CDN での Application Request Routing の展開

公開日: 2009 年 7 月 16 日 (作業者: wonyoo (英語))

更新日: 2009 年 9 月 23 日 (作業者: wonyoo (英語))

目標

CDN/ECN 環境における 2 層キャッシュ階層展開で、子/エッジ キャッシュ ノードおよび親キャッシュ ノードを正しく構成すること。このチュートリアルでは、子/エッジ キャッシュ ノードおよび親キャッシュ ノードでの URL 書き換えルールについて理解することに焦点を当てています。 最終的に、このチュートリアルでは、以下の図に示す構成をセットアップするための手順について順を追って説明します。

Ee886293.SANcachetopo(ja-jp,TechNet.10).jpg

この構成の特長を以下にいくつか紹介します。

  • 元の参照は、子/エッジ キャッシュ ノードによって行われます。
    • カスタマーの一覧 (つまり、受け入れ可能な配信元サーバーの一覧) は、URL 書き換えの書き換えマップを使用して明示的に管理されます。
    • 書き換えマップで見つからないホスト名はブロックされます。
  • ほとんどの場合、親キャッシュ ノードはフォワード プロキシとして構成されます。
  • SAN は、子/エッジ キャッシュ ノードで共有されるように構成されます。
    • 事実上、以下の 3 層のキャッシュが存在します。
      1. 子/エッジ キャッシュ ノード。
      2. SAN。
      3. 親キャッシュ ノード。

必要条件

このチュートリアルの前提として、ARR Version 2 のディスク キャッシュおよびキャッシュ階層管理の構成に精通していることが必要です。そうでない場合は、構成を開始する前に以下のチュートリアルを参照しておくことを強くお勧めします。

Application Request Routing Version 2 RC をインストールしていない場合は、以下の場所からダウンロードできます。

ARR Version 2 RC をインストールするには、このドキュメントに記載されている手順に従います。

子/エッジ キャッシュ ノードを構成する

手順 1 - ディスク キャッシュを構成する

この記事に従ってディスク キャッシュを構成および有効化します。この記事では、SAN をセカンダリ キャッシュ ドライブの場所として使用するように構成する方法についても説明しています。

手順 2 - 親キャッシュ ノードのサーバー ファームを定義する

この記事に従ってサーバー ファームを定義し、親キャッシュ ノードを追加します。

手順 3 - 子/エッジ キャッシュ ノードの URL 書き換えルールを追加で作成する

この時点で、サーバー ファームの名前として myParentCacheNodes を使用し、以下の URL 書き換えルールが %windir%\system32\inetsrv\config\ にある applicationHost.config ファイルに書き込まれています。

<rewrite>
   <globalRules>
      <rule name="ARR_myParentCacheNodes_loadbalance" patternSyntax="Wildcard" stopProcessing="true">
         <match url="*" />
         <action type="Rewrite" url="http://myParentCacheNodes/{R:0}" />
      </rule>
   </globalRules>
</rewrite> 

上記のルールでは、キャッシュ ノードは階層化されており、キャッシュ ノードの次の層 (つまり、親キャッシュ ノード) は、親キャッシュ層でキャッシュ失敗が発生したときに配信元サーバーを見つける方法がわからないため、CDN/ECN で展開するのに不十分です。

このチュートリアルでは、要求が親キャッシュ ノードにルーティングされる前に、子キャッシュ ノードを配信元サーバーにマッピングすることで、この問題に対処します。以下の 2 つの最も一般的な方法で、子キャッシュ ノードが受信する URL に基づき配信元サーバーがマッピングされます。

  1. CDN/ECN のカスタマーは、サブドメインとして指定されます。この場合、子キャッシュ ノードの同じ IP アドレスに対するホスト名バインディングの数が多くなる可能性があります。
    例: http://customer1.mycnd.net/、http://customer2.mycdn.net/ など。
  2. CDN/ECN のカスタマーは、URL の最初のパスとして指定されます。
    例: http://static.mycdn.net/customer1/、http://static.mycdn.net/customer2/ など。

このチュートリアルでは、1 番目の例を使用して説明します。2 番目のシナリオを有効にする場合も、同じようなルールを作成できます。

  1. 配信元サーバーのホスト名の参照に使用できる URL 書き換えマップを定義します。IIS マネージャーを起動します。

  2. サーバーのルートを選択して展開します。これが、子 (エッジ) キャッシュ ノードです。

    Ee886293.serverlevel(ja-jp,TechNet.10).jpg

  3. [URL 書き換え] をダブルクリックします。

  4. [操作] ウィンドウで、[書き換えマップの表示...] をクリックします。

    Ee886293.urlrewriteaction(ja-jp,TechNet.10).jpg

  5. [操作] ウィンドウで、[書き換えマップの追加...] をクリックします。

    Ee886293.addrewritemap(ja-jp,TechNet.10).jpg

  6. [書き換えマップの追加] ダイアログ ボックスで、書き換えマップの名前「OriginServers」を入力します。

    Ee886293.originservers(ja-jp,TechNet.10).jpg

  7. この書き換えマップで、子キャッシュ ノードが受信するホスト名とこれに対応する配信元のホスト名とのマッピングを明示的に指定します。[操作] ウィンドウで、[マッピング エントリの追加...] をクリックします。

