQL Server Compact 4.0 は ASP.NET Web アプリケーション用に最適化され、調整されています。SQL Server Compact は実地テスト済みで、SQL Server Compact 4.0 で小規模な Web サイトの負荷を処理できることは確認されています。

  • オープン ソースの無料の Web アプリケーションを使用した迅速な Web サイト開発

    一般的なオープン ソースの Web アプリケーション (mojoPortalOrchardUmbraco など) は SQL Server Compact 4.0 をサポートしているので、これを使用して Web サイトを即座に開発、テスト、および配置することができます。

  • 部分的な信頼と仮想メモリ

    SQL Server Compact 4.0 は部分的な信頼環境で動作し、これは ASP.NET Web アプリケーションが配置される主たるシナリオです。SQL Server Compact 4.0 が使用する仮想メモリは、最大数である 256 の接続をデータベースで確立できるように最適化されています。

  • SQL Server に 1 回のクリックで移行

    必要条件がエンタープライズ データベースのレベルまで高まった場合は、WebMatrix エディター[移行] オプションを使用して、SQL Server Compact から SQL Server にスキーマとデータを移行できます。これにより、SQL Server の接続文字列を含むプロジェクトには web.config xml ファイルも追加されます。移行完了後、Web サイト プロジェクトで使用するデータベースが SQL Server Compact から SQL Server にシームレスに切り替わります。

  • ASP.NET Web アプリケーションで使用する際の小さな面倒の解消

    以前のバージョンの SQL Server Compact では、ASP.NET Web アプリケーションで SQL Server Compact を使用するには、フラグ SQLServerCompactEditionUnderWebHosting を設定する必要がありました。このフラグは、SQL Server Compact 4.0 では削除されています。

その他の機能

SQL Server Compact 4.0 は、その強力な基盤により何の問題もなくインストールして簡単に配置でき、最高レベルのデータ セキュリティを確保しながら確実に動作します。

  • 一貫したセットアップと小さいダウンロード サイズ

    x86 プラットフォームと x64 プラットフォームに対して別々の MSI があり、x64 MSI は SQL Server Compact コンポーネントを、WOW モードでは %Program Files (x86)%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v4.0 に、ネイティブ モードでは %Program Files%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v4.0 にインストールします。x86 MSI は SQL Server Compact コンポーネントを x64 プラットフォームにインストールできず、同様に x64 MSI は x86 プラットフォームにインストールできません。

    SQL Server Compact 4.0 の実行可能ファイルのサイズは以前のバージョンと同じ 2.5 MB です。

  • 簡単なプライベート配置

    プライベートに配置する必要がある x86 と x64 の SQL Server Compact バイナリおよび DLL はすべて、%Program Files%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v4.0\Private フォルダーにあります。このフォルダーの内容を SQL Server Compact のプライベート配置用のアプリケーション ディレクトリにコピーします。x86 MSI と x64 MSI はどちらも x86 および x64 の SQL Server Compact バイナリと DLL を Private フォルダーにインストールします。x64 DLL を取得するために x64 MSI を x86 プラットフォームにインストールする必要はありません。

    重要

    SQL Server Compact のネイティブ DLL が正しく機能するには、Microsoft Visual C++ 2008 ランタイム ライブラリ (x86 および x64) SP1 が必要です。Visual C++ 2008 ランタイムのバイナリは Private フォルダーにあり、Private フォルダー内の DLL とフォルダーをすべて配置すると、SQL Server Compact が正しく機能するために必要なファイルがすべて配置されます。

  • ADO.NET Entity Framework 4 (.NET Framework 4)

    SQL Server Compact 4.0 は、ADO.NET Entity Framework 4 (.NET Framework 4)Code First プログラミング モデルをサポートしています。さらに、ADO.NET Entity Framework 4.0 (.NET Framework 4 と同時にリリースされた ADO.NET Entity Framework のバージョン) と共に使用する場合は、サーバーによって生成された identity や rowguid などのキーを含む列も SQL Server Compact 4.0 でサポートされます。Code First とサーバー生成キーのサポートにより、ADO.NET Entity Framework の SQL Server Compact サポートが完結します。

  • 信頼性の向上

    ASP.NET Web アプリケーションには、デスクトップ アプリケーションとは異なる負荷がかかります。SQL Server Compact 4.0 は小規模な Web サイトの負荷を処理でき、製品の信頼性が従来のバージョンより向上しました。

  • セキュリティの向上

    SQL Server Compact 4.0 は、SHA2 アルゴリズムを使用してデータの保護と高いレベルのセキュリティを実現します。

  • OFFSET および FETCH の T-SQL 構文

    SQL Server Compact 4.0 は、OFFSET および FETCH の T-SQL 構文をサポートしています。これによりユーザーはデータベース ファイルに対してページング クエリを実行できます。

  • API の強化

    SQL Server Compact 4.0 では、2 つの新しい API のサポートが追加されました。

    1. System.Data.SqlServerCe.SqlCeConnection.GetSchema()

      この API を使用して、SQL Server Compact データベース ファイルからスキーマを取得できます。この API は System.Data.Common.DbConnection.GetSchema をサポートするためにも使用されます。詳細については、「GetSchema メソッド」を参照してください。

    2. System.Data.SqlServerCe.SqlCeConnectionStringBuilder().

      この API を使用すると、開発者はプログラムを使用して SQL Server Compact 4.0 用の正しい接続文字列を作成したり、既存の接続文字列の解析と再構築を行ったりできます。この API は System.Data.Common.DbConnectionStringBuilder をサポートするためにも使用されます。詳細については、「SqlCeConnectionStringBuilder クラス」を参照してください。

関連項目

参照

ORDER BY 句 (SQL Server Compact)

概念

開発環境のインストール

プライベート配置と中心配置 (SQL Server Compact)

マルチユーザー アクセス

トランザクション (SQL Server Compact)

Entity Framework (SQL Server Compact)

データベースの暗号化