Exchange パブリック フォルダに関するベスト プラクティス : レプリケーションを実装する

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ここでは、Microsoft® Exchange 2000 Server および Exchange Server 2003 でパブリック フォルダのレプリケーションを展開および構成するためのベスト プラクティスを紹介します。ここでの内容は、レプリケーション、Exchange Server が使用するレプリケーション メッセージの種類、一連の変更番号セット (CNset) を良く理解していることを前提としています。これらの概念の説明については、「Exchange Server 2003 パブリック フォルダのレプリケーションの制御」を参照してください。

Exchange Server パブリック フォルダのレプリケーションは、リソース消費量の多い操作です。レプリケーションの操作には、ネットワーク、CPU およびディスクのリソースを必要とします。効率的なパブリック フォルダのレプリケーションを可能にするソリューションを実装することにより、特にパブリック フォルダの使用率が高い組織では、Exchange Server 環境におけるネットワーク、CPU およびディスクの負荷が大幅に改善されます。

通常は、Exchange Server 組織全体にわたってレプリケーションを最小限に抑えることがベスト プラクティスです。レプリケーションを最小限にすることにより、ネットワーク経由で転送されるデータの量を最小化します。また、Exchange サーバー上の CPU およびディスク リソースの負荷も最小限にします。さらに、レプリケーションを最小限にすることで、複数のユーザーが複数のレプリカにある異なるバージョンのデータにアクセスする頻度を減らすことができます。ただし、レプリケーションを最小限にすることにより、パブリック フォルダ ストアに障害が発生した場合は、クライアントが使用できるフォルダのレプリカが少なくなるため、パブリック フォルダ データの可用性が低くなることに注意する必要があります。特定のパブリック フォルダでデータに高い可用性が必要な場合は、より多くのレプリケーションが必要になる場合があります。

効率的なレプリケーションを計画する

効率的なパブリック フォルダのレプリケーションを可能にするソリューションを決定するための最初の手順は、特定の階層における各フォルダの使用用途を理解することです。ほとんどの場合、できるだけコンテンツを配布してレプリカを減らすことは有効な手段になります。ここで言う "コンテンツの配布" とはコンテンツを分割することを表し、コンテンツは各パブリック フォルダ ストアに集約され、その他のパブリック フォルダ ストアにはレプリケートされません。

たとえば、4 つの Exchange サーバーが稼動するルーティング グループがあるとします。このルーティング グループ内の各サーバーに同じフォルダのレプリカが含まれる場合、レプリケーション サイクルを実行するたびに、コンテンツの変更が 4 つのサーバーすべてにレプリケートされます。このレプリケーションを実装すると、レプリケーション メッセージを処理するために SMTP トラフィックおよび CPU とディスクの使用量が増えるので、ネットワークの負荷が増大します。このレプリケーションの実装は、ルーティング グループ内のすべてのユーザーが特定のフォルダにアクセスする場合に有効なことがあります。ただし、一部のユーザーが特定のフォルダにアクセスする場合、このようなレプリケーションは非効率的です。この例では、4 つの Exchange サーバーにコンテンツを配布し、レプリカの数を減らすことによって、かなりの量のネットワーク、CPU、およびディスクの負荷を軽減することができます。

ただし、複数のレプリカにコンテンツを配布するので、管理オーバーヘッドが増加する場合があるので注意してください。この例では、階層全体の単一レプリカの場合よりも、負荷分散にさらに多くの保守および監視が必要です。したがって、レプリケーション ソリューションを計画するときは、サーバー管理に与える影響に留意してください。

ある組織では、Schedule+ Free/Busy パブリック フォルダが最も頻繁にアクセスされるパブリック フォルダです。したがって、これらのフォルダの使用用途には特に注意する必要があります。

グローバルな設備のある大規模な企業では、通常、ローカル ユーザーが複数のレプリカを利用できるように、地域に応じて Schedule+ Free/Busy パブリック フォルダをレプリケートするのは有効な手段であり、広域ネットワーク全体での大規模なデータ レプリケーション トラフィックは最小化されます。この手法は、地域のローカル エリア ネットワークに応じて管理グループを編成している組織に最適です。

Exchange Server のインフラストラクチャが地域のローカル エリア ネットワークに応じて体系化されていない場合は、Schedule+ Free/Busy パブリック フォルダを各管理グループから各ルーティング グループの中の最低 1 つのサーバーにレプリケートすることが一般的なベスト プラクティスです。ただし、この方法はすべての展開に適しているわけではないので注意してください。展開を計画する場合は、必ずユーザーのアクセス要件とネットワークの待ち時間を考慮する必要があります。

important重要 :
大規模な管理グループと数百台のサーバーがあり、レプリカを制限している企業では、Schedule+ Free/Busy パブリック フォルダをホストする Exchange サーバー上のページ プールのメモリが足りなくなる場合があります。また、ユーザーの Kerberos トークンの平均サイズが、Schedule+ Free/Busy パブリック フォルダをホストする Exchange サーバー上のページ プールのメモリを不足させるリスクを増大させている可能性もあります。強固なセキュリティ グループが組織に含まれる場合は、ユーザーの Kerberos トークン サイズは大きくなります。Exchange Server におけるページ プール メモリおよびカーネル メモリの問題の詳細については、「メモリ制約の問題を排除する」を参照してください。

