さまざまなシナリオで Eseutil /P (修復) を実行する方法

 

ここで説明する Eseutil の構文および動作は、Exchange Server 2003 Service Pack (SP2) に適用され、データベースに対して Eseutil の修復を実行するための手順を示しています。Eseutil の修復モードは、破損または損傷したデータベースをアプリケーション レベルではなく、ページおよびテーブル レベルで修正します。修復が正常に完了し、すべてのデータベース テーブルの整合性が保たれた場合でも、データベースの破損が深刻なためにマウントできないことがあります。Eseutil の修復モードの詳細については、「Eseutil /P 修復モード」を参照してください。

開始する前に

データベースに対して Eseutil の修復モードを実行する前に、次の点を考慮してください。

  • ローカルの論理ドライブ上に、一時的な修復データベースのための十分なディスク領域が必要です。修復するデータベース ファイルのサイズの 20% を確保することをお勧めします。ただし、一時ファイルのサイズは、実行される修復の性質によって大きく変動します。十分な領域が使用できない場合は、以下に示すように、一時ファイルを別のドライブにリダイレクトすることができます。
  • ストリーミング データベース (.stm ファイル) は、MAPI (Messaging Application Programming Interface) データベース (.edb ファイル) と同じフォルダに存在する必要があります。そうでない場合は、以下に示すように、コマンド ライン スイッチを設定してストリーミング データベースのパスを識別する必要があります。

手順

Eseutil /P を実行するには

  • Eseutil でデータベースを修復するための基本的なコマンド ライン構文は次のとおりです。

    ESEUTIL /P database_filename.edb
    
    note注 :
    Exchange Server 5.5 の場合、詳細なログ出力を行うには /V を実行する必要があります。詳細なログ出力は、Exchange 2000 Server 以降のバージョンでは既定の動作です。

データベースに対して Eseutil の修復を実行すると、以下のシナリオが発生する場合があります。

  • データベース ファイルとストリーミング ファイルが一致しない
  • ストリーミング ファイルが見つからない

データベース ファイルとストリーミング ファイルが一致しない

ハード クラッシュのためにデータベースとストリーミング データベースが互いに同期しなくなっているか、またはデータベース ファイルに対して期限が切れたストリーミング データベースが取得されている可能性があります。既定では、修復では最初にこの問題をチェックして、終了します。それにより、正しいファイルが使用可能な場合はそのファイルを取得する機会が与えられます。

この問題を無視して修復を強制的に続行することはできますが、ストリーミング ファイルが実際にデータベースと同じ場所に属していなければ、そのファイルからデータは復旧されません。代わりに、ストリーミング ファイルからすべてのデータが削除されます。不一致を強制的に無視するのは、ストリーミング ファイルとデータベース ファイルが同じ場所に属しており、互いにほぼ同期されている状態にあることを強く確信できる場合だけにしてください。

ストリーミング データベースは、完全に生のユーザー データで構成されています。データに関する論理構造と所有権情報はすべて、MAPI データベース (.edb ファイル) に格納されています。.edb ファイル内のポインタに一致しない .stm ファイル内のすべてのデータが修復中に失われます。

ストリーミング ファイルの不一致を無視するには、Eseutil /P を実行する次の手順に従います。

ストリーミング ファイルの不一致を無視するには

  • ストリーミング ファイルの不一致を無視するには、Eseutil コマンド ラインに /I スイッチを追加します。たとえば、次のように入力します。

    ESEUTIL /P priv1.edb /I
    

ストリーミング ファイルが見つからない

ストリーミング データベースが破損または損失している場合も、修復は正常に完了できますが、そのファイル内のデータはすべて失われます。ユーザーのほとんどが MAPI クライアント (Microsoft® Office Outlook® ユーザー) の場合は、関連するデータ損失を無視できる可能性があります。ほとんどのユーザーが POP3 (Post Office Protocol Version 3) または IMAPI4 (Internet Message Access Protocol Version 4) を介して接続していると、データ損失が致命的になる可能性があります。

