Eseutil /D 最適化モード

 

Eseutil の /D スイッチを使用すると、オフラインでデータベースを最適化し、圧縮できます。最適化オプションは、使用されている記憶域を連続させ、使用されていない記憶域を除去し、データベースを圧縮することによってデータベースのサイズを減らします。Eseutil /D 構文の使用方法については、「Eseutil /D (最適化) を実行する方法」を参照してください。

Eseutil の /D スイッチを使用すると、データベースを最適化し、圧縮できます。通常の操作中、データベース ファイルが現在のサイズより縮小することはありません。データベース内の領域がアイテムの削除によって解放されると、可能な場合は既存のページが再利用されます。通常、Microsoft® Exchange Server データベースはサービス開始後の数か月間は拡大しますが、やがてデータベースのサイズが安定します。

通常の状況では、オフラインでの最適化を実行することで、大きなディスク領域が永続的に回復されることはありません。ファイルは通常、最適化されていない以前のサイズまで再び拡大します。多数のメールボックスをデータベース外に移動するなどの特別な状況では、オフラインでデータベースを最適化することが有益な場合があります。既定では、通常の運用中、夜間にデータベースの論理的な最適化が行われます。これによってディスク上のファイルのサイズは減りませんが、データベースが効率的に実行されるようになります。

note注 :
Eseutil ユーティリティを使用すると、Microsoft Exchange Server 5.5 でインフォメーション ストアとディレクトリを最適化すること、および Microsoft Exchange 2000 以降のバージョンでインフォメーション ストアを最適化することができます。

Eseutil による最適化の動作方法

Eseutil は、使用されていない記憶域を除去してデータベースを圧縮することによってデータベースを最適化するときに、実際には元のデータベースの情報をすべて含む新しいデータベースを作成します。最適化が完了すると、元のデータベースは削除されるかユーザーが指定した場所に保存され、新しいバージョンが元のものに上書きされます。ユーティリティによってデータベース内で重大な論理エラーが検出されると、最適化は停止されます。データベースを最適化する前に、まず Eseutil /P を使用してデータベースを修復する必要があります。

オフラインの最適化を実行すると、Exchange によってデータベース ファイル (.edb ファイル) とストリーミング データベース ファイル (.stm ファイル) の一時コピーが作成されます。.edb ファイルのテーブルは保持されて一時データベースにコピーされますが、空のページとインデックスは破棄されます。この処理でデータベース内の物理ページ番号が変化するため、ページはそのままコピーされません。ページ間のページ リンクがすべて更新され、データベースに残されたすべてのページが整合性チェックを受けます。ページ リンクの情報を含む .stm ファイル内のページはすべて一時 .stm ファイルに保持され、ページに対する参照は .edb ファイルで更新されます。

データベースの最適化にかかる時間

最適化が完了するまでの時間は、データベース ファイルのサイズではなく、データベースの使用状況によって異なります。たとえば、10 GB のデータを含む 100 GB のデータベースを最適化する場合、10 GB のデータを含む 11 GB のデータベースを最適化する場合とほぼ同じ時間がかかります。

既定では、最適化が完了した後、一時データベースが自動的に新しい運用データベースになり、元の運用データベースは削除されます。同じ論理ドライブ上に、元のデータベース ファイルのサイズと同じサイズの空き領域がある場合、最適化にかかる時間が大幅に短縮される可能性があります。この場合は、一時データベースを同じ論理ドライブに配置できるため、最後のコピーがほとんど即座に完了します。

一時データベースを保持するためにネットワーク ドライブを使用することはお勧めできません。ネットワーク ドライブを一時データベース用に使用すると、最適化にかかる時間が長くなり、一時的または永続的なネットワーク エラーがあると処理が終了されます。最適化は再開できないため、最初からやり直す必要があります。

note注 :
論理ドライブで必要な追加のディスク領域は、最適化後の最終的なファイル サイズと同じ大きさのみです。回復されるディスク領域の大きさを正確に予測することはできませんが、安全のためには、推奨される 110% の空きディスク ドライブ領域を残してください。最適化のためにディスク領域の容量を特定する方法の詳細については、マイクロソフト サポート技術情報の文書番号 195914「Exchange Server 5.5 Service Pack 1 以降でデータベースの空き容量を確認する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=3052&kbid=195914) を参照してください。

Eseutil /D を実行する状況

Eseutil /D を実行して Exchange データベースを最適化することが適切な状況がいくつかあります。以下に、そのような状況の一覧を示します。

  • データベース内に、回復可能で再利用されない空き領域が大量に存在する。例として、データベース内のメールボックスの数が大幅に減らされた場合が挙げられます。
  • オフラインでデータベースを最適化することを勧めるイベントがアプリケーション ログに繰り返し記録される。この状況は、通常のオンライン最適化では効率的にデータベースを最適化できなくなった場合に、まれに発生することがあります。
  • Exchange の Standard Version で 16 GB のデータベース サイズの制限に達したときに、データベースをマウントするために空き領域を回復する必要がある。Exchange Server 2003 を実行している場合は、Service Pack 2 (SP2) をインストールして制限を 75 GB に引き上げる必要があります。データベース サイズの制限を引き上げる方法の詳細については、マイクロソフト サポート技術情報の文書番号 828070「メールボックス ストア データベースが上限の 16 GB に達すると Exchange Server 2003 メールボックス ストアがマウントされない」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=3052&kbid=828070) を参照してください。
note注 :
Eseutil を使用してデータベースを最適化したら、データベースの完全バックアップを実行することをお勧めします。完全バックアップが必要なのは、データベースの最適化によって新しいデータベースの署名を持つデータベース ファイルが新しく作成されたためです。復元後のログ ファイルの再生では、トランザクション ログ ファイルに記録された予期される値と一致するデータベースの署名が必要です。最適化の前に作成されたデータベースのバックアップには、最適化された新しいデータベースとは異なる署名を持つデータベース ファイルが含まれることになります。古いデータベースを復元すると、最適化された新しいデータベースにバインドされている新しいトランザクション ログが再生されません。

Eseutil /D を実行しない状況

Eseutil /D を実行して Exchange データベースを最適化することが適切ではない状況があります。以下に、そのような状況の一覧を示します。

  • Eseutil による最適化は、どのような種類であっても、標準の保守としては実行しないでください。Exchange では、Exchange の毎日の保守を処理する自動のオンライン最適化が夜間に実行されます。特別な状況以外は、オフラインの最適化を定期的に実行する理由はありません。
  • データベースが整合状態にない場合は Eseutil による最適化は実行できません。
note注 :
一般に、利用可能な領域のうち、20% を超える領域が回復されると予期される場合以外、最適化によってデータベース ファイルの永続的な縮小が行われる見込みはありません。

詳細情報

詳細については、『Exchange Server データベース ユーティリティ ガイド』の以下のトピックを参照してください。