Business Intelligence Development Studio を使用した開発と実装

Microsoft SQL Server では、Analysis Services ソリューションの作成、配置、管理を行うために Business Intelligence Development Studio と SQL Server Management Studio という 2 つの環境が提供されています。この 2 つの環境には、プロジェクト システムが実装されています。Visual Studio プロジェクトの詳細については、MSDN ライブラリの「コンテナとしてのプロジェクト」を参照してください。

  • Business Intelligence Development Studio は、Microsoft Visual Studio 2008 をベースにした開発環境であり、ビジネス インテリジェンス ソリューションを作成および変更する場合に使用します。Business Intelligence Development Studio では、Analysis Services オブジェクト (キューブやディメンションなど) の定義が含まれる Analysis Services プロジェクトを作成し、Analysis Services スクリプト言語 (ASSL) の要素が含まれる XML ファイルに保存します。これらのプロジェクトは、SQL Server Integration Services や SQL Server Reporting Services など、他の SQL Server コンポーネントからのプロジェクトも含めることができるソリューションに含まれています。Business Intelligence Development Studio では、特定の Analysis Services インスタンスに依存しないソリューションの一部として Analysis Services プロジェクトを開発できます。開発時にテストするためにテスト サーバー上のインスタンスにオブジェクトを配置し、同じ Analysis Services プロジェクトを使用して 1 つ以上のステージング サーバーまたは実稼働サーバー上のインスタンスにそのオブジェクトを配置できます。Analysis Services、Integration Services、および Reporting Services を含むソリューション内のプロジェクトとアイテムは、Microsoft Visual SourceSafe などのソース コード コントロールと統合できます。Analysis Services を使用して Business Intelligence Development Studio で Analysis Services プロジェクトを作成する方法については、「Analysis Services プロジェクトの定義」を参照してください。Business Intelligence Development Studio を使用して既存の Analysis Services インスタンスに直接接続し、プロジェクトの操作や XML ファイルへのオブジェクト定義の保存を行わずに Analysis Services オブジェクトを作成したり変更したりすることもできます。詳細については、「Analysis Services データベースの定義」および「Business Intelligence Development Studio を使用して Analysis Services データベースにオンライン モードで接続する方法」を参照してください。

  • SQL Server Management Studio は、Visual Studio 2005 をベースとした管理環境であり、主に Analysis Services、SQL Server、Integration Services、および Reporting Services のインスタンスを管理するために使用します。SQL Server Management Studio では、Analysis Services オブジェクトを管理 (バックアップや処理などを実行) でき、XMLA スクリプトを使用することにより、既存の Analysis Services インスタンス上で新しいオブジェクトを直接作成することもできます。また、SQL Server Management Studio では、多次元式 (MDX)、データ マイニング拡張機能 (DMX)、および XML for Analysis (XMLA) で記述されたスクリプトを開発して保存できる Analysis Services スクリプト プロジェクトが提供されています。通常、Analysis Services スクリプト プロジェクトは、Analysis Services インスタンスで管理タスクを実行したり、データベースやキューブなどのオブジェクトを再作成したりするために使用します。そのようなプロジェクトをソリューションの一部として保存し、ソース コード コントロールと統合できます。Analysis Services を使用して、SQL Server Management Studio で Analysis Server スクリプト プロジェクトを作成する方法については、「SQL Server Management Studio を使用した開発と実装」を参照してください。

ソリューション、プロジェクト、およびアイテムの説明

Business Intelligence Development Studio と SQL Server Management Studio では、ソリューションに構成されるプロジェクトが提供されます。ソリューションには複数のプロジェクトを含めることができます。通常、プロジェクトには複数のアイテムが含まれています。プロジェクトを作成すると、新しいソリューションが自動的に生成されます。必要に応じて、既存のソリューションにプロジェクトを追加できます。プロジェクトに含まれているオブジェクトは、プロジェクトの種類によって異なります。各プロジェクト コンテナ内のアイテムは、ファイル システムのプロジェクト フォルダにファイルとして保存されます。

Business Intelligence Development Studio には、ビジネス インテリジェンス プロジェクトというプロジェクトの種類の下に次のプロジェクトが含まれています。

プロジェクト

説明

Analysis Services プロジェクト

1 つの Analysis Services データベースのオブジェクト定義が含まれています。Analysis Services プロジェクトの作成方法の詳細については、「Analysis Services プロジェクトの定義」を参照してください。

Analysis Services 2008 データベースのインポート

既存の Analysis Services データベースからオブジェクト定義をインポートして、新しい Analysis Services プロジェクトを作成するためのウィザードを提供します。

