Office Customization Tool (OCT) の概要

更新日: 2008年8月

適用対象: Office Resource Kit

 

トピックの最終更新日: 2015-03-09

この記事の内容 :

  • 概要

  • アプリケーション ユーザー設定のカスタマイズ

  • レジストリ データを追加するための OCT インターフェイス

  • OCT で Outlook プロファイルを構成する

  • 強化された環境変数のサポート

  • OCT で行ったカスタマイズを使用して Office を展開する

2007 Microsoft Office system では、Office の以前のバージョンで使用されていた展開ツールの一部が Office カスタマイズ ツール (OCT) に置き換えられています。Microsoft Office XP と Microsoft Office 2003 で使用されている展開とカスタマイズのツールの中に、カスタム インストール ウィザード、カスタム メンテナンス ウィザード、Office プロファイル ウィザード、およびセットアップ INI カスタマイズ ウィザードがあります。2007 Office system では、これらの Office XP および Office 2003 ツールの機能を OCT が併せ持っています。このオールインワン ツールによって、2007 Office system の展開とインストール保守が大きく簡素化されています。

概要

Office カスタマイズ ツールを起動するには、2007 Office system セットアップの実行可能ファイルに /admin コマンド ライン スイッチを付けて実行します。例 : \\Server\Share\Office2007\setup.exe /admin

[!メモ] この /admin スイッチは、2007 Office system のエンタープライズ版 (非リテール) SKU でのみ機能します。2007 Office system CD の内容を調べれば、リテール SKU かどうかわかります。.WW フォルダ名の最後の文字が "r" であれば、リテール SKU です。たとえば、Microsoft Office Professional 2007 のリテール版では, .WW フォルダ名は Pror.WW です。Microsoft Office Enterprise 2007 では, .WW フォルダ名は Pro.WW です。

最初に表示されるのは、[製品の選択] ダイアログ ボックスです。

新規または既存の .msp ファイルの選択を求める [製品の選択] ダイアログ ボックス

製品を選択する

[製品の選択] ダイアログ ボックスでは、既定で、新しいセットアップ カスタマイズ (.msp) ファイルを作成するオプションが選択されています。新しい .msp ファイルを作成する場合は、[OK] をクリックします。OCT を以前に実行して .msp ファイルを作成済みの場合は、[既存のセットアップ カスタマイズ ファイルを開く] をクリックします。このダイアログ ボックスに一覧表示されているキャッシュ済みファイル名からファイルを選択し、[OK] をクリックします。

OCT ツールを読み込むと、以前の Office の展開と保守ツールからの大きな変更点がわかります。Office の各種設定を行うために複数のページを移動する必要はありません。設定はグループ化され、複数のウィンドウを持つ単一ページから操作できます。設定の各グループに移動するには、このページの左側にあるナビゲーション ウィンドウを使用します。グループをクリックするとダイアログ ボックスの右側のウィンドウが更新され、選択したグループの各種設定が表示されます。

Office カスタマイズ ツールのウェルカム ページ

Office カスタマイズ ツールのウェルカム ページ

[!メモ] この記事では、OCT で表示される Microsoft Office Outlook 2007 固有の設定に焦点を当てて説明しています。2007 Office system のインストール全体に対して、その他多くの設定を OCT で構成できます。詳細については、「2007 Office system の Office カスタマイズ ツール」を参照してください。

アプリケーション ユーザー設定のカスタマイズ

OCT の左のウィンドウの [機能] セクションで [ユーザー設定の変更] をクリックします。表示される中央のウィンドウで [Microsoft Office Outlook 2007] フォルダを展開します。

OCT の [ユーザー設定の変更] セクションでの Office Outlook 2007 の設定

[ユーザー設定の変更] での Outlook 設定

このインターフェイスで、セットアップ カスタマイズ (.msp) ファイルを使用して Office Outlook 2007 をインストールする際の多くの Office Outlook 2007 ユーザー設定を行うことができます。OCT のこのセクションは、Office の以前のバージョンのカスタム インストール ウィザードの対応するページと同じです。機能ツリー内の各種の Office Outlook 2007 設定は、通常、Office Outlook 2007 の対応するメニュー構造に割り当てられています。これによって、このインターフェイスで目的の設定を見つけることが非常に簡単になっています。