    Ee886293.addmappingentry(ja-jp,TechNet.10).jpg

  8. [マッピング エントリの追加] ダイアログ ボックスで、子キャッシュ ノードが受信するホスト名と配信元のホスト名を追加します。 以下の例では、ARR の子キャッシュ ノードは、ホスト名ヘッダーとして customer1.mycdn.net を受信します。これに対応する配信元サーバーは images.customer1.com です。

    Ee886293.addmapentrydialog(ja-jp,TechNet.10).jpg

  9. CDN/ECN のサービス提供先に追加する必要があるすべてのカスタマーの数に応じて手順 8 を繰り返します。 このようにして、サービス提供先が自分のカスタマーのみとなるようにカスタマーの明示的な一覧を管理できます。

  10. 書き換えマップの一覧にないカスタマーをブラックリストに追加するには、この書き換えマップの既定値を「#」に設定します。この値は、RFC に準拠した、ホスト名ヘッダーの一部として使用できない無効な文字です。[操作] ウィンドウで、[マップ設定の編集...] をクリックします。

    Ee886293.addmappingentry(ja-jp,TechNet.10).jpg

  11. [書き換えマップの編集] ダイアログ ボックスで、この書き換えマップの既定値に「#」と入力します。

    Ee886293.rewritemapdefault(ja-jp,TechNet.10).jpg

  12. OriginServers 書き換えマップで構成したルールでホスト名ヘッダーを書き換えます。キャッシュ失敗が発生し、要求が親キャッシュ ノードにルーティングされる場合、要求には配信元サーバーに一致するホスト名が含まれます。こうした理由から、ほとんどの場合、親キャッシュ ノードはフォワード プロキシとして構成されます。親キャッシュ ノードでキャッシュ失敗が発生すると、要求は単に、親キャッシュ ノードが受信するホスト名ヘッダーに基づいて配信元サーバーにルーティングされます。

  13. URL 書き換えの UI で、ルールを見つけます。 このチュートリアルでは、ルールの名前は、ARR_myParentCacheNodes_loadbalance となります。

    Ee886293.u_urlrewrite(ja-jp,TechNet.10).jpg

  14. ルールを選択し、[操作] ウィンドウで、[編集...] をクリックします。

  15. [条件の追加] をクリックして、2 つのルールを追加します。

  16. 1 番目のルールでは、手順 6 で作成した OriginServers 書き換えマップを使用します。以下のルールにより、OriginServers のエントリに一致するキーとしてホスト ヘッダーが照合されます。

    Ee886293.u_rule1(ja-jp,TechNet.10).jpg

  17. 2 番目のルールでは、ホスト ヘッダーが OriginServers のエントリに一致しなかった場合に既定値を「#」として設定します。 前述したように、# は有効な文字ではなく、ホスト名として使用できません。以下のルールは後で使用され、OriginServers のカスタマー (ホスト名で表される) のみが ARR によって処理されます。

    Ee886293.u_rule2(ja-jp,TechNet.10).jpg

  18. [条件間でキャプチャ グループを追跡] を選択します。

  19. 上記の条件に一致するように HTTP_HOST 値を設定するには、[サーバー変数...] をクリックします。

  20. 以下に示す値を入力して、HTTP_HOST をリセットします。

    Ee886293.u_servervar_latest(ja-jp,TechNet.10).jpg

  21. [OK] をクリックして、変更を保存します。

  22. [操作] ウィンドウで、[適用] をクリックして、変更を保存します。

  23. 正しいルールが作成されていることを確認するには、メモ帳を使用し、applicationHost.config ファイルを開きます。構成ファイルは、%windir%\system32\inetsrv\config\ にあります。

  24. サーバー ファームの URL 書き換えルールである myParentCacheNodes を見つけます。ルールは次のようになります。

    <rewrite>
       <globalRules>
          <rule name="ARR_myParentCacheNodes_loadbalance" patternSyntax="Wildcard" stopProcessing="true">
             <match url="*" />
             <conditions trackAllCaptures="true">
                <add input="{OrigServers:{HTTP_HOST}}" pattern="*" />
                <add input="{C:1}" negate="true"  pattern="#" />
             </conditions>
             <serverVariables>
                <set name="HTTP_HOST" value="{C:1}" replace="true" />
             </serverVariables>
             <action type="Rewrite" url="http://myParentCacheNodes/{R:0}" />
          </rule>
       </globalRules>
    </rewrite> 
    
  25. (推奨) 上記の書き換えマップで定義したホスト名に一致しない要求をブロックするには、そのような要求に対して 400 応答を送信する既定の URL 書き換えルールを作成します。

    IIS マネージャーを起動します。

  26. サーバーのルートを選択して展開します。これが、子 (エッジ) キャッシュ ノードです。

    Ee886293.serverlevel(ja-jp,TechNet.10).jpg

  27. [URL 書き換え] をダブルクリックします。

  28. [操作] ウィンドウで、[規則の追加...] をクリックします。

    Ee886293.urlrewriteaction(ja-jp,TechNet.10).jpg

  29. [規則の追加] ダイアログ ボックスで、[空の規則] を選択します。
    Ee886293.blankrule(ja-jp,TechNet.10).jpg