Integration Services プロジェクト

一連の Integration Services パッケージのオブジェクト定義が含まれています。詳細については、「SQL Server Integration Services」を参照してください。

レポート プロジェクト ウィザード

Reporting Services を使用したレポート プロジェクトの作成を支援するウィザードを提供します。詳細については、「SQL Server Reporting Services」を参照してください。

レポート モデル プロジェクト

Reporting Services レポート モデルのオブジェクト定義が含まれています。詳細については、「SQL Server Reporting Services」を参照してください。

レポート サーバー プロジェクト

1 つ以上の Reporting Services レポートのオブジェクト定義が含まれています。詳細については、「SQL Server Reporting Services」を参照してください。

SQL Server Management Studio には、次の表に示すように、さまざまなクエリやスクリプトに的を絞ったプロジェクトの種類もいくつか含まれています。

プロジェクト

説明

Analysis Services スクリプト

Analysis Services の DMX スクリプト、MDX スクリプト、XMLA スクリプトと、これらのスクリプトを実行できる Analysis Services インスタンスへの接続が含まれています。詳細については、「SQL Server Management Studio を使用した開発と実装」を参照してください。

SQL Server Compact スクリプト

SQL Server Compact 用の SQL スクリプトと、これらのスクリプトを実行できる SQL Server Compact インスタンスへの接続が含まれています。

SQL Server スクリプト

SQL Server データベース エンジン インスタンスの Transact-SQL スクリプトおよび XQuery スクリプトと、これらのスクリプトを実行できる SQL Server データベース エンジン インスタンスへの接続が含まれています。詳細については、「SQL Server データベース エンジン」を参照してください。

ソリューションとプロジェクトの詳細については、Microsoft Visual Studio .NET のドキュメントまたは MSDN ライブラリの「ソリューション、プロジェクト、およびファイルの管理」を参照してください。

SQL Server Management Studio と Business Intelligence Development Studio の選択

SQL Server Management Studio は、SQL Server データベース エンジン、Analysis Services、Integration Services、および Reporting Services で既存のオブジェクトの管理および構成を行うために設計されています。Business Intelligence Development Studio は、Analysis Services、Integration Services、および Reporting Services の機能を含むビジネス インテリジェンス ソリューションを開発するために設計されています。

SQL Server Management Studio と Business Intelligence Development Studio には、以下のような相違点があります。

  • SQL Server Management Studio は、Analysis Services、SQL Server、および Reporting Services のインスタンスに接続して、Analysis Services のインスタンス内のオブジェクトを構成、管理するための統合環境です。SQL Server Management Studio ではスクリプトを使用することによって、Analysis Services オブジェクト自体の作成や変更も行えます。ただし、SQL Server Management Studio には、オブジェクトの設計および定義を行うためのグラフィカル インターフェイスは用意されていません。

  • Business Intelligence Development Studio は、ビジネス インテリジェンス ソリューションの統合開発環境です。Business Intelligence Development Studio はプロジェクト モードで使用できます。このモードでは、プロジェクトおよびソリューションに含まれている Analysis Services、Integration Services、および Reporting Services オブジェクトの XML ベースの定義が使用されます。Business Intelligence Development Studio をプロジェクト モードで使用すると、Business Intelligence Development Studio で Analysis Services オブジェクトに変更を加える際に、これらの XML ベースのオブジェクト定義が変更されます。Analysis Services インスタンス上のオブジェクトに対する直接的な変更は、ソリューションが配置されて初めて反映されます。Business Intelligence Development Studio をオンライン モードで使用することもできます。この場合、Analysis Services インスタンスに直接接続して、既存のデータベース内のオブジェクトを操作することになります。

Business Intelligence Development Studio では、Analysis Services インスタンスへのアクティブな接続がなくても、ソース管理されたマルチユーザー環境で Analysis Services プロジェクトを操作できるため、ビジネス インテリジェンス アプリケーションの開発が強化されます。SQL Server Management Studio では、クエリとテストのために既存のオブジェクトに直接アクセスでき、以前にスクリプトが作成された Analysis Services データベースをより短時間で実装できます。ただし、いったん実稼働環境にプロジェクトを配置したら、Analysis Services データベースとそのオブジェクトを SQL Server Management Studio および Business Intelligence Development Studio で操作する際には慎重に行う必要があります。既存のデータベース内のオブジェクトへの変更が上書きされたり、配置されたソリューションを当初生成した Analysis Services プロジェクトへの変更が上書きされないように注意してください。詳細については、「開発段階における Analysis Services プロジェクトおよびデータベースの操作」および「実稼働環境における Analysis Services プロジェクト データベースの操作」を参照してください。