データベース ストリーミング ファイルが見つからない場合、または現在のストリーミング ファイルで修復を完了できない場合は、次の手順に従って Eseutil /P を実行します。

新しいストリーミング ファイルを作成するには

  • 新しいストリーミング ファイルを作成するには、/CREATESTM スイッチを使用します。たとえば、次のように入力します。

    ESEUTIL /P PRIV1.EDB /CREATESTM
    

修復後の考慮事項

Eseutil /P を実行してデータベースを修復した後は、次の点に注意してください。

  • 修復を完了したら、可能な限り速やかにデータベースの完全バックアップを実行してください。修復によって以前のバックアップは無効になります。ただし、以前のバックアップが復元できなくなったり、まったく役に立たなくなったりするわけではありません。修復を行った場合、以前のバックアップからデータベースを完全にロール フォワードすることはできなくなります。以前のバックアップを復元すると、トランザクション ログ ファイルの再生は、修復が完了した時点で終了します。修復の後でデータベースに加えられた変更を、復元されたデータベースに戻すことはできません。したがって、修復を完了したら、可能な限り速やかにデータベースの完全バックアップを実行することが重要です。
  • 修復を完了するには、最適化 (Eseutil /D) と ISinteg -fix を実行する必要があることに注意してください。修復されたデータベースを復旧のために使用してすぐに破棄する場合にのみ、これらの追加手順を省略できます。これらの手順を省略すると、これらの手順を完了した場合に比べて復旧されるデータが少なくなる可能性はありますが、回復時間が数時間節約される可能性もあります。
important重要 :
修復されたデータベースを運用環境に戻す前に、データベースの完全バックアップを実行し、最適化を実行し、さらに ISInteg を実行する必要があります。修復されたデータベースを運用環境にいつまでも残すのではなく、実行可能になったら可能な限り速やかにメールボックスを移動することをお勧めします。詳細については、「Eseutil /P 修復モード」を参照してください。

コマンド ライン リファレンス

次に示すのは、Exchsrvr\Bin フォルダのコマンド プロンプトで「Eseutil ./?」と入力し、修復を意味する P を選択したときに表示されるコマンド ライン リファレンスです。

REPAIR:
    DESCRIPTION:  Repairs a corrupted or damaged database.
         SYNTAX:  ESEUTIL /p <database name> [options]
     PARAMETERS:  <database name> - filename of database to repair
        OPTIONS:  zero or more of the following switches, separated by a space:
                  /s<file>     - set streaming file name (default: NONE)
                  /t<db>       - set temp. database name
                                 (default: TEMPREPAIR*.EDB)
                  /f<name>     - set prefix to use for name of report files
                                 (default: <database>.integ.raw)
                  /i           - bypass the database and streaming file mismatch error
                  /g           - run integrity check before repairing
                  /createstm   - create empty streaming file if the file is missing
                  /8           - set 8k database page size (default: auto-detected)
                  /o           - suppress logo
          NOTES:  1) Repair does not run database recovery. If a database
                     is in a "Dirty Shutdown" state it is strongly
                     recommended that before proceeding with repair,
                     recovery is first run to properly complete database
                     operations for the previous shutdown.
                  2) The /i option ignores the signature mismatch error in
                     the check phase if the database and streaming file do
                     not match each other. The database and streaming file
                     will receive new signatures in the repair phase. Without
                     using this option, repair will terminate immediately
                     once the database and streaming file mismatch error occur
                  3) The /g option pauses the utility for user input before
                     repair is performed if corruption is detected. This optio
                     overrides /createstm and /o options.
                  4) The /createstm option is irreversible.  Once you
                     start the repair process a new streaming file will
                     be created.  Any streaming file that existed before
                     the repair will no longer work with this database.

詳細情報

詳細については、『Exchange Server データベース ユーティリティ ガイド』の以下のトピックを参照してください。