[!メモ] OCT のこのセクションを使用して行った設定は、レジストリのユーザー設定セクションに書き込まれます。レジストリのポリシー セクションには書き込まれません。したがって、これらの設定は、ユーザーがいつでも手動でカスタマイズできる推奨設定と見なされます。ユーザーが変更できない構成設定を作成するには、グループ ポリシーを使用する必要があります。グループ ポリシーの詳細については、「2007 Office system でグループ ポリシーを使用して設定を適用する」を参照してください。

OCT の [ユーザー設定の変更] ウィンドウでは、Office Outlook 2007 のユーザー インターフェイスの多くの機能を制御できます。電子メール アカウントの追加と削除、アドレス帳サービス、データ ファイルなどの Office Outlook 2007 プロファイル設定を管理するには、OCT の [Outlook] セクションの各種アイテムをクリックします。

[ユーザー設定の変更] 機能ツリーの基になるアーキテクチャ

OCT で [ユーザー設定の変更] を選択したときに表示される機能ツリーの分岐構造は、2007 Office system のインストール ソース内にある .opa ファイルに基づいて構成されます。.opa ファイルを見つけるには、2007 Office system ソースの場所にある \Admin\en-us フォルダを開きます。

[!メモ] 上のパスの例は、2007 Office system の米国英語版です。このパスは、2007 Office system の言語バージョンごとに異なります。

[ユーザー設定の変更] ツリーの各トップレベル ノードに対して .opa ファイルが 1 つずつあります。Office Outlook 2007 の .opa ファイルの名前は Outlk12.opa です。

これらの .opa ファイルはテキスト ファイルなので、任意のテキスト エディタで開いて変更できます。2007 Office system での .opa ファイルの基本構造は、以前の Office のバージョンのものと同じです。これらのファイルにおける変更点は、2007 Office system の新機能用の設定のみです。

レジストリ データを追加するための OCT インターフェイス

2007 Office system の展開へのレジストリ値の追加が必要な場合があります。これは、OCT の [レジストリ エントリの追加] セクションで行うことができます。

OCT で生成される .msp ファイル内に特定のレジストリ データを含めるには、以下の手順に従います。

  1. OCT の [追加内容] セクションで、[レジストリ エントリの追加] をクリックします。

  2. [追加] ボタンをクリックします。

  3. [レジストリ エントリの追加/変更] ダイアログ ボックスで、レジストリ データを入力します。

    たとえば、電子メール用のリボンの下にクイック アクセス ツール バーを構成する次のレジストリ データの例を入力する必要があるとします。

    Key: HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\12.0\Common\Toolbars\Outlook\

    DWORD: QuickAccessToolbarStyleMail

    Value: 1 (show Quick Access Toolbar below ribbon on e-mail messages)

    Registry data: 1

    この場合、[レジストリ エントリの追加/変更] ダイアログ ボックスに、次のようにデータを入力します。

    OCT を使用して Office で展開するレジストリ値の指定

    Office OCT を使用して展開するためにレジストリ値を追加する

  4. [レジストリ エントリの追加/変更] ダイアログ ボックスで、[OK] をクリックします。

  5. 追加のレジストリ値について、手順 2. ~ 4. を繰り返します。

OCT で Outlook プロファイルを構成する

Office の以前のバージョンでのカスタム インストール ウィザードと同様に、OCT で Outlook プロファイル (電子メール アカウント、アドレス帳など) を構成できます。OCT で Office Outlook 2007 プロファイルを構成するには、OCT の左にある [Outlook] セクションで、[Outlook プロファイル] をクリックします。