  30. 以下の値を入力し、ルールを保存します。
    [名前:] 「顧客以外」
    [使用:] 「ワイルド カード」
    [パターン:] 「*」
    [アクションの種類:] 「カスタム応答」
    [ステータス コード:] 「400」
    [サブ ステータス コード:] 「0」
    Ee886293.notmycust(ja-jp,TechNet.10).jpg

  31. ルールの順序は重要です。URL 書き換えルールは上から下に処理されます。この例では、受信ホスト名が上記の書き換えマップで指定されたホスト名のいずれかに一致する場合は、1 番目のルールである ARR_myParentCacheNodes_Loadbalance が実行されます。受信ホスト名が上記の書き換えマップで定義されたホスト名のどれにも一致しない場合は、2 番目の規則である Not my customer が実行されます。
    Ee886293.urlrewriterules(ja-jp,TechNet.10).jpg

  32. 子/エッジ キャッシュ ノードの構成が完了しました。

    追加の子キャッシュ ノードの構成を簡略化するために、子キャッシュ ノードの構成を 1 か所のみで管理するように共有構成を使用できます。 それ以外の場合、上記の構成変更は CDN/ECN 環境の子キャッシュ ノードすべてに対して個別に行う必要があります。 共有構成の詳細については、この記事を参照してください。

親キャッシュ ノードを構成する

ARR を親キャッシュ ノードとして構成するには、以下の 2 つの方法があります。

  1. ARR をフォワード プロキシとしてセットアップする。
  2. 書き換えマップを使用して、ARR を "リバース" プロキシとしてセットアップする。

上記の 2 番目のオプションを使用する場合も、書き換えマップは単に受信ホスト名を同じ値で書き換え、事実上のフォワード プロキシを実現します。書き換えマップは上記の子キャッシュ ノードの構成方法と同じように、親キャッシュが許可するホスト名の一覧を明示的に構成するために使用します。 このチュートリアルの後半では、1 番目のオプションを簡単なフォワード プロキシとして使用して、親キャッシュ ノードを構成します。

手順 1 - ディスク キャッシュを構成する

この記事に従ってディスク キャッシュを構成および有効化します。

手順 2 - ARR をフォワード プロキシとして構成する

  1. ARR をプロキシとして有効にします。IIS マネージャーを起動します。

  2. この構成では、サーバー ファームは必要ありません。すべての設定はサーバー レベルで行われます。

    Ee886293.serverlevel(ja-jp,TechNet.10).jpg

  3. [Application Request Routing キャッシュ] をダブルクリックします。

    Ee886293.ARRserver(ja-jp,TechNet.10).jpg

  4. [操作] ウィンドウで、[サーバー プロキシの設定] をクリックします。

    Ee886293.add(ja-jp,TechNet.10).jpg

  5. [プロキシの有効化] チェック ボックスをオンにし、[適用] をクリックします。これで、ARR がサーバー レベルでプロキシとして有効になりました。

  6. ARR をフォワード プロキシに変換するには、ナビゲーション ウィンドウでサーバー ノードをクリックします。

    Ee886293.serverlevel(ja-jp,TechNet.10).jpg

  7. [URL 書き換え] をダブルクリックします。

  8. [操作] ウィンドウで、[規則の追加...] をクリックします。

    Ee886293.urlrewriteaction(ja-jp,TechNet.10).jpg

  9. [規則の追加] ダイアログ ボックスで、[空の規則] を選択します。

    Ee886293.blankrule(ja-jp,TechNet.10).jpg

  10. 以下の値を入力し、ルールを保存します。
    [名前:] 「フォワード プロキシ」
    [使用:] 「ワイルドカード」
    [パターン:] 「*」
    [条件:]
       [入力:] 「{HTTP_HOST}」
       [種類:] 「パターンに一致する」
       [パターン:] 「*」
    [アクションの種類:] 「書き換え」
    [URL 書き換え:] 「http://{C:1}/{R:0}」
     

    Ee886293.forwardproxy(ja-jp,TechNet.10).jpg

  11. 親キャッシュ ノードの構成が完了しました。

    追加の親キャッシュ ノードの構成を簡略化するには、親キャッシュ ノードの構成を 1 か所のみで管理するように共有構成を使用できます。 それ以外の場合、上記の構成変更は CDN/ECN 環境の親キャッシュ ノードすべてに対して個別に行う必要があります。 共有構成の詳細については、この記事 を参照してください。

まとめ

これで、高度な URL 書き換えルールを使用して、2 層キャッシュ階層の CDN/ECN 環境で、子キャッシュ ノードおよび親キャッシュ ノードを正常に構成できました。 機能を確認するには、この記事の手順 4 と手順 5 に従います。エラーが発生する場合は、この記事の手順に従って失敗した要求トレースのルールを有効にします。

その他の ARR Version 2 RC のチュートリアルについては、この記事のドキュメントを参照してください。

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