もう 1 つのベスト プラクティスは、10,000 ユーザーごとに Schedule+ Free/Busy パブリック フォルダのレプリカを 1 つ作成することです。

また、異なる地域のユーザーどうしが会議をスケジュールする方法についても、特別に注意しておく必要があります。地球の反対側に属するユーザー グループと会議をスケジュールすることがほとんどない場合は、パブリック フォルダの参照を使用して、ユーザーが Schedule+ Free/Busy フォルダの遠方のレプリカを参照できるようにすることが可能な場合があります。

note注 :
Microsoft Office Outlook® Web Access または Outlook Mobile Access が free/busy 情報を要求すると、メールボックス ストアは 1 つの free/busy サーバーを使用して情報を検索します。既定の構成では、Free/Busy サーバーはそれぞれ所属するサイトの空き時間情報データのみを保持しているため、使用しているトポロジに複数のサイトがある場合、この制限により問題が発生することがあります。すべてのユーザーが複数のサイトのデータを利用できるようにする場合は、free/busy フォルダがレプリケートされるように構成する必要があります。

Free/Busy パブリック フォルダの詳細については、「Exchange Server 2003 Free/Busy フォルダの管理」を参照してください。

各サーバーがほぼ同じ量のトラフィックを処理するようにするには、前述の Schedule+ Free/Busy のパブリック フォルダ以外のすべてのレプリカに対して以下の処理を行うことを検討してください。

  • トラフィックをあまり受信しないフォルダのレプリカを削除する。
  • 同量のトラフィックを各サーバーが処理するようにコンテンツを配布する。

レプリカを削除するときは、重要な情報を含むパブリック フォルダについて冗長性が十分に維持されることを確認してください。

パブリック フォルダのレプリケーションを計画するときは、簡単な管理と回復性のためにソリューションを標準化するようにしてください。特に、論理的に分割されるようにパブリック フォルダ ツリーを組織化します。できれば、論理セグメント、つまりパブリック フォルダのブランチが地域のユーザー グループまたはネットワークの LAN セグメントと一致するようにしてください。

特定のサーバーにパブリック フォルダのブランチをレプリケートするのがベスト プラクティスです。パブリック フォルダの特定のブランチを複数のサーバーにレプリケートする場合は、データの回復を試みる前に、ツリーにさまざまなブランチのデータを含むサーバーを識別する必要があるため、データの回復はより困難になります。

この方法は、ブランチにフォルダのその他のレプリカを作成してはいけないという意味ではありません。ただし、ブランチにフォルダのその他のレプリカを作成する場合は、ブランチ全体のレプリカを保持する単一サーバーに加えて、これらの追加レプリカが慎重に管理されるインスタンスであることを忘れないでください。

効率的なパブリック フォルダのレプリケーションを可能にするソリューションを決定するための次の手順は、組織内で待ち時間が許容されるレプリケーションを判断することです。あるパブリック フォルダで重要なドキュメントにアクセスするユーザーは、あまり重要でないドキュメントにアクセスするユーザーよりも、より頻繁なレプリケーションを必要とします。実際には、データが重要な場合でも、ユーザーの中にはデータのレプリケートをまったく必要としないユーザーもいます。この方法では、全員が同じデータにアクセスし、そのデータが常に最新であることを保証します。もちろん、このスキームの利点は障害回復のトレードオフに対して重点が置かれている点です。特に、データの単一インスタンスのみを格納することを選択する場合、さらにそのデータが重要である場合は、損失を最小限に抑えてすばやくデータを復元できるように、必ずデータのバックアップを行ってください。

note注 :
こうしたシナリオで、重要なドキュメントのバージョン管理と回復性が必要な場合は、Microsoft Windows® SharePoint® Portal Server の展開を検討してください。Exchange Server パブリック フォルダと、SharePoint 製品およびテクノロジとの違いの詳細については、「適切なパブリック フォルダ ソリューションを選択する」を参照してください。

パブリック フォルダの使用率を監視し、組織またはクライアントと許容可能なサービス レベル契約を定義することにより、さまざまな種類のパブリック フォルダについて許容可能なレプリケーションの待ち時間を決定することができます。

important重要 :
レプリケーションが実際にレプリケーション間隔の間に終了することを検証します。レプリケーションが終了しない場合は、レプリケーション キューが増加します。レプリケーション キューが増えれば増えるほど、フォルダ内で同期の取れていないコンテンツの量も増加します。パフォーマンス モニタを使用して MSExchangeIS Public\Replication Receive Queue Size パフォーマンス カウンタを調べることにより、レプリケーション キューを監視します。レプリケーション キューが増加すると、レプリケーション完了時にリソースにかかる負荷が増えます。また、レプリケーション キューの増加は、サーバー上のコンテンツが古いことを示しています。

レプリケーションのトラブルシューティングの詳細については、「Exchange パブリック フォルダのトラブルシューティングに関するリソース」を参照してください。

詳細情報

Exchange Server のパブリック フォルダの詳細については、以下のリソースを参照してください。