OCT の [Outlook] セクション

OCT で Outlook プロファイルを構成する

OCT には Office Outlook 2007 プロファイルを構成するための新しい機能がいくつかあります。これらの機能の詳細については、「Outlook のプロファイル設定を構成する」を参照してください。

強化された環境変数のサポート

カスタマイズした Outlook プロファイルおよびユーザー設定で Office Outlook 2007 を展開するときは、環境変数が便利です。たとえば、各ユーザーのコンピュータ用に Outlook という名前のプロファイルを 1 つずつ作成する代わりに、環境変数 %USERNAME% を使用して、ドメインのログオン名に基づいた Office Outlook 2007 プロファイルを作成できます。

履歴の問題点

Outlook の以前のバージョンでは、別々の Outlook 設定を構成する際に、環境変数を使用できない場面がありました。たとえば、カスタム インストール ウィザードでも、既定の PST の場所や Outlook プロファイル名に環境変数を指定できました。しかし、カスタム インストール ウィザードまたは Outlook のアーキテクチャ的制限によって、これらの環境変数が無視されたり、リテラル文字列として解釈されたりしました。

以下の Microsoft サポート技術情報の記事で、Office の以前のバージョンにおけるこれらの問題が説明されています。

Office Outlook 2007 で強化された点

Office Outlook 2007 では、すべての場所で環境変数の使用をサポートすることで、これらの問題が解決されています。これには, .prf ファイル内で指定されるすべての設定、および Office カスタマイズ ツールの設定内の設定が含まれています。

次の一覧は、Office Outlook 2007 で環境変数を正しく使用できる、Outlook 展開設定における場所の一部を示しています。

  • .pst ファイルの場所

  • .ost ファイルの場所

  • オフライン アドレス帳 (.oab) ファイルの場所

  • プロファイル名

  • ユーザー名

  • 電子メール (POP3、Internet Mail Access Protocol [IMAP]、またはハイパーテキスト転送プロトコル [HTTP]) アカウントのプロパティ

  • アドレス帳および LDAP ディレクトリ サービス

  • 古いアイテムの整理ファイルの既定の場所

環境変数の使用例

環境変数 シナリオ例 結果

%USERNAME%

OCT で %USERNAME% を [Profile Name] ボックスで使用します。.prf ファイルには「ProfileName=%USERNAME%」と表示されます。

Office Outlook 2007 を初めて起動すると、プロファイルの名前 ([メール] コントロール パネル アプレットで確認できます) がユーザーのログオン ユーザー名と一致します。各ユーザーは、それぞれ別々のユーザー名でドメインにログインしているので、各ユーザーは Outlook 2007 ファイル内で一意な名前を持っています。

%SYSTEMDRIVE%

OCT で、既定の OST ファイルの場所に次のパスを指定します。

%SYSTEMDRIVE%\Datafiles

この %SYSTEMDRIVE% 変数は、Windows がインストールされているドライブ レターをポイントしています。このドライブが D の場合、既定の OST ファイルの場所は D:\Datafiles になります。

%USERPROFILE%

OCT で、既定の PST ファイルの場所に次のパスを指定します。

%USERPROFILE%\PSTfiles

この %USERPROFILE% 変数は、\Documents and Settings\<ユーザー名>\ というパスをポイントしています。たとえば、ユーザー名が pruivo である場合、既定の PST ファイルの場所は、\Documents and Settings\pruivo\PSTfiles になります。

OCT で行ったカスタマイズを使用して Office を展開する

OCT で行ったカスタマイズを保存すると、カスタマイズはセットアップ カスタマイズ (.msp) ファイルに保存されます。この .msp ファイルには、OCT で行った、追加レジストリ値をはじめとする各種のカスタマイズ オプションが含まれています。.msp ファイルを使用して 2007 Office system を展開すると、2007 Office system のインストールにカスタマイズが含められ、指定したレジストリ値が作成されます。

OCT で生成した .msp ファイルを使用して 2007 Office system を展開する方法の詳細については、「2007 Office system の Office カスタマイズ ツール」を参